今回はオールマン・ブラザーズ・バンドのランキングを作成しました。
彼らは「At Fillmore East」というライブアルバムが有名です。
ロックの歴史でも頂点クラスの名盤ですが、そのアルバムだけで済ませている方も多いかもしれません。
しいて言えば他に「Brothers and Sisters」ぐらいでしょうか。
今回はその2枚からも選曲していますが、他のアルバムはよく分からないという方におすすめのランキングです。
バンドの全体像を把握しやすくするため、様々な時期の曲をバランスよく配置しました。
彼らの男くさい魅力をご堪能ください。
- 1 1位「Wasted Words」(アルバム:Brothers and Sisters)
- 2 2位「Statesboro Blues」(アルバム:At Fillmore East)
- 3 3位「Mean Woman Blues」(アルバム:Where It All Begins)
- 4 4位「Soulshine」(アルバム:An Evening With The Allman Brothers Band: 2nd Set)
- 5 5位「Ramblin’ Man」(アルバム:Brothers and Sisters)
- 6 6位「Sail Away」(アルバム:Enlightened Rogues)
- 7 7位「It Ain’t Over Yet」(アルバム:Seven Turns)
- 8 8位「Blue Sky」(アルバム:An Evening With The Allman Brothers Band: First Set)
- 9 9位「Melissa」(アルバム:Eat a Peach)
- 10 10位「In Memory of Elizabeth Reed」(アルバム:At Fillmore East)
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1位「Wasted Words」(アルバム:Brothers and Sisters)
■曲名:Wasted Words
■曲名邦題:むなしい言葉
■アルバム名:Brothers and Sisters
■アルバム名邦題:ブラザーズ&シスターズ
■動画リンク:「Wasted Words」
このバンドは楽曲の魅力でアピールしているバンドではありません。
それでもビックネームとなっているのは、演奏面の魅力が突出しているからです。
名曲ではなく名演のバンドといえるかもしれません。
そのためスタジオ録音のアルバムは人気がなく、ライブアルバムばかりが評価される傾向にあります。
その例外がこのアルバムです。
中でもこの曲は曲自体の魅力があります。サビもかっこいいですしね。
ルーズなサウンドもすばらしいです。
もちろんポップスのようなキャッチーさではありませんが、彼らの中ではまとまりのある出来に仕上がっています。
実際このアルバムは全米1位を記録していて、セールス面でも彼らの代表作となっていますしね。
もし作曲に長けているメンバーがいたら、もっととてつもないバンドになっていたかもしれません。
そう思わせる曲です。
2位「Statesboro Blues」(アルバム:At Fillmore East)
■曲名:Statesboro Blues
■曲名邦題:ステイツボロ・ブルース
■アルバム名:At Fillmore East
■アルバム名邦題:フィルモア・イースト・ライヴ
■動画リンク:「Statesboro Blues」
多くの人はこの曲が1位だと予想したかもしれません。
あえて外したわけではありませんが、私の中ではこの順位となりました。
このアルバムは、ロックの歴史でもレジェンド扱いです。
なにせ「ローリング・ストーン」誌の「オールタイム・グレイテスト・ライヴ・アルバム50」で2位ですから。
ちなみに1位はジェームス・ブラウン(James Brown)の「ライヴ・アット・ジ・アポロ(Live at the Apollo)」です。
ということは、ロックのライブアルバムとしては1位ということになります。
その名声は当時中学生だった私の耳にも聞こえていました。
ただ当時は聞いても、全く理解できませんでしたけどね。
さすがに今ではそれなりに理解しているつもりですが、確かに洋楽初心者には難しい音楽だという気もします。
そういう方に向けて、この曲の良さを理解するコツを申し上げます。
曲として全体を聞かずに、とりあえずギターだけを聞くことです。
その凄腕ぶりから「スカイドッグ」と呼ばれていたデュアン・オールマン(Duane Allman)のスライドギターだけに集中してみるといいかもしれません。
それでも分からない時は、一旦後回しにしてもいいと思います。
ある程度様々な音楽を聞いてから、再挑戦してみるといいでしょう。
もし最初からこの演奏をすごいと思えた人は、ロックを聞く才能に恵まれた人だと思います。
3位「Mean Woman Blues」(アルバム:Where It All Begins)
■曲名:Mean Woman Blues
■曲名邦題:ミーン・ウーマン・ブルース
■アルバム名:Where It All Begins
■アルバム名邦題:ホエア・イット・オール・ビギンズ
■動画リンク:「Mean Woman Blues」
この時期彼らは2度目の全盛期を迎えていました。
1度目は「At Fillmore East」から「Brothers and Sisters」で、おそらく全期間通じてのピーク期だったと思われます。
