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ペイヴメント(Pavement)の名曲名盤12選【代表曲・隠れた名曲】

今回はペイヴメントのランキングを作成しました。

彼らの好きな曲を選ぶ場合、人によってかなり選曲がばらけると思います。

この記事では初心者の方に気に入られるよう選曲してみました。

いびつで美しいメロディをお聞きください。

 

1位「Range Life」(アルバム:Crooked Rain, Crooked Rain)

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■曲名:Range Life
■曲名邦題:レンジ・ライフ
■アルバム名:Crooked Rain, Crooked Rain
■アルバム名邦題:クルーキッド・レイン
■動画リンク:「Range Life」

時にロックという音楽は、しょーもない人に居場所を提供することがあります。

私はこれまで音楽ばかり聞いてきましたが、普通の人からしたらかなり偏った時間の使い方をしてきたといえるでしょう。

しかしそんな私も若い頃は、これでいいのだろうかと思ったものです。

そこで海外旅行してみたり、陽キャ友達とドライブに出かけたり、アリバイづくりみたいなことをしはじめました。

海に行ったり川辺でバーべキューしたり、リア充のまねごとをしてみました。

しかしはっきり言って、海外旅行以外はおもしろくありませんでしたね。

もちろん楽しいと思う瞬間も多々ありましたが、心の底から楽しんでいないというか、自分の居場所はここではない感が常にありました。

どうやら私は無理をしていたようです。

そのせいかその後更に音楽に傾倒するという、音楽ジャンキー生活に戻りました。

さてこの曲の歌詞も、はっきり言ってしょうもないです。

ストーン・テンプル・パイロッツ(Stone Temple Pilots)やスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)をおちょくった歌詞です。

どうやらそれらのバンドが嫌いというより、メジャーでマッチョな価値観が嫌いだったのようですが。

私は全然嫌じゃないし、むしろそれらのバンドは大好きです。

でもそんな風に自分は違うと主張したがる私も、こじらせている感はいなめません。

 

2位「Shady Lane」(アルバム:Brighten The Corners)

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■曲名:Shady Lane
■曲名邦題:シェイディ・レイン
■アルバム名:Brighten The Corners
■アルバム名邦題:ブライトゥン・ザ・コーナーズ
■動画リンク:「Shady Lane」

彼らは商業的には成功しているとはいえないかもしれません。

このアルバムは最大のヒット作ですが最高で70位止まりです。

この曲は全英シングルチャートこそ40位に入りましたが、本国アメリカではチャートインを逃しています。

しかし彼らが所属していたのは、マタドール・レコード(Matador Records)というインディ・レーベルでした。

今は状況が変わりつつありますが、昔はメジャーとインディーズにはこんな違いがありました。

・メジャー   →お金をかけてCDを売るが、印税が少ない
・インディーズ →プロモーションにお金をかけないが、印税率が高い

両者の印税の差はかなり大きいので、インディーズのバンドは、それほど売れなくてもそこそこ食べていけるようです。

あまり大きなセールスは望めないけれど、それなりに固定ファンが付いている場合は、インディーズの方がいいかもしれません。

この曲のタイトルは「Shady Lane」つまり「日陰の車線」です。

「誰もが日陰の車線を望んでいる」と歌われています。

もちろんそんなことないわけですが(笑)

彼らは最初からメジャーなフィールドを歩こうという気がなかったかもしれません。

 

3位「Summer Babe (Winter Version)」(アルバム:Slanted and Enchanted)

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■曲名:Summer Babe (Winter Version)
■曲名邦題:サマーベイブ(ウィンター・ヴァージョン)
■アルバム名:Slanted and Enchanted
■アルバム名邦題:スランティッド・アンド・エンチャンティッド
■動画リンク:「Summer Babe (Winter Version)」

まず「Summer Babe (Winter Version)」という曲名からして、意味がよく分かりません。

「Summer Babe」の「Winter Version」であれば「Winter Babe」ではないでしょうか。

この曲はかなりクセものです。

出だしの「彼女は自分の指を食べている」という歌詞からすごいですが、演奏も下手というか、そもそもやる気が感じられません。

ボーカルと演奏のバランスも悪く、せっかくの良曲をきっちり仕上げようという覇気に欠けています。

しかしこれが彼らのやり方です。

さて皆さんはこのアルバムジャケットを見て、どのように思われるでしょうか。

私は適度な荒れ具合がいい感じジャケットだと思います。

彼らはアルバム・ジャケットでも音楽と同じ方法論をとっていることが、お分かりいただけると思います。

彼らは粗雑加工がお好きなようですね。

 

4位「Harness Your Hopes」(アルバム:Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition)

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■曲名:Harness Your Hopes
■アルバム名:Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition
■動画リンク:「Harness Your Hopes」

