今回はリンダ・ルイスのランキングを作成しました。
彼女は魅力的な声質を持ったシンガーソングライターです。
キュートなそのボーカルは、気難しく頑固なリスナーをも虜にしました。
- 1 1位「Born Performer」(アルバム:Second Nature)
- 2 2位「Reach for the Truth」(アルバム:Lark)
- 3 3位「Spring Song」(アルバム:Lark)
- 4 4位「You Came」(アルバム:Woman Overboard)
- 5 5位「(Remember the Days of) The Old Schoolyard」(アルバム:Not a Little Girl Anymore)
- 6 6位「Red Light Ladies」(アルバム:Fathoms Deep)
- 7 7位「This Time I’ll Be Sweeter」(アルバム:Not a Little Girl Anymore)
- 8 8位「Angry Young Man(You Are An)」(アルバム:Kiss of Life)
- 9 9位「Rock A Doodle Doo」(アルバム:Heart Strings)
- 10 10位「Hampstead Way」(アルバム:Say No More)
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1位「Born Performer」(アルバム:Second Nature)
■曲名:Born Performer
■曲名邦題:ボーン・パフォーマー
■アルバム名:Second Nature
■アルバム名邦題:セカンド・ネイチャー
■動画リンク:「Born Performer」
彼女は同名のライブ・アルバムを発表していますが、なぜかその作品にはこの曲が入っていません。
このアルバムは久々の復帰作です。
なにせ1983年にリリースされた「A Tear and a Smile」以来12年ぶりですから。
その間彼女は、引退同然の状況に置かれていました。
ちなみに復帰前のラスト2作の時期は、彼女の低迷期でした。
実際その2作「アシエンダ・ヴュー(Hacienda View)」「ア・ティア・アンド・ア・スマイル(A Tear and a Smile)」は出来がよくありません。
復帰後のライブ盤「Born Performer」でも、その2作からは曲が選ばれていませんし。
長すぎるブランクを経て、このアルバムで彼女はやり残したことを再び始めたかのようです。
同じアルバムからもう1曲ご紹介しておきましょう。
Linda Lewis – What’s All This About?
このアルバムでは「Lark」の頃の彼女が戻ってきましたが、個人的にはそこが一番うれしいと思ったポイントでした。
2位「Reach for the Truth」(アルバム:Lark)
■曲名:Reach for the Truth
■曲名邦題:真理を求めて
■アルバム名:Lark
■アルバム名邦題:ラーク
■動画リンク:「Reach for the Truth」
彼女の最高傑作は「Lark」か「Second Nature」のどちらかだと言われています。
音楽の質だけであれば、他にもそれに近いアルバムはあるかもしれません。
しかしリンダ・ルイスらしさという点において、その2作は特別な位置にあります。
彼女の透明感のある声は、こういうナチュラルなサウンドの中でこそ映えますから。
ちなみにこのアルバム名の「Lark」とは「ひばり」という意味です。
一方この曲は「真理を求めて」という曲名。
つまりひばりが真実を求めてさえずっている曲なのですね。
このアルバムは気難しく頑固な音楽評論家、中村とうようが大好きだと公言していたことで知られています。
ちなみに彼はベスト盤「Heart Strings」のライナーノーツでも「興奮のあまり、あらぬことばかり口走っていてもしょうがない」と書いています。
音楽評論家でもなんでもなく、ただのファンではないでしょうか(笑)
しかし私は彼の気持ちが分かるような気がします。
ひばりが真実を求めて歌った曲の数々。
それはどんな気難しい評論家も武装解除させてしまう音楽でした。
3位「Spring Song」(アルバム:Lark)
■曲名:Spring Song
■曲名邦題:スプリング・ソング
■アルバム名:Lark
■アルバム名邦題:ラーク
■動画リンク:「Spring Song」
このセカンド・アルバムでは彼女の個性が開花しました。
その個性の1つは、アコースティック・ギターの軽快なカッティング。
そのカッティングは心地良いグルーヴ感を生み出し、そこに彼女のキュートなボーカルが加わると、リスナーはナチュラル・ハイになりました。
もう1曲同じアルバムから同水準の曲をご紹介します。
彼女が紡ぐフォーキー・ソウルのグルーヴ感は、後に日本でフリーソウルの文脈で再評価されました。
この曲名を訳すと「春の歌」。
彼女のギターのカッティングは、春の新鮮な若葉を感じさせますね。
