今回は南佳孝のランキングを作成しました。
この人は一部の曲以外、あまり言及されることがないかもしれません。
一方アルバム単位では、名盤と呼ばれる作品も少なくありません。
この記事では初期の彼に焦点を当てて、曲単位で彼の魅力をご紹介してみました。
- 1 1位「モンロー・ウォーク」(アルバム:SPEAK LOW)
- 2 2位「スローなブギにしてくれ (I want you)」(アルバム:SILKSCREEN)
- 3 3位「夜間飛行」(アルバム:SOUTH OF THE BORDER)
- 4 4位「風にさらわれて」(アルバム:MONTAGE)
- 5 5位「憧れのラジオ・ガール」(アルバム:MONTAGE)
- 6 6位「Scotch and Rain」(アルバム:SEVENTH AVENUE SOUTH)
- 7 7位「ブルースでも歌って」(アルバム:忘れられた夏)
- 8 8位「プールサイド」(アルバム:SOUTH OF THE BORDER)
- 9 9位「これで準備OK」(アルバム:忘れられた夏)
- 10 10位「Chat Noir(黒猫)」(アルバム:SEVENTH AVENUE SOUTH
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1位「モンロー・ウォーク」(アルバム:SPEAK LOW)
■曲名:モンロー・ウォーク
■アルバム名:SPEAK LOW
■動画リンク:「モンロー・ウォーク」
郷ひろみが「セクシー・ユー」という曲名で発表したことで知られている曲です。
彼は才能のあるシンガーソングライターです。
しかし輪郭が明確で分かりやすいメロディを書くタイプではありません。
キャッチーではありませんが、とても良い曲を書く人です。
タイプとしてはマイケル・フランクス(Michael Franks)に近いかもしれません。
その例外といえるのが、この記事の上位2曲です。
どちらも明快なメロディとフックがあります。
私の好みとは合致しませんが、良い曲であることは間違いありません。
この2曲は知っているよという方は、3曲目からお聞きください。
2位「スローなブギにしてくれ (I want you)」(アルバム:SILKSCREEN)
■曲名:スローなブギにしてくれ (I want you)
■アルバム名:SILKSCREEN
■動画リンク:「スローなブギにしてくれ (I want you)」
同名映画の主題曲です。
この曲にはおもしろいエピソードがあります。
角川春樹が映画製作を始めた頃、愛人の一人だった安井かずみが南佳孝のファンで、彼女が所有するアルバムを聴いた角川が、片岡義男の原作に重なるものがあると感じ、映画化の際に南佳孝をメジャーにしようと、主題歌として制作されたという[2]。
安井かずみは角川春樹の愛人だったのですね。
ただ当時彼女は既に売れっ子作詞家でしたので、経済的に依存する必要はなかったと思いますが。
ともあれ彼女の貢献は大きく、映画とこの曲はヒットしました。
3位「夜間飛行」(アルバム:SOUTH OF THE BORDER)
■曲名:夜間飛行
■アルバム名:SOUTH OF THE BORDER
■動画リンク:「夜間飛行」
アルバム名は「国境の南」という意味です。
そのせいか一枚通じて南国らしいさわやかな曲が多いように感じます。
この曲がこれほどのすばらしい出来になったのは、編曲の貢献が大きいかもしれません。
このアルバムの編曲を担当したのは、坂本龍一。
どうりですばらしいアレンジです。
当時坂本龍一は「千のナイフ」でデビューする前の無名の存在。
南佳孝は教授の才能に驚いたようで、当時を振り返ってこんなことを語っています。
〈すげえやつもいるんだなあ〉って本当に思った
まあこんな才能の持ち主はめったにいませんけどね。
4位「風にさらわれて」(アルバム:MONTAGE)
■曲名:風にさらわれて
■アルバム名:MONTAGE
■動画リンク:「風にさらわれて」
松任谷正隆、鈴木茂、林立夫などティン・パン・アレーのメンバーが参加した曲です。
以前南佳孝はシングル曲で、ティン・パン・アレーの「ソバカスのある少女」をカバーしていました。
前半は彼らによるシンプルなバッキングが効果的です。
しかし曲が終わりに近づくと高揚感のあるストリングスが主役に躍り出ます。
このアレンジを担当したのは、またしても坂本龍一。
そして寂寥感たっぷりの南佳孝、渾身のメロディ。
この時は名曲が誕生する下地がそろっていました。
なるべくして名曲になった感じがします。
5位「憧れのラジオ・ガール」(アルバム:MONTAGE)
■曲名:憧れのラジオ・ガール
■アルバム名:MONTAGE
■動画リンク:「憧れのラジオ・ガール」
この曲名を見ると、いつも浜田省吾みたいだと感じます。
曲調も若干浜省っぽいですし。
彼の音楽は当時のおしゃれな若者を虜にしたと思われます。
当時は男性のライフ・スタイルマガジンみたいなものが流行っていました。
1976年に雑誌「POPEYE」の創刊号が発売され、1980年には雑誌「BRUTUS」の創刊号が出ました。
私はどちらも読んだことはありません。