今回ご紹介した中では、隠れ名曲といえる位置づけの曲です。

この曲は5曲入りEP「Spit on a Stranger」や「Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition」にも収録されています。

後者はデラックス・エディションですが、収録されている追加曲があなどれません。

その内の1曲を挙げるとすると、エコー&ザ・バニーメン(Echo & the Bunnymen)の「キリング・ムーン(The Killing Moon)」のカバー曲。

その曲のリンクを貼っておきましょう。

Pavement – The Killing Moon

どちらをランクインさせるか迷いましたが、よりポップな「Harness Your Hopes」の方にしました。

クセのない曲ですが、その分スティーヴン・マルクマス(Stephen Malkmus)のソングライティングの才能を感じます。

 

5位「Box Elder」(アルバム:Westing (By Musket And Sextant))

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■曲名:Box Elder
■曲名邦題:ボックス・エルダー
■アルバム名:Westing (By Musket And Sextant)
■アルバム名邦題:ウェスティング
■動画リンク:「Box Elder」

1989~1993年にレコーディングされた初期作品集の曲です。

録音時期は「Slanted and Enchanted」と被っていますが、それより前の音源が含まれているため、私は事実上のファースト・アルバムだと考えています。

ちなみに彼らのアルバムには駄作はなく、全てが名作の域に達しています。

完成度が高いとは言い難いですが、そもそも彼らは完成度など求めていません。

奇妙でいびつな曲を並べることが重要で、完成度とは違う方法で勝負しています。

さてこの曲はギターが2本入っていて、一つはクリアーなトーンで軽快にカッティングしています。

もう一方のギターは終始ディストーションの壁をつくっていますが、突然2:06から前面に出てくるところがスリリングでです。

私はその部分が好きで、よく最後のところだけをリピートしています。

 

6位「Cut Your Hair」(アルバム:Crooked Rain, Crooked Rain)

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■曲名:Cut Your Hair
■曲名邦題:カット・ユア・ヘア
■アルバム名:Crooked Rain, Crooked Rain
■アルバム名邦題:クルーキッド・レイン
■動画リンク:「Cut Your Hair」

このアルバムは彼らの最高傑作だと言われています。

他にも「Gold Soundz」など、良い曲を挙げるとキリがありません。

どの曲を選ぶか悩ましいところですが、ウィーザー(Weezer)並みにポップなこの曲にしました。

歌詞は髪型を気にする、つまり体裁ばかりを気にする音楽業界を、皮肉たっぷりに描写しています。

そもそもこのアルバム自体、音楽業界やロックを盛大にディスっていますし。

ラスト・ナンバーの「フィルモア・ジャイブ(Fillmore Jive)」では「ロックンロールの時代よ、おやすみ。彼らはもうあなたを必要としていない」と歌っています。

といっても、自分たちもロック・バンドですが(苦笑)

彼らは言葉のセンス、歌詞、メロディ、演奏、すべてに独特のひねくれ感覚があります。

ちなみにアルバム名の「Crooked Rain, Crooked Rain」は直訳すると「曲がった雨、曲がった雨」という意味です。

 

7位「Spit on a Stranger」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:Spit on a Stranger
■曲名邦題:スピット・オン・ア・ストレンジャー
■アルバム名:Terror Twilight
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「Spit on a Stranger」

ラスト・アルバムの曲です。

彼らは品行方正とは真逆なバンドで、その言動はほめられたものではありません。

この曲は「Spit on a Stranger」つまり「見知らぬ人につばを吐く」です。

「Range Life」では他のバンドにあからさまな悪意を向けていましたし、悪趣味で不道徳な歌詞を挙げるとキリがありません。

この曲だけが問題というわけではありません。

彼らの歌詞には負の感情や反社会性を感じます。

しかしメロディを書く才能だけ突出していました。

この曲にはしょーもない内容を極上のメロディで歌う彼らの特徴がよく表れています。

 

8位「AT&T」(アルバム:Wowee Zowee)

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■曲名:AT&T
■アルバム名:Wowee Zowee
■アルバム名邦題:ワーウィ・ゾーウィ
■動画リンク:「AT&T」

彼らの音楽には既存のロックを一度分解して、組み立て直したようなところがあります。

例えばこの曲にはヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)やアメリカン・オルタナティブの影響が伺えます。

しかしどことなく変な感じに再構成していますね

スティーブンのシャウトは、いつもどこか変かもしれません。

普通は感情が高まった結果シャウトするものですが、彼のシャウトはおかしなタイミングで暴発します。

例えばこの曲の2:13からをお聞きください。

ここぞという場面でシャウトしそこなったようなぎこちない声のうわずり。

そして2:56からの唐突な雄たけびは、逆に騒ぎすぎかもしれません。

これほどカタルシスを得られないボーカルは珍しいです。

彼らの音楽にはこの種のハズしが多く、逆に普通のロックにあきた人が聞くとはまってしまいます。

 

