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O.V.ライト(O.V. Wright)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はO.V.ライトのランキングを作成しました。

オールジャンル/オールタイムで最高のシンガーを決めるとしたら、この人は最終選考に残ります。

彼にかかれば平凡な楽曲も至高の曲になります。

歌でリスナーをねじ伏せることついては、誰も彼を超えられないと確信しています。

 

1位「Into Something (Can’t Shake Loose)」(アルバム:Into Something)

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■曲名:Into Something (Can’t Shake Loose)
■曲名邦題:イントゥ・サムシング (キャント・シェイク・ルース)
■アルバム名:Into Something
■アルバム名邦題:イントゥ・サムシング
■動画リンク:「Into Something (Can’t Shake Loose)」

彼はこのアルバムからハイ・レコード(Hi Records)に移籍しました。

ハイは以前から彼をプロデュースをしていた、ウィリー・ミッチェル(Willie Mitchell)のレーベルです。

これまでウィリー・ミッチェルは、別レーベルに所属していたO.V.ライトをプロデュースしていました。

そのため従来の制作体制は維持されています。

しかしサウンド面では大きな変化がありました。

前アルバムは1973年の発売で、この作品は1977年のリリース。

たった4年のブランクにすぎませんが、今作では1970年代後半らしいサウンドになりました。

また楽曲へのこだわりもうかがえます。

「プレシャス・プレシャス(Precious Precious)」や「男が女を愛する時(When A Man Loves A Woman)」など、楽曲の粒がそろっています。

 

2位「When You Took Your Love From Me」(アルバム:A Nickel and a Nail -and- Ace of Spades)

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■曲名:When You Took Your Love From Me
■曲名邦題:ホエン・ユー・トゥック・ユア・ラヴ・フロム・ミー
■アルバム名:A Nickel and a Nail -and- Ace of Spades
■アルバム名邦題:ア・ニッケル・アンド・ア・ネイル・アンド・エース・オブ・スペード
■動画リンク:「When You Took Your Love From Me」

最初にこの記事の前提情報を書きたいと思います。

それは所属レーベルと私の所有しているCDについて。

まずレーベルですが、彼は最初ゴールドワックス・レコード(Goldwax Records)からデビューしました。

しかしその後は以前所属していたゴスペル・グループ、サンセット・トラベラーズ(Sunset Travelers)の(Backbeat Records)のレーベルに戻りました。

ちなみにバックビートは、デューク/ピーコック(Duke/Peacock)傘下のレーベルです。

その後デューク/ピーコックは、ABCレコード(ABC Records)に吸収されました。

人によっては同じ時期について違う呼び方をしていますが、上はどれも同じ時期とお考えいただいて結構です。

また私が所有している音源は、ABCからリイッシューされた5枚組のもの、ハイ時代以降は3枚組CDです。

その5枚組は内容的には大変満足ですが、参加者などの情報がないのが難点です。

 

3位「He’s My Son (Just The Same)」(アルバム:Memphis Unlimited)

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■曲名:He’s My Son (Just The Same)
■曲名邦題:ヒーズ・マイ・サン
■アルバム名:Memphis Unlimited
■アルバム名邦題:メンフィス・アンリミテッド
■動画リンク:「He’s My Son (Just The Same)」

私がO.V.ライトを買うきっかけとなったのは、鈴木啓志氏がこの曲について書いた文章を読んでからです。

彼はこの曲について、確実にサザン・ソウル曲のベスト10に入ると書いています。

それまで私はO.V.ライトを聞いたことがありませんでした。

その言葉だけを頼りに5枚組のボックスセットという高い買い物をしたのですから、私は帰宅して実際聞くまで不安でした。

買ってきて私はすぐにこの曲を聞きました。

万感の思いが込められた歌。情感の密度が濃すぎる曲の数々。

私は一生ものの宝物を得たと狂喜しました。

たまにこんなことがあるから音楽ジャンキーは(わかっちゃいるけど)やめられません。

3分に満たない曲なのに、満腹感が半端ありません。

 

4位「I’m Going Home (To Live With God)」(アルバム:Memphis Unlimited

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■曲名:I’m Going Home (To Live With God)
■曲名邦題:アイム・ゴーイング・ホーム
■アルバム名:Memphis Unlimited
■アルバム名邦題:メンフィス・アンリミテッド
■動画リンク:「I’m Going Home (To Live With God)」

