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ペイヴメント(Pavement)の名曲名盤12選【代表曲・隠れた名曲】

今回はペイヴメントのランキングを作成しました。

彼らの好きな曲は、人によってかなり異なるかもしれません。

この記事では初心者の方に気に入っていただけるよう考えて選曲してみました。

いびつで美しいメロディをお聞きください。

 

1位「Range Life」(アルバム:Crooked Rain, Crooked Rain)

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■曲名:Range Life
■曲名邦題:レンジ・ライフ
■アルバム名:Crooked Rain, Crooked Rain(1994年)
■アルバム名邦題:クルーキッド・レイン
■動画リンク:「Range Life」

これまで私は音楽を掘ったり聞いたりすることに、かなりの時間を費やしてきました。

しかしそんな私も若い頃は。こんな体たらくでいいのだろうかと思ったものです。

そこで陽キャの友達ができたことがきっかけで、アリバイづくりみたいなことをするようになりました。

海にドライブしたり、川辺でバーべキューしたり、リア充のまねごとを。

しかしはっきり言って、海外旅行以外はそれほど楽しいとは思いませんでしたね。

もちろん楽しいと感じる瞬間は多々ありましたが、心の底から楽しんでいないというか、自分の居場所はここではない感がありました。

無理をしていたことに気づいた私は、音楽ジャンキー道に舞い戻りました。

さてこの曲の歌詞は、はっきり言ってたわいない内容です。

ストーン・テンプル・パイロッツ(Stone Temple Pilots)やスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)をおちょくった歌詞ですから。

この曲を書いたスティーヴン・マルクマス (Stephen Malkmus)は、マッチョでメジャーなところが嫌いだったようですね

私はといえば全然嫌じゃないし、むしろそれらのバンドは好きです。

しかし彼らが自分とは違うと感じる気持ちは理解できる気がします。

そういえば、カート・コバーン(Kurt Cobain)もメジャーな価値観には合わない人でした。

 

2位「Shady Lane」(アルバム:Brighten The Corners)

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■曲名:Shady Lane
■曲名邦題:シェイディ・レイン
■アルバム名:Brighten The Corners(1997年)
■アルバム名邦題:ブライトゥン・ザ・コーナーズ
■動画リンク:「Shady Lane」

彼らは商業的には成功したとはいえません。

このアルバムは彼らの最大のヒット作ですが、最高位は70位にすぎません。

この曲はシングルカットされイギリスでは40位を記録しましたが、本国アメリカではチャートインを逃しています。

しかし彼らが所属していたのは、マタドール・レコード(Matador Records)というインディ・レーベルでした。

今は状況が変わりつつありますが、昔はメジャーとインディーズにはこんな違いがありました。

・メジャー   →お金をかけてCDを売るが、印税率が低い
・インディーズ →プロモーションにお金をかけないが、印税率が高い

特に印税の率はかなり違うようで、インディーズ・バンドはそれほど売れなくてもそこそこ食べていけるようです。

それなりに固定ファンが付いている場合は、インディーズの方がいいかもしれません。

この曲のタイトルは「Shady Lane」つまり「日陰の車線」です。

「誰もが日陰の車線を望んでいる」と歌われています。

もちろんそんなことないわけですが(笑)

最初から彼らは、メジャーな路線で自分たちを売ろうとしたバンドではありませんでした。

 

3位「Summer Babe (Winter Version)」(アルバム:Slanted and Enchanted)

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■曲名:Summer Babe (Winter Version)
■曲名邦題:サマーベイブ(ウィンター・ヴァージョン)
■アルバム名:Slanted and Enchanted(1992年)
■アルバム名邦題:スランティッド・アンド・エンチャンティッド
■動画リンク:「Summer Babe (Winter Version)」

まず「Summer Babe (Winter Version)」という曲名からして、意味がよく分かりません。

「Summer Babe」の「Winter Version」であれば「Winter Babe」ではないでしょうか。

曲名が予感させるように、この曲は少しクセがあります。

出だしの歌詞からして「彼女は自分の指を食べている」ですし、演奏も下手というか、それ以前にやる気がなさそう。

ボーカルと演奏のバランスも悪く、曲をきっちり仕上げようという覇気に欠けています。

しかしこれが彼らなりのスタイルです。

さて皆さんはこのアルバム・ジャケットを見て、どのように思われるでしょうか。

私は適度な乱調がいい感じのジャケットだと思います。

もしこのジャケが明快な絵柄とフォントだったら、つまらないジャケと感じたかもしれません。

彼らの粗雑加工やヨレた演奏は。独特の味わいを生んでいます。

 

4位「Harness Your Hopes」(アルバム:Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition)

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■曲名:Harness Your Hopes
■アルバム名:Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition(2008年)
■動画リンク:「Harness Your Hopes」

