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ザ・バンド(The Band)の名曲名盤12選【代表曲・隠れた名曲】

今回はザ・バンドのランキングを作成しました。

彼らの音楽はニューアンスの妙があり、含蓄に富んでいます。

卓越した演奏力はもちろんのこと、3人のボーカルは皆最高の歌を聞かせてくれました。

彼らのシンプルにして懐の深い音楽をご紹介してみました。

 

1位「The Weight」(アルバム:Music From Big Pink)

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■曲名:The Weight
■曲名邦題:ザ・ウェイト
■アルバム名:Music From Big Pink
■アルバム名邦題:ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク
■動画リンク:「The Weight」

彼らはシングル・ヒットだけで評価すべきバンドではありません。

事実この曲は最高位35位に終わり、2位の「I Shall Be Released」にいたっては、シングルカットされていません。

しかし多くのロック・ファンは、この曲を聞いたことがあると思います。

この曲が普及するきっかけとしては、映画「イージー・ライダー(Easy Rider)」で使われたことが大きかったかもしれません。

しかし権利の関係で、この曲はサントラには収録されませんでした。

その代わりに、スミス(Smith)というバンドによるカバー・バージョンが収録されました。

Smith – The Weight

そのためスミスのバージョンを、ザ・バンドの曲だと勘違いする人もいるようです。

ただ私はこの曲を書いたロビー・ロバートソンが参加した以下の曲の方が、良い出来だと思います。

Playing For Change – The Weight

このぐらいの傑作曲だと、ヒットしたかどうかは関係ありません。

 

2位「I Shall Be Released」(アルバム:Music From Big Pink)

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■曲名:I Shall Be Released
■曲名邦題:アイ・シャル・ビー・リリースト
■アルバム名:Music From Big Pink
■アルバム名邦題:ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク
■動画リンク:「I Shall Be Released」

この曲はボブ・ディラン(Bob Dylan)が書いた曲です。

曲名は「きっと俺は解放されるだろう」という意味です。

曲名の魅力もあいまってこの曲は「The Weight」と並ぶ彼らの代表曲になりました。

このバンドはロビー・ロバートソン、ガース・ハドソンを除いたメンバー3人の誰もがボーカルを担当できました。

この曲ではリチャード・マニュエルが歌っています。

実際このナイーヴでイノセントな曲は、リチャードが適任だったと思います。

しかし彼はザ・バンド解散後、自ら命を絶ちました。

ザ・バンドに心酔していたエリック・クラプトン(Eric Clapton)は、以下の曲をリチャードに捧げました。

Eric Clapton – Holy Mother

センチメンタルな面を持った両者は気が合ったかもしれません。

 

3位「The Night They Drove Old Dixie Down」(アルバム:The Band)

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■曲名:The Night They Drove Old Dixie Down
■曲名邦題:オールド・ディキシー・ダウン
■アルバム名:The Band
■アルバム名邦題:ザ・バンド
■動画リンク:「The Night They Drove Old Dixie Down」

アメリカの南北戦争を題材にした曲です。

曲名にある「Dixie」とは、リトル・フィート(Little Feat)の「ディキシー・チキン(Dixie Chicken)」でも使われた言葉。

アメリカの南部の複数の州を指す言葉です。

そういえば、このアルバムをプロデュースしたジョン・サイモン(John Simon)も、ジャズやアメリカの古い音楽のバックグラウンドのある人でした。

もしかしたら彼らの音楽は、ロックという言葉が似つかわしくないかもしれません。

強いていえばルーツ・ロックといえるかもしれませんが。

私などはアーロ・ガスリー(Arlo Guthrie)の音楽と同じく、ロック以前の古いアメリカの音楽という感じがします。

そして彼らの音楽に感じられる郷愁は、なぜか日本人の私にも強く訴えかけてきます。

 

4位「King Harvest」(アルバム:The Band)

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■曲名:King Harvest
■曲名邦題:キング・ハーヴェスト
■アルバム名:The Band
■アルバム名邦題:ザ・バンド
■動画リンク:「King Harvest」

彼らの最高傑作は、1枚目と2枚目のどちらかだと言われています。

私はセカンドの方が好みです。

若い頃はシブいものにあこがれるということはないでしょうか。

その点このバンドは大きな受け皿となったかもしれません。

若い頃の私は、この曲の最初の数秒に驚愕しました。

具体的にいえば、15秒から2秒ぐらいの箇所です。

「King Harvest has Surely Come」と歌われた後、一瞬沈み込むようにタメる箇所がありますね。

いつ聞いてもここの箇所には鳥肌が立ちます。

若い頃の私はロック友達に、そのすごさを熱弁したことを覚えています。

 

