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ステレオラブ(Stereolab)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はステレオラブのランキングを作成しました。

この記事では便宜上順位を付けましたが、リリース順に曲を配置しました。

彼らの変遷を把握しやすいようにしています。

知的でセンス抜群の音楽をご堪能ください。

 

1位「Peng! 33」(アルバム:Peng!)

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■曲名:Peng! 33
■曲名邦題:ペン!33
■アルバム名:Peng!
■アルバム名邦題:ペン!
■動画リンク:「Peng! 33」

デビュー・アルバムの曲です。

当初の彼らはギターポップやシューゲイザーに近い音楽性でした。

彼らは実験的でモンド/ラウンジ色が強まった「Emperor Tomato Ketchup」以降が人気です。

しかし私は本質的にはそれほど変わっていないと思います。

昔のギターポップは、それほど売れる音楽ではありませんでした。

プロフェッショナリズムから距離をとっている分、好き勝手にやっているところがありました。

またシューゲイザーにも似たところがあります。

今でこそシューゲイザーはそれなりに好む層がありますが、このアルバムがリリースされた1992年にはまだ限定的でした

この曲も聞きやすいですが、売れそうな商業向きの音楽ではありません。

このアルバムでは、以下の曲も魅力です。

Stereolab – Orgiastic

 

2位「Pack Yr Romantic Mind」(アルバム:Transient Random-Noise Bursts with Announcements)

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■曲名:Pack Yr Romantic Mind
■曲名邦題:パック・ユア・ロマンティック・マインド
■アルバム名:Transient Random-Noise Bursts with Announcements
■アルバム名邦題:騒音的美学の終焉
■動画リンク:「Pack Yr Romantic Mind」

前作からメンバー構成に変化がありました。

ベースとドラムが脱退し、代わりに4人が加入しました

ファーストの中心人物は、ティム・ゲイン(Tim Gane)、レティシア・サディエール(Laetitia Sadier)の2人。

2人はメインソングライターでもありました。

一方新加入の4人で私がカギを握っていたと思うのは、ショーン・オヘイガン(Sean O’Hagan)とメアリー・ハンセン(Mary Hansen)。

ショーン・オヘイガンは、ステレオラブの兄弟バンドといえるハイラマズ(The High Llamas)の中心人物です。

メアリー・ハンセンが加わったことにより、レティシア・サディエールと合わせて女性ボーカルが2人になりました。

これで多彩なボーカル・アレンジが可能となる下地が整いました。

また元々彼らは担当楽器が流動的でしたが、メンバーが増えたことによって、サウンドの選択肢が広がりました。

 

3位「Ping Pong」(アルバム:Mars Audiac Quintet)

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■曲名:Ping Pong
■曲名邦題:ピン・ポン
■アルバム名:Mars Audiac Quintet
■アルバム名邦題:マーズ・オーディアック・クインテット
■動画リンク:「Ping Pong」

このアルバムは全英アルバムチャートで16位を記録し、一躍彼らはブレイクしました。

またこの曲もシングルカットされ、チャートで45位を記録しました。

確かにこの曲はヒットしそうな感じがしますね。

実際この頃から彼らは、日本の音楽誌で取り上げられる機会が増えてきました。

またこのアルバムは大手のエレクトラ・レコード(Elektra Records)からリリースされました。

大手のレコード会社に所属すると、売れる音楽を求められがちです。

しかし前作はセールスが思わしくありませんでした。

一般に大手の契約は非情で、売り上げが低迷するとあっさりクビを切られがちです。

このアルバムはエレクトラからの2枚目で、おそらく売れることを意識していたと思われます。

私はこの曲を聞くといつも、売れ線を求められていたのかなと想像します。

 

4位「Cybele’s Reverie」(アルバム:Emperor Tomato Ketchup)

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■曲名:Cybele’s Reverie
■曲名邦題:キペレーの幻想
■アルバム名:Emperor Tomato Ketchup
■アルバム名邦題:エンペラー・トマト・ケチャップ
■動画リンク:「Cybele’s Reverie」

