今回はジョージ・デュークのランキングを作成しました。
この人には様々な側面があります。
・スピリチュアル・ジャズ
・フュージョン
・ブラジル音楽
・ファンク
・ディスコ
・ブラック・コンテンポラリー(ブラコン)
ただ一貫して質の高いアルバムをリリースしています。
今回はその多彩な魅力を堪能していただけるよう選曲してみました。
インストとボーカル・ナンバー、両方ともすばらしい曲ばかりです。
- 1 1位「Overture~Light」(アルバム:Guardian of the Light)
- 2 2位「Say That You Will」(アルバム:Follow the Rainbow)
- 3 3位「Hot Fire」(アルバム:Reach for It)
- 4 4位「Starting Again」(アルバム:Don’t Let Go)
- 5 5位「Au Right」(アルバム:The Inner Source)
- 6 6位「Positive Energy」(アルバム:Dream On)
- 7 7位「I Love You More」(アルバム:Master of the Game)
- 8 8位「Brazilian Love Affair」(アルバム:Brazilian Love Affair)
- 9 9位「Reach Out」(アルバム:Guardian of the Light)
- 10 10位「Shine On」(アルバム:Dream On)
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1位「Overture~Light」(アルバム:Guardian of the Light)
■曲名:Overture~Light
■曲名邦題:オーヴァーチュア~ライト
■アルバム名:Guardian of the Light
■アルバム名邦題:ライト・メッセージ
■動画リンク:「Overture~Light」
上で引用した動画は、アルバムの最初の3曲をつなげているものです。
冒頭を飾るインスト「Overture」から、2曲目「Light」につなぎ目なしで繋がっています。
1曲目から2曲目へと切り替わる瞬間が一番の聞きどころですので、1:36のあたりにご注目ください。
動画では4:59から3曲目「Shane」が始まりますが、そちらもすばらしい曲であるものの、時間のある方だけで結構です。
実質5分ぐらいまでが対象曲の範囲です。
まず冒頭の「Overture」は、とてもドラマティックなストリングスで始まりますが、この大げさなストリングスは、人によっては好みが分かれるかもしれません。
私は恥ずかしかっこいいと思いますけどね。
ジュリアナ東京的なアゲアゲ感と、昔のアニメのオープニングのような感じが融合した感じではないでしょうか。
その後のルイス・ジョンソン(Louis Johnson)のゴリゴリしたベースが聞きどころだと思います。
またマイケル・センベロ(Michael Sembello)のギター・カッティングもすばらしい。
次の「Light」の冒頭、ジョン・ロビンソン(John Robinson)のバウンスするビートと、ここでもルイス・ジョンソンのベースがただ事ではありません。
その後4:38から、23人参加しているバイオリン集団がクローズアップされますが、このアウトロも感動的です。
2位「Say That You Will」(アルバム:Follow the Rainbow)
■曲名:Say That You Will
■曲名邦題:セイ・ザット・ユー・ウィル
■アルバム名:Follow the Rainbow
■アルバム名邦題:フォロー・ザ・レインボー
■動画リンク:「Say That You Will」
このアルバムでは、アース・ウィンド & アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)化が進んでいます。
前作「Don’t Let Go」の「Yeah,ウィ・ゴーイング(Yeah, We Going)」という曲で、既にその傾向は見えていましたが、このアルバムでは更に影響を強めてきました。
この曲以外では「ストレート・フロム・ザ・ハート(Straight from the Heart)」なども同系統の曲です。
さてすぐれたアーティストの中には、確固たる個性を持っている人がいます。
他では代替不可能で、真似ようとしても真似られないような個性が。
しかしこの人については、演奏面では個性的であっても、音楽性そのものには個性は感じられません。
どこからからスタイルを借りてきて、借り物のスタイルで高品質の作品をつくりあげるタイプの人だと思います。
そもそも、それが悪いとは思いません。
もし常にユニークでなければいけないとしたら、すぐれたハードバップやB級パンクなども、全部つまらないということになりますから。
借りてきたスタイル上でいかにリスナーをうならせるか、それが非個性派アーティストの戦い方。
この曲のボーカルや36秒のコーラスの重ね方も、明らかにアース・ウィンド & アンド・ファイアーの影響が感じられます。
また「アイ・アム・フォー・リアル (I Am for Real (May the Funk Be with You)」という曲では、あからさまにPファンクの影響が感じられます。
どちらもすばらしい曲ではないでしょうか。
ジャケットのドヤ顔はダテではありません。
3位「Hot Fire」(アルバム:Reach for It)
■曲名:Hot Fire
■曲名邦題:ホット・ファイヤー
