今回はクーラ・シェイカーのランキングを作成しました。
彼らはインド音楽と古いロックを折衷した、個性派ロック・バンドです。
ブリット・ポップの中でも一際異才を放つ存在でした。
この記事では彼らのロックンロール・ナンバーを中心に選曲しました。
- 1 1位「Hey Dude」(アルバム:K)
- 2 2位「Hush」(アルバム:Kollected – The Best of Kula Shaker)
- 3 3位「108 Battles (Of The Mind)」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)
- 4 4位「Shower Your Love」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)
- 5 5位「Grateful When You’re Dead」(アルバム:K)
- 6 6位「Great Hosannah」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)
- 7 7位「Waves」(アルバム:Natural Magick)
- 8 8位「Tattva」(アルバム:K)
- 9 9位「Great Dictator (Of the Free World)」(アルバム:Strangefolk)
- 10 10位「Only Love」(アルバム:Pilgrim’s Progress)
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- 13 他ブログ・SNS等
1位「Hey Dude」(アルバム:K)

■曲名:Hey Dude
■曲名邦題:ヘイ・デュード
■アルバム名:K(1996年)
※ジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「Hey Dude」
彼らはブリット・ポップがピークに達した1995年の翌年、1996年にデビューしました。
1995年といえばオアシス(Oasis)の「モーニング・グローリー((What’s the Story) Morning Glory?)」が話題をさらい、ブラー(Blur)とオアシスの対決など、ブームは過熱気味に思えるほどでした。
そんな中、このバンドは鮮烈なデビューをはたしました。
当時、絶頂を極めつつあったブリットポップブームの波に乗ったバンドは、9月にデビューアルバム『K』をリリース。初登場1位をマークしたこのアルバムは、オアシス以来のデビューアルバム最速売り上げを記録し、全英でプラチナム・セールスを達成。
ちなみに彼らの代表曲は、この「Hey Dude」と翌1997年の「Hush」で、どちらも最高位2位を記録しました。
ちなみに「Hey Dude」はスパイス・ガールズ(Spice Girls)の「ワナビー(Wannabe)」に、「Hush」はノー・ダウト(No Doubt)の「ドント・スピーク(Don’t Speak)」に阻まれて1位を逃しました。
彼らのデビューはブリット・ポップのピークを少し過ぎていたため、ブームの恩恵を受ける期間が短かったのが悔やまれます。
次作「Peasants, Pigs and Astronauts」の頃には、すっかりブリット・ポップは収束していました。
全英1位を2回とも逃したり、ブリット・ポップのピークから少し遅れてのデビューなど、なにかと彼らは不運だったと思います。
もし彼らのデビューが2年早かったら、現在の評価は違っていたかもしれません。
2位「Hush」(アルバム:Kollected – The Best of Kula Shaker)

■曲名:Hush
■曲名邦題:ハッシュ
■アルバム名:Kollected – The Best of Kula Shaker(2003年)
■アルバム名邦題:ザ・ベスト・オブ・クーラ・シェイカー
※ジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「Hush」
この曲については情報が錯綜していますので、一旦ここで整理したいと思います。
元々この曲を書いたのは、ジョー・サウス(Joe South)。
ただジョー・サウスが歌ったバージョンはセルフ・カバーです。
最古のオリジナル・バージョンは、以下の曲です。
リリースの順番は、ビリー・ジョー・ロイヤル →ディープ・パープル(Deep Purple) →ジョー・サウス →クーラ・シェイカー。
この曲はよくジョー・サウスかディープ・パープルのカバーと言われています。
しかしビリー・ジョー・ロイヤルのカバーと呼んだ方が、より正確かもしれません。
ただクーラ・シェイカーのバージョンは、この曲の決定版といえる出来でした。
そもそもこの曲はこのバンドに似合いすぎていて、カバーではなくオリジナル曲と感じられるほどです。
3位「108 Battles (Of The Mind)」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)

■曲名:108 Battles (Of The Mind)
■曲名邦題:180 バトルス (オフ・ザ・マインド)
■アルバム名:Peasants, Pigs and Astronauts(1999年)
■アルバム名邦題:ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ
■動画リンク:「108 Battles (Of The Mind)」
セカンド・アルバムの曲です。
一般に彼らの最高傑作は、ファーストの「K」だと言われています。
しかし私の感覚では6:4、もしくは7:3ぐらいで、この2枚目の方が好きという人も少なくありません。
私もどちらかを選べと言われたら「K」ですが、ほぼ同じぐらいです。
さてあるアーティストの魅力を誰かに伝える時、特定の一面に焦点を当てる場合と多様性に焦点を当てる2通りがあります。
私はこの記事で、後者のアプローチを選択しました。
私はこの記事でロックンロール・バンドとしての魅力をお伝えしたいと思っています。
このバンドはとかくインド色が強いと言われがちです。
そうした特徴を強調したい場合は、以下の曲をランクインさせるべきかもしれません。
しかしこのブログは初めて聞く方に気に入ってもらえるかが、選曲における最も重要な判断基準です。
個人的にはインド風の曲も大好物ですが、この記事ではガツンとくるロックンロールを中心に選曲しました。
4位「Shower Your Love」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)

