今回はビル・ウィザースのランキングを作成しました。
あらかじめ申し上げておくと、グローヴァー・ワシントンJr.(Grover Washington, Jr.)と共演した「クリスタルの恋人たち(Just the Two of Us)」はランクインしていません。
そちらは別名義ですので、違う記事でご紹介したいと思っています。
ただ本人名義の曲だけでもご紹介したい曲が多く、質的には問題ありません。
- 1 1位「Lovely Day」(アルバム:Menagerie)
- 2 2位「Lean on Me」(アルバム:Still Bill)
- 3 3位「Don’t It Make It Better」(アルバム:’Bout Love)
- 4 4位「Use Me」(アルバム:Still Bill)
- 5 5位「Family Table」(アルバム:Making Music)
- 6 6位「Can We Pretend」(アルバム:+’Justments)
- 7 7位「All Because Of You」(アルバム:’Bout Love)
- 8 8位「If I Didn’t Mean You Well」(アルバム:Naked & Warm)
- 9 9位「Oh Year!」(アルバム:Watching You Watching Me)
- 10 10位「In the Name of Love」(アルバム:Lovely Day: The Very Best Of Bill Withers)
- 11 番外編「Ain’t No Sunshine」(アルバム:Just as I Am)
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1位「Lovely Day」(アルバム:Menagerie)
■曲名:Lovely Day
■曲名邦題:ラヴリー・デイ
■アルバム名:Menagerie(1977)
■アルバム名邦題:メナジェリィ
■動画リンク:「Lovely Day」
聞いたことがある方も少なくない曲だと思います。
ただこの曲の最高位は30位ですから、当時はそれほど大ヒットしていません。
しかしディスコグラフィを見ると、この曲は3回シングルとして発売されています。
こんなことはめったにありません。
おそらくCMや映画・ドラマなどで使用されたのでしょう。
またこの曲が入っているコンピレーション・アルバムも、数えきれないほどありますし。
当時は小ヒット程度だったかもしれませんが、その後評価が高まり現在は決定的な評価を得ています。
この曲はポジティブなメッセージ性も魅力です。
「世界と自分を肯定しよう」
「とても素敵な日じゃないか」
2位「Lean on Me」(アルバム:Still Bill)
■曲名:Lean on Me
■曲名邦題:リーン・オン・ミー
■アルバム名:Still Bill(1972年)
■アルバム名邦題:スティル・ビル
■動画リンク:「Lean on Me」
初期を代表する名曲です。
このセカンド・アルバムではこの曲が全米1位を獲得し、次のシングルも全米2位を獲得しました。
一般的にはこの時期が、彼の全盛期だと言われています。
彼が幼い頃弾いたピアノのフレーズが、この曲の原型なのだそうです。
彼が幼い頃は、アフリカ系アメリカ人の多くが社会的に不利な立場に置かれ、貧しい生活を強いられていました。
この曲の歌詞はこんな感じです。
時に人生には痛みや悲しみが待ち受けている。
しかしそんな時はプライドを捨てて、僕を頼ってほしい。僕を呼んでほしいんだ。
同胞を救済したいという願いを込めた歌詞は、彼の真摯な人柄を物語っています。
3位「Don’t It Make It Better」(アルバム:’Bout Love)
■曲名:Don’t It Make It Better
■曲名邦題:ドント・イット・メイク・イット・ベター
■アルバム名:’Bout Love(1979年)
■アルバム名邦題:バウト・ラブ
■動画リンク:「Don’t It Make It Better」
私はこのアルバムが彼の最高傑作だと思います。
マーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)であれば「ホワッツ・ゴーイン・オン(What’s Going On)」か「レッツ・ゲット・イット・オン(Let’s Get It On)」でようやくこのアルバムに肩を並べると思います。
しかしそれにも関わらず、このアルバムは現在廃盤ですが。
この人の活動期間は意外と長くありません。
デビュー・アルバムが1971年でラスト・アルバムが1985年ですから15年未満です。
後で詳しく触れますが、彼はレコード会社との間にトラブルを抱えていました。
そのせいか中期以降のアルバムは、現在も入手困難の状態が続いています。
4位「Use Me」(アルバム:Still Bill)
■曲名:Use Me
■曲名邦題:ユーズ・ミー
■アルバム名:Still Bill(1972年)
■アルバム名邦題:スティル・ビル
■動画リンク:「Use Me」
この曲を聞くといつもレニー・クラヴィッツ(Lenny Kravitz)っぽいと感じます。
実際レニーはミック・ジャガー(Mick Jagger)のアルバムに参加し、以下のカバーでデュエットしています。