■アルバム名:Reach for It
■アルバム名邦題:リーチ・フォー・イット
■動画リンク:「Hot Fire」
このアルバムは彼の出世作です。
前作「From Me to You」は最高位192位でしたが、このアルバムではいきなり25位と飛躍しています。
実際このアルバムあたりから、現在の彼に繋がる核の部分が固まってきたように思います。
この曲を一言でいうと「フュージョン」といえるでしょう。
このアルバムがリリースされた1977年の時点で、既にフュージョンの人気グループは多数存在していました。
彼も時流に乗っかった感じがしないでもありません。
しかしこの人の場合、流行に合わせられる柔軟性を持っています。
先程個性が足りないみたいな失礼なことを書きましたが、その分様々なスタイルに順応しやすいといえるでしょう。
時代に迎合したように見えても、音楽に重量感があるせいか、軽薄なイメージにはなりませんしね。
顔もパパイヤ鈴木みたいですし(関係ないか)
さてそれにしてもこの曲のイントロは強力です。
また彼の曲としては、珍しくカッティング以外でギターが目立っています。
4位「Starting Again」(アルバム:Don’t Let Go)
■曲名:Starting Again
■曲名邦題:スターティング・アゲイン
■アルバム名:Don’t Let Go
■アルバム名邦題:ドント・レット・ゴー
■動画リンク:「Starting Again」
少し暑苦しい曲が続きましたので、スローダウンしたいと思います。
彼はスローにも良い曲が多く、ほぼハズレがありません。
しかし同時に、誰でも納得させられる絶対エース的なスローがありません。
私の好みでは、この曲が一番です。
ジョージ・デュークは演奏面だけでなく、ボーカルにも才能のある人です。
フィリップ・ベイリー(Philip Bailey)の影響が強いように感じられますが、同じファルセットでもベイリーより少し声が低めかもしれません。
この人はフュージョンのプレイヤーですが、ボーカル曲が多い人です。
そのボーカル曲を聞いていて、時々思うことがあります。
ボーカル入りの曲でも演奏が主張しすぎていて、じっくり聞かせる感じになっていないなと。
せっかく歌も一流なのですから、歌を聞かせる時ぐらいバックもシンプルでいいような気がするのですが。
その点この曲は演奏が厚化粧すぎませんし、ボーカリストとしての実力を堪能できる曲だと思います。
5位「Au Right」(アルバム:The Inner Source)
■曲名:Au Right
■アルバム名:The Inner Source
■アルバム名邦題:インナー・ソース
■動画リンク:「Au Right」
この人は元々ジャズ・プレイヤーとしてデビューしました。
ただデビュー5年目のこの時点で、既にフュージョン路線に近い曲をやっています。
この曲などは、後の原型みたいなところが感じられないでしょうか。
私は割とこの頃の曲も好きで、他にもスピリチュアル・ジャズっぽい曲にも良曲が多いように感じます。
この時期の曲をもう1曲だけご紹介しておきましょう。
10分と長い曲なので選外にした曲です。お時間のある方だけどうぞ。
3作目「Save The Country」までは、まだ普通のジャズっぽいところが残っていましたが、当時はまだやりたいことがはっきりしていない感じがします。
この人は下積みが長く、この頃は全然売れていませんでした。
しかしその間に実力を蓄えて、やりたい音楽が明確になって、ようやく飛躍することができました。
業界が売れないミュージシャンを育てる余裕を持っていた、幸せな時代だったかもしれません。
6位「Positive Energy」(アルバム:Dream On)
■曲名:Positive Energy
■曲名邦題:ポジティヴ・エナジー
■アルバム名:Dream On
■アルバム名邦題:ドリーム・オン
■動画リンク:「Positive Energy」
ジャケットを見ると、ショルダー・キーボードが描かれています。
この人についてはキーボードを肩に掛けているイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
たとえばこんな感じです。
この人のプレイスタイルを私なりに表現すると、弾きまくり系のフュージョン・ギターみたいな演奏をするキーボード奏者です。
たとえばこの曲などは、最良のサンプルかもしれません。
2:10ぐらいからのキーボードの演奏は、いかにもギターっぽい感じではないでしょうか。
ギターのチョーキングをしているような箇所もありますし。
この人は、デイヴ・グルーシン(Dave Grusin)のように、粋で軽快なセンスで勝負するタイプではありません。
少し濃いめのフレーズを弾きまくるフュージョン・ギタリストが近似値かなと思います。
音楽自体も少し濃いめですし。
その濃いめの演奏スタイルは、彼の手による躍動する楽曲と親和性が高いように思います。
7位「I Love You More」(アルバム:Master of the Game)
■曲名:I Love You More
■曲名邦題:アイ・ラヴ・ユー・モア
■アルバム名:Master of the Game
■アルバム名邦題:マスター・オブ・ザ・ゲーム
■動画リンク:「I Love You More」
このアルバムはあまり話題になることはありませんが、他の名盤に比べても出来は劣っていません。
一般的には「アイ・ウォント・ユー・フォー・マイセルフ(I Want You for Myself)」のヒットで知られているアルバムです。