ブレイクした後、徐々に彼らは変化していきました。

それはこの曲からも感じられます。

ストリングスで始まるイントロからして、前作までとはどこか違うような。

私はその後の彼らの音楽に映画音楽との類似を感じますが、それもこのアルバムあたりから始まったように思います。

ただその変化は殊の外魅力的でした。

その変化は、少しアブストラクトな以下の曲にもうかがえます。

Stereolab – Yper-Sound

ちなみにアルバム名には以下のような由来があります。

タイトルは寺山修司監督の映画『トマトケチャップ皇帝』(1970年)からとられている。

ステレオラブ ウィキペディア

 

5位「Brakhage」(アルバム:Dots And Loops)

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■曲名:Brakhage
■曲名邦題:ブラケージ
■アルバム名:Dots And Loops
■アルバム名邦題:ドッツ・アンド・ループス
■動画リンク:「Brakhage」

このアルバムから彼らの音楽性が変わりました。

ジョン・マッケンタイア(John McEntire)がプロデュースし、サウンド的にも大きく変わりました。

この種の音楽は、ポストロックといわれています。

ウィキペディアからポストロックについて引用します。

ポストロック (post-rock) は、ロックの一種。リズム・和音・音色・コード進行などの点で従来のロックには見られない特徴がある。

ポストロック ウィキッペディア

従来のロックとは違うという以外、具体的にはよく分かりませんね。

ただポストロックにも様々な種類があるので、ひとくくりでは説明できません。

普通のエイトビートのロックとは違うロックらしくないロックなのに、強引にロックにカテゴライズしている感じがしないでもありません。

ヴィブラフォンなど普通のロックではあまり使われない楽器も使われがちです。

またポストロックの中には音響派という呼称もありますが、その場合はロックとは違った音色が強調されています。

ブラジル音楽やクラウト・ロックなどの影響も特徴的です、

ただこの路線では、ジョン・マッケンタイアとバンドの個性との境界線が識別しにくいです。

 

6位「Fuses(アルバム:Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night)

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■曲名:Fuses
■曲名邦題:フュージズ
■アルバム名:Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night
■アルバム名邦題:ミルキー・ナイト
■動画リンク:「Fuses」

ポストロック路線のピークを記録した作品です。

おぼろげな記憶ですが、この曲をブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」との類似を指摘した記事を読んだ記憶があります。

興味のある方は、以下からお聞きください。

Brigitte Fontaine – Comme a la radio

確かにその通りだと思われフリージャズっぽくて実験的なのに、スタイリッシュでポップとさえ感じます。

パーカッションはブラジルのカルリーニョス・ブラウン(Carlinhos Brown)を思い起こさせます。

ただこのアルバムはこういう実験的な曲ばかりではありません。

ボーナストラックですが、以下の曲も気に入っています。

Stereolab – With Friends Like These

このアルバムではポストロックの大物、ジョン・マッケンタイアとジム・オルーク(Jim O’Rourke)がプロディースを担当しています。

このアルバムにはショーン・オヘイガンも参加していて、役者がそろった感じがしますね。

私はこのアルバムについて極上の高踏BGMにして、彼らの最高傑作だと思っています。

 

7位「Spacemoth」(アルバム:Sound-Dust)

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■曲名:Spacemoth
■曲名邦題:スペイスモス
■アルバム名:Sound-Dust
■アルバム名邦題:サウンド・ダスト
■動画リンク:「Spacemoth」

