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アズテック・カメラ(Aztec Camera)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はアズテック・カメラのランキングを作成しました。

デビュー時の彼らはネオアコ色が強いバンドでしたが、その後は落ち着いた作風に変化しました。

上位にはネオアコの定番曲ばかりですが、どれもすばらしい曲ばかりです。

しかし後期にも良い曲があります。

初期のネオアコ・クラシックの印象が強い方は、ラスト2曲を聞いてみてください。

 

1位「Pillar to Post」(アルバム:High Land, Hard Rain)

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■曲名:Pillar to Post
■曲名邦題:ピラー・トゥ・ポスト
■アルバム名:High Land, Hard Rain(1983年)
■アルバム名邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン
■動画リンク:「Pillar to Post」

このアルバムはネオアコを代表する完全無欠のマスターピースです。

宮子和眞氏の「ネオアコ通信~ネオ・アコースティック・ディスク・コレクション」でも、最初に挙げられていました。

ただこのブログは同じアルバムから曲を選びすぎないようにしているので、4曲だけしか選んでいません。

そうした制約がなかったら「ザ・ビューグル・サウンズ・アゲイン(The Bugle Sounds Again)」あたりも取り上げたかったです。

この曲の歌詞は「僕を見たら、君は随分成長したねと言うだろう」と始まっています。

当時ロディ・フレイム(Roddy Frame)は、まだ19歳でした。

大人になる一歩手前のワンシーンを切り取ったような、キラキラしたまぶしい曲です。

イントロの後に始まるボーカルは、まさに一斉に駆け出す感じではないでしょうか。

確かに青くさい部分が残る曲かもしれません。

その一方ギターのカッティングはすばらしく、既に演奏面においては完成の域に達しているように感じます。

こういう大人と子供のアンバランスを楽しむのが、ネオアコの醍醐味の1つかもしれません。

 

2位「Oblivious」(アルバム:High Land, Hard Rain)

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■曲名:Oblivious
■曲名邦題:思い出のサニービート
■アルバム名:High Land, Hard Rain(1983年)
■アルバム名邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン
■動画リンク:「Oblivious」

私は曲名を英語名で覚える人です。

このブログで邦題を載せる時に初めて、こんな日本語タイトルだったのかと驚くことがあります。

しかしこの曲に関しては「思い出のサニービート」でなければいけません。

1980年代特有の浮ついた感じがする曲名ですし、よく考えたら意味だって分かりません。

ただ暖かい日差しの中、心地よいビートに揺られて、まだそんな年でもないのに過去を振り返る、そんな中二病的な老成がいいですね。

英語の曲名は「Oblivious」で「気づかない」という意味ですから、原題の方はいささか味気ないように思います。

雰囲気のある邦題を付けた人は、グッジョブではないでしょうか。

さてこの曲の動画は女性ファン必見です。

当時はまだ20歳になっていないロディ・フレームの美少年っぷりを確認することができます。

私は写真で見るロディよりイケメンだと感じました。

童顔の人は実際より写真写りが良くない場合がありますが、彼もそういうタイプなのかもしれません。

この動画のロディの美貌は、デビュー時のチャーリー・セクストン(Charlie Sexton)にも負けていませんね。

 

3位「The Boy Wonders」(アルバム:High Land, Hard Rain)

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■曲名:The Boy Wonders
■曲名邦題:ザ・ボーイ・ワンダーズ
■アルバム名:High Land, Hard Rain(1983年)
■アルバム名邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン
■動画リンク:「The Boy Wonders」

この曲はロディ・フレイムがどんな少年だったかをよく物語っています。

彼は天才肌だと思いますが、自分でもそれを自覚していたようです。

歌詞もこんな感じですし。

親友にも話したけれど、理解してもらえなかった

友の下から立ち去った時、僕はある思いに至った

雨を感じる、僕は天才だと

他の歌詞にも感じられますが、当時の彼は夢見がちな文学少年といった印象を受けます。

ちなみに「High Land, Hard Rain」というアルバム名の由来を調べてみました。

何かの文学作品から引用されたのではないかと思って。

しかしそれらしき情報は見つかりませんでした。

もしかしたらロディが自分で考えた言葉なのかもしれません。

直訳すると「高い場所にある土地、激しい雨」です。

彼が言いたいのは「高みにある者は、厳しい試練が運命づけられている」ということでしょうか。

才能を持った人がその才能ゆえ抱える生きづらさを表現した言葉で、先程ご紹介した歌詞の延長線上にある思いだと思われます。

 

