今回はレア・グルーヴのランキングを作成しました。
しかしその定義はあいまいで、人によってイメージが異なるかもしれません。
ただ昔は希少であったけれど、必ずしも今ではそうではない場合もあります。
たとえば10位のサイマンデはレア・グルーヴを象徴する存在です。
しかし先程Amazonで確認したところ、コメントが376個付いているアルバムがありました。
もはや無名とはいえませんが、音楽的にはレア・グルーヴのど真ん中です。
この記事では、私が考えるこれがレア・グルーヴといえる曲をご紹介してみました。
- 1 1位 Bobby Byrd「I Know You Got Soul」(アルバム:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD)
- 2 2位 Manu Dibango「Pepe Soup」(アルバム:Super Kumba)
- 3 3位 Sir Joe Quarterman & Free Soul「(I Got) So Much Trouble in My Mind」(アルバム:Sir Joe Quarterman & Free Soul)
- 4 4位 The Last Poets「It’s a Trip」(アルバム:Delight Of The Garden)
- 5 5位 George Muribus「The Dolphin」(アルバム:Brazilian Tapestry)
- 6 6位 Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」(アルバム:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings)
- 7 7位 The Gaturs feat. Willie Tee「Funky Funky Twist」(アルバム:Wasted)
- 8 8位 Mandrill「Cohelo」(アルバム:Mandrill Is)
- 9 9位 Greyboy Allstars「Tenor Man」(アルバム:West Coast Boogaloo)
- 10 10位 Cymande「Anthracite」(アルバム:Second Time Round)
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1位 Bobby Byrd「I Know You Got Soul」(アルバム:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD)
■アーティスト名:Bobby Byrd
■アーティスト名カナ:ボビー・バード
■曲名:I Know You Got Soul
■曲名邦題:アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル
■アルバム名:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD
■アルバム名邦題:アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル~ベスト・オブ・ボビー・バード
■動画リンク:Bobby Byrd「I Know You Got Soul」
この人はジェームス・ブラウン(James Brown)のバンドでの活躍が知られています。
「セックス・マシーン(Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine)」で、ジェームス・ブラウンに続いて「ゲロッパ」と叫んでいる人です。
この曲はファンク・クラシックとして有名ですので、ご存知の方も多いかもしれません。
私がこの曲をレア・グルーヴとして選んだのは、レア・グルーヴの有名コンピレーション「Ultimate Breaks & Beats」に収録されているからです。
エリックB&ラキム(Eric B & Rakim)の同名曲の元ネタとしての方が有名かもしれませんが。
脇役がJBの最高の曲に比肩する曲をリリースしたという驚き。
そうした立ち位置的にも、レア・グルーヴっぽい感じがしないでしょうか。
カッコよすぎる曲名を含めて、1位にふさわしい曲だと思います。
2位 Manu Dibango「Pepe Soup」(アルバム:Super Kumba)
■アーティスト名:Manu Dibango
■アーティスト名カナ:マヌ・ディバンゴ
■曲名:Pepe Soup
■曲名邦題:ペペ・スープ
■アルバム名:Super Kumba
■アルバム名邦題:スーパー・クンバ
■動画リンク:Manu Dibango「Pepe Soup」
この人の知名度は低くありません。
ただこの人の話題はいつも「ソウル・マコッサ(Soul Makossa)」ばかりですが。
私は一時期ロックとソウルのDJをしていたことがあって、こじんまりとしたお店でソウル・ミュージックをかけることがありました。
お店では客の混み具合によって選曲を変えていました。
客が少ない時ににぎわい感のある曲をかけると、空気が寒くなりますし。
この曲はお店が混みあっている用でしたが、それはお店側が臨戦態勢に入る時の切り替えの合図という意味もありました。
ただこの曲がかかると、かなり音楽に詳しい人たちからも「この曲は何か」と聞かれたものです。
マヌ・ディバンゴだと伝えると、ああなんだという感じのリアクションが返ってきました(笑)
ただ名前を知っていても、この曲は意外と知られていないようですね。
有名な人の認知度の低い名曲を探すこと、それもレア・グルーヴのディグといえるでしょう。
この曲はアフロ・レア・グルーヴの最高峰の1つだと思います。
3位 Sir Joe Quarterman & Free Soul「(I Got) So Much Trouble in My Mind」(アルバム:Sir Joe Quarterman & Free Soul)
