今回はベル&セバスチャンのランキングを作成しました。
この記事の選曲はかなり難航しました。
彼らは曲の平均水準が高すぎて、抜きん出た曲を特定しがたいように思います。
良い曲を網羅することはできませんが、どれも良い曲ばかりです。
- 1 1位「I Want the World to Stop」(アルバム:Write About Love)
- 2 2位「Sleep the Clock Around」(アルバム:The Boy with the Arab Strap)
- 3 3位「Lazy Line Painter Jane」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc1)
- 4 4位「Get Me Away From Here, I’m Dying」(アルバム:If You’re Feeling Sinister)
- 5 5位「Jonathan David」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc2)
- 6 6位「Wandering Alone」(アルバム:Storytelling)
- 7 7位「Funny Little Frog」(アルバム:The Life Pursuit)
- 8 8位「Women’s Realm」(アルバム:Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant)
- 9 9位「My Wandering Days Are Over」(アルバム:Tigermilk)
- 10 10位「I Love My Car」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc2)
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1位「I Want the World to Stop」(アルバム:Write About Love)
■曲名:I Want the World to Stop
■曲名邦題:アイ・ウォント・ザ・ワールド・トゥ・ストップ〜世界よ止まれ〜
■アルバム名:Write About Love(2010年)
■アルバム名邦題:ライト・アバウト・ラヴ~愛の手紙~
■動画リンク:「I Want the World to Stop」
このアルバムはノラ・ジョーンズ(Norah Jones)の参加が話題になりました。
しかし内容はいつも通り信頼と実績のベルセバ印で、特に何か変わった印象はありません。
プロデューサーも前作と同じくトニー・ホッファー(Tony Hoffer)ですし。
私の周囲だけかもしれませんが、基本的に彼らのファンは、それほど変化を望んでいる様子はありません。
彼ららしい曲が聞ければ、それでいいと思っているようです。
たとえばこの曲のように。
イントロからメランコリーなギターが始まると、いつもの彼らだと確認して安心して聞き入ってしまいます。
平凡な生活の中で、ふと「世界を止めたい」と思う。
そうした視点も彼ららしいと思います。
2位「Sleep the Clock Around」(アルバム:The Boy with the Arab Strap)
■曲名:Sleep the Clock Around
■曲名邦題:スリープ・ザ・クロック・アラウンド
■アルバム名:The Boy with the Arab Strap(1998年)
■アルバム名邦題:ザ・ボーイ・ウィズ・ザ・アラブ・ストラップ
■動画リンク:「Sleep the Clock Around」
アルバム・タイトルは、ザ・スミス(The Smiths)の曲「The Boy With The Thorn In His Side」をもじったもの。
彼らはザ・スミスの影響を受けていることは有名な話です。
ジャケットに着色した写真を使っているのも、スミスからの影響ですし。
ちなみにスミスの曲名にある「Thorn」とは、トゲのことです。
一方アラブ・ストラップ(Arab Strap)は、彼らと同じスコットランド出身のグループ名ですが、性的な意味もあります。
スミスは「心にトゲを持った少年」。
ベルセバは「ひわいな道具を持った少年」。
悪趣味なところもザ・スミスっぽいでしょうか。
この曲はスチュアート・マードック(Stuart Murdoch)とイゾベル・キャンベル(Isobel Campbell)のハモりが良いですね。
またこのアルバムからは、ミック・クック(Mick Cooke)が正式にメンバーとなりました。
この曲でも彼のトランペットが活躍していますが、アレンジ面でも手腕を振るっていたと思われます。
この頃の彼らはネオアコっぽいところが魅力でした。
3位「Lazy Line Painter Jane」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc1)
■曲名:Lazy Line Painter Jane
■曲名邦題:レイジー・ライン-ペインター・ジェイン
■アルバム名:Push Barman to Open Old Wounds Disc1(2005年)
■アルバム名邦題:フルキズ・ソングス~アーリー・シングルス・コレクション Disc1
