今回はザ・ベンチャーズのランキングを作成しました。
このバンドは有名ですし、聞いたことがある曲も多いと思います。
ただおそらく若い世代では、それほど熱心に聞かれていません。
しかしなぜ彼らは当時の日本でビートルズと人気を二分していたのでしょうか。
この記事では彼らの人気の秘密に迫ってみました。
- 1 1位「Wipe Out」(アルバム:Live in Japan ’65)
- 2 2位「Slaughter On Tenth Avenue」(アルバム:Knock Me Out!)
- 3 3位「Driving Guitars」(アルバム:Live in Japan ’65)
- 4 4位「When You Walk In The Room」(アルバム:Live in Japan ’65)
- 5 5位「Let’s Go」(アルバム:Let’s Go)
- 6 6位「Pipeline」(アルバム:Surfing)
- 7 7位「Mariner No. 4」(アルバム:Knock Me Out!)
- 8 8位「Diamond Head」(アルバム:Walk Don’t Run Vol. 2)
- 9 9位「Walk, Don’t Run」(アルバム:Walk, Don’t Run)
- 10 10位「Paint It Black」(アルバム:In the Vaults)
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1位「Wipe Out」(アルバム:Live in Japan ’65)
■曲名:Wipe Out
■曲名邦題:ワイプ・アウト
■アルバム名:Live in Japan ’65
■アルバム名邦題:ライヴ・イン・ジャパン’65
■動画リンク:「Wipe Out」
他にも有名曲が沢山あるのに、なぜこの曲が1位なのかと不思議に思われるかもしれません。
私はある意図があって、この曲を1位に推しました。
このバンドはとかく優等生的なイメージで語られがちです。
しかしこの演奏はいかがでしょうか。
私はロックが「不良の音楽」と呼ばれた頃の残り香を感じます。
そしてお伝えしたいことがもう一つ。
このバンドでは、ギターのノーキー・エドワーズ(Nokie Edwards)ばかりが言及されがちです。
しかしドラムのメル・テイラー(Mel Taylor)も特筆すべきキーマン。
メル・テイラーの演奏は、どことなくビッグバンド・ジャズ風です。
特にジャングル・サウンドっぽい曲では、彼がバンドの主役といえるかもしれません。
この曲でもデューク・エリントン(Duke Ellington)の影響を感じさせる快演を披露しています。
2位「Slaughter On Tenth Avenue」(アルバム:Knock Me Out!)
■曲名:Slaughter On Tenth Avenue
■曲名邦題:10番街の殺人
■アルバム名:Knock Me Out!
■アルバム名邦題:ノック・ミー・アウト!
■動画リンク:「Slaughter On Tenth Avenue」
彼らについて「Big in Japan」つまり日本でしか人気がないと言う人がいます。
しかしそれは事実ではありません。
彼らはアメリカで3つのトップテン・ヒット、アルバムも10位以内に2作送り込んでいます。
2008年にはロックの殿堂入りをはたしていますが、その事実は日本だけの人気ではないことを示しています。
よく来日していて、日本で人気があるのでそう思われているのかもしれません。
ただ1970年代に入ると、欧米で彼らの人気は低迷しました。
その後長い期間、彼らを支えたのが日本のファンでした。
元々日本で彼らの人気が爆発したのは、1965年の来日公演がきっかけだったそうです。
当時日本の若者はギターを手に取り、一大エレキ・ブームが巻き起こりました。
3位「Driving Guitars」(アルバム:Live in Japan ’65)
■曲名:Driving Guitars
■曲名邦題:ドライヴィング・ギター
■アルバム名:Live in Japan ’65
■アルバム名邦題:ライヴ・イン・ジャパン’65
■動画リンク:「Driving Guitars」
私は1960年代の音楽を取り上げる時、今の自分の耳を通してからご紹介しようと思っています。
