今回は神聖かまってちゃんのランキングを作成しました。
この記事では便宜上順位を割り振っていますが、ほぼリリース順に曲を配置しました。
対象としたアルバムは初期4作ですが、その後も彼らは興味深い作品を発表しています。
あと今回はいつも以上に主観重視で書いてみました。
1位「ロックンロールは鳴り止まないっ」(アルバム:友だちを殺してまで。)
■曲名:ロックンロールは鳴り止まないっ
■アルバム名:友だちを殺してまで。(2010年)
■動画リンク:「ロックンロールは鳴り止まないっ」
「の子」とはこのバンドのギターとボーカルで、メイン・ソングライターでもあり、性別は男性です。
TSUTAYAでビートルズ(The Beatles)やセックス・ピストルズ(Sex Pistols)のCDを借りて聞いたの子の体験を歌った曲です。
そして彼はこう思いました。
何がいいんだか全然分かりません
しかし音楽が終わったにもかかわらず、の子は音楽が鳴りやまないと感じています。
良さが分からないがなぜかその音楽が鳴り続けることに、彼は衝撃を受けました。
の子には独特の傾向があるように思います。
まず最初に愛憎が入り乱れた状態があって、その結果として衝動的な言動に至るという。
愛情 + 憎しみ → 衝動的なアウトプット(例えばこの曲のような)
名指しでアーティストを批判する場合があるが、それを「ディスペクト」[14][注釈 2]と表現し「嫉妬であり愛の現れで本当に嫌いならば話題にもしない」と語っている[15]。
「嫉妬であり愛の現れ」がなぜ「名指しで批判する」に結びつくのか、私には理解できません。
忠告やアドバイスなら分かりますけど、批判ですから愛していることを免罪符にして敵対的になるのでしょうか。
ただこうした面倒くささが、このバンドの根底にあることを最初に説明しておく必要があると思いました。
もしかしたらこの記事を書く私も、愛憎が相半ばしてしまうかもしれません。
2位「23才の夏休み」(アルバム:友だちを殺してまで。)
■曲名:23才の夏休み
■アルバム名:友だちを殺してまで。(2010年)
■動画リンク:「23才の夏休み」
今回はこの曲を書いたの子を中心に書く予定です。
この曲は「23才の夏休み」という曲名ですが、23歳の頃のの子はこんな状態でした。
2008年には「2才」というハンドルネームを用いて2ちゃんねるでの挑発的な書き込みや自作自演を繰り返し批判を集める。
どうやらしょーもない人だったようですね。
しかし一方で彼は音楽の才能を授かっていました。
そういうことがあるのですね。
ロックでは不幸な境遇で育った人が這い上がるサクセス・ストーリーがあります。
の子の場合は、その変形パターンかもしれません。
成功者の中には時々その道でしか成功できなかった、他に選択肢がなかった人がいます。
もし音楽をやっていなかったら、一体の子はどうなっていたでしょうね。
3位「ちりとり」(アルバム:友だちを殺してまで。)
■曲名:ちりとり
■アルバム名:友だちを殺してまで。(2010年)
■動画リンク:「ちりとり」
の子は2008年かまってちゃんを結成し、バンド活動を開始しました。
ちなみにそれまでの子が在籍していたバンド名は、以下の通り。
・真っ昼間ボーイズ
・びばるげばる物語
・びばるげばる書店
・うっそぴょん
ふざけたバンド名ばかりです。
しかも彼は2ちゃんねるでバンドを宣伝していました。
バンド名だけでなく宣伝方法もふざけていたのですね。
ちなみに彼は自分のウィキペディアを編集していていました。
自身のウィキペディアの項目を編集したことがあり、「非常にcleverな人間」、「ネット配信の先駆者」を自称している[16]。
これまで書いてきたエピソードを読んで、こういうノリに付いていけないと思われるかもしれません。
しかし私は思います。
逆にこういう人だからこそ生まれる音楽があるのではないかと。
の子のおかしな言動をどこまで受け入れられるか、その受容度が彼らの音楽を好きになれるかどうかを決めるのかもしれません。
4位「白いたまご」(アルバム:つまんね)
■曲名:白いたまご
■アルバム名:つまんね(2010年)
■動画リンク:「白いたまご」
あまり強い言葉を使わないように注意したいと思いますが、私は幼少時に異常な環境に置かれていました。
