ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】
今回はジャンゴ・ラインハルトのランキングを作成しました。
彼は古い時代のギタリストですが、その演奏は今もなお多くのギタリストを魅了しています。
ギターを弾く人は、一度彼の演奏を体験しておいた方がいいかもしれません。
- 1 1位「The World Is Waiting for the Sunrise」(アルバム:Djangology)
- 2 2位「Minor Swing」(アルバム:Djangology)
- 3 3位「Fine and Dandy」(アルバム:The Last Studio Sessions)
- 4 4位「Shine」(アルバム:In Memorium)
- 5 5位「I Got Rhythm」(アルバム:Djangology)
- 6 6位「Moppin’ The Bride」(アルバム:The Electric Years)
- 7 7位「Night and Day」(アルバム:The Electric Years)
- 8 8位「After You’ve Gone」(アルバム:Djangology)
- 9 9位「Hot Lips」(アルバム:In Memorium)
- 10 10位「Nuages」(アルバム:The Last Studio Sessions)
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1位「The World Is Waiting for the Sunrise」(アルバム:Djangology)
■曲名:The World Is Waiting for the Sunrise
■曲名邦題:世界は日の出を待っている
■アルバム名:Djangology
■アルバム名邦題:ジャンゴロジー
■動画リンク:「The World Is Waiting for the Sunrise」
一般的にジャズという音楽は、1950年代以降のハードバップ以降の音楽をイメージすることが多いと思います。
しかしハードバップは、それより前の豊かな遺産をすべて継承したわけではありません。
演奏スタイルの違いだけでなく、演奏される曲にも断絶がありました。
たとえばこの名曲はハードバップ以降には、演奏されることが少なくなりました。
しかしそれも当然のことだったかもしれません。
この曲は第一次世界大戦の終結年である1918年に書かれました。
早く第一次世界大戦が終わってほしいという願いが込められた曲です。
一方ハードバップは第二次世界大戦が終結して十年以上経過してからの音楽ですから、古くさい曲と思われたかもしれません。
しかし私はこの曲が好きで、様々なバージョンを聞き漁りました。
中でもジャンゴのバージョンと並んでおすすめなのが、以下の曲です。
George Lewis – The World Is Waiting For The Sunrise
ジョージ・ルイスの曲は、ローレンス・マレロ(Lawrence Marrero)による鬼神級のバンジョーが圧巻です。
2位「Minor Swing」(アルバム:Djangology)
■曲名:Minor Swing
■曲名邦題:マイナー・スイング
■アルバム名:Djangology
■アルバム名邦題:ジャンゴロジー
■動画リンク:「Minor Swing」
この曲は彼の代表曲と呼ばれています。
この記事では、有名曲やヒット曲という理由だけで優遇はしません。
また私の好みとも異なっています。
初めてジャンゴを聞いた方に気に入ってもらえるかどうか、それしか考えていません。
とはいえ、できる範囲ではカバーしたいと思いますが。
ここでもよく知られているアルバム・タイトル曲を補足しておきましょう。
この曲はタイトル通りマイナー調のテーマ部が特徴的です。
ヨーロピアンな香りもいいですね。
3位「Fine and Dandy」(アルバム:The Last Studio Sessions)
■曲名:Fine and Dandy
■曲名邦題:ファイン・アンド・ダンディ
■アルバム名:The Last Studio Sessions
■アルバム名邦題:ザ・ラスト・スタジオ・セッションズ
■動画リンク:「Fine and Dandy」
彼の音楽はジプシーのロマ音楽とアメリカのスウィング・ジャズを折衷したものでした。
そのため「ジプシー・スウィング」「ジプシー・ジャズ」と呼ばれています。
ジャンゴはヨーロッパで旅芸人の一家に生まれ、幼少期からギターを演奏していました。
彼は16歳で初レコーディングを経験するほどの早熟ぶりでした。
しかし一方で彼はアメリカのジャズに夢中で、積極的に自分の演奏に取り入れていました。
このアルバムは彼の遺作です。