4位「All I Need Is Everything」(アルバム:Knife)

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■曲名:All I Need Is Everything
■曲名邦題:オール・アイ・ニード・イズ・エヴリシング
■アルバム名:Knife(1984年)
■アルバム名邦題:ナイフ
■動画リンク:「All I Need Is Everything」

デビュー時から彼らの音楽には、ラテン音楽の影響が感じられました。

この曲もラテン・テイストです。

その背景としては、当時流行っていたファンカラティーナの影響があったかもしれません。

このアルバムの前年となる1983年、ワム!(Wham!)はラテンを取り入れた「ファンタスティック(Fantastic)」が大ヒットしました。

またヘアカット100(Haircut 100)の「ペリカン・ウェスト(Pelican West)」がリリースされたのは1982年。

1984年にリリースされたこの曲は、そうした一連の流れの延長線上にあったかもしれません。

このアルバムの後、彼らは脱ネオアコを試みています。

しかしその方向性は、必ずしもロック的とはいえませんでした。

彼らはネオアコというロックのサブジャンルから派生したバンドです。

その為ファンはネオアコか、もしくはロックでの活動を期待したかもしれません。

しかし次作はブラコン風に変化したことで、ファンとの間にすれ違いが生じました。

当時のファンが好きなのは、この「All I Need Is Everything」みたいな曲だったのですね。

 

5位「Walk Out to Winter」(アルバム:High Land, Hard Rain)

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■曲名:Walk Out to Winter
■曲名邦題:ウォーク・アウト・トゥ・ウィンター
■アルバム名:High Land, Hard Rain(1983年)
■アルバム名邦題:ハイ・ランド、ハード・レイン
■動画リンク:「Walk Out to Winter」

彼らはこのデビューアルバム前に、シングルを1枚発表しています。

アルバム未収録曲なので、未聴の方もいらっしゃると思います。

リンクを貼っておきましょう。

Aztec Camera – Just Like Gold

既に彼らの個性が表れていますね。

上のシングルは1981年ポストカード・レコーズ(Postcard Records)からリリースされました。

ポストカードは、エドウィン・コリンズ(Edwyn Collins)とアラン・ホーン(lan Horne)が設立したインディ・レーベルです。

当時16歳のロディが21歳のエドウィン・コリンズと出会ったことで、この7インチシングルが実現しました。

しかしみんな若いですね。

ちなみにエドウィン・コリンズは1982年、ネオアコ名盤「ユー・キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー(You Can’t Hide Your Love Forever)」でデビューしています。

その翌年1983年19歳になったロディも、ラフ・トレード・レコード(Rough Trade Records)から、アルバム・デビューを果たしました。

ラフ・トレードといえば、ザ・スミス(The Smiths)が有名ですが、同年1983年スミスもシングル・デビューしています。

1982年と1983年の2年間は、こういう音楽が好きな人にとって重要な年でした。

この曲は冬に向かって歩き出そうという内容の曲です。

そんな中二病的なテーマもまた、とてもほほえましいですね。

 

6位「Somewhere in My Heart」(アルバム:Love)

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■曲名:Somewhere in My Heart
■曲名邦題:イン・マイ・ハート
■アルバム名:Love(1987年)
■アルバム名邦題:ラヴ
■動画リンク:「Somewhere in My Heart」

サード・アルバムからの曲です。

彼らはこのアルバムで、大きく音楽性を変えています。

ネオアコからソウル寄りになり、バンド・サウンドから打ち込みを使ったサウンドになりました。

当時のロディは、アニタ・ベイカー(Anita Baker)あたりの線を狙っていたようですね。

今ではそれなりに評価されていますが、リリース時ファンはとても驚いたと思います。

あの繊細なサウンドは、どこに行ってしまったのかと。

ただセールス的には大成功でした。

このアルバムは過去最高の10位を獲得しましたし、この曲はシングルカットされ、全英シングルチャートで3位を獲得しています。

昔のファンはキーボード主体のサウンド、激しすぎるギター、後半に入るサックスなどが気になるかもしれません。

 

7位「The Crying Scene」(アルバム:Stray)

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■曲名:The Crying Scene
■曲名邦題:クライング・シーン
■アルバム名:Stray(1990年)
■アルバム名邦題:ストレイ
■動画リンク:「The Crying Scene」

