今回はミルト・ジャクソンのランキングを作成しました。
この人はジャズ界では、ヴィブラフォン奏者の第一人者と言われています。
この楽器はこう演奏すべしというスタイルを築き上げたようなところがあって、彼以降の人は差別化に苦労したかもしれません。
今回は、私が大好きな曲ばかりを取り上げました。
ソウルフルでブルージーなヴィブラフォンをご堪能ください。
- 1 1位「Afternoon in Paris」(アルバム:Bags’ Opus)
- 2 2位「Isn’t She Lovely」(アルバム:Soul Fusion)
- 3 3位「Take the “A” Train」(Youtube Only)
- 4 4位「Novamo」(アルバム:Milt Jackson at the Museum of Modern Art)
- 5 5位「I’m Not So Sure」(アルバム:Olinga)
- 6 6位「Sermonette」(アルバム:Plenty, Plenty Soul)
- 7 7位「My Funny Valentine」(アルバム:Milt Jackson Quartet)
- 8 8位「Jazz ‘n’ Samba」(アルバム:Jazz ‘n’ Samba)
- 9 9位「Sandy」(アルバム:Bags & Flutes)
- 10 10位「Opus de Funk」(アルバム:Opus de Jazz)
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1位「Afternoon in Paris」(アルバム:Bags’ Opus)
■曲名:Afternoon in Paris
■曲名邦題:アフタヌーン・イン・パリ
■アルバム名:Bags’ Opus
■アルバム名邦題:バグス・オパス
■動画リンク:「Afternoon in Paris」
まずイントロのヴィブラフォンの音が鳴った時点で、名演の香りが漂います。
この曲はヴィブラフォンが管楽器の中でどう存在感を出すか、お手本となる曲ではないでしょうか。
12秒のところからテーマのメロディが始まります。
その後アート・ファーマーのトランペットが、温かみのある音を重ねているところが絶品です。
ミルトのソロ演奏は、今回ご紹介した中でも1、2位を争う出来かもしれません。
続いてベニー・ゴルソン(Benny Golson)→アート・ファーマー(Art Farmer)→トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)→ポール・チェンバース(Paul Chambers)とソロが引き継がれていきます。
中でもトミー・フラナガンのソロは、地味ですがとても味わい深く、いぶし銀とはこういう演奏のことを言うのでしょう。
私は元々この曲が大好きなのですが、中でもこのバージョンが決定版だと思います。
2位「Isn’t She Lovely」(アルバム:Soul Fusion)
■曲名:Isn’t She Lovely
■曲名邦題:可愛いアイシャ
■アルバム名:Soul Fusion
■アルバム名邦題:ソウル・フュージョン
■動画リンク:「Isn’t She Lovely」
それほど有名ではなくても、ファンであれば持っておきたいアルバムです。
共演しているモンティ・アレキサンダー(Monty Alexander)は、ジャマイカの出身のピアニストです。
パブロ・レコード(Pablo Records)ならでは、異色な組み合わせかもしれません。
モンティはレゲエも演奏しますが、ジャズ・ピアニストとしては少しラテンっぽいタッチが持ち味の人です。
それほど黒い資質を持ったピアニストではありません。
ソウルフルなミルトとは相性が悪そうに思える人選ですが、結果はアタリでした。
勝因はモンティがミルトに合わせていることだと思います。
この曲はご存知スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の名曲のカバー。
原曲のメロディを崩さず歌い上げるミルトの演奏が絶品です。
3位「Take the “A” Train」(Youtube Only)
■曲名:Take the “A” Train
■曲名邦題:A列車で行こう
■動画リンク:「Take the “A” Train」
Youtubeでご紹介する曲の音源を探していた時に、偶然見つけた曲です。
あまりにすばらしかったので、紹介予定の曲と差し替えることにしました。
この曲はデューク・エリントン(Duke Ellington)の定番曲のカバーです。
ミルトは他のヴィブラフォン奏者と比べると、あまりテクニカルな演奏はしません。
ソウルフルで、よく歌うのが特徴です。
リラックスしてくつろいだところが、持ち味の人といえるでしょう。
ここでもどこかの部屋で演奏しているようですが、時に観客にちょっかいをかけながら、持ち味を活かしたすばらしい演奏をしています。