若い頃私の両親に会いたがっていた交際相手に昔のエピソードを話したら、泣かれてしまったことがあります。
私は小学生の時ハードコア・パンクを聞いていましたが、それは早熟だったからではありません。
今では冷静にそれらの音楽を評価できますが、当時の私にとっては鎮痛剤やモルヒネみたいなもでした。
もし当時このバンドがあったら、きっと私は爆音で聞いたと思います。
子供の頃の私はおかしな言動こそ目立ちませんでしたが、音楽を聞いていなかったら今頃どうなっていたか分かりません。
人間はどんな風にでもなりえるのだと肌感覚で知っています。
今の私は平和で幸せに暮らしていますが、過去の古傷が彼らの音楽に反応しているようです。
5位「美ちなる方へ」(アルバム:つまんね)
■曲名:美ちなる方へ
■アルバム名:つまんね(2010年)
■動画リンク:「美ちなる方へ」
このバンドの初期は負の要素ばかりです。
初期3作のアルバム名は以下の通りですし。
・「友だちを殺してまで。」
・「つまんね」
・「みんな死ね」
こうした負の感情は、多かれ少なかれ誰の中にもあるような気がします。
昔、私は親との不仲に悩んでいる女友達の相談に乗ったことがあります。
その時彼女は散々毒を吐いてから「〇〇君(私のこと)はいいよね。親に愛されて育った感じがする」みたいなことを言っていました。
その時私は自分の生い立ちを話そうか迷いましたが、そうすると不幸自慢やマウンティングになるのでそのまま受け流しました。
ただそう見えることについてはうれしかったですし、安堵したのも事実。
現実は今でも時々辛い記憶がフラッシュパックする有様ですが。
世の中には私と同じく不幸な記憶と折り合いを付けようとし、むしろ積極的に負の感情にシンクロし、それによって安心感を得て、どうにか生きていられる人もいるのではないか。
このバンドの人気の一端はそういうところにもあるような気がします。
私は彼らの音楽を聞くと癒されたと感じます。
そしてその感覚は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)を聞く時の感覚と、私の中ではそう遠くありません。
6位「黒いたまご」(アルバム:つまんね)
■曲名:黒いたまご
■アルバム名:つまんね(2010年)
■動画リンク:「黒いたまご」
私は彼らの音楽を、あえてオールドロック好きの方に聞いてほしいと思っています。
たとえばビートルズ(The Beatlesとかレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の評価は盤石で、もはや定説といえるでしょう。
私だって上記のバンドをよく分からない人に酷評されたら、内心穏やかではありません。
しかし一方でその定説を覆すような音楽が出てこないか、心のどこかで期待しているところがあります。
たとえば過去のセックス・ピストルズのような。
そういう音楽は得てしてサウンドが新しいとか、音楽の良し悪しでさえもなく、リアルかどうかが重要かもしれません。
その点かまってちゃんはヒエラルキー・キラーというか、下剋上の可能性があるのではないかと。
だから私はオールドロック好きにあえて聞いてほしいと思ったのですね。
気に入らなかったとしても、おもしろい音楽だとは思っていただけそうですし。
7位「ベイビーレイニーデイリー」(アルバム:みんな死ね)

■曲名:ベイビーレイニーデイリー
■アルバム名:みんな死ね(2010年)
■動画リンク:「ベイビーレイニーデイリー」
私はサブカルな音楽に好意的なリスナーだと自己認識しています。
このバンドはサブカル色が強いですが、そうした私とは相性が良いかもしれません。
初期の彼らの音楽は、サブカルがピクシーズ(Pixies)のようなぶっこわれたオルタナ・ロックと出会った感じがします。
あとマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(My Bloody Valentine)の淡い音像。
音響的にもひしゃげています。
ただピクシーズやマイブラが好きでも、このバンドを好きになれない人もいると思います。