前後のアルバムに比べると、少しアーバン・ソウル色が強めかもしれません。
この曲もアーバン・ソウル系の曲といった印象を受けます。
しかしセールス的には伸び悩み、次作の「A Brazilian Love Affair」では、また演奏主体のアルバムに回帰しました。
思えばこの人の最大のヒットアルバムは、フュージョン色の強い「Reach for It」です。
当時の彼のファンは、ポップ路線やアーバン・ソウル路線を望んでいなかったのかもしれません。
さてこの曲は、ダフト・パンク(Daft Punk)が「デジタル・ラブ(Digital Love)」でサンプリングしたことで知られています。
冒頭のギターのカッティングに聞き覚えはないでしょうか。
しかしこの人は本当にギターのカッティングが好きなのですね。
8位「Brazilian Love Affair」(アルバム:Brazilian Love Affair)
■曲名:Brazilian Love Affair
■曲名邦題:ブラジリアン・ラヴ・アフェア
■アルバム名:Brazilian Love Affair
■アルバム名邦題:ブラジリアン・ラヴ・アフェア
■動画リンク:「Brazilian Love Affair」
「Brazilian Love Affair」というタイトルから、ブラジル色の強いアルバムだと思われるかもしれません。
以前からブラジル音楽に取り組んでいた人ですが、確かに他のアルバムよりブラジル色が強めになっています。
それもそのはず、以下の参加メンバーをご覧ください。
ブラジル音楽ファンは、即買いと思うことでしょう。
・フローラ・プリム(Flora Purim)
・ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)
・シモーネ(Simone)
・トニーニョ・オルタ(Toninho Horta)
・アイアート・モレイラ(Airto Moreira)
特に最終曲「アオ・ケ・ヴァイ・ナセール(Ao Que Vai Nascer)」を聞いていると、一瞬ミルトンのアルバムだと思ってしまうぐらいです。
この曲はアメリカ録音ですので、ブラジル系ミュージシャンとは共演していません。
しかし典型的なブラジリアン・フュージョンといった感じの曲に仕上がっています。
少し中だるみしているのでこの順位にしましたが、前半の歌の部分までは上位にしたいほど魅力的な曲です。
9位「Reach Out」(アルバム:Guardian of the Light)
■曲名:Reach Out
■曲名邦題:リーチ・アウト
■アルバム名:Guardian of the Light
■アルバム名邦題:ライト・メッセージ
■動画リンク:「Reach Out」
私はこのアルバムが一番好きです。
この人は楽曲重視と演奏重視と2つの側面がありますが、このアルバムはそのバランスがいいように思います。
この曲もポップな曲ですが、同様に演奏面も拮抗しているかもしれません。
この人はそういうバランス感覚にすぐれた人だと思います。
この時期彼は、ゼネラリストとしての才能を開花させつつありました。
以前からマルチな才能を持った人でしたが、このアルバムでは全体を統括する立場として手腕を発揮しています。
このアルバムの参加プレイヤーは実に100人近くになりましたが、曲に合わせてベストな人員を配置しています。
大勢参加させて適材適所に配置する手腕については、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)に似ているかもしれません。
どちらもブラコンで一世を風靡しましたしね。
ちなみにこのアルバムのキー・プレイヤーは、ギターのマイケル・センベロと、ベースのルイス・ジョンソンです。
ルイス・ジョンソンは、クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子で、ブラザーズ・ジョンソン(The Brothers Johnson)として活躍していました。
それ以外の人脈も少し被っています。
ちなみにこのアルバムはコンセプト・アルバムです。
どういう物語か気になる方は、和訳の付きのアルバムでチェックしてみてください。
10位「Shine On」(アルバム:Dream On)
■曲名:Shine On
■曲名邦題:シャイン・オン
■アルバム名:Dream On
■アルバム名邦題:ドリーム・オン
■動画リンク:「Shine On」
先程この人は時流にに乗っかるのが上手いと書きました。
時代に乗る割には、大ヒットとまでいかないところが残念ですが。
ただし生き残るためには、適度に時流を意識するのも有効な方法ではないでしょうか。
この曲はディスコでよくかかっていたようですし、それを狙ったのかもしれません。
確かに少しディスコっぽいところのある曲ですし。
実際この曲は彼のキャリアの中で3曲しかない、シングル・チャートにランクインした曲です。
一番売れたのはスタンリー・クラーク(Stanley Clarke)とコラボの曲、次にミディアム・ファンク「Reach for It」もチャートインしています。
この曲はソロ名義では最大のヒット曲で、記録上では彼の代表作となるかもしれません。
しかしディスコ寄りになっても、質をキープしているのはさすがです。
誰とは言いませんが、ディスコにすり寄り添った曲が黒歴史になっている人もいますから。
この曲はダンスフロアー以外でも機能する、すばらしい曲だと思います。
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