この曲は演奏面の貢献が大きいかもしれません。
演奏しているのは、ワッツ・103rd・ストリート・リズム・バンド(The Watts 103rd Street Rhythm Band)。
特にジェームス・ギャドソン(James Gadson)のドラムと、レイ・ジャクソン(Ray Jackson)によるクラビネットの絡みが独特の効果を生んでいます。
初期の彼に感じるストリート感覚は、このバンドによるところが大きいと思います。
5位「Family Table」(アルバム:Making Music)
■曲名:Family Table
■曲名邦題:ファミリー・テーブル
■アルバム名:Making Music(1975年)
■アルバム名邦題:メイキング・ミュージック
■動画リンク:「Family Table」
この人は前期と後期では音楽性が異なります。
レーベルが変わったことで、彼の音楽は一変しました。
前期はリアルと生々しい肌感の演奏をバックに、パーソナル色が強い作風でした。
後期はよりメジャー感のある売れ線へと変化しています。
前期はSussex Records、後期はColumbia Recordsで、このアルバムは後期の第一弾です。
この移籍によって、バンドのメンバーもガラリと変わりました。
このアルバムに参加しているギタリストは、レイ・パーカー Jr,(Ray Parker Jr.)、デイヴィッド・T・ウォーカー(David T. Walker)、ワー・ワー・ワトソン(Wah-Wah Watson)という豪華な3人。
ベースもジェームス・ジェマーソン(James Jamerson)、ドラムはハーヴィー・メイソン(Harvey Mason)、キーボードはデイヴ・グルーシン(Dave Grusin)という鉄壁の布陣です。
後期は売れっ子プレイヤーが大挙して参加しています。
6位「Can We Pretend」(アルバム:+’Justments)
■曲名:Can We Pretend
■曲名邦題:キャン・ウィ・プリテンド
■アルバム名:+’Justments(1974年)
■アルバム名邦題:+’ジャストメンツ
■動画リンク:「Can We Pretend」
スパニッシュっぽいギターを弾いているのは、ホセ・フェリシアーノ(Jose Feliciano)です。
このアルバムは決して悪い出来ではありませんが、セールス的に低迷しました。
この曲などはテリー・キャリアー(Terry Callier)のようなフォーキー・ソウルです。
そういえば同時期のテリー・キャリアーも似た作風でしたが、やはりセールス的に苦戦していました。
内省+フォーキー+ソウルの組み合わせは、そもそも売れる音楽ではないのでしょう。
この頃の彼は悩んでいたようです。
ちなみにアルバム名「+’Justments」という単語はありません。
「Justments」は「adjustments」のことで「適応」という意味の言葉です。
この時期彼は、自分を取り巻く音楽ビジネスの世界に適応できず悩んでいたようですね。
7位「All Because Of You」(アルバム:’Bout Love)
■曲名:All Because Of You
■曲名邦題:オール・ビコーズ・オブ・ユー
■アルバム名:’Bout Love(1979年)
■アルバム名邦題:バウト・ラブ
■動画リンク:「All Because Of You」
この頃の彼は、より洗練された曲を書くようになりました。
この人が本格的に音楽の道に進んだのは、30歳を過ぎてからです。
遅咲きの部類だと思いますが、それまでは海軍やフォード自動車で働いていたそうです。
デビューの頃はニューソウルの機運が高まっていたこともあって、その波にうまく乗ることができました。
ただその後の彼は良い曲を書いても、セールス的に報われない時期が続きました。
なにせ1位に選んだ「Lovely Day」ですら、30位止まりですから。
この記事では後期の曲も積極的にご紹介し、再評価していただけるようにしてみました。
8位「If I Didn’t Mean You Well」(アルバム:Naked & Warm)
■曲名:If I Didn’t Mean You Well
■曲名邦題:イフ・ディドゥント・ミーン・ユー・ウェル
■アルバム名:Naked & Warm(1976年)
■アルバム名邦題:ネイキッド&ウォーム
■動画リンク:「If I Didn’t Mean You Well」
まるでサザンオールスターズみたいなジャケットですね。
このアルバムでの彼は、いつもとは少し違うかもしれません。
これまではどんなにバックの演奏がすばらしくても、あくまで彼の歌が中心でした。
しかしこのアルバムではファンク調の曲が多く、これまでになくバックの演奏が主張しています。
たとえばこの曲などは、その路線を象徴しているかもしれません。
ボーカルより存在感がありそうなムーグが、この曲のイメージを決定付けています。
ちなみにこのムーグ・シンセサイザーを弾いているのは、クリフォード・コールター(Clifford Coulter)。
現在のクラブでこそ評価されそうな曲に仕上がっています。
9位「Oh Year!」(アルバム:Watching You Watching Me)
■曲名:Oh Year!