2度目は私の考えでは「An Evening With The Allman Brothers Band: First Set」から「An Evening With The Allman Brothers Band: 2nd Set」です。
もしかしたら人によっては、現在もなお第2の全盛期とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
どちらもライブアルバムで人気を得るあたりが、生粋のライブバンドらしいです。
このアルバムは第2の全盛期の真っ只中にリリースされ、ゴールドディスクを獲得しています。
まずイントロのいなたいギターのリフがすばらしいです。
グレッグ・オールマン(Gregg Allman)も、小手先に走らないまっすぐな歌を聞かせてくれます。
ギターではウォーレン・ヘインズ(Warren Haynes)が絶好調です。
ギターが1:16からよく歌っています。
4位「Soulshine」(アルバム:An Evening With The Allman Brothers Band: 2nd Set)
■曲名:Soulshine
■曲名邦題:ソウルシャイン
■アルバム名:An Evening With The Allman Brothers Band: 2nd Set
■アルバム名邦題:セカンド・セット
■動画リンク:「Soulshine」
この曲のオリジナルは「Where It All Begins」に収録されています。
そちらのスタジオ録音もなかなかですが、今回はライブバージョンの方を選曲してみました。
全盛期の彼らは一般にサザン・ロック(Southern Rock)として分類されています。
サザン・ロックとはアメリカ南部のルーツに根差した土くさい音楽のことです。
少しやぼったいところが魅力の音楽といえるかもしれません。
この曲でもザ・バンド(The Band)の「ザ・ウェイト(The Weight)」あたりに似た、人間くさい生の感情が魅力的です。
正確にいえば、男くさいというべきか。
というのは、バンド名からして「Allman Brothers Band」つまり「全員男の兄弟バンド」です。
これ以上なく男くさいバンド名です。
実際にメンバー7人全員が男です。
男くさいというか、少しむさ苦しいかもしれませんね。
5位「Ramblin’ Man」(アルバム:Brothers and Sisters)
■曲名:Ramblin’ Man
■曲名邦題:ランブリン・マン
■アルバム名:Brothers and Sisters
■アルバム名邦題:ブラザーズ&シスターズ
■動画リンク:「Ramblin’ Man」
彼らはこういうフュージョンとロックの中間みたいな曲を演奏する伝統があります。
彼らは割と初期からそういう曲をやっています。
セカンドアルバム「アイドルワイルド・サウス(Idlewild South)」の「リヴァイヴァル(Revival)」なども同系統です。
今回ランキング入りを逃しましたが、なかなかの佳曲だと思いました。
その系統で、私が最高傑作だと思うのがこの曲です。
一般的にはこのアルバムではこの曲と「ジェシカ(Jessica)」という曲が有名ですが、私はこちらが好きです。
まずギターの音色に濁りがなくロックっぽくありません。
ただこれはこれで曲に合っていますが。
レス・デューデック(Les Dudek)の伸びやかなギターを、ひたすら堪能したい曲です。
曲を書いたのはディッキー・ベッツ(Dickey Betts)で、彼はこのバンドに明るくポップなカントリーテイストを持ち込みました。
しかもこの曲ではボーカルまでも担当していて、まさしく彼の絶頂期でした。
しかしこのディッキー・ベッツ主導体制はその後行き詰まり、1976年にバンドは一度解散してしまいます。
6位「Sail Away」(アルバム:Enlightened Rogues)
■曲名:Sail Away
■曲名邦題:セイル・アウェイ
■アルバム名:Enlightened Rogues
■アルバム名邦題:いま、再び
■動画リンク:「Sail Away」
先程申し上げたように、このバンドは男くさいバンドです。
しかしこの曲では、珍しく女性ボーカルとデュエットしています。
普段の彼らとは異なる、少しウェストコーストの香りが漂うライトな曲調です。
この頃はまだそのさわやかな軽さが裏目に出ていませんでした。
それどころか大成功で、アルバムチャートの9位を獲得しています。
しかしそれで味を占めたのか、この後の「リーチ・フォー・ザ・スカイ(Reach For The Sky)」 と「ブラザーズ・オブ・ザ・ロード(Brothers Of The Road)」では、もっと軽い音楽に走ってしまいました。
後者からは「ストレイト・フロム・ザ・ハート(Straight from the Heart)」というらしくないさわやかなヒット曲も生まれています。
このアルバムは邦題の通り、1度解散した彼らが再結成してからの第一弾です。
古いファンは失望したようですが、新しいファンを獲得することができました。
このアルバムは1979年のリリースで、時代はウェストコースト・ロック (West Coast Rock)」全盛期でしたから、狙いは良かったのかもしれません。
しかし彼らはこの路線の人気を維持できず、次第に低迷していくことになります。
この曲はその過渡期で一時的に成功した、情感豊かな佳曲です。
