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ドクター・ジョン(Dr. John)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はドクター・ジョンのランキングを作成しました。

この人はニューオリンズの音楽を象徴する存在です。

ダミ声のボーカル、そして跳ねるようなピアノの演奏も絶品です。

またニューオリンズ・ファンクの特徴である、セカンドラインのリズムも魅力です。

 

1位「Such a Night」(アルバム:In the Right Place)

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■曲名:Such a Night
■曲名邦題:サッチ・ア・ナイト
■アルバム名:In the Right Place
■アルバム名邦題:イン・ザ・ライト・プレイス
■動画リンク:「Such a Night」

彼の曲の中でも屈指の有名曲です。

それはザ・バンド(The Band)の解散コンサート「ラスト・ワルツ(The Last Waltz)」で演奏されたせいかもしれません。

私も初めて聞いたのは、そのライブ盤だったはず。

ラスト・ワルツ版のリンクも貼っておきましょう。

Dr. John – Such a Night

しかし実に楽しそうに歌い演奏する人なのですね。

この曲は彼のピアノも聞きものです。

いわゆるニューオーリンズ・ピアノと呼ばれているスタイルなのですが、ルーツをたどると古いジャズに行き着きます。

明らかにブギウギ、ラグタイム・ピアノなどの影響が感じられますから。

元々彼はギタリストでした。

しかし友人でミュージシャンのロニー・バロン(Ronnie Barron)をかばってピストルを撃たれた時の傷が原因で、ピアノに転向したのだそうです。

その後彼がリリースした音楽は、ギターが主役という印象はありません。

むしろよく転がりよく跳ねるピアノが活躍する曲が多いように思います。

撃たれたことは悲劇ですが、彼はそれをプラスに変えたようですね。

 

2位「Big Chief」(アルバム:Dr. John’s Gumbo)

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■曲名:Big Chief
■曲名邦題:ビッグ・チーフ
■アルバム名:Dr. John’s Gumbo
■アルバム名邦題:ガンボ
■動画リンク:「Big Chief」

このアルバムは、彼の最高傑作と言われています。

ドクター・ジョンの音楽はクセが強いですが、彼はそれを逆手にとってキワモノっぽいイメージで自分を売り出しました。

いわゆる個性派の線を狙っていたようです。

しかし同時に彼はヒップな存在として受け入れられました。

当時はルーツ音楽にヒップな部分を見出そうとする風潮があったように思います。

たとえば今ではシブいと言われるザ・バンドも、古い音楽に新しい感覚を持ち込むことによって、当時の若者を虜にしました。

この曲にはドクター・ジョンのクールでヒップな感覚がよく表れています。

ロニー・バロンのキーボードが、とぼけた印象を与えるのに貢献しています。

口笛もいい感じですね。

 

3位「Mos’ Scocious」(アルバム:Desitively Bonnaroo)

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■曲名:Mos’ Scocious
■曲名邦題:モスコシアス
■アルバム名:Desitively Bonnaroo
■アルバム名邦題:デスティヴリー・ボナルー
■動画リンク:「Mos’ Scocious」

このアルバムは、内容の割に過小評価されています。

出来でいえば「Dr. John’s Gumbo」と「In the Right Place」に匹敵していますから。

彼は上記2作の頃が全盛期だと言われています。

ただその後発表された「三頭政治(Triumvirate)」で、人気にブレーキがかかってしまいました。

「Triumvirate」は、マイク・ブルームフィールド(Mike Bloomfield)、ジョン・P・ハモンド(John Paul Hammond)との共同名義のアルバムです。

ただ豪華なメンバーから期待されたほどの出来ではありませんでした。

実際「Triumvirate」のレコーディングは、彼にとってあまり良い思い出ではなかったようです。

その後彼は悪い流れを断ち切ろうと、このアルバムをつくり上げました。

ソロ名義の前作「In the Right Place」の続編的なアルバムです。

それもそのはず、前作と同じくアラン・トゥーサン(Allen Toussaint)がプロデューサーを務め、演奏もミーターズ(The Meters)が担当しています。

セールスの回復は叶いませんでしたが、内容的には屈指の充実作となりました。

 

4位「Revolution」(アルバム:Locked Down)