しかしなんというみずみずしい音楽でしょうか。
4位「You Came」(アルバム:Woman Overboard)
■曲名:You Came
■曲名邦題:ユー・ケイム
■アルバム名:Woman Overboard
■アルバム名邦題:ウーマン・オーヴァーボード
■動画リンク:「You Came」
私はこのアルバム・ジャケットを見ると、いつも痛々しいと思ってしまいます。
スケスケの衣装を着た彼女は、ほとんど半裸の状態です。
わざわざ天使を裸にする必要はあったのでしょうか。
彼女自身が志願したとも思えませんし。
当時の夫でこのアルバムのプロデューサーの1人、ジム・クリーガン(Jim Cregan)は、よくこんなジャケットを許せたなと思います。
ちなみにアルバム名を訳すと「船外の女性」
もしかしたら船から落ちてずぶ濡れになったという設定かもしれません。
ただ音楽的にはこの曲を含め良い曲が散見されます。
同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
5位「(Remember the Days of) The Old Schoolyard」(アルバム:Not a Little Girl Anymore)
■曲名:(Remember the Days of) The Old Schoolyard
■曲名邦題:オールド・スクールヤード
■アルバム名:Not a Little Girl Anymore
■アルバム名邦題:愛の妖精
■動画リンク:「(Remember the Days of) The Old Schoolyard」
彼女はこのアルバムからアリスタ・レコード(Arista Records)に移籍しました。
ブレイクのチャンスでしたが、彼女を待ち受けていたのは大手特有の締め付けの厳しさでした。
アルバム名の「Not a Little Girl Anymore」は「もう小さな女の子じゃないのよ」という意味。
昔の彼女は自由奔放な少女でした。
以前の彼女はレコード会社からあまり口出しされず、素のままの自分を表現していました。
ただこのアルバムでは、アダルトな路線を余儀なくされています。
しかしこの内容的には悪くなく、彼女のキャリアハイである全英アルバムチャートで40位を獲得しました。
ただこの似合わない厚化粧な路線は、その後の彼女に大きな影を落としました。
次作の「Woman Overboard」ではまだ質を維持していましたが、その後がいけません。
「Hacienda View」と「A Tear and a Smile」は内容も思わしくなく、彼女はジリ貧に追い込まれました。
6位「Red Light Ladies」(アルバム:Fathoms Deep)
■曲名:Red Light Ladies
■曲名邦題:レッド・ライト・レディース
■アルバム名:Fathoms Deep
■アルバム名邦題:ファザムズ・ディープ
■動画リンク:「Red Light Ladies」
このアルバムではバックのサウンドに変化がありました。
洗練され都会派ソウルっぽいサウンドに移行しています。
ただこのアルバムは世評が高く、彼女自身も「Lark」と並ぶ自身の最高傑作に挙げています。
私も良い作品だと思いますが、少しアンビバレントな感情を抱いています。
ジェイムス・テイラー(James Taylor)が都会派サウンドを導入した時と似た印象を受けました。
音楽の水準は問題ありません。
しかし以前の素朴で繊細な感覚が失われたような気がしてしまいます。
その中でこの曲は比較的ナチュラルメイクな曲。
潜水服を着たアルバム・ジャケットもいいですね。
ちなみにレコードでは潜水服の部分を外せるようになっていて、以下の写真が現われるようになっているようです。
私が持っているのはCDなのでそうなっていませんが、その仕掛けを楽しみたい方はレコードをご検討ください。
7位「This Time I’ll Be Sweeter」(アルバム:Not a Little Girl Anymore)
■曲名:This Time I’ll Be Sweeter
■曲名邦題:ジス・タイム・アイル・ビー・スイーター
■アルバム名:Not a Little Girl Anymore
■アルバム名邦題:愛の妖精
■動画リンク:「This Time I’ll Be Sweeter」
さて彼女をご紹介するにあたり、申し上げておきたいことがあります。
彼女は同じアルバムでも異なるジャケットが多く、知っているジャケットと違うことが少なくありません。
また彼女は日本では人気がありますが、海外では日本ほどの知名度はありません。
そのせいかご紹介したくても、Youtube動画がない曲も多々あります。
また彼女のアルバムは、サブスクにもあまりありません。
たとえば私はアルバム「Whatever…」のタイトル曲をご紹介しようとしました。
しかしYoutubeにもサブスク、どちらにもありませんでした。
もし彼女を掘り下げたい方は、レコードかCDで入手する必要があります。