■動画リンク:「Lazy Line Painter Jane」
このアルバムはEPオンリーで発表した曲を集めたコンピレーションです。
この曲は「If You’re Feeling Sinister」と「The Boy with the Arab Strap」の合間、1997年7月28日にリリースされています。
この当時彼らの人気は急速に高まりつつありました。
彼らの人気は口コミで広まりましたが、その過程でアルバム未収録EPは大きな役割をはたしました。
この曲の成功の要因は、モニカ・クイーン(Monica Queen)という女性ボーカルとの共演です。
可憐なイゾベルとは異なるパンチの利いたモニカのボーカルがとても印象的でした。
アルバム1枚通してはイゾベルの方がバンドのカラーに合っていますが、EP単発としては良い人選だったと思います。
4位「Get Me Away From Here, I’m Dying」(アルバム:If You’re Feeling Sinister)
■曲名:Get Me Away From Here, I’m Dying
■曲名邦題:消えてしまいそうな僕を連れ出して
■アルバム名:If You’re Feeling Sinister(1996年)
■アルバム名邦題:天使のため息
■動画リンク:「Get Me Away From Here, I’m Dying」
この曲の邦題を直訳すると「死にかけている僕をここから連れ出して」です。
「彼らは僕が文章で示さないと気づかないのだろう。さようならをお知らせしますと」といささかメンヘラっぽい歌詞の曲です。
ただ古くからのファンとしては、このはかなげな歌詞はたまりません。
初期の彼らは地味で暗めな曲も多かったように思います。
彼らの音楽を好きになるということは、そういう曲を聞くということでした。
しかし後に彼らは明るく外向的な面を表に出し始めました。
今の彼らに物足りなさを感じている人は、当時の地味な作風が好きなのかもしれません。
少なくとも私はそうです。
ただ同時にそういう曲の合間で、この曲とか「映画の中のディランのように(Like Dylan In The Movies)」などの快活な曲にも耳そばだてたものです。
5位「Jonathan David」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc2)
■曲名:Jonathan David
■曲名邦題:ジョナサン:デイヴィッド
■アルバム名:Push Barman to Open Old Wounds Disc2(2005年)
■アルバム名邦題:フルキズ・ソングス~アーリー・シングルス・コレクション Disc2
■動画リンク:「Jonathan David」
当時の彼らはアルバム未収録曲ばかりのEPを定期的にリリースしていました。
そのEP7枚をまとめたのが、この編集盤。
日本語のタイトルは「フルキズ・ソングス」と名付けられています。
原題の「Open Old Wounds」を簡潔に表現した、すばらしい邦題ではないでしょうか。
「黒歴史集」みたいなイメージも彼ららしいですし。
さてこの曲の歌詞は以下のようなもの。
私はあなたが別の女性を好きなことを知っている。彼女もそれに気づいているし、私も彼女のことが好きだしね。
なにも戦争に連れていかれるわけじゃない、もっと最悪なことだってある。
でも私の木馬には、まだあなたのスペースが空いているよ。
たしかに古傷っぽい感じがしますね。
それを上ずった男性ボーカルで歌うところが倒錯的な印象を与えます。
6位「Wandering Alone」(アルバム:Storytelling)
■曲名:Wandering Alone
■曲名邦題:独り、さまよって
■アルバム名:Storytelling(2002年)
■アルバム名邦題:ストーリーテリング
■動画リンク:「Wandering Alone」
この作品はトッド・ソロンス(Todd Solondz)監督の同名映画のサントラです。
ただこのアルバムから使われた楽曲は、わずか6分程度にすぎません。
正確には映画に提供した曲を含む「サントラ風アルバム」といった方がいいようです。
その立ち位置のあいまいさゆえか、このアルバムはあまり人気がありません。
しかし私は割と好きで、アルバムタイトル曲など、他にもいくつか好きな曲があります。
Belle and Sebastian – Storytelling
私はキラーな曲さえあれば、アルバム全体の良し悪しを気にしない人です。
きっとDJには、そういう人が少なくないはず。
一方次作「Dear Catastrophe Waitress」は、トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)がプロデュースした作品で、決して悪い出来ではありませんが、突出した曲がありませんでした。
「Storytelling」はキラー曲が2曲ありましたので、私としては大満足です。
7位「Funny Little Frog」(アルバム:The Life Pursuit)
■曲名:Funny Little Frog
■曲名邦題:ファニー・リトル・フロッグ
■アルバム名:The Life Pursuit(2006年)
■アルバム名邦題:ライフ・パースート