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■曲名:Revolution
■曲名邦題:レヴォリューション
■アルバム名:Locked Down
■アルバム名邦題:ロックト・ダウン
■動画リンク:「Revolution」

彼は1970年代前半で全盛期を迎えた後も存在感を放っています。

『イン・ア・センチメンタル・ムード』(1989年)収録曲「メイキン・フーピー!」は、グラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンス賞に輝き、彼にとって初のグラミー受賞となった[2]。

1992年のアルバム『ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ』は、『ガンボ』と同様ニューオーリンズの古い音楽を取り上げた作品で、同アルバムはグラミー賞の最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞を受賞[2]。

ドクター・ジョン ウィキペディア

確かにジャズのスタンダードを歌った「イン・ア・センチメンタル・ムード(In a Sentimental Mood)」も、聞かせる作品でした。

またニューオリンズ音楽に回帰した「ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ(Goin’ Back to New Orleans)」も悪くありません。

しかしこの人のポテンシャルが発揮されていたかというと、そうではなかったように感じます。

そのモヤモヤが払拭されたのが、このアルバム。

このアルバムでは、ブラック・キーズ(The Black Keys)のダン・オーバック(Dan Auerbach)がプロデュースを担当しています。

その起用は大当たりでした。

ロス・ロボス(Los Lobos)が「コロッサル・ヘッド(Colossal Head)」で再生された時の感じに近いかもしれません。

過去の作風をなぞっているのとは違う、久しぶりの快作だと思います。

 

5位「Right Place Wrong Time」(アルバム:In the Right Place)

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■曲名:Right Place Wrong Time
■曲名邦題:ライト・プレイス・ロング・タイム
■アルバム名:In the Right Place
■アルバム名邦題:イン・ザ・ライト・プレイス
■動画リンク:「Right Place Wrong Time」

彼の最大のヒット曲です。

シングルチャートの9位を記録し、初のトップテン・ヒットを記録しています。

このアルバムで彼は、ヒットした前作から路線少しを変えてきました。

前作ではニューオリンズの古い音楽を参照していましたが、今作ではその延長としてニューオリンズ・ファンクといった感じのサウンドに進化しています。

成功の要因は、プロデューサーのアラン・トゥーサン、そして演奏にミーターズが参加したことです。

特にリズムにご注目ください。

このリズムは、セカンド・ライン・リズムと言われています。

全員一体になって同じリズムをキープするのではなく、リズムのズレをうまく利用している感じがします。

他にはリトル・フィート(Little Feat)の「ディキシー・チキン(Dixie Chicken)」もセカンドラインの名作です。

 

6位「Ice Age」(アルバム:Locked Down)

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■曲名:Ice Age
■曲名邦題:アイス・エイジ
■アルバム名:Locked Down
■アルバム名邦題:ロックト・ダウン
■動画リンク:「Ice Age」

彼は全盛期を過ぎた後、方向性に迷いが感じられました。

この人の魅力はクセの強さ、クサ味です。

しかしこのアルバム前まで、その個性が希薄な作品が続きました。

このアルバムでは、彼の個性が復活しています。

このアルバムでは彼のエグ味を受け止めるサウンドもクセが強く濃厚です。

たとえばこの曲の後半を、お聞きになってみてください。

ブードゥーでファンキーなドクター・ジョンが戻ってきていますね。

氷河期の様子を歌っている歌詞も訳がわかりませんが、それもまた良しです。

 

7位「Mama Roux」(アルバム:Gris-Gris)

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■曲名:Mama Roux
■曲名邦題:ママ・ロックス
■アルバム名:Gris-Gris
■アルバム名邦題:グリ・グリ
■動画リンク:「Mama Roux」

ドクター・ジョンという芸名は、有名なブードゥー教の司祭の名前から取られています。

元々はドクター・ジョンがロニー・バロンを売り出す時に考えたキャラクター設定でした。

しかしそれ難しいと判明すると、今度は自分がそのイメージでデビューすることにしました。

よっぽどそのアイデアが気に入っていたのですね。

彼の考えたコンセプトは、以下のようなものだと思われます。

・キャラクター:ブードゥー教の司祭
・音楽:異国風味のサイケデリック・ロック
・衣装:マルティグラ・インディアン

さてこの曲はデビュー・アルバムの曲としては、かなりポップかもしれません。

このアルバムでは、ポール・ウェラー(Paul Weller)がカバーした「アイ・ウォーク・オン・ギルデッド・スプリンターズ(I Walk On Guilded Splinters)」の方が有名です。