隠れ名曲枠としてご紹介した曲です。

この曲は5曲入りEP「Spit on a Stranger」や「Brighten the Corners: Nicene Creedence Edition」にも収録されています。

後者はデラックス・エディションですが、追加された曲はあなどれません。

その内の1曲を挙げるとすると、エコー&ザ・バニーメン(Echo & the Bunnymen)の「キリング・ムーン(The Killing Moon)」のカバー曲。

その曲のリンクを貼っておきましょう。

Pavement – The Killing Moon

どちらをランクインさせるか迷いましたが、よりポップな「Harness Your Hopes」の方にしました。

クセのない曲ですが、その分スティーヴン・マルクマスのソングライティングの才を感じます。

 

5位「Box Elder」(アルバム:Westing (By Musket And Sextant))

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■曲名:Box Elder
■曲名邦題:ボックス・エルダー
■アルバム名:Westing (By Musket And Sextant)(1993年)
■アルバム名邦題:ウェスティング
■動画リンク:「Box Elder」

1989~1993年にレコーディングされた初期音源集からの曲です。

録音時期は「Slanted and Enchanted」と被っていますが、それより前の音源が含まれるため、私は事実上のファースト・アルバムだと考えています。

ちなみに彼らのアルバムには駄作はなく、全てが名盤の域に達しています。

完成度こそ高いとは言い難いですが、そもそも私は彼らに完成度求めていません。

彼らはどこかボブ・ディラン(Bob Dylan)の曲のアレンジのように、適当で無造作な魅力があります。

そもそも彼らの良さは完成度とは違うところにあるような気がしますし。

この曲はギターが2本入っていて、一つはクリアーなトーンで軽快にカッティングしています。

もう一方のギターは終始ディストーションの壁をつくっていますが、突然2:06で前に出てくるところがスリリングです。

私はこの最後の部分が好きで、よくそこだけをリピートして聞いています。

 

6位「Cut Your Hair」(アルバム:Crooked Rain, Crooked Rain)

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■曲名:Cut Your Hair
■曲名邦題:カット・ユア・ヘア
■アルバム名:Crooked Rain, Crooked Rain(1994年)
■アルバム名邦題:クルーキッド・レイン
■動画リンク:「Cut Your Hair」

このアルバムは彼らの最高傑作だと言われています。

他にも「Gold Soundz」など、良い曲を挙げるとキリがありません。

どの曲を選ぶかは悩ましいところですが、ウィーザー(Weezer)並みにポップなこの曲にしました。

歌詞は髪型を気にする、つまり体裁ばかりを気にする音楽業界を、皮肉たっぷりに描写しています。

そもそもこのアルバム自体、音楽業界やロックに対して皮肉っぽいところがありますし。

ラスト・ナンバーの「フィルモア・ジャイブ(Fillmore Jive)」では「ロックンロールの時代よ、おやすみ。彼らはもうあなたを必要としていない」と歌われています。

そういう自分たちもロック・バンドですが(苦笑)。

彼らは歌詞、メロディ、演奏、すべてにおいて独特のひねくれた感覚があります。

ちなみにアルバム名の「Crooked Rain, Crooked Rain」は直訳すると「曲がった雨、曲がった雨」という意味です。

 

7位「Spit on a Stranger」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:Spit on a Stranger
■曲名邦題:スピット・オン・ア・ストレンジャー
■アルバム名:Terror Twilight(1999年)
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「Spit on a Stranger」

ラスト・アルバムの曲です。

彼らは品行方正とは真逆なバンドで、その言動は決してほめられたものではありません。

この曲は「Spit on a Stranger」つまり「見知らぬ人につばを吐く」です。

「Range Life」では他のバンドに悪意を向けていましたし、悪趣味で不道徳な歌詞を挙げるとキリがありません。

つまりこの曲だけが問題というわけではありません。

時に彼らの歌詞には負の感情や反社会性すら感じるほどです。

しかし良い曲を書く才能だけは突出していました。

しょーもない内容を極上の楽曲に乗せて歌う、この曲にはそんな彼らのギャップが顕著に表れています。

 

8位「AT&T」(アルバム:Wowee Zowee)

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■曲名:AT&T
■アルバム名:Wowee Zowee(1995年)
■アルバム名邦題:ワーウィ・ゾーウィ
■動画リンク:「AT&T」

どこか変という感覚は、彼らの音楽に通底しています。

たとえばスティーブンのシャウトは、いつもどこかしら変かもしれません。

普通は感情が高まった結果シャウトするものですが、彼のシャウトは時々おかしなタイミングで暴発します。

例えばこの曲の2:13からをお聞きください。

ここぞという場面でシャウトしそこなったような、単なるぎこちない声のうわずりです。

そして2:56からの唐突な雄たけびは、逆に騒ぎすぎかもしれません。

これほどカタルシスを与えないシャウトは珍しいかもしれませんね。

彼らの音楽にはこの種のハズしが多く、逆に普通のロックにあきた人が聞くとハマってしまいます。

 