7位「It Ain’t Over Yet」(アルバム:Seven Turns)
■曲名:It Ain’t Over Yet
■曲名邦題:イット・エイント・オーヴァー・イェット
■アルバム名:Seven Turns
■アルバム名邦題:セヴン・ターンズ
■動画リンク:「It Ain’t Over Yet」
上記のように彼らは一時らしくない路線に走りましたが、一方で従来からのファンは離れていきました。
ファンはむさくるしい彼らを望んでいたのです。
そこで本来の路線で心機一転復活したのがこのアルバムです。昔のファンは狂喜しました。
成功の要因は、ウォーレン・ヘインズという凄腕のギタリストの参加です。
彼は昔のバンドに近い音楽的志向の持ち主でした。
プレイスタイルは異なりますが、デュアンと同じくスライドギターを得意としています。
バンドだけでなく、ファンが待ち望んでいた救世主でした。
今現在バンドにはディッキーベッツは在籍していません。
今もなお人気が衰えず、多くの固定ファンを獲得しているのはこの人のおかげです。
グレッグ・オールマンが亡くなるまでの間、デレク・トラックス(Derek Trucks)と一緒に、このバンドを中核として支えていました。
2:53からのギターソロは短めですが、とてもハードボイルドでシブい演奏です。
8位「Blue Sky」(アルバム:An Evening With The Allman Brothers Band: First Set)
■曲名:Blue Sky
■曲名邦題:ブルー・スカイ
■アルバム名:An Evening With The Allman Brothers Band: First Set
■アルバム名邦題:ファースト・セット
■動画リンク:「Blue Sky」
ライブアルバムからの選曲です。
ウォーレン・ヘインズが加入してから「Seven Turns」「シェイズ・オブ・トゥ・ワールズ(Shades of Two Worlds)」というすばらしいアルバムが続きました。
しかし彼らは生粋のライブバンドです。
彼らはこのアルバムで、いまだ世界でも有数のライブバンドであることを証明してくれました。
ウォーレン・ヘインズは、ライブでもその実力をいかんなく発揮しています。
彼らはドラムが2人いたり、キーボードが2人いた時期もありますが、基本ギターが主体のバンドです。
ギターの演奏が良ければ全て良しというところがあります。
この曲でウォーレン・ヘインズは、主役として気持ちよさそうにキターを弾いていますね。
アメリカ人はグレイトフル・デッド(Grateful Dead)のライブでもそうですが、こういうゆったりしたリズムの上でギターが気持ち良く泳いでいるような演奏を好みます。
ギターに興味のない方はギターの演奏が長すぎて、退屈するかもしれません。
ただお好きな方にとっては、ビールを片手にフェス気分で聞くと、とても盛り上がる曲だと思います。
9位「Melissa」(アルバム:Eat a Peach)
■曲名:Melissa
■曲名邦題:メリサ
■アルバム名:Eat a Peach
■アルバム名邦題:イート・ア・ピーチ
■動画リンク:「Melissa」
彼らの中では小作品といった曲をご紹介します。
デュアン・オールマンをオートバイ事故で失って、その追悼としてリリースしたアルバムからの選曲です。
ほどなくしてベースのベリー・オークリー(Berry Oakley)もオートバイ事故で失っています。
その混乱のさ中で、ディッキー・ベッツが音楽的イニシアティブを握って、このアルバムを仕上げました。
この曲はデュアンの死後にレコーディングされています。
歌詞にも「交差点 彼を手放さなければいけないのでしょうか」という一節があります。
このアルバムはスタジオ録音とライブ音源が混在した変則アルバムとなっています。
スタジオ録音では、その後の彼らの方向性がうかがえる曲が収録されています。
この曲はとても地味ですが、聞けば聞くほど沁みてきます。
10位「In Memory of Elizabeth Reed」(アルバム:At Fillmore East)
■曲名:In Memory of Elizabeth Reed
■曲名邦題:エリザベス・リードの追憶
■アルバム名:At Fillmore East
■アルバム名邦題:フィルモア・イースト・ライヴ
■動画リンク:「In Memory of Elizabeth Reed」
最後はこの曲です。
本来この曲はこんな順位に甘んじているべき曲ではありません。
この順位にしたのは、曲の長さゆえです。
なにせ13:10という長さですから。
私は自分が聞く分には長くてもかまいません。しかし人に紹介する時は、少しためらってしまいます。
その人の時間を長時間拘束してもいいのだろうかと。
現在はコスパが重視される時代です。
短時間で成果を得るという経済原則に逆らうつもりはありません。
そこで時間のない方はこの曲は飛ばしてもいいように配慮してみました。
にもかかわらずリストアップしたのは、この曲なくしてバンドの魅力が伝えきれないと思ったからです。
確かに時間はとられますが、それに見合う満足は得られる曲だと思っています。
時間に追われることなく、長い曲を聞くことができた時代もあったのですね。
この曲はインストですしとても長いので、お時間のある方だけで結構です。
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