このアルバムのカラーをご紹介するには、そちらの方がふさわしいかもしれません。

リンクだけ貼っておきましょう。

Dr. John – I Walk On Guilded Splinters

彼はこの路線で「バビロン(Babylon)」など、数枚のアルバムをリリースしています。

 

8位「Blow Wind Blow」(アルバム:Dr. John’s Gumbo)

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■曲名:Blow Wind Blow
■曲名邦題:ブロウ・ウィンド・ブロウ
■アルバム名:Dr. John’s Gumbo
■アルバム名邦題:ガンボ
■動画リンク:「Blow Wind Blow」

このアルバムにはニューオリンズの音楽に対する敬意が感じられます。

他にもニューオリンズ音楽を象徴する曲「アイコ・アイコ(Iko Iko)」や、地元の偉大な先人ヒューイ・”ピアノ”・スミス(Huey “Piano” Smith)に捧げた「ヒューイ・スミス・メドレー(Huey Smith Medley)」なども聞きものです。

前者の曲はリンクを貼っておきましょう。

Dr. John – Iko Iko

ちなみに「Gumbo」とはシチューのような煮込み料理で、アメリカ南部のソウル・フードなのだそうです。

彼はこのアルバムでニューオリンズ特有の雑食性を表現しましたから、ぴったりのタイトルではないでしょうか。

その音楽は細野晴臣や矢野顕子を筆頭に、日本のミュージシャンをも虜にしました。

またBO GUMBOS(ボ・ガンボス)などは、日本的に消化したニューオリンズっぽい曲を数多く発表しています。

 

9位「Satin Doll」(アルバム:Duke Elegant)

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■曲名:Satin Doll
■曲名邦題:サテン・ドール
■アルバム名:Duke Elegant
■アルバム名邦題:デューク・エレガント-ドクター・ジョン、エリントンを歌う
■動画リンク:「Satin Doll」

デューク・エリントン(Duke Ellington)の曲を、AORやフリーソウル風にカバーした曲です。

この曲では、意外にもその奇妙な組み合わせが成功しています。

私はエリントンの音楽を聞く度に、その音楽的な豊かさにめまいがしそうになります。

モーツァルトのような優雅さ、現代音楽のような過激さ、そして黒人音楽のねちっこさを煮詰めたような圧倒的な魅力を併せ持っている人です。

しかしドクター・ジョンは、このアルバムでエリントンの音楽を真正面に解釈していません。

その代わりに洗練されたサウンドを施しています。

このアルバムの解釈では、古参エリントン・ファンを納得させられないかもしれません。

しかし初めてエリントンを聞く人に紹介するとしたら、私はこのアルバムもありだと思っています。

 

10位「Fire of Love」(アルバム:City Lights)

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■曲名:Fire of Love
■曲名邦題:ファイア・オブ・ラヴ
■アルバム名:City Lights
■アルバム名邦題:シティ・ライツ
■動画リンク:「Fire of Love」

このアルバムは、A&Mで有名なトミー・リピューマ(Tommy LiPuma)がプロデュースを手掛けた異色作です。

この制作体制は、次作「タンゴ・パレス(Tango Palace)」と2枚続きました。

ただこの人のボーカルは、洗練された演奏から若干浮き気味かもしれません。

ちなみに私はこの人のボーカルを聞くと、毎回必ずレオン・ラッセル(Leon Russell)に似ていると感じます。

この人が真価を発揮するのは、クセの強いボーカルと釣り合う、クセの強い演奏かもしれません。

ただ濃すぎるせいで、体調が悪い時には聞けませんが(笑)

時にはこういう肩の力が抜けた曲で、ドクター・ジョンをたしなむのも一興ではないでしょうか。

今回9位と10位にはライトな曲を選んでみました。

しかしこの人の場合、普通っぽい曲だと逆にサプライズになってしまうのですね。

 

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