シティボーイのライフスタイルの教科書みたいな内容なのだそうです。
そのライフ・スタイル提案には音楽も含まれていたことでしょう。
このアルバムは1980年にリリースされました。
南佳孝のこの曲には、時代特有の女性へのあこがれを感じます。
そしてサブスクのなかった当時、ラジオは貴重な音楽の情報源でした。
6位「Scotch and Rain」(アルバム:SEVENTH AVENUE SOUTH)
■曲名:Scotch and Rain
■アルバム名:SEVENTH AVENUE SOUTH
■動画リンク:「Scotch and Rain」
最初はこの曲ではなく「波止場」をご紹介する予定でした。
しかしYoutube動画がありませんでしたので、同じぐらい好きなこの曲をご紹介することにしました。
私はこの人のマイナー調の曲が好きなようです。
後に彼はブラジル音楽に傾倒しますが、彼の資質に合致していたと思います。
日本の哀愁とブラジルのサウダーヂの類似性。
それを証明する最良の例といえそうなのがこの曲です。
さてこのアルバムはニューヨークでレコーディングされました。
デヴィッド・サンボーン(David Sanborn)やデヴィッド・スピノザ(David Spinozza)など、そうそうたるプレイヤーが参加しました。
しかしそれでもしっかり南佳孝の音楽になっていますね。
7位「ブルースでも歌って」(アルバム:忘れられた夏)
■曲名:ブルースでも歌って
■アルバム名:忘れられた夏
■動画リンク:「ブルースでも歌って」
この人はバラードに名曲が多い印象があります。
この曲もその1つ。
以下の曲とどちらにするか迷いました。
この作品はセカンド・アルバムです。
「おいらぎゃんぐだぞ」で有名なファースト・アルバム「摩天楼のヒロイン」も、決して悪い出来とは思いません。
しかしこのセカンド・アルバムでは、かなり飛躍したように思います。
1曲を除いて松本隆が作詞を担当した前作と異なり、全曲で自ら歌詞を書いています。
また曲単位で参加しているプレイヤーもかなりバラバラです。
しかしアルバムを通して聞いた時、それほど散漫な印象は受けません。
海外録音してもメンバーがコロコロ変わっても、意外と彼はアイデンティティを維持しています。
8位「プールサイド」(アルバム:SOUTH OF THE BORDER)
■曲名:プールサイド
■アルバム名:SOUTH OF THE BORDER
■動画リンク:「プールサイド」
彼の音楽には、歌謡曲のような明快な魅力を持った曲が少ないように思います。
ただ彼はアイドルにも曲を提供しています。
この記事を書くにあたり、私はアイドルに提供した曲も聞いてみました。
しかしやはり同じ感想です。
ただその代わりに彼には別の魅力がありました。
それはキャッチーなメロディではなくても、どことなく気になる曲を書くということ。
また彼の歌にはアンニュイなフェロモンがあり、時にはデカダンスを感じることがあります。
それが彼の音楽にもう一段の深みを加えていました。
彼はセンスの塊みたいな人かもしれません。
池田満寿夫の絵画「愛の瞬間」をアルバム・ジャケットに使ったのも、さすがのセンスです。
9位「これで準備OK」(アルバム:忘れられた夏)
■曲名:これで準備OK
■アルバム名:忘れられた夏
■動画リンク:「これで準備OK」
彼は国内外でシティポップの文脈で評価されています。
ウィキペディアにもこう書かれています。
週刊誌『週刊平凡』1986年3月14日号に「シティーミュージックのパイオニア的存在」と書かれている[1]。
その路線は1976年にリリースされたこのアルバムから始まりました。
この曲もシティポップ名曲として知られています。
一部の例外を除き彼の曲は甘さが控えめで薄味ですが、しっかり出汁が利いています。
加えて憂いなどの陰影も感じられますし。
それがトロピカル、メロウなたシティ・サウンドに乗った時、得も言われぬ味わいが醸し出されました。
10位「Chat Noir(黒猫)」(アルバム:SEVENTH AVENUE SOUTH
■曲名:Chat Noir(黒猫)
■アルバム名:SEVENTH AVENUE SOUTH
■動画リンク:「Chat Noir(黒猫)」
この人の最高傑作としては「SOUTH OF THE BORDER」か、このアルバムを挙げる人が多いように思います。
どちらもアルバム・ジャケットが印象的ですし。
「SOUTH OF THE BORDER」は池田満寿夫、このアルバムではエドワード・ホッパーの「ナイトホークス」という絵画が使用されています。
ちなみに「SEVENTH AVENUE SOUTH」は、アルバム名通り彼の7作目。
今回はこのアルバムまでを対象とさせていただきました。
ただその後も彼は以下の名曲を生みました。
とはいえ彼は知名度に比べると、ヒット曲が多い人ではありません。
大貫妙子の記事でも同じことを書きましたが、ヒット曲ではなくアベレージが高い人です。
野球でいえば打率の高い偉大な二番打者のような人かもしれません。
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