5位「Tears of Rage」(アルバム:Music From Big Pink)

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■曲名:Tears of Rage
■曲名邦題:怒りの涙
■アルバム名:Music From Big Pink
■アルバム名邦題:ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク
■動画リンク:「Tears of Rage」

彼らは当初ロニー・ホーキンス(Ronnie Hawkins)のバック・バンドとして活動していました。

その後彼らはボブ・ディランのバック・バンドとして活動することになりました。

当時のボブ・ディランは、フォークからロックへと路線変更しようとしていた時期。

しかし一部のフォーク時代のファンからはエレクトリック楽器の導入は裏切り行為と見なされ、ライブでディランとザ・バンドはブーイングを浴びたようです。

ボブ・ディランは裏切り者と叫んだ観客に対して、お前の言うことなど信じないと言い放ち、ならばもっとでかい音でやろうぜと言い出す始末でした。

ディランがぶちぎれた後の曲をご紹介します。

Bob Dylan – Like A Rolling Stone

こうした状況にザ・バンドのメンバーも疲弊し、一時はリヴォン・ヘルムが脱退したほどでした。

しかしその後もザ・バンドは、ディランのバックで演奏し続けました。

共同で「地下室(ザ・ベースメント・テープス(The Basement Tapes)
」や「偉大なる復活(Before the Flood)」の名盤を生み出しています。

この曲はボブ・ディランが書いた曲ですが、彼らとディランは切り離して語れません。

 

6位「Ophelia」(アルバム:Northern Lights – Southern Cross)

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■曲名:Ophelia
■曲名邦題:オフェリア
■アルバム名:Northern Lights – Southern Cross
■アルバム名邦題:南十字星
■動画リンク:「Ophelia」

彼らの最高傑作は「Music From Big Pink」か「The Band」のどちらかだと思います。

その2枚は彼らの作品というより、ロックの歴史における最重要作です。

サッカーでも歴史的と言われている試合がありますが、それと同じように狙ってできる作品ではありません。

ある種の偶然性の助けがないと成しえない、才能だけでは到達不可能な領域かもしれません。

その後彼らは、その2枚の傑作の呪縛に苦しみました。

しかしこのアルバムで彼らは、再びピークに達しました。

この時期、ロビー・ロバートソンのソングライティングの才能が弾けたのです。

このアルバムは全曲ロビーが書いています。

この作品は楽曲の完成度を上げることによって、初期2作に肉薄する仕上がりになりました。

 

7位「When You Awake」(アルバム:The Band)

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■曲名:When You Awake
■曲名邦題:ホエン・ユー・アウェイク
■アルバム名:The Band
■アルバム名邦題:ザ・バンド
■動画リンク:「When You Awake」

彼らは個々の曲単独で評価されるべきではありません。

明らかにベスト・アルバム向きのアーテイストではないように思います。

それを言っては、この記事の存在意義も問われそうですが(苦笑)

とはいえ入門者の方は、どの曲が注目曲なのかと思われることでしょう。

この記事の意義は、その一点にあるかもしれません。

私の主観ではありますが、参考にしていただければと思います。

ただこのセカンドはほぼ全曲が同レベルの曲ばかりなので、その中から選ぶのは困難です。

私の感覚でいえば「The Night They Drove Old Dixie Down」と「King Harvest (Has Surely Come)」は当確。

他の曲はどれも僅差ですが、今日の気分ではこの曲を推します。

 

8位「Mystery Train」(アルバム:Moondog Matinee)

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■曲名:Mystery Train
■曲名邦題:ミステリー・トレイン
■アルバム名:Moondog Matinee
■アルバム名邦題:ムーンドッグ・マチネー
■動画リンク:「Mystery Train」

この作品はカバー・アルバムです。

この曲はエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)で知られています。

非常にシンプルな曲ですが、彼らの卓越した演奏力ゆえ退屈することはありません。

ただこの時期、彼らの活動は順調ではありませんでした。

前作「Cahoots」は低評価でしたが、実際今私が聞きなおしても良い出来ではないように思います。

とはいえ度々聞き返して、これからもその時の自分で判断していきたいと思っていますが。

そして次作としてこのアルバムがリリースされました。

選曲に意外性はありませんでしたが、好カバーが多く聞きごたえがあります。

その後彼らは名作「Northern Lights – Southern Cross」をリリースし、復活の狼煙をあげました。

 

9位「It Makes No Difference」(アルバム:Northern Lights – Southern Cross)