前作「Love」ではR&B色が強くなりました。

しかしこのアルバムはロック色の強い曲や、ジャズっぽい曲など、様々なタイプの曲が収録されています。

アルバムタイトルの「Stray」とは「迷っている」という意味ですが、確かに少し焦点が定まっていない感じがしないでもありません。

このアルバムの注目曲は「The Crying Scene」と「Good Morning Britain」です。

選外にした「グッド・モーニン・ブリテン(Good Morning Britain)」は、リンクだけ貼っておきましょう。

Aztec Camera – Good Morning Britain

どちらの曲もロック色が強く、当時私はこういう曲ばかりにしてほしいと思ったものでした。

あとこのアルバムの後彼らは「カヴァーズ&レア(Covers & Rare)」という日本独自の編集盤を発表しています。

そこに収録されているカバー曲をご紹介します。

Aztec Camera – Jump

なんとヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」のカバーです。

あの元気いっぱいの曲をしっとりとカバーして、そのミスマッチな解釈が当時大きな話題を呼びました。

 

8位「Still on Fire」(アルバム:Knife)

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■曲名:Still on Fire
■曲名邦題:スティル・オン・​ファイア
■アルバム名:Knife(1984年)
■アルバム名邦題:ナイフ
■動画リンク:「Still on Fire」

「High Land, Hard Rain」の後、彼らはメジャーのレコード会社から声が掛かりました。

このアルバムは、WEA移籍後の第一弾です。

前作のネオアコ路線を踏襲していますが、中には9分を超える大曲も収録されています。

その大曲志向は、プロデューサーのマーク・ノップラー(Mark Knopfler)の影響だったかもしれません。

さて彼のギター・プレイについて、少し触れておきましょう。

彼のプレイは「The Boy Wonders」を聞けば分かるように、スパニッシュ・ギターからの影響を感じます。

軽快なギターのカッティング、そしてスパニッシュっぽいフレーズが、当時の特徴だったかもしれません。

ちなみに彼が影響を受けたギタリストは、クラッシュのミック・ジョーンズ(Mick Jones)とウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)なのだそうです。

 

9位「Crazy」(アルバム:Frestonia)

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■曲名:Crazy
■曲名邦題:クレイジー
■アルバム名:Frestonia(1995年)
■アルバム名邦題:フレストーニア
■動画リンク:「Crazy」

このアルバムでは「レイニー・シーズン(Rainy Season)」や「サン(Sun)」あたりを挙げるのが妥当かもしれませんが、私のイチオシはこの曲です。

シングルカットされた「Sun」は、リンクだけ貼っておきましょう。

Aztec Camera – Sun

選曲から丸分かりですが、私はファースト・アルバムが最高傑作だと思っています。

しかし今回改めて、後期のアルバムを再評価してみようと考えました。

良い作品だということは知っていましたが、あまり聞き返してきませんでしたから。

改めて聞きなおしてみるとシングル向きの曲こそ多くありませんが、アルバム単位で聞くと充実作ぞろいです。

このアルバムは有終の美を飾るにふさわしい名作です。

その後ロディ・フレイム(Roddy Frame)は、ソロ活動に移行しました。

といっても「Love」以降は、実質的にソロ・プロジェクトみたいなものでしたが。

 

10位「The Belle of the Ball」(アルバム:Dreamland)

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■曲名:The Belle of the Ball
■曲名邦題:ベル・オブ・ザ・ボール
■アルバム名:Dreamland(1993年)
■アルバム名邦題:ドリームランド
■動画リンク:「The Belle of the Ball」

このアルバムは坂本龍一がプロデュースしています。

坂本龍一はヴァージニア・アストレイ(Virginia Astley)など、プロデューサーとしてもすばらしい仕事を残しました。

中には教授らしいアレンジの曲もありますが、全体的にロディの歌を活かそうという意図を感じます。

同じアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。

Aztec Camera – Spanish Horses

私はロディの強味は才気走ったギターの演奏、そしてソングライティング能力の高さにあります。

初期は即効性の高い曲が目立ちました。

しかしこの時期は、繰り返し聞いて初めて気付くじんわり沁みる曲が増えました。

こうした即効性から遅効性への変化、それに伴い深みが増したメロディは、ソングライターとしてより成熟した境地に至ったことを示しています。

私はこの曲が一番好きだという人がいてもおかしくないと思います。

 

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