今回はルー・リードのランキングを作成しました。
この人は伝説のバンド、ヴェルベット・アンダーグランドの元メンバーです。
ソロになってからも、つぶやくような独特の歌い方を武器に、多くの傑作を残しています。
全期間を対象に、選りすぐりの名曲をご紹介してみました。
- 1 1位「Walk on the Wild Side」(アルバム:Transformer)
- 2 2位「Satellite of Love」(アルバム:Transformer)
- 3 3位「Smalltown」(アルバム:Songs for Drella)
- 4 4位「NYC Man」(アルバム:Set the Twilight Reeling)
- 5 5位「Lady Day」(アルバム:Berlin)
- 6 6位「Dirty Blvd」(アルバム:New York)
- 7 7位「Coney Island Baby」(アルバム:Coney Island Baby)
- 8 8位「Perfect Day」(アルバム:Transformer)
- 9 9位「Ladies Pay」(アルバム:Rock And Roll Heart)
- 10 10位「What’s Good – The Thesis」(アルバム:Magic and Loss)
- 11 11位「Berlin」(アルバム:Lou Reed)
- 12 12位「My Friend George」(アルバム:New Sensations)
- 13 13位「Paranoia Key of E」(アルバム:Ecstasy)
- 14 14位「Heavenly Arms」(アルバム:The Blue Mask)
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1位「Walk on the Wild Side」(アルバム:Transformer)
■曲名:Walk on the Wild Side
■曲名邦題:ワイルド・サイドを歩け
■アルバム名:Transformer
■アルバム名邦題:トランスフォーマー
■動画リンク:「Walk on the Wild Side」
まず「Walk on the Wild Side」という曲名が、かっこいいですね。
「Wild Side」をどう訳すかは難しいところですが、歌詞の文脈から判断すると「普通ではない生き方」みたいな感じだと思います。
この曲の歌詞のモデルは、トランスジェンダー女優のホリー・ウッドローン(Holly Woodlawn)だと言われています。
彼女はアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)のミューズと呼ばれ、アンディのスタジオ「ザ・ファクトリー(The Factory)」に出入りしていました。
ルー・リードとも顔なじみだったようです。
この曲では、彼女がヒッチハイクでニューヨークに出てきた時の実話が、そのまま使われています。
彼女の写真を引用しておきましょう。
Holly Woodlawn, Transgender Star of 1970s Underground Films, Dies at 69
この曲の歌詞でホリーは、ルー・リードに「ワイルド・サイドを歩かないか」と誘いかけています。
上の写真でも「さあ、こちら側にいらっしゃい」と言っているような感じがしないでしょうか。
2位「Satellite of Love」(アルバム:Transformer)
■曲名:Satellite of Love
■曲名邦題:サテライト・オブ・ラヴ
■アルバム名:Transformer
■アルバム名邦題:トランスフォーマー
■動画リンク:「Satellite of Love」
この曲は嫉妬をテーマにした曲のようです。
当時の交際相手は、レイチェルという男性でした。
ルー・リードはバイセクシャルですから、恋人が男性ということもあります。
このアルバムの裏ジャケでは、レイチェルが登場しています。
レイチェルは左の方だと思われます。
性別は男性のようですが、確かに美しい人ではないでしょうか。
このアルバムは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)とミック・ロンソン(Mick Ronson)がプロデュースしています。
この曲の印象的なピアノは、ミック・ロンソンが弾いているようですね。
3位「Smalltown」(アルバム:Songs for Drella)
■アーティスト名:Lou Reed & John Cale
■アーティスト名カナ:ルー・リード & ジョン・ケイル
■曲名:Smalltown
■曲名邦題:スモールタウン
■アルバム名:Songs for Drella
■アルバム名邦題:ソングス・フォー・ドレラ
■動画リンク:「Smalltown」
このアルバムは、ジョン・ケイルとの共同名義作品です。