彼は亡くなった年、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)の依頼により、喜んでライブに参加したそうです。
最初は乗り気でなかったが、出演者がディジーであることを知ると態度を変え、すぐに滞在先のホテルから公演会場へ向かったという[6]。5月、スイス公演を行っていたジャンゴは指の障害や頭痛に悩まされるようになるが、診察を受けることは拒否し続けた[5]。
同年の1953年、彼は43歳という若さで亡くなりました。
死因は脳出血。
ハードバップが勃興しモダン・ジャズの急成長した年、彼はこの世を去りました。
もし彼が存命でアメリカに活動の舞台を移したとしたらと思うにつけ、早すぎる死が惜しまれます。
4位「Shine」(アルバム:In Memorium)
■曲名:Shine
■曲名邦題:シャイン
■アルバム名:In Memorium
■アルバム名邦題:イン・メモリアム
■動画リンク:「Shine」
ジャンゴを語る上で、どうしてもご紹介しなければいけない人がいます。
その人の名前はステファン・グラッペリ(Stephane Grappelli)。
彼はヴァイオリン奏者としてジャンゴとタッグを組み、華麗な演奏を披露しました。
2人の演奏はたちまち大きな評判を呼びましたが、ジャンゴは昔の浮雲のような放浪生活を懐かしんでいたそうです。
その後2人は決別し、フランス・ホット・クラブ五重奏団は解散することになりました。
ただ既にジャンゴの名声は、ヨーロッパ中に知れ渡っていました。
第二次世界大戦でパリがナチス・ドイツの支配下に置かれた時、ジャンゴの親族は強制収容所に送り込まれました。
しかしナチスの将校にもジャンゴのファンは多く、そのおかげで彼は強制収容所送りにならずに済んだそうです。
5位「I Got Rhythm」(アルバム:Djangology)
■曲名:I Got Rhythm
■曲名邦題:アイ・ガット・リズム
■アルバム名:Djangology
■アルバム名邦題:ジャンゴロジー
■動画リンク:「I Got Rhythm」
彼の最高傑作はこのアルバムだと思います。
当時はSPレコードが主流で、アルバムは寄せ集めの編集盤ばかり。
アーティストが自らの意思で、アルバムの編集権を行使できた時代ではありませんでした。
そのせいか彼のアルバムの多くには、まとまりや必然性を感じません。
良い選曲の編集盤とそうでないものがあるだけです。
この「Djangology」は「In Memorium」と並んで、かなり質の高い編集盤だと思います。
最初の1枚としても最適ですし。
私は廉価で入手した10枚組やボックスセットでジャンゴを聞くことが多いですが、さすがに入門者にはおすすめできません。
6位「Moppin’ The Bride」(アルバム:The Electric Years)
■曲名:Moppin’ The Bride
■曲名邦題:モッピン・ザ・ブライド
■アルバム名:The Electric Years
■動画リンク:「Moppin’ The Bride」
ジャンゴは基本的にアコースティック・ギターを使用しています。
しかし後に彼はエレクトリック・ギターでのレコーディングも残しています。
私としてはアコギ特有の瞬発力を活かした演奏の方が好みですが、このアルバムを聞く限りエレキのジャンゴも思うほど悪くありません。
弘法筆を選ばずといったところでしょうか。
彼は後年になればなるほど、ジャズの影響が色濃くなってきたように感じます、
実際この曲にもウェストコースト・ジャズの影響を感じます。
彼の演奏はそれほど長くありませんが、綱渡りをしていようなスリルがあります。
当時は短い曲ばかりでしたので、短い時間でどれほどアピールができるかが重要でした。
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のように長尺でないと良さが伝わりにくい人もいますが、ジャンゴは短い時間で爪跡を残せる人でした。
7位「Night and Day」(アルバム:The Electric Years)
■曲名:Night and Day
■曲名邦題:ナイト・アンド・デイ
■アルバム名:The Electric Years
■動画リンク:「Night and Day」
この記事では、かなり古い時代の曲ばかりをご紹介しています。
私は古い音楽でも苦になりませんが、おそらく苦手な方もいらっしゃると思います。
そういう方にとって第二次世界大戦以前の音楽は、古めかしく感じられるかもしれません。
音質的にもかなりか細いですし。
ただそういう方も古い曲をまとまった量聞いて慣れれば、違和感を感じなくなるかもしれません。
私はそうやって古い音楽に親しんでいきました。
音の悪さに慣れて初めてその音楽の本質的な魅力が理解できることがあります。