この曲は冒頭からメンフィス・ホーンズが活躍しています。

手持ちのCDに参加メンバーのクレジットがありませんが、このアルバムの参加メンバーは以下のようです。

・メイボン・ホッジス(Mabon Hodges):ギター
・チャールズ・ホッジス(Charles Hodges):オルガン
・リロイ・ホッジス(Leroy Hodges):ベース
・ハワード・グライムス(Howard Grimes):ドラム

この曲はチャールズ・ホッジスのオルガンが良いアクセントになっていますね。

ハワード・グライムスのドラムも、いつも通りのすばらしさ。

彼のドラムは手数が少なくて誰でも叩けそうな感じがしてしまいますが、そう簡単ではありません。

料理の素材を引き立てる思慮深い極上の塩のような演奏です。

彼は一歩引いて誰かを輝かせることによって自分も輝く、いぶし銀の仕事人だと思います。

 

5位「Afflicted」(アルバム:A Nickel and a Nail -and- Ace of Spades)

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■曲名:Afflicted
■曲名邦題:アフリクテッド
■アルバム名:A Nickel and a Nail -and- Ace of Spades
■アルバム名邦題:ア・ニッケル・アンド・ア・ネイル・アンド・エース・オブ・スペーズ
■動画リンク:「Afflicted」

彼の最高傑作には様々な意見があります。

私は「A Nickel and a Nail and Ace of Spades」「Memphis Unlimited」「Into Something (Can’t Shake Loose)」のどれかだと思います。

この人に関してはベスト盤をおすすめしません。

彼には「The Wright Stuff」など、いくつかベスト盤があります。

しかし上の3枚は、ベスト盤を質的に上回ります。

今回私は最低限のヒット曲は文中でご紹介したものの、知名度や売れ行きを意識せずに選曲しました。

ここで有名曲を1曲補足しておきましょう。

O.V. Wright – Ace of Spades

しかしそれにしても彼の歌は感動的です。

彼の歌はあまりリアルでディープで、歌というより肉声と呼びたくなるほど。

小手先ではない、喉を感じさせ腹にたまる歌唱です。

 

6位「I’ll Take Care Of You」(アルバム:Nucleus of Soul)

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■曲名:I’ll Take Care Of You
■曲名邦題:アイル・テイク・ケア・オブ・ユー
■アルバム名:Nucleus of Soul
■アルバム名邦題:ニュークリアス・オブ・ソウル
■動画リンク:「I’ll Take Care Of You」

彼の魅力は言葉では説明しがたいかもしれません。

聞けば分かるとしか言いようがないところがあります。

O.V.ライトを知った時の私は、既にサザンソウルに親しんでいたので、すぐにそのすごさを理解できました。

しかし同時に入門者にはやさしくない音楽だということも理解しています。

彼の歌はあまりにニューアンスに富み、含まれている感情の密度が濃すぎます。

究極のディープ・ソウル。

オーティス・レディングなど他のサザン・ソウルを体験してから、聞いた方がいいかもしれません。

以前私は以下のような記事を書きました。

オーティス・レディング(Otis Redding)の名曲名盤10選

聞く側にも準備が必要な音楽かもしれません。

聞く準備ができていれば味わいは無限です。

 

7位「I Don’t Do Windows」(アルバム:The Bottom Line)

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■曲名:I Don’t Do Windows
■曲名邦題:アイ・ドント・ドゥ・ウィンドウズ
■アルバム名:The Bottom Line
■アルバム名邦題:ザ・ボトム・ライン
■動画リンク:「I Don’t Do Windows」

さてここから曲調が変わります。

サウンドに更に洗練され、この曲などはフリー・ソウルに収録されてもおかしくありません。

ハワード・グライムスを始めとするバック・バンドが交代し、1978年という時代を反映したサウンドになりました。

もしこの記事を自分の好みだけで選べば、前作までの曲ばかりになると思います。

この頃はサウンドに合わせたのかそれとも体調が悪化していたせいか、軽めの歌が目立ちます。

決して悪い出来ではありません。

しかし私は少し寂しく思ってしまいます。

彼は楽曲の出来如何と関係なく感動させてくれる人でした。

どんな楽曲でも彼が全身全霊を込めて歌う時、それは楽曲の良し悪しとは関係なく名曲になりました。

いや名曲ではなく名唱というべきか。

彼の歌と楽曲では、歌の重要性が大きい人でした。

確かにこの曲は悪くありません。

しかしそれと同時に、楽曲の範囲内に留まることに寂しさを覚えるのも事実です。

 