前作ではすぐれた才能が集結した結果、バンド本来の魅力が分かりにくくなりました。

私はモンド・ラウンジ的な部分、そしてどことなくレトロで美しいメロディは、彼らの特徴だと思います。

彼らの音楽には、古いモンド・ラウンジ的な部分があります。

優れて表面的で聞きやすいが、どことなくチープで、時にはジャンク/スカムな部分が見え隠れする。

そういえば「Sound-Dust」つまり「音クズ」というアルバム名にも、ジャンクなモンド・ミュージックみたいですね。

またこの曲にはノイ!(NEU!)などクラウトロックの影響も感じます。

ラ・デュッセルドルフ(La Dusseldorf)をモンド/ラウンジ寄りにしたような明るい反復音が心地よいです。

このアルバムは前作より刺激に欠けるせいか、それほど評判がよくないかもしれません。

また前作は傑作でしたが、いささか彼らの個性と乖離した面があったかもしれません。

このアルバムは前作よりも聞きやすく、彼らのメロディメイカーぶりが浮き彫りになっています。

 

8位「Feel and Triple」(アルバム:Margarine Eclipse)

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■曲名:Feel and Triple
■曲名邦題:ボップ・スコッチ
■アルバム名:Margarine Eclipse
■アルバム名邦題:マーガリン・エクリプス
■動画リンク:「Feel and Triple」

このアルバムの前に悲しい出来事がありました。

バンドの中心人物メアリー・ハンセンが車を運転中、トラックと衝突して亡くなりました。

さてこの曲を聞けばお分かりいただけるように、初期のギターポップ路線に回帰しています。

一般に彼らは、ポストロック路線が全盛期だと言われています。

しかし中心人物のティムは、元々マッカーシー(McCarthy)というギターポップ・バンド出身です。

ちなみにティムの盟友ショーン・オヘイガンも、マイクロディズニー(Microdisney)というギターポップ・バンドのメンバーでした。

このバンドはギターポップ路線が原点なのですね。

エレクトロなサウンドとギター・サウンドとのバランスも良いように感じます。

こういう路線では、ジョン・マッケンタイアとジム・オルークがプロデュースしなくてもいいかもしれません。

 

9位「Interlock」(アルバム:Fab Four Suture)

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■曲名:Interlock
■アルバム名:Fab Four Suture
■アルバム名邦題:ファブ・フォー・スーチャー
■動画リンク:「Interlock」

このアルバムジャケットを見るといつも、ゆらゆら帝国の以下のジャケを思い出します。

yurayurateikoku-kuudoudesu

改めて先入観無しで見ると、ゆらゆら帝国の方がステレオラブっぽいジャケかもしれません(笑)

それはともかくこのあるアルバムは、一時期彼らがリリースしたシングルを集めたアルバムです。

編集盤といってもいいかもしれません。

ただ英語版のウィキペディアのシングル欄では、この曲を含め収録曲の多くは「Non-album single」となっています。

このアルバムは、どの曲をシングルカットしてもおかしくない良曲がそろいました。

 

10位「Self Portrait with “Electric Brain”」(アルバム:Chemical Chords)

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■曲名:SSelf Portrait with “Electric Brain”
■アルバム名:Chemical Chords
■アルバム名邦題:ケミカル・コーズ
■動画リンク:「Self Portrait with “Electric Brain”」

このアルバムではレーベルがエレクトラから4ADに変わりました。

とはいっても、音楽的にはそれほど変わった感じはしません。

先程彼らは原点回帰したと書きました。

しかし初期とは違う面もあります。

それは古い音楽の影響を素直に表現するようになったこと。

この曲ではバート・バカラック(Burt Bacharach)にも似た印象を受けます。

それに良くも悪くも肩の力が抜けていました。

「Cobra and Phases Group Play Voltage in the Milky Night」の頃は、最先端のファッションに身を包み、ばっちり化粧をしていたような感じがします。

しかし現在の彼らは、作為から離れてナチュラルな方向へとシフトしています。

それはある種の成熟といえるかもしれません。

今の彼らは初期に隠しきれなかった実験色をよりマイルドな形で表現するようになってきました。

この記事はいつもとは異なって、順位ではなくリリース順に並べました。

それは彼らの変遷がとても興味深いと思ったからです。

いかに彼らが成熟し最盛期を迎え、その後軟着陸したのか。

彼らには音楽同様、そうした変遷にも知性を感じます。

 

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