その差分は彼らのクセ強なサブカル感覚のせいかもしれません。
ただ次第に彼らのサブカル的な部分は変質していき、この頃は少し聞きやすくなってきました。
8位「口ずさめる様に」(アルバム:みんな死ね)

■曲名:口ずさめる様に
■アルバム名:みんな死ね(2010年)
■動画リンク:「口ずさめる様に」
このアルバムは以前にもまして音楽的な完成度が上がりました。
前述した通り、この記事はファースト・アルバムから順に並べました。
それによって変化の過程を追体験できるように意図しています。
初期は何をするか分からない挙動不審と不安定さ、いとも簡単にリミッターを振り切るような衝動が魅力だったように思います。
しかしの子はそれだけで終わりませんでした。
刺激に頼らずとも良いメロディを書けましたし、徐々にその片鱗を見せ始めました。
ついにこの曲では「口ずさめる様に」という曲名ですし。
彼らの最高傑作を決めるのは難しいかもしれません。
個人的には最初の2枚「友だちを殺してまで。」「つまんね」のどちらかだと思います。
ただ更に完成度が上がった3枚目「みんな死ね」と4枚目「8月32日へ」も、充分すばらしい作品だと思います。
9位「映画」(アルバム:8月32日へ)
■曲名:映画
■アルバム名:8月32日へ(2011年)
■動画リンク:「映画」
私はこのブログで難しい音楽や人を選ぶ音楽について、なるべく丁寧に説明しようと考えています。
たとえばジェフ・ベック(Jeff Beck)やアルバート・アイラー(Albert Ayler)の記事では、どうしたら分かりやすく伝えられるか強く意識して書きました。
ただこのバンドについては、そうした説明が難しいと考えています。
難しい音楽ならば分かりやすく説明すればいいですが、このバンドの場合は好き嫌いが重要なような気がします。
そのため誰にも納得してもらえる客観的な説明が難しく、この記事では音楽自体についてあまり説明できていません。
私はせめて届くべき人に届いてほしいと思って、この記事を書きました。
相性の良い人に当たったら、自然と彼らの音楽をむさぼり聞くようになり、必需品としての音楽になるかもしれませんから。
10位「33才の夏休み」(アルバム:8月32日へ)
■曲名:33才の夏休み
■アルバム名:8月32日へ(2011年)
■動画リンク:「33才の夏休み」
今回私はこの記事で網羅性やバランスを考えませんでした。
の子以外にも興味深い活動をしているメンバーもいますが、今回の記事では触れられませんでした。
前述の通り、私はこのバンドの最初の2枚が特に好きです。
初期の彼らは攻撃的で不安定なのに、聞いていて癒されると感じました。
その感覚を掘り下げようとすれば、私の生い立ちに触れておいた方がいいように思いました。
ただそうした難しいテーマを書くには、いささか力不足だったかもしれません。
また私の生い立ちと思いを吐露したことについて、不快に思わた方がいたら申し訳ありません。
さてそうしたアンビバレントな感覚は、以前毛皮のマリーズの記事の時にも感じました。
毛皮のマリーズは過去の音楽を模倣しまくっているのに、逆にそれによってオリジナリティを感じさせる、奇妙な二律背反性があります。
興味のある方は以下からお聞きください。
毛皮のマリーズ(Kegawa no Maries)の名曲名盤12選
最後に少し小難しいことを書きましたが、結局は良いバンドだから紹介したいと思いました。
負の要素をふんだんに含んでいるかまってちゃんの音楽は、万人にはおすすめできないかもしれません。
しかしそういう音楽が否定されたり聞かれないとしたら、そんな世界は私にとってディストピアに思えます。
関連記事
■きのこ帝国(Kinoko Teikoku)の名曲名盤10選
■アジアン・カンフー・ジェネレーション(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の名曲名盤10選
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■おとましぐらnote(おすすめ曲一覧)
※良い曲を1曲単位で厳選してご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!