8位「That’s The Way I Feel About Cha」(アルバム:The Bottom Line)

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■曲名:That’s The Way I Feel About Cha
■曲名邦題:ザッツ・ザ・ウェイ・アイ・フィール・アバウト・チャ
■アルバム名:The Bottom Line
■アルバム名邦題:ザ・ボトム・ライン
■動画リンク:「That’s The Way I Feel About Cha」

この曲の原曲はボビー・ウーマック(Bobby Womack)です。

思えばO.V.ライトは、少しボビー・ウーマックに似ているかもしれません。

以下のボビーのアルバムジャケットも、兄弟かと思うほどO.V.ライトに似ています。

bobby-womack-communication

この頃彼は健康状態が悪化していました。

日本のウィキペディアには触れられていませんが、晩年の彼は薬物中毒に苦しんでいました。

しかも麻薬中毒者が人でいられるかどうか最終段階と言われる最悪のヘロイン中毒。

ちなみにヘロインは戦場で鎮痛剤として使用されました。

モルヒネの10倍と効き目が強すぎて、現在は医療現場で使用が認められていません。

実際OVはヘロインを入手するお金を得るため強盗をして、刑務所に投獄されています。

この時期の彼は薬物中毒に加え、心臓病も抱えていました。

 

9位「I Found Peace」(アルバム:We’re Still Together)

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■曲名:I Found Peace
■曲名邦題:アイ・ファウンド・ピース
■アルバム名:We’re Still Together
■アルバム名邦題:ウィアー・スティル・トゥギャザー
■動画リンク:「I Found Peace」

ハイ移籍から徐々に進行した洗練路線も、ここまできたかという感じがします。

アルバム・ジャケット、大ヒットした以下のワイルド・チェリー(Wild Cherry)の一歩手前状態ですし。

wild-cherry-play

先程私は自分の好みだけで選曲したら、このアルバムからは選ばないと書きました。

私は入門者にアーティストの良さを伝えたいと思って、このブログを運営しています。

O.V.ライトを気に入ってもらえるのであれば、私の好みなどは正直どうでもいいです。

しかし同時にどうしても質的に納得できない曲を取り上げるつもりはありません。

私はスタジオ録音の最後の2枚について、アンビバレントな感情を持っています。

本当のO.V.ライトはこんなものじゃないと。

しかし初心者や最初の1枚には、このアルバムもありかもしれないと思っています。

 

10位「That’s How Strong My Love Is」(アルバム:O.V. Wright Live)

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■曲名:That’s How Strong My Love Is
■曲名邦題:ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ
■アルバム名:O.V. Wright Live
■アルバム名邦題:ライヴ・イン・ジャパン
■動画リンク:「That’s How Strong My Love Is」

彼のラスト・アルバム、遺作といえる作品です。

それが日本のライブ・アルバムであることについて、日本人として感慨深く思います。

この記事を書くにあたって、ウィキペディアから有益な情報が得られず、手持ち音源に情報が乏しいのでインターネットで情報を探してみました。

そこで見つけたのが以下の記事です。

O.V.Wright―日本が愛したサザン・ソウルⅡ最終回

O.V.ライトの晩年については、上の記事を参考にさせていただきました。

来日公演の前、彼は余命宣告されていました。

既に重度の心臓病を抱えてヘロイン中毒者だった彼自身も、長生きできるとは思っていなかったはず。

彼は日本からのオファーが届くと、コンテションを整えるため酒とドラッグを絶ちました。

しかし日本のスタッフは来日した彼に気を利かせたつもりか、控室には酒が用意されていました。

ハワード・グライムスは酒に手を伸ばそうとするOVに、日本公演が終わってから飲むよう説得しました。

OVはその忠告を受け入れたそうです。

この曲のオリジナルは元々彼のデビュー曲でした。

後から録音したオーティス・レディング(Otis Redding)がヒットさせた曲ですが、レコーディングはO.V.ライトが先です。

私はこの歌に、どうしようもなく歌に生きた男の業を感じます。

今この瞬間に燃え尽きても本望というような。

この曲の最後の方で彼は「サンキュー」と言っていますね🥲

 

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