■曲名邦題:OH YEAH!
■アルバム名:Watching You Watching Me(1985年)
■アルバム名邦題:愛の情景
■動画リンク:「Oh Year!」
この人はベスト・アルバムが多すぎるかもしれません。
なにせウィキペディアに記載のある正規発売のベスト盤だけで、10枚もありますし。
ベスト盤が発売されるのは、レーベル移籍など節目が多いかもしれません。
注目したいのは「’Bout Love」がリリースされた後、1980年と1981年にリリースされていること。
普通は2年連続でベスト盤を発売しません。
1980年はヒットもなく契約の問題で揉めていた時期ですから、レコード会社は契約終了を見据えていたのではないかと思われます。
実際次のアルバムをリリースするまで、7年ものブランクが開いていますし。
しかしその矢先1981年に「クリスタルの恋人たち(Just the Two of Us)」が大ヒットしたことで、状況が大きく変わりました。
新たにその曲を収録したベスト盤を急遽リリースしたので、2年連続のベスト盤発売になったのだと思われます。
10位「In the Name of Love」(アルバム:Lovely Day: The Very Best Of Bill Withers)
■曲名:In the Name of Love
■曲名邦題:イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ
■アルバム名:Lovely Day: The Very Best Of Bill Withers(2005年)
■アルバム名邦題:ラヴリー・デイ:ベリー・ベスト・オブ・ビル・ウィザース
■動画リンク:「In the Name of Love」
「’Bout Love」の後、ビルとレコード会社の間にはすきま風が吹いていました。
当時彼はレコード会社の担当者との折り合いが悪く、担当者からそもそも俺はおまえの音楽が好きではないとまで言われたそうです。
その結果彼が書いた曲は。ことごとくレコード会社から却下されました。
一方で彼はシンガーとしての実力を買われて、ゲスト・ボーカルとして重宝されていました。
自身の活動で身動きが取れなくなった彼は、他アーテイストとの共演に活路を見出そうとしたようです。
そうしたある時グローヴァー・ワシントンJr.(Grover Washington, Jr.)と共演した「Just the Two of Us」がヒットしました。
さて「In the Name of Love」もラルフ・マクドナルド(Ralph MacDonald)と共演した「Just the Two of Us」と同じフュージョン/AOR路線の曲。
しかしこの曲もセールスが振るわず、最終作「Watching You Watching Me」も143位止まりでした。
ただその頃の彼は、投資と印税だけで生活できるようになっていました。
そこで彼は引退を決意したようです。
引退してしばらくすると再評価の機運が高まりましたが、ついに彼が復帰することはありませんでした。
彼を干した担当者は、本当に罪深いことをしたと思います。
番外編「Ain’t No Sunshine」(アルバム:Just as I Am)
■曲名:Ain’t No Sunshine
■曲名邦題:消えゆく太陽
■アルバム名:Just as I Am(1971年)
■アルバム名邦題:ジャスト・アズ・アイ・アム
■動画リンク:「Ain’t No Sunshine」
最後にこの曲はどうしても外せないと思い、番外編として取り上げることにしました。
私はこの曲と相性が悪いのかもしれません。
悪くはないと思うものの、世評との間に温度差があります。
今回改めて聞きなおしてみましたが、現時点ではランキングに入れるほどではないと感じました。
もしかしたらもっと私が年を重ねたら、この曲を高く評価するようになるのかもしれません。
これからも時々聞きなおして、自分の変化を確認していきたいと思っています。
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