ジョン・ケイルは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)で、ルーと並んで中心人物だった人です。
しかし1968年に2人は決別し、ジョン・ケイルはバンドを脱退しました。
このアルバムは1990年のリリースですから、実に22年ぶりの共演ということになります。
長い年月を経たこの共演には、あるきっかけがありました。
このアルバムは、1987年に亡くなったアンディ・ウォーホルに捧げられています。
ちなみにアルバム名の「Drella」とは、ウォーホルのこと。
アルバム・タイトルに登場する「ドレラ」とは、ウォーホルのニックネームで、ドラキュラとシンデレラを合わせた造語である[8]。
ジョンの格調高いピアノをバックに、ルーのボーカルが乗っているだけのシンプルな曲です。
この2人の組み合わせには、マジックが働いているように思います。
4位「NYC Man」(アルバム:Set the Twilight Reeling)
■曲名:NYC Man
■曲名邦題:NYCマン
■アルバム名:Set the Twilight Reeling
■アルバム名邦題:セット・ザ・トワイライト・リーリング
■動画リンク:「NYC Man」
ルー・リードほどニューヨークのイメージが強い人はいません。
生まれがニューヨーク州で、亡くなった時の住所もニューヨーク州です。
そのものスバリの「New York」というアルバムも発表していますし。
そしてこの曲は「NYC Man」つまり「ニューヨーク市の男」。
この曲でルーは「ニューヨーク市、愛してる」と、ストレートに「ニューヨーク愛」を歌い上げています。
このアルバムは後期ルー・リードの傑作の1枚で、他にもご紹介したい曲が沢山あります。
1曲だけヘヴィーな曲をご紹介しておきましょう。
そういえば彼は、遺作の「ルル(Lulu)」で、メタリカと共演していました。
後期のルー・リードは、ヘヴィーな曲が魅力でした。
5位「Lady Day」(アルバム:Berlin)
■曲名:Lady Day
■曲名邦題:レディ・デイ
■アルバム名:Berlin
■アルバム名邦題:ベルリン
■動画リンク:「Lady Day」
こういうランキング記事で、どうご紹介すべきか悩むケースがあります。
たとえばトータル・アルバムやコンセプト・アルバムのような、アルバム一枚聞いて初めて価値が分かるような場合。
このアルバムなどは、1曲だけでは伝わらない気もします。
この作品はストーリー仕立てで、ある男性と娼婦キャロラインをめぐるストーリーが描かれています。
ネタバレしないよう、そのストーリーをここではご紹介しません。
歌詞を読みたい方は、和訳付きの日本盤をご検討ください。
このアルバムは、アリス・クーパー(Alice Cooper)との仕事で知られる、ボブ・エズリン(Bob Ezrin)の貢献が大きいように思います。
彼はルーのアイデアを活かすべく、編曲とプロデュースどちらでも良い仕事をしています。
もう1曲ご紹介しておきましょう。
イントロの退廃が秀逸ですね。
上の「ベルリン(Berlin)」という曲から、最後の「悲しみの歌(Sad Song)」までの流れは、本当に見事です。
6位「Dirty Blvd」(アルバム:New York)
■曲名:Dirty Blvd
■曲名邦題:ダーティ・ブルヴァード
■アルバム名:New York
■アルバム名邦題:ニューヨーク
■動画リンク:「Dirty Blvd」
このアルバムは、最高傑作の1枚というだけでなく、最初の1枚としてもおすすめします。
この作品の成功の要因は、ギター・サウンドの心地良さにあります。
ポップで聞きやすい曲が多いのですが、それは前作「ミストライアル(Mistrial)」でも同じことでした。
ただし「Mistrial」が1980年代的なチープなサウンドなのに対して、こちらはザックザックしたギターが前面に出ています。
このリアルで乾いたギターの音が、アルバムの出来を大きく左右したように思います。
クレジットを見ると、ルー・リードがg-left、マイク・ラスケ(Mike Rathke)がg-rightと記載されていました。
同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
ポール・ウェスターバーグ(Paul Westerberg)のアルバムにも似た、ギターの魅力を堪能できる作品です。
7位「Coney Island Baby」(アルバム:Coney Island Baby)
■曲名:Coney Island Baby
■曲名邦題:コニー・アイランド・ベイビー
■アルバム名:Coney Island Baby
■アルバム名邦題:コニー・アイランド・ベイビー
■動画リンク:「Coney Island Baby」
このアルバムを最高傑作に挙げる人は、ほとんどいないと思います。
しかしファンにはとても愛されている作品です。
「Transformer」のように曲が粒ぞろいでもなければ、「Berlin」ほど刺さるわけでもありません。