それと古くても新鮮な曲で、苦手意識を克服するのも有効かもしれません。
この曲は今でもよく演奏されている、有名なジャズ・スタンダードです。
ロック・ポップスファンにも、エヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But the Girl)のバージョンが知られています。
古い音楽を親しむきっかけになれば思い、この曲をご紹介してみました。
8位「After You’ve Gone」(アルバム:Djangology)
■曲名:After You’ve Gone
■曲名邦題:アフター・ユーブ・ゴーン
■アルバム名:Djangology
■アルバム名邦題:ジャンゴロジー
■動画リンク:「After You’ve Gone」
彼は火事の後遺症で、フレットを押さえる左手の薬指と小指が動かなくなりました。
通常ギタリストの左手は親指を使うことが少なく、残りの4本でフレットを押さえます。
彼は2本の指でフレットを押さえることになりました。
しかし彼の演奏にはそのハンデを全く感じさせません。
彼はサッカーでいえば、ブラジル・サッカー史上最高の右ウイングと呼ばれるガリンシャに似ているかもしれません。
ガリンシャは右足が左足より6cm長いという身体上のハンデがありながら、サッカーの王様ペレと並び称される存在でした。
ジャンゴとガリンシャ、どちらもそのハンデゆえに個性を獲得し突出したと思う人がいるかもしれません。
ただ私はそうした側面はあったにしても、そう簡単ではなかったと思います。
ガリンシャもふぞろいゆえに足に負担がかかったそうですが、ジャンゴも相当苦労したのではないかと推察します。
ただ2人はどちらもイマジネーションが桁違いでした。
彼らはそのハンデを感じさせない技術力だけでなく、想像力の豊かさで人々を魅了しました。
9位「Hot Lips」(アルバム:In Memorium)
■曲名:Hot Lips
■曲名邦題:ホット・リップ
■アルバム名:In Memorium
■アルバム名邦題:イン・メモリアム
■動画リンク:「Hot Lips」
ジャンゴの存在は、アメリカのジャズ・シーンにも影響を与えました。
昔のギターは今の感覚とは違って単音弾きではなく、コード弾き用の楽器だと考えられていたようです。
しかしジャンゴは、甘美でスリリングなシングルノートを武器にしていました。
ジャンゴはシングルノートの演奏を得意としたチャーリー・クリスチャン(Charlie Christian)にも先んじていました。
そしてジャンゴとチャーリー・クリスチャンの2人から影響を受けたのが、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)。
私は今回改めてジャンゴの演奏を聞いて、単音とコード奏法の相乗効果で盛り上げていく手法に、ウェスとの共通点を感じました。
ジャズ・ギターの王座が継承されている感じがします。
そしてジャンゴの音楽は、ジャズ以外のアメリカの音楽にも影響を与えました。
ダン・ヒックス(Dan Hicks)やレオン・レッドボーン(Leon Redbone)の源流をたどると、ジャンゴ・ラインハルトに行き着くと思います。
10位「Nuages」(アルバム:The Last Studio Sessions)
■曲名:Nuages
■曲名邦題:ヌアージュ
■アルバム名:The Last Studio Sessions
■アルバム名邦題:ザ・ラスト・スタジオ・セッションズ
■動画リンク:「Nuages」
時々古いジャズ・プレイヤーには、桁違いにとんでもない実力者がいます。
名前を出したら最後、誰も適わない問答無用でラスボス・クラスの人。
たとえばデューク・エリントン(Duke Ellington)、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)、そしてジャンゴもその1人です。
ただ先程述べたように、ジャンゴは左指が2本しか動かせませんでした。
しかしそれでも彼はギタリストの歴史でも頂点の1人といえる高みに到達しました。
ウディ・アレン監督の映画「ギター弾きの恋」には、自分の才能に絶対の確信を持つギタリストが登場します。
彼は自分を世界で2番目のギタリストだと主張していました。
その自信家の彼が自分を超える1番だとしていたのが、ジャンゴ・ラインハルト。
もし2本指で世界最高のギタリストになる漫画や小説を書こうとしたら、編集者に止められるかもしれません。
あまりにも現実味がないと。
しかし音楽は出てきた音がすべてです。
ジャンゴ・ラインハルトは、2本の指でもすごい人ではありません。
指の数に関係なく、演奏そのものが余人には到達しがたい高みに達した人です。
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