■曲名:Shower Your Love
■曲名邦題:シャワー・ユア・ラヴ
■アルバム名:Peasants, Pigs and Astronauts(1999年)
■アルバム名邦題:ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ
※ジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「Shower Your Love」
3位と同じくセカンド・アルバムの曲です。
この頃はブリット・ポップが下火になり、リーダーであるクリスピアン・ミルズ (Crispian Mills)の発言が、メディアから非難されることが多い時期でした。
鉤十字(卍)にまつわる一連のコメントがナチス礼賛とされメディアによるバッシングを増幅させてしまう
ちなみに「卍」は仏教において仏の徳の象徴であり、仏教徒のクリスピアン・ミルズはその観点で語ったにすぎません。
イギリスのメディアは、アーティストを過剰に叩く傾向があります。
時にはこの件のように、言いがかりに近い理由を盾に。
ある時はブームを過剰にあおり、ある時はとことん貶めるやり口について、ある日本の音楽評論家はメディアの自殺行為だと言っていました。
加えてこのアルバムは、クリスピアンの完璧主義が行き過ぎて制作が難航し、時間やお金だけでなく精神的にも強いストレスの下で制作されました。
この曲のタイトルは「君の愛をシャワーのように浴びせかけてほしい」。
歌詞にも「今すぐ助けてほしい」という箇所があり、当時の彼らのしんどさがうかがえます。
5位「Grateful When You’re Dead」(アルバム:K)

■曲名:Grateful When You’re Dead
■曲名邦題:グレイトフル・ホエン・ユーアー・デッド
■アルバム名:K(1996年)
■動画リンク:「Grateful When You’re Dead」
当時の彼らはよく他のブリット・ポップのバンドと比較されていました。
そういう時はよく「インド」がキーワードとして説明されていました。
インド音楽の要素は薬味のようなもので、うまく使えばビートルズ(The Beatles)やコーナーショップ(Cornershop)のように効果てきめんです。
しかし私はインド音楽の影響に加えて、他のバンドよりオールドロックの影響が強いと感じます。
この「Grateful When You’re Dead」も、グレイトフル・デッド(Grateful Dead)に対するオマージュですし。
歌詞に登場する「Jerry」とは、ジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)のことだと思われます。
グレイトフル・デッドからは音楽だけでなく、精神的な影響もあったかもしれません。
この曲名は「君は死んだ時に感謝する」という意味です。
当時クリスピアン・ミルズは、東洋哲学に傾倒していました。
10週間もインド旅行に出かけ、インド文化や仏教・ヒンドゥー教などの東洋哲学に触れ、深い感銘を受ける
詳細は割愛しますが、グレイトフル・デッドとクリスピアンは同じような死生観を共有していました。
6位「Great Hosannah」(アルバム:Peasants, Pigs and Astronauts)

■曲名:Great Hosannah
■曲名邦題:グレート・ホサナ
■アルバム名:Peasants, Pigs and Astronauts(1999年)
■アルバム名邦題:ペザンツ、ピッグス&アストロノーツ
■動画リンク:「Great Hosannah」
このブログは、どうしたらそのアーティストの魅力を伝えられるかを重視して選曲しています。
そのためヒット曲や有名曲についてはある程度配慮するものの、もっと良い曲であれば無名曲でも積極的に紹介しています。
このアルバムからランクインした3曲の内、この曲と3位の「108 Battles (Of The Mind)」は、シングルカットされていません。
一方以下のヒット曲や有名曲については、選外にしました。
ただどちらも良い曲なので、リンクだけ貼っておきましょう。
Kula Shaker – Sound of Drums
Kula Shaker – Mystical Machine Gun
彼らのアルバムは、未シングルでも良い曲が沢山あります。
この記事の曲を聞いて気に入った方は、ぜひアルバム単位でチェックしてみてください。
7位「Waves」(アルバム:Natural Magick)