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■曲名:It Makes No Difference
■曲名邦題:同じことさ!
■アルバム名:Northern Lights – Southern Cross
■アルバム名邦題:南十字星
■動画リンク:「It Makes No Difference」

この記事では、1978年に一度解散するまでを対象にしました。

しかし1993年に彼らは再結成し「ジェリコ(Jericho)」を発表しました

再結成後も良い曲が多いので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

さてここで改めて初期のメンバーをご紹介いたします。

リヴォン・ヘルム(Levon Helm)
ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)
リチャード・マニュエル(Richard Manuel)
ガース・ハドソン(Garth Hudson)
リック・ダンコ(Rick Danko)

私の考えだとバンドの支柱は、リヴォン・ヘルム。

初期の彼らはリヴォン&ザ・ホークスと名乗って活動していたぐらいです。

実際再結成後の彼らは、彼を中心に活動をしています。

メインソングライターはロビー・ロバートソン。

しかし他の3人も、自身の世界に染めることができる実力者ぞろい。

ただこのアルバムあたりからロビー・ロバートソンの発言権が強くなり、そのバランスが崩れてきました。

 

10位「Stage Fright」(アルバム:Stage Fright)

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■曲名:Stage Fright
■曲名邦題:ステージ・フライト
■アルバム名:Stage Fright
■アルバム名邦題:ステージ・フライト
■動画リンク:「Stage Fright」

3枚目のアルバムの曲です。

このアルバムの評価は少し難しいかもしれません。

最初の2枚は神がかった出来でしたから、その水準を維持することは困難だと思われました。

その点このサード・アルバムは、うまく軟着陸させたといえるかもしれません。

前2作と同水準を期待した人は失望したかもしれませんが、それほど悪い出来ではありません。

ただ次作の「Cahoots」は、少し散漫な感じがします。

中には以下のように良い曲も散見されましたが、迷走している感がいなめませんでした。

The Band – When I Paint My Masterpiece

この時期の彼らを支えたのは、歌を含めた演奏力でした。

低迷期にこそ演奏力が歩留まりとなり、簡単にはどん底までいきません。

「Stage Fright」はリック・ダンコの歌と演奏、どちらも心を打つすばらしい出来です。

 

11位「Acadian Driftwood」(アルバム:Northern Lights – Southern Cross)

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■曲名:Acadian Driftwood
■曲名邦題:アケイディアの流木
■アルバム名:Northern Lights – Southern Cross
■アルバム名邦題:南十字星
■動画リンク:「Acadian Driftwood」

彼らはアメリカのロックバンドと思われていますが、メンバー5人中4人はカナダ出身でした。

この曲は、架空のカナダの先住民とフランス軍の戦いをテーマにしています。

珍しくカナダ人としてのアイデンティティを表に出しています。

彼らはメンバーの多くがカナダ出身でしたので、よそ者によるアメリカン・ロックみたいな存在でした。

この曲を書いたのは、カナダ出身のロビー・ロバートソン。

ただ当時彼と他の4人との間には、すきま風が吹いていました。

ロビーは他のメンバーが書いた曲を自分が書いた曲にするなど、度々問題が発生していたようです。

この時バンドを支えていたのは唯一のアメリカ出身者リヴォン・ヘルムというのも皮肉な話です。

 

12位「Theme from The Last Waltz」(アルバム:The Last Waltz)

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■曲名:Theme from The Last Waltz
■曲名邦題:ラスト・ワルツのテーマ (ラスト・ワルツ組曲)
■アルバム名:The Last Waltz
■アルバム名邦題:ラスト・ワルツ
■動画リンク:「Theme from The Last Waltz」

ザ・バンドの解散コンサートのテーマ曲です。

この解散劇は、ロビー・ロバートソンの独断専行で進められました。

他のメンバーは解散には反対だったようですが。

しかしレコード会社とロビー・ロバートソンは、解散コンサートにヴァン・モリソン(Van Morrison)など豪華な参加者を呼ぶよう既成事実化していきました。

この事実だけでみれば、ロビー・ロバートソンが悪者に見えるかもしれません。

いや実際そうだったという可能性もありますが。

ただロビーはまぎれもなくザ・バンドの主要メンバーの1人でした。

実際この記事の12曲中、ボブ・ディランとカバー曲を除いた9曲全て(ただし1曲は共作)がロビーが書いた曲です。

このインストもその中の1曲。

そしてボブ・ディランも絶賛したように、ギタリストとしても一流でした。

以下の曲では、彼の最高の演奏を聞くことができます。

Bob Dylan – Going, Going, Gone

様々ないさかいがあったとしても、この5人でこそ生み出せる音楽があったように思います。

 

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