「Berlin」の後、彼は迷走したと言われています。
「死の舞踏(Sally Can’t Dance)」は悪い作品ではありませんが、サウンドが分厚くなったせいか、ファンには不評でした。
その次の「無限大の幻覚(Metal Machine Music)」は、暗黒のノイズ・ミュージックです。
そうした紆余曲折の末にリリースされたのが、このアルバム。
この曲は6分半と長いのですが、必然性は感じられません。
ただここにあるのは紛れもなく、普段着のルーリードの姿です。
当時ファンは「こういうのでいいんだよ」と思ったかもしれません。
8位「Perfect Day」(アルバム:Transformer)
■曲名:Perfect Day
■曲名邦題:パーフェクト・デイ
■アルバム名:Transformer
■アルバム名邦題:トランスフォーマー
■動画リンク:「Perfect Day」
このアルバムは楽曲の質が異様に高いです。
今回唯一3曲取り上げましたが、他にも「アンディの胸(Andy’s Chest)」「ニューヨーク・テレフォン・カンヴァセイション(New York Telephone Conversation)」など、傑作ぞろいです。
「Perfect Day」は、映画「トレインスポッティング(Trainspotting)」で取り上げられたことで、有名曲になりました。
「Trainspotting」はドラッグに溺れる若者たちを描いた映画です。
一方「Perfect Day」の主人公は、平凡な幸せをかみしめながら「なんて完璧な日」だとつぶやいています。
この曲の主人公はドラッグ中毒者だという説があって、そういう話から「Trainspotting」で取り上げられたのかもしれません。
ただルー・リード自身は、その説を否定しているようですが。
9位「Ladies Pay」(アルバム:Rock And Roll Heart)
■曲名:Ladies Pay
■曲名邦題:貴婦人の代償
■アルバム名:Rock And Roll Heart
■アルバム名邦題:ロックン・ロール・ハート
■動画リンク:「Ladies Pay」
さてここで少し珍しい曲をご紹介しておきましょう。
彼のアルバムは、出来不出来がはっきり分かれる傾向にあります。
彼は今作からアリスタ・レコード(Arista Records)に移籍しましたが、この時期は低迷期と言われています。
ただ私はこのアルバムまでは、それほど悪くないと思いますが。
たとえばこの曲などは、他の人気曲に引けを取らない出来だと思いますし。
擁護できないのは「ストリート・ハッスル(Street Hassle)」と「警鐘(The Bells)」の2作です。
私の感覚でいえばですが。
その後「都会育ち(Growing Up in Public)」で少し持ち直したように思います。
10位「What’s Good – The Thesis」(アルバム:Magic and Loss)
■曲名:What’s Good – The Thesis
■曲名邦題:ホワッツ・グッド – 主題
■アルバム名:Magic and Loss
■アルバム名邦題:マジック・アンド・ロス
■動画リンク:「What’s Good – The Thesis」
「New York」での復活後、彼は充実作を連発しました。
続く「Songs for Drella」「Magic and Loss」「Set the Twilight Reeling」「Ecstasy」は、どれも最高水準の作品ばかりです。
第二の全盛期といってもいいでしょう。
ちなみに私が思う最初の全盛期は「Transformer」「Berlin」「ロックン・ロール・アニマル(Rock ‘n’ Roll Animal)」の頃です。
さてこのアルバムは、以下のような背景を持った曲です。
死をテーマにしたアルバムで、リードの親友であるドク・ポーマスとリタが、2人とも癌で死去したことに触発されて作られた[10]。
この曲の歌詞は「人生とは〇〇のようだ」という言葉が並べられています。
しかしその後、次のように訴えています。
お前たちは人生を愛していたが、他の者は人生を投げていた。
それなのにお前たちが死ぬなんて、人生は不公平だ。
11位「Berlin」(アルバム:Lou Reed)
■曲名:Berlin
■曲名邦題:ベルリン
■アルバム名:Lou Reed
■アルバム名邦題:ロックの幻想
■動画リンク:「Berlin」
このアルバムに収録されている曲の多くは、ヴェルヴェッツ時代につくられた曲のリメイクです。
確かに「アイ・キャント・スタンド・イット(I Can’t Stand It)」などは、ソロの曲という感じがしません。
このアルバムは、様々な面で異色作です。
まず彼はロンドンに渡ってレコーディングしました。
更にはプログレッシブ・グループ、イエス(Yes)のリック・ウェイクマン(Rick Wakeman)とスティーヴ・ハウ(Steve Howe)が参加しています。