■曲名:Waves
■曲名邦題:ウェイヴス
■アルバム名:Natural Magick(2024年)
■アルバム名邦題:ナチュラル・マジック
■動画リンク:「Waves」
彼らは2枚目をリリースした後の1999年に、一旦解散しています。
解散理由は、メディアからの苛烈なバッシングや出費に見合った売り上げが得られなかったこと。
しかしその後バンド名義でチャリティー・アルバム用の新曲が必要となり、それがきっかけで再結成することになりました。
その後リリースされたアルバムは、ある程度質を維持していました。
しかしセールス的には低迷続き。
私が想像する要因としては、落ち着いた曲が増えたことや、インド色が希薄になってきたことが大きいように感じます。
このアルバムは再結成後の5作目です。
前作「1st Congregational Church of Eternal Love and Free Hugs」は、本国イギリスで169位とどん底でした。
イギリスはアメリカに比べて、音楽市場はかなり小規模です。
規模の小さな市場でその順位だと、経済的にバンドの存続が困難になります。
それを受けてか、彼らはこのアルバムのジャケットでインド色を強く打ち出し、音楽的にも初期を思わせる曲が増えました。
そのせいかこのアルバムは22位と躍進し、再結成後としては最大のヒット作になりました。
8位「Tattva」(アルバム:K)

■曲名:Tattva
■曲名邦題:タトゥヴァ
■アルバム名:K(1996年)
※上のジャケは別ジャケのもの
■動画リンク:「Tattva」
デビュー前の彼らはバンド名を頻繁に変えたり、メンバーの出入りも多く、腰を落ち着けて活動できませんでした。
そんなある時インド文化に傾倒していたクリスピアンは、何度目かのバンド名の変更を提案しました。
新しいバンド名は、9世紀のインド皇帝で聖人のクラシェクハラ王にちなんだ、今のバンド名です。
そのご利益のおかげか、その後バンドはコンテストで優勝し、大手のコロンビア・レコード(Columbia Records)と契約できました。
ちなみにそのコンテストで共同で優勝したバンドは、プラシーボ(Placebo)。
当時のイギリスの層の厚さを感じますね。
この「Tattva」は、デビュー・シングルの再録音バージョンです。
全英4位と初のヒットを記録し、次のシングル「Hey Dude」でブレイクする呼び水になりました。
9位「Great Dictator (Of the Free World)」(アルバム:Strangefolk)

■曲名:Great Dictator (Of the Free World)
■曲名邦題:グレイト・ディクテイター(オヴ・ザ・フリー・ワールド)
■アルバム名:Strangefolk(2007年)
■アルバム名邦題:ストレンジフォーク
■動画リンク:「Great Dictator (Of the Free World)」
このアルバムは再結成後の第一弾です。
彼らは不思議と日本で人気の高いバンドでした。
彼らはセカンド・アルバムが全英チャートで9位ですから、まずまず健闘したといえるでしょう。
しかしイギリスの売り上げは10万枚程度にすぎず、初動こそ良かったもののトータルではいまひとつ。
こうしたセールスの不振は、後に解散の原因になりました。
一方日本では、このセカンド・アルバムは異例のセールスを記録しました。
全英での売り上げは約10万枚と商業的には前作ほどの成功を収めることができなかった。しかしながら日本においては、アルバムは14万枚もの売り上げで大ヒットを記録。セールスが日英で逆転する珍現象が起きていた。
その後再結成後に発表されたこの3枚目も、イギリスでは69位止まりでしたが、日本では32位と本国を上回る順位でした。
このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。
10位「Only Love」(アルバム:Pilgrim’s Progress)

■曲名:Only Love
■曲名邦題:オンリー・ラヴ
■アルバム名:Pilgrim’s Progress(2010年)
■アルバム名邦題:ピルグリムス・プログレス
■動画リンク:「Only Love」
最後にバラードで締めたいと思います。
今回の記事は、リーダーのクリスピアンに焦点を当てて書きました。
彼はこのバンドのリード・ボーカル、ギタリスト、そしてメイン・ソングライターという大黒柱。
そしてインド音楽の影響など、このバンドの個性を象徴する存在でもありました。
クリスピアンは演劇界の芸能一家に生まれ育ちました。
彼は階級社会のイギリスでは上流階級に生まれ、そのことでノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)からかわれたりもしています。
日本でいえば上級国民(笑)みたいな感じでしょうか。
実際、彼は周囲に有名人やスターがいる環境で育ち、容姿にも恵まれていました。

しかし一方でクリスピアン・ミルズは、11歳の頃には死について考えるような子供でした。
大人になった彼は旅行先のインドで人生観が変わったのだそうです。
クーラ・シェイカーは死生観や精神性などにおいて、他の多くのバンドとは異なる求道的な面があります。
最後に、バンドが解散状態だった頃クリスピアンが結成したザ・ジーヴァズ(The Jeevas)の曲をご紹介しましょう。
The Jeevas – Ghost(Cowboys In The Movies)
子供の時の彼は、父親ジョン・ミルズ卿の歌を子守歌として眠りについていました。
その時父親が歌っていたのは、カウボーイの曲だったとのこと。
そういえばザ・ジーヴァズの曲名やアルバム名には、度々カウボーイのモチーフが出てきます。
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