しかしレコードも高騰しがちで、CDも廃盤が多いです
私が所有している「Lark」の帯には「もう幻ではありません」と書いていますが、彼女のアルバムをそろえるのは意外と大変かもしれません。
彼女はシンガーソングライターなので、自ら曲を書いて歌っています。
しかしこの曲は彼女が書いた曲ではありません。
このアルバムから彼女の自作曲が減ったのは寂しいですが、自作曲でなくてもなかなか良い曲だと思います。
8位「Angry Young Man(You Are An)」(アルバム:Kiss of Life)
■曲名:Angry Young Man(You Are An)
■曲名邦題:アングリー・ヤング・マン
■アルバム名:Kiss of Life
■アルバム名邦題:キス・オブ・ライフ
■動画リンク:「Angry Young Man(You Are An)」
彼女は再評価を受けて復活した後「Second Nature」「Whatever..」「Kiss of Life」という3枚のアルバムを発表しました。
どれもすばらしい作品です。
彼女の復活には、いくつかのきっかけがありました。
ジャミロクワイ(Jamiroquai)が「トゥー・ヤング・トゥ・ダイ(Too Young to Die)」で彼女の声をサンプリングしたり、日本でもレア・グルーヴのコンピレーション「DEFINITIVE FUNK MASTERCUTS VOLUME.3」で「Sideway Shuffle」が収録されました。
またロシアのジャズ・ピアニスト、ルドミーラ(Ludmillaのアルバムでボーカルに起用されました。
更にさかのぼれば、彼女はハミングバード(Hummingbird)の曲にボーカルで参加しています。
Hummingbird – Such A Long Ways
一時期彼女のレコーディングには、マックス・ミドルトン(Max Middleton)を始めとしたハミングバードのメンバーが参加していました。
もし彼女の音源をコンプリートしたら、次は彼女の周辺も掘り下げてみてはいかがでしょうか。
9位「Rock A Doodle Doo」(アルバム:Heart Strings)
■曲名:Rock A Doodle Doo
■曲名邦題:ロック・ア・ドゥードゥル・ドゥー
■アルバム名:Heart Strings
■アルバム名邦題:ハート・ストリングス
■動画リンク:「Rock A Doodle Doo」
このアルバムはリプリーズ・レコード(Reprise Records)時代のベスト盤です。
ファースト・アルバムの曲が収録されているので、ファーストが再発される前はとても珍重しました。
しかしファーストが再発されてからも、必須アイテムであることは変わりありません。
なぜならこのアルバムには、シングルオンリーのこの曲とそのB面曲が収録されていますから。
この曲を聞いて、ベスト盤を買うかどうか判断していただければと思います。
さて彼女は一時期大人の女性として売り出されました。
しかし彼女の写真を見ると、彼女はそういうタイプではなさそうです。
たとえばこのアルバムのブックレットや以下のアルバム・ジャケットを見ると素の彼女がうかがえます。
彼女はヒッピーっぽいというか、自然派志向の人かもしれません。
10位「Hampstead Way」(アルバム:Say No More)
■曲名:Hampstead Way
■曲名邦題:ハムステッド・ウェイ
■アルバム名:Say No More
■アルバム名邦題:セイ・ノー・モア…
■動画リンク:「Hampstead Way」
彼女のファースト・アルバムの曲です。
彼女はジャマイカ系イギリス人です。
そのせいか彼女のアルバムには、時々レゲエの曲があります。
今回ご紹介したくても動画が見つからなかった「Far Cry」は、特に必聴のレゲエ・ナンバーです。
このデビュー・アルバムは、次作「Lark」ほど完成度が高くありません。
しかし興味深い曲ばかりです。
心なしか少しニューソウルっぽい感じもしますね。
彼女はアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)やジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)から強く影響されたそうです。
しかしそれだけではありません。
彼女がホワイト・ラビット(White Rabbit)というバンドに参加した1967年は、ロックの成長期でした。
特にこの曲のギターには、サイケデリックな季節の影響を感じます。
まだやりたいことが明確ではなく、サウンドも整理されていません。
しかしこの曲の1:38からをお聞きください。
若干散らかってはいますが、雑多な要素がかみ合ったすばらしい瞬間が生まれています。
この頃の彼女は、ダイヤの原石のような可能性を秘めていました。
その可能性の芽は、早くも次作「Lark」で花開いています。
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