4位「Novamo」(アルバム:Milt Jackson at the Museum of Modern Art)
■曲名:Novamo
■曲名邦題:ノヴァモ
■アルバム名:Milt Jackson at the Museum of Modern Art
■アルバム名邦題:近代美術館のミルト・ジャクソン
■動画リンク:「Novamo」
このアルバムは、ミルトの代表作に挙げられることはほとんどありません。
しかし私が5枚挙げるとしたら、必ず入るアルバムです。
なにせ全編この曲と変わらないレベルの演奏ばかりなのですから。
よくミルトのソロはMJQに比べると、自由奔放だと言われることがあります。
もちろんそういう演奏もありますが、今回改めて聞きなおすと、意外と地味な演奏が多いように感じます。
むしろそれがいいというのもありますが。
その点このライブ・アルバムは、ミディアムテンポ以上の曲が多く、特にポップな演奏がお好みの方にはおすすめです。
先程ミルトの演奏は、テクニック重視ではないというようなことを書きました。
確かにミルトの演奏に、激しさやスリルを求めようとは思いません。
スローにも良い演奏が多いことも知っています。
しかし私はこういうミディアム・テンポの曲でこそ、本来の持ち味を発揮できる人だと思っています。
5位「I’m Not So Sure」(アルバム:Olinga)
■曲名:I’m Not So Sure
■曲名邦題:アイム・ノット・ソー・シュアー
■アルバム名:Olinga
■アルバム名邦題:オリンガ
■動画リンク:「I’m Not So Sure」
このアルバムは、CTIレコード(CTI Records)からリリースされています。
CTIはいわゆるイージーリスニングに近く、フュージョンっぽい洗練されたところが特徴のレーベルです。
一般的には聞きやすくなると、演奏がつまらなかったり、甘さに流れがちかもしれません。
しかしCTIは、プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)のこだわりゆえか、演奏面にも魅力的なアルバムが多いです。
このアルバムもその1つ。
特にこの曲では、ミッキー・ローカー(Mickey Roker)のドラムが、一番の聞きどころです。
ドラムのせいか、ジャズ・ファンクといえる曲かもしれません。
手数が多くタイトなリズムを刻んでいて、ほぼこの曲の主役になっている感すらします。
ちなみにアルバムタイトル曲は、ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)の「Award Tour」でサンプリングされたことで知られています。
さてミルトのプレイですが、この才気あふれるドラムときっちり互角に渡り合っていますね。
ドラムに触発されてか、ミルトにしては鋭角な演奏が少し新鮮に感じます。
6位「Sermonette」(アルバム:Plenty, Plenty Soul)
■曲名:Sermonette
■曲名邦題:サーモネット
■アルバム名:Plenty, Plenty Soul
■アルバム名邦題:プレンティ・プレンティ・ソウル
■動画リンク:「Sermonette」
よくミルト・ジャクソンは、モダン・ジャズ・カルテット(Modern Jazz Quartet)以外の演奏の方がいいという人がいます。
私は一部同意するものの、一方で必ずしもそうは思いません。
というのはソロ名義では、確かに本人の演奏はすばらしいけれど、曲全体としては今ひとつと感じることがあるからです。
ジャムセッションだと思えば、とてもすばらしいのですが。
そもそもミルトは圧倒的な個の力があるので、全体がうまく統括されていなくても、プレイヤビリティで押し切ってしまえるんですよね。
しかし曲としては、詰めが甘くなる場合があるかもしれません。
一方MJQでの制約は窮屈かもしれませんが、彼はその中でもすばらしい演奏を数多く残しています。
その点このアルバムは、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)の編曲によって、彼個人の演奏だけでなく、曲全体の魅力が感じられます。
ジョン・ルイス(John Lewis)と違って、ミルトの良さを活かすことを最優先にしたクインシーの仕事ぶりが秀逸です。
作曲はキャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)。
キャノンボール・アダレイは、ソウル・ジャズっぽい名曲を数多く残していますが、案の定この曲もミルトに相性が良いようです。
7位「My Funny Valentine」(アルバム:Milt Jackson Quartet)
■曲名:My Funny Valentine
■曲名邦題:マイ・ファニー・ヴァレンタイン
■アルバム名:Milt Jackson Quartet
■アルバム名邦題:ミルト・ジャクソン・クァルテット