9位「Here」(アルバム:Slanted and Enchanted)

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■曲名:Here
■曲名邦題:ヒア
■アルバム名:Slanted and Enchanted
■アルバム名邦題:スランティッド・アンド・エンチャンティッド
■動画リンク:「Here」

このファースト・アルバムは、グシャっとつぶしたような粗雑なアレンジの曲が多いです。

いびつな加工が施されていることには、それほど特別視しなくてもいいかもしれません。

スイカに塩をふりかけて甘味を引き立てるのと同じ効果はあると思いますが、そういう音楽として聞けばいいだけです。

ちなみにファーストでは、ギャリー・ヤング(Gary Young)という人がドラムでした。

この人は他のメンバーよりかなり年上(ステイーヴより13歳年上)でしたが、ライブでの奇妙な行動が有名なナイス・キャラでした。

ロッキング・オン誌で「おやじに訊け!」人生相談のコーナーを持っていたことでも知られています。

このアルバムでは彼のヘタウマなドラムも聞きものです。

 

10位「Stereo」(アルバム:Brighten The Corners)

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■曲名:Stereo
■曲名邦題:ステレオ
■アルバム名:Brighten The Corners
■アルバム名邦題:ブライトゥン・ザ・コーナーズ
■動画リンク:「Stereo」

この曲は、スコット・カンバーグ(Scott Kannberg)のギターに注目です。

このバンドはティーヴン・マルクマスのワンマン・バンドだと思われがちですが、スコットの存在を忘れてはいけません。

ちなみにスコットは曲づくりにも参加していて、各アルバムに1-2曲提供しています。

また彼はギタリストとしてサウンドの核でもあり、特にこのアルバムでは「フィン(Fin)」が名演と言われています。

その曲のリンクを貼っておきましょう。

Pavement – Fin

3:28から情念のギターが炸裂していますね。

「Stereo」でも、ニルヴァーナ(Nirvana)っぽいギターがかっこいいです。

ちなみにスコットは現在、スパイラル・ステアーズ(Spiral Stairs)というソロ・プロジェクトで活動しています。

解散後リリースされたプレストン・スクール・オブ・インダストリー(Preston School of Industry)のアルバムもなかなか良い出来でした。

 

11位「Major Leagues」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:Major Leagues
■曲名邦題:メジャー・リーグズ
■アルバム名:Terror Twilight
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「Major Leagues」

彼らはこのアルバムで、レディオヘッド(Radiohead)の仕事で有名なナイジェル・ゴッドリッジ(Nigel Godrich)をプロデューサーに起用しています。

その影響かよりポップな作風に変化しています。

ナイジェル・ゴットリッジは、担当するアーティストにはっきりとモノをいうタイプの人です。

あなたは本心ではどういう音楽をやりたいのかと。

ガチンコの話し合いの上で、その人が本当にやりたい音楽をやらせようとします。

その結果レディオヘッドの「OK コンピューター(OK Computer)」や、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)の「裏庭の混沌と創造(Chaos and Creation in the Backyard) 」など、アーティストの本質を浮かび上がらせました。

スティーヴンにも、お前は本心で何をしたいのだと判断を迫ったのかもしれません。

その結果このような曲が生まれたのだとしたら、とても興味深いです。

スティーヴンという不可解な人間を理解する手助けになるかもしれません。

この曲で彼は「君とのキスは岩とのキスみたいだけど、とにかく僕にはそれが必要なんだ」と歌っています。

 

12位「…and Carrot Rope」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:…and Carrot Rope
■曲名邦題:キャロット・ロープ
■アルバム名:Terror Twilight
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「…and Carrot Rope」

この曲は曲の良し悪しとは関係なくラストに置こうと思っていました。

ラスト・アルバムの最後を飾る曲です。

しかしそれにしてもこのポップ・センスはすばらしいですね。

初期から追いかけてきた者としては、うれしい誤算としか言いようがありません。

初期の彼らは曲に汚し加工を加えたり、あえて曲を未完成のように仕上げるところがありました。

しかし実力を過不足なく出せば、こんな完成度の高い曲が出来上がるのですね。

さてこの曲の歌詞では立ち去るべき時が来たと歌われています。

いじけてひねくれた男が、こんな屈託のない曲で別れを告げるとは、この勝ち逃げ感は何なんでしょうか。

狐につままれた感じがする曲です。

曲調が明るすぎるせいか、取り残されたこちらとしては寂しく感じますが。

 

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