確かに聞いていて違和感を感じる部分があります。
実際このアルバムの評価は、あまり高くありません。
しかし改めて聞き返すとこの曲や「リサ・セッズ(Lisa Says)」など、時々キラリと光る曲があります。
今一度再評価しておきたい作品です。
12位「My Friend George」(アルバム:New Sensations)
■曲名:My Friend George
■曲名邦題:マイ・フレンド・ジョージ
■アルバム名:New Sensations
■アルバム名邦題:ニュー・センセーションズ
■動画リンク:「My Friend George」
この曲は隠れ名曲枠として選出しました。
今回は私の好みを反映した結果、曲のタイプが少し似てしまったかもしれません。
特に「ヴィシャス(Vicious)」のようなロックンロール・ナンバーの多くが選外になりましたし。
選曲にあたって私が意識したのは、あまり重苦しくならないようにということです。
実際この人の曲は、ダウナーで暗い名曲が少なくありません。
その方針もあり、明るめ補正をしようとした結果、この曲がランクインしました。
一般にRCAレコード(RCA Records)期は不作と言われますが、明るい作風の佳曲が多く、私はそれほど悪い時期だとは思いません。
この曲はシングルではありませんが、シングルカットしたら売れたかもしれません。
13位「Paranoia Key of E」(アルバム:Ecstasy)
■曲名:Paranoia Key of E
■曲名邦題:パラノイア・キー・オブ・E
■アルバム名:Ecstasy
■アルバム名邦題:エクスタシー
■動画リンク:「Paranoia Key of E」
この人はソングライターとして卓越していますが、意外と曲の出来不出来に波があります。
その中でこのアルバムは77分と長い割に、アルバムを通して楽しめます。
昔渋谷のロック喫茶に行った時、このアルバムがかかっていました。聞いていたくて店を出られなかったことを思い出しました。
今回どの曲を選ぶか最も迷ったアルバムです。
大作「ライク・ア・ポサム(Like a Possum)」も捨てがたいですが、さすがに18分は長すぎます。
迷った末、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)を思わせるこの曲にしました。
このアルバムは、良き理解者ハル・ウィルナー(Hal Willner)との共同プロデュース作品。
後の結婚相手、ローリー・アンダーソン(Laurie Anderson)も参加しています。
この2人には共通点があって、どちらも演劇的なアプローチを好みます。
当時ルー・リードも、演劇に興味があったようですね。
実際次作の「ザ・レイヴン(The Raven)」は、音楽劇のような作品になりました。
14位「Heavenly Arms」(アルバム:The Blue Mask)
■曲名:Heavenly Arms
■曲名邦題:ヘヴンリー・アームス
■アルバム名:The Blue Mask
■アルバム名邦題:ブルー・マスク
■動画リンク:「Heavenly Arms」
このアルバムはロバート・クワイン(Robert Quine)のギターが聞きものです。
クワインとルーは相性抜群で、次作「レジェンダリー・ハーツ(Legendary Hearts)」でも、共演していました。
彼は一時バイセクシャルのイメージをアピールしていましたが、このアルバムで方針を変えました。
このアルバムの「ウイメン(Women)」という曲では「僕は女性が好きだ」と歌われています。
この曲では、具体的に女性の名前が挙げられています。
それは当時の妻シルヴィア・モラレス(Sylvia Morales)のこと。
この曲では「天国の武器が僕に手を差し伸べる」と歌われています。
「天国の武器」とは、シルヴィアのことみたいですね。
しかしその後彼はシルヴィアと別れて、2013年に肝臓がんでこの世を去るまで、ローリー・アンダーソンと添い遂げています。
ローリー・アンダーソンと結婚した時のエピソードを引用しておきましょう。
「あれは2008年の春のこと、私はカリフォルニアの道端を歩いていて、自分のことが嫌になってきてルーに携帯で話をしていたのだった。
『やりたいと思ってたのにやれなかったことがたくさんあるの』とわたしはルーに話した。
『やりたかったことって?』とルーは訊いてきた。
『だから、結局、ドイツ語も習えなかったし、物理も学べなかったし、結婚もできなかったし』
『それだったら俺たち結婚しない?』とルーは訊いてきた。『俺そっちに向かって半分まで行くから。コロラドまで行くよ。明日とかどう?』
『うーん、ねえ、明日ってちょっといきなり過ぎだとは思わない?』
『ううん、思わない』
結婚後二人は、仲睦まじい夫婦になりました。
本当の「天国の最終兵器」は、ローリー・アンダーソンの方だったようですね。
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