9位「Here」(アルバム:Slanted and Enchanted)

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■曲名:Here
■曲名邦題:ヒア
■アルバム名:Slanted and Enchanted(1992年)
■アルバム名邦題:スランティッド・アンド・エンチャンティッド
■動画リンク:「Here」

このファースト・アルバムは、グシャっとつぶしたようなアレンジの曲が多いように思います。

いびつで粗雑な感じは、それほど異端視しなくてもいいかもしれません。

先程書いたように、それが独特の味わいを生んでいるところがありますし。

またスイカに塩をふりかけて甘味を引き立てるように、曲の魅力を引き立てる効果もあるかもしれません。

ちなみにファーストでは、ギャリー・ヤング(Gary Young)という人がドラムでした。

この人は他のメンバーに比べてかなり年上(ステイーヴより13歳年上)でしたが、ライブでの奇妙な行動で知られるナイス・キャラでした。

ロッキング・オン誌で「おやじに訊け!」という人生相談のコーナーを持っていたことでも知られています。

このアルバムでは彼のヘタウマなドラムが聞きものです。

 

10位「Stereo」(アルバム:Brighten The Corners)

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■曲名:Stereo
■曲名邦題:ステレオ
■アルバム名:Brighten The Corners(1997年)
■アルバム名邦題:ブライトゥン・ザ・コーナーズ
■動画リンク:「Stereo」

この曲はスコット・カンバーグ(Scott Kannberg)のギターに注目です。

このバンドはティーヴン・マルクマスのワンマン・バンドだと思われがちですが、スコットの存在を忘れてはいけません。

ちなみにスコットはソングライターとして、各アルバムに1-2曲ぐらい提供しています。

このアルバムでは「フィン(Fin)」が彼の名演と高く評価されています。

その曲のリンクを貼っておきましょう。

Pavement – Fin

3:28から情念ギターが炸裂しています。

ランクインした「Stereo」も、ニルヴァーナ(Nirvana)っぽいギターがカッコいいですね。

ちなみにスコットは現在、スパイラル・ステアーズ(Spiral Stairs)というソロ・プロジェクトで活動しています。

解散後リリースされたプレストン・スクール・オブ・インダストリー(Preston School of Industry)のアルバムもかなり良い出来でした。

 

11位「Major Leagues」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:Major Leagues
■曲名邦題:メジャー・リーグズ
■アルバム名:Terror Twilight(1999年)
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「Major Leagues」

彼らはこのアルバムで、レディオヘッド(Radiohead)との仕事で有名なナイジェル・ゴッドリッジ(Nigel Godrich)をプロデューサーに迎えています。

その影響か、以前よりポップな作風に変化しました。

ナイジェル・ゴットリッジは、担当するアーティストにはっきりとモノをいうタイプの人です。

あなたは本心でどういう音楽をやりたいのかと。

ガチンコの話し合いの上で、その人が本当にやりたい音楽をやらせようとします。

その結果レディオヘッドの「OK コンピューター(OK Computer)」や、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)の「裏庭の混沌と創造(Chaos and Creation in the Backyard) 」などで、アーティストの本質を浮かび上がらせました。

スティーヴンにも、お前は本当は何をやりたいのだと判断を迫ったのかもしれません。

おそらく当時バンドはポップな曲をやりたかったのでしょう。

この曲でスティーヴンは「君とのキスは岩とのキスみたいだけど、とにかく僕にはそれが必要なんだ」と歌っています。

 

12位「…and Carrot Rope」(アルバム:Terror Twilight)

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■曲名:…and Carrot Rope
■曲名邦題:キャロット・ロープ
■アルバム名:Terror Twilight(1999年)
■アルバム名邦題:テラー・トワイライト
■動画リンク:「…and Carrot Rope」

この曲は曲の良し悪しに関係なく、ラストに配置しようと思っていました。

ラスト・アルバムの最後を飾る曲ですから。

しかしそれにしてもこのポップ・センスはすばらしいですね。

初期から追いかけてきた者として、うれしい誤算としか言いようがありません。

彼らは実力を過不足なく出せば、こんな完成度の高いポップスもやれるのですね。

さてこの曲の歌詞では、立ち去るべき時が来たと歌われています。

この曲はスティーヴン・マルクマスが書いた曲です。

イケメンなのにひねくれ者の彼が、屈託のないこんな曲で別れを告げるとは、この勝ち逃げ感は何なんでしょうか。

どことなく狐につままれた感じがします。

曲調が明るすぎるせいか、残されたこちらとしては余計寂しく感じます。

 

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