■動画リンク:「Funny Little Frog」
初期の彼らは繊細な作風でしたが、その後マイナーチェンジしました。
その最大のポイントが、この曲にうかがえる外向的なポップ路線です。
初期の曲にはある種のマジックを感じますが、それらの魅力は思春期のように一過性だったかもしれません。
このアルバムの時には既にデビューから10年が経過していました。
10年という年月を考えた時、彼らが変化しても不思議はありません。
しかし彼らは初期のような追い求める姿勢を忘れたわけではなさそうです。
この曲の歌詞には「私は詩人としての人生を生きている」という一節があります。
それにこのアルバムのタイトルは「人生の追求」という意味。
彼らは不安定で揺れ動く時期をしのぎ切りましたが、今もなおファンの伴走者であり続けています。
8位「Women’s Realm」(アルバム:Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant)
■曲名:Women’s Realm
■曲名邦題:月刊「Woman’s Realm」
■アルバム名:Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant(2005年)
■アルバム名邦題:わたしのなかの悪魔
■動画リンク:「Women’s Realm」
今回の選曲で一番迷ったのは大曲「ディス・イズ・ジャスト・ア・モダン・ロック・ソング(This Is Just a Modern Rock Song)」の扱いです。
はっきり言って、良い曲が多すぎて良い曲を網羅できません。
たとえ20選にしたとしても、この水準を維持できると思います。
そこで私は開き直ることにしました。
彼らを初めて聞く人に向けて選曲すればそれでいいと。
この曲の歌詞はこういう内容です。
もし私たちが妥協できたなら、私はあなたと一緒にいられるだろう。
ダンサー達が去って後片付けしている間、私は歌のことを考えている。ある男の子と女の子の恋愛の曲を。
彼らの曲で歌われているのは、ささいな日常、個人の内面、そうしたミニマムな世界です。
そうしたこじんまりした曲だけ紹介すれば良いと思えてきました。
とはいえ「This Is Just a Modern Rock Song」は文中でご紹介しましょう。
Belle and Sebastian – This Is Just a Modern Rock Song
この曲が一番好きという人も少なくない傑作です。
9位「My Wandering Days Are Over」(アルバム:Tigermilk)
■曲名:My Wandering Days Are Over
■曲名邦題:彷徨える日々の終焉
■アルバム名:Tigermilk(1996年)
■アルバム名邦題:タイガーミルク
■動画リンク:「My Wandering Days Are Over」
彼らはザ・スミスの影響を受けていますが、音楽が持つ効能も少し似ています。
それは心が揺れ動きやすい人の心にシンクロし、鎮痛剤としての役割をはたすこと。
この曲で主人公は、僕のさまよえる時代は終わったと歌っています。
主人公はヒップホップを聞いたり似合わないブーツを買ったり、そういうとっちらかった日々を終わりにしたようです。
彼はイゾベルに「そんな僕は退屈な男になっていないだろうか」と質問をすると、イゾベルは「生き地獄だったね」と答えています。
この頃の彼らは、アコースティックでどこかチープなサウンド、繊細な音の手触り、ヘタウマで気弱なボーカル、不安定な心情を吐露した歌詞などで世界をつくり上げていました。
さてこのアルバムは、元々Electric Honeyから1000枚限定で発売されたものです。
その後人気が出てきた1999年に、Jeepster Recordsから再発されました。
このアルバムの存在は再発前から知られていて、私を含む再発を知った当時のファンは色めき立ちました。
10位「I Love My Car」(アルバム:Push Barman to Open Old Wounds Disc2)
■曲名:I Love My Car
■曲名邦題:アイ・ラヴ・マイ・カー
■アルバム名:Push Barman to Open Old Wounds Disc2(2005年)
■アルバム名邦題:フルキズ・ソングス~アーリー・シングルス・コレクション Disc2
■動画リンク:「I Love My Car」
このアルバムはオリジナル・アルバム未収録曲ばかりのEPをまとめた編集盤です。
発売した当時は私の周囲でも狂喜と戸惑いの声が混在していんた。
戸惑いの声は、コツコツとEPを買っていた熱心なファンの声です。
彼らの一部は泣く泣く買い集めたEPを手放して、このアルバムで買い直しました。
中古CD市場には、彼らが売ったEPが無念そうにダブついていました。
さてこの曲は彼らの中で最も気持ちが軽くなる曲です。
2:44から楽しげにホーンが鳴り響く箇所は、とてもほがらかで心地良く響きますね。
次の聞きどころは、3:30ぐらいからワルツに変化するところ。
聞き終わった後に幸福な余韻が残ります。
この記事も幸せな気分で聞き終えていただけたら、とてもうれしいです。
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