当時と今では少なからず感覚のズレがあるので、自分の感覚を通じて少し微調整してご紹介した方がいいと。
その意味でこのバンドは再評価しがいがあります。
彼らの音楽について、若い人はどのように思っているのでしょうか。
高齢者向け音楽とか懐メロとか、そもそも名前すら知らないとか。
しかし時に彼らの音楽はアナーキーでパンクですらあります。
イメージの古さで損をしていますが、彼らを軽んじる方はこの曲を聞いていただければと思います。
ついでにもう1曲、過激な曲をご紹介しましょう。
彼らは優等生のような顔をしつつも、ライブではこんなエキサイティングな演奏を披露していました。
4位「When You Walk In The Room」(アルバム:Live in Japan ’65)
■曲名:When You Walk In The Room
■曲名邦題:ホエン・ユー・ウォーク・イン・ザ・ルーム
■アルバム名:Live in Japan ’65
■アルバム名邦題:ライヴ・イン・ジャパン’65
■動画リンク:「When You Walk In The Room」
ジャッキー・デシャノン(Jackie DeShannon)のヒット曲のカバーです。
彼らにはボーカル入りの曲もありますが、基本的にインストゥルメンタルです。
彼らはギター中心でしたが、観客をあきさせませんでした。
ボーカルという存在に頼れず、ギター中心でもあきさせず、しかも演奏の良し悪しを判断できない人をも満足させる。
これらを両立させるのは至難の業といえます。
しかし彼らは高度な演奏技術によって、それらの困難を乗り越えました。
結果として、彼らの音楽はボーカルの不在を感じさせない域に達しました。
ギターのノーキー・エドワーズは、テクニック的にすぐれています。
しかし彼の最大の武器は、音楽の理解が深いとはいえない観客をも魅了する歌心にこそあるのかもしれません。
5位「Let’s Go」(アルバム:Let’s Go)
■曲名:Let’s Go
■曲名邦題:レッツ・ゴー
■アルバム名:Let’s Go
■アルバム名邦題:レッツ・ゴー
■動画リンク:「Let’s Go」
私は1960年代前半の音楽をそれほど深く掘っていません。
フィフティーズのロックンロールや1960年代前半のオールディーズはそれなりに聞いてきました。
しかし1960年代前半のロックは、あまり聞き込んでいません。
このバンドは例外として。
彼らは1959年に結成され、1960年にデビューしました。
彼らの全盛期は1969年の「ハワイ・ファイブ・オー(Hawaii Five-O)」までと言われています。
つまり1960年代が彼らの全盛期だといえるでしょう。
その間彼らは音楽性を大きく変えませんでした。
そのためで成長著しい当時のロックの世界で、取り残されたかもしれません。
しかし一方でそれは1960年代初頭で彼らの音楽性が固まっていたことを示しています。
今はもうオリジナル・メンバーはいませんが、2023年現在でもバンドは存続しています。
6位「Pipeline」(アルバム:Surfing)
■曲名:Pipeline
■曲名邦題:パイプライ
■アルバム名:Surfing
■アルバム名邦題:サーフィン
■動画リンク:「Pipeline」
私はこのバンドをリアルタイムで聞いていません。
私が子供の頃には既に懐メロみたいに思われていました。
もちろん彼らの音楽が身近で聞こえてくる環境ではありません。
そのため私が彼らの存在を意識するようになったのは、かなり後年になってのことでした。
私が彼らに注目したのは、サーフ・ロックの音源を掘っていた時。
昔から好きなラモーンズ(Ramones)は、ディック・デイル(Dick Dale)などサーフ・ロックの影響を受けています。
私はその文脈でベンチャーズを意識するようになりました。
この曲はサーフ・ロック路線を代表する曲です。
私はそれまで古くさい音楽だと思っていましたが、違う文脈で出会うと新鮮に聞けました。
今ではもうこんな記事まで書いています(笑)
7位「Mariner No. 4」(アルバム:Knock Me Out!)
■曲名:Mariner No. 4
■曲名邦題:夢のマリナー号
■アルバム名:Knock Me Out!