■動画リンク:「My Funny Valentine」
ここまでミディアム・テンポ以上の曲を中心にご紹介してきました。
しかし彼にはバラードにもブルージーな名演が多く、スローな曲でもダレることはありません。
ヴィブラフォンとはいわゆる鉄琴のことですが、この楽器の特徴は、モーターで音の揺れをコントロールできることです。
ヴィブラフォンを聞く楽しみは、ロングトーンの音の揺れを楽しむ部分が、かなりの位置を占めています。
この曲などは、その音の余韻を楽しむのに最適な曲ではないでしょうか。
1:50あたりからの虚空に漂うかのようなロングトーンは、絶品としか言いようがありません。
私はがっつりヴィブラフォンを聞きたいと思う時、このアルバムを引っ張り出します。
私の最愛聴盤は、このプレスティッジ(Prestige)盤です。
8位「Jazz ‘n’ Samba」(アルバム:Jazz ‘n’ Samba)
■曲名:Jazz ‘n’ Samba
■曲名邦題:ジャズ・ン・サンバ
■アルバム名:Jazz ‘n’ Samba
■アルバム名邦題:ジャズ・ン・サンバ
■動画リンク:「Jazz ‘n’ Samba」
さて私がジャズを取り上げる時には、ハードバップ以外の曲も織り交ぜるようにしています。
この曲はボサノヴァで、しかもボーカル入り。
ボサノヴァ・ファンからは「ソ・ダンソ・サンバ(So Danco Samba)」という曲名で知られています。
ジャズ・ファンの人から、ミルトの必然性がないのではないかと言われたら、そのとおりですと答えるしかありません。
ただこういう曲から、ジャズに親しむのも一興ではないでしょうか。
確かに1:31からのミルトのソロは、あまりにも短すぎますけどね。
ボーカルとギターの方が、まだ目立っているかもしれません。
ボーカルはリリアン・クラーク(Lillian Clark)という無名の人ですが、私好みの落ち着いた歌を聞かせてくれるシンガーです。
このアルバムは前半がジャズ、後半がボサノヴァですが、どちらも名演ぞろいです。
9位「Sandy」(アルバム:Bags & Flutes)
■曲名:Sandy
■曲名邦題:サンディ
■アルバム名:Bags & Flutes
■アルバム名邦題:バグズ & フルート
■動画リンク:「Sandy」
今回選曲するにあたって、ホーンとの共演をあまり多くしないようにしました。
ホーン奏者とも互角以上に渡り合える人ですが、ホーンの音が目立つと、主役感が薄くなりますから。
たとえば「ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ(That’s the Way It Is featuring Ray Brown)」は名盤だと思いますが、いささかテナー・サックスが目立ちすぎます。
しかしフルートは例外としました。
フルートはバイブと音色的に相性が良く、ミルトの演奏を味わう時に邪魔になりません。
彼もフルートと共演することを好んでいた形跡があって、とにかくフルートと共演したアルバムを沢山残しています。
その相性の良さが表れている一例がこの曲。
ボビー・ジャスパー(Bobby Jaspar)が参加している曲もありますが、この曲ではフランク・ウェス(Frank Wess)がフルートを担当しています。
フランクは、ミルトの定番「Opus de Jazz」でも、「ユー・リーヴ・ミー・ブレスレス(You Leave Me Breathless)」という決定的な名演を残しています。
ここでのフランクの演奏には、どことなくサウダージな感じがしないでしょうか。
今回ご紹介した中では隠れ名曲といえますが、美しさだけでいえばこの曲が一番かもしれません。
10位「Opus de Funk」(アルバム:Opus de Jazz)
■曲名:Opus de Funk
■曲名邦題:オパス・デ・ファンク
■アルバム名:Opus de Jazz
■アルバム名邦題:オパス・デ・ジャズ
■動画リンク:「Opus de Funk」
なぜこの曲が10位なのかと思う人もいることでしょう。
1位でもおかしくない曲です。
長い曲ですから最後にじっくり聞いていただきたいと思って、この順位にしました。
このサヴォイ(Savoy)盤は、彼の代表作だと言われています。
全曲名演ぞろいですが、やはりこのタイトル曲が一番ではないでしょうか。
曲を書いたのはホレス・シルヴァー(Horace Silver)で、彼らしいファンキーな曲です。
この曲ではミルト、フランク・ウェス、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)の三者が、入れ替わり立ち代わりソロをとっています。
13分以上と長い曲ですが、三者とも競うようにすばらしい演奏をしていて、長くても全く退屈しません。
ジャズを聴くことの幸せをかみしめることができる曲です。
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