■アルバム名邦題:ノック・ミー・アウト!
■動画リンク:「Mariner No. 4」
以前私は高中正義の記事を書いたことがあります。
高中正義(Takanaka Masayoshi)の名曲名盤10選
その時に私は彼の音楽がヴェンチャーズっぽいと感じました。
その時私の頭の中ではこの曲が鳴っていて、類似性を感じていました。
実際高中正義のウィキペディアにも、ベンチャーズから影響を受けたことが書かれています。
両者に共通していることは、快楽原則に忠実だということです。
ベンチャーズの音楽は少なくとも日本では、ギターの音が分からない人まで魅了しました。
幅広い層への訴求力の強さは、高中正義も同じです。
細部に至る前に、多くの人を魅了する音楽。
その分かりやすさゆえに両者は軽視されがちですが、私はむしろそれがすごいと思います。
8位「Diamond Head」(アルバム:Walk Don’t Run Vol. 2)
■曲名:Diamond Head
■曲名邦題:ダイアモンド・ヘッド
■アルバム名:Walk Don’t Run Vol. 2
■アルバム名邦題:ウォーク・ドント・ラン Vol. 2
■動画リンク:「Diamond Head」
この曲はテレビ番組「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のテーマ曲にカバーされました。
そのカバー曲のリンクを貼っておきましょう。
そのせいか彼らの曲で一番の有名曲かもしれません。
昔のエレキはテケテケみたいに表現されることがありますが、この曲などはまさしくそれですね。
「エレクトリック・ギター」ではなく「エレキ」という言葉が似合います。
今回の選曲は数曲自分色を出していますが、有名曲やヒット曲を重視しました。
有名曲、ヒット曲を知らずして、このバンドは語れないと思いましたし。
惜しくもランク外になった代表曲を、もう1曲補足しておきましょう。
9位「Walk, Don’t Run」(アルバム:Walk, Don’t Run)
■曲名:Walk, Don’t Run
■曲名邦題:急がば廻れ(ウォーク・ドント・ラン)
■アルバム名:Walk, Don’t Run
■アルバム名邦題:ウォーク・ドント・ラン
■動画リンク:「Walk, Don’t Run」
この曲は彼らの2枚目のシングルです。
初期の彼らはジャズからの影響が顕著でした。
この曲のオリジナルも、ジャズ・ギタリストのジョニー・スミスが書いた曲です。
ジョニー・スミスのバージョンをご紹介します。
Johnny Smith – Walk, Don’t Run!
上のオリジナルは1954年の曲ですが、カバー曲みたいに聞こえないでしょうか(笑)
さて曲名の「Walk, Don’t Run」は、邦題では「急がば廻れ」となっています。
しかし個人的には直訳の「走るな、歩け」の方がしっくりきます。
10位「Paint It Black」(アルバム:In the Vaults)
■曲名:Paint It Black
■曲名邦題:黒くぬれ!
■アルバム名:In the Vaults
■動画リンク:「Paint It Black」
ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のカバーです。
ボーカルは入っていませんが、原曲に忠実な演奏です。
先程私は彼らはイメージより破天荒だというようなことを書きました。
このカバー曲を聞くと、ローリング・ストーンズとそれほど変わらない感じがしないでしょうか。
聞き比べられるよう、原曲のリンクを貼っておきましょう。
The Rolling Stones – Paint It, Black
最後に彼らの最高傑作について触れておきましょう。
ディスクガイドでは「Knock Me Out!」がよく取り上げられています。
というより、そのアルバム以外が選ばれているのを見たことがありません。
しかし私は「Live in Japan ’65」が最高傑作と信じて疑いません。
ライブ・アルバムならではのラフなところが魅力の傑作です。
ライブ盤での彼らは、プロレスのベビーフェイスがラフな試合運びでも圧倒するのに似ているかもしれません。
私は彼らの真価は、ラフなライブの中でこそ発揮されるように感じます。
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