■アーティスト名:Sir Joe Quarterman & Free Soul
■アーティスト名カナ:サー・ジョー・クォーターマン & フリー・ソウル
■曲名:(I Got) So Much Trouble in My Mind
■曲名邦題:(アイ・ガット)ソー・マッチ・トラブル・イン・マイ・マインド
■アルバム名:Sir Joe Quarterman & Free Soul
■アルバム名邦題:サー・ジョー・クォーターマン & フリー・ソウル
■動画リンク:Sir Joe Quarterman「(I Got) So Much Trouble in My Mind」
この曲もレア・グルーヴ・クラシックとして有名です。
というよりは、ド定番、有名曲といえる曲かもしれません。
私は読んだことはありませんが「レア・グルーヴA to Z」というディスクガイドでも、とても大きく扱われているようです。
まあこのぐらいの曲になるとそうでしょうね。
この曲の勝因は太いリズムに、更にギターとホーンが厚みを加えていて、バンド全体で骨太なグルーヴ感を生み出しているところ。
このアルバムには他にも「アイム・ゴナ・ゲット・ユー(I’m Gonna Get You)」など、聞き逃せない曲が収録されています。
音楽的にはジェイムス・ブラウン直系といえますが、時々カーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)ぽいところもありますね。
ちなみに彼らのオリジナル・アルバムはこれ1枚ですが、実はもう1枚「ハウ・ハイ~レア・テイクス(How High: Rare Takes)」という未発表集アルバムもあります。
彼らが未発表曲集をしかも日本盤でリリースするなんて、まさにレア・グルーヴの恩恵といえるでしょう。
その分レアではなくなりますが(笑)
4位 The Last Poets「It’s a Trip」(アルバム:Delight Of The Garden)
■アーティスト名:The Last Poets
■アーティスト名カナ:ラスト・ポエッツ
■曲名:It’s a Trip
■曲名邦題:イッツ・ア・トリップ
■アルバム名:Delight Of The Garden
■アルバム名邦題:ディライツ・オブ・ザ・ガーデン
■動画リンク:The Last Poets「It’s a Trip」
レア・グルーヴには、ストリート系詩人の系譜があります。
ワッツ・プロフェッツ(Watts Prophets)やギル・スコット=ヘロン(Gil Scott-Heron)などは、HIPHOPのルーツとも言われています。
彼らの多くは当初簡素なパーカッションやコンガをバックに、詩を朗読していました。
その後徐々にファンクに移行していきましたが、レア・グルーヴの観点ではその時期が狙い目です。
この曲もその1つ。
ちなみにレア・グルーヴはHIPHOPと親和性が高く、レア・グルーヴの定番曲はサンプリングソースとしても有名だったりします。
さてこのアルバムのドラムは、バーナード・パーディ(Bernard Purdie)。
レア・グルーヴで最も愛されているドラマーの1人ですが、同時にHIPHOPで最もサンプリングされる1人でもあります。
この曲のリズムは若干走り気味ですが、イナたい味わいは健在です。
5位 George Muribus「The Dolphin」(アルバム:Brazilian Tapestry)
■アーティスト名:George Muribus
■アーティスト名カナ:ジョージ・ムリバス
■曲名:The Dolphin
■曲名邦題:ドルフィン
■アルバム名:Brazilian Tapestry
■アルバム名邦題:ブラジリアン・タペストリー
■動画リンク:George Muribus「The Dolphin」
レア・グルーヴの中には、ブラジリアン・レア・グルーヴと呼ばれるものがあります。
ブラジリアン・ジャズ・ファンク、ブラジリアン・グルーヴ、ブラジリアン・フュージョンなど、人によって言い方は異なりますが。
レア・グルーヴは狭義でファンクを指すことが多いですが、ラテンやブラジル色の強い曲が含まれることがあります。
ジョアン・ドナート(Joao Donato)やジョージ・デューク(George Duke)など、ファンクとブラジル音楽の境界線をまたぐ人も多いですから。
この曲はスピリチュアル系やフュージョン寄りですが、すばらしい曲なのでご紹介しました。
そもそも「ジョージ・ムリバスって誰?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
この人はラテン・ロックバンドのアステカ(Azteca)でキーボードを弾いていた人です。
基本編成は、キーボード、ベース、ドラムの3人です。
ジョージのエレピもすばらしいですが、この曲がここまですばらしい出来になったのは、ベースの存在が大きいと思います。
4:21ぐらいからのベースソロは、絶品としか言いようがありません。
6位 Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」(アルバム:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings)
■アーティスト名:Lafayette Afro Rock Band
■アーティスト名カナ:ラファイエット・アフロ・ロック・バンド
■曲名:Little Sister
■アルバム名:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings
■動画リンク:Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」
彼らは「Hihache」という曲が有名ですが、私はこちらの方が好みです。
とはいえそちらも捨てがたいので、リンクを貼っておきましょう。
イントロのカッコよさが半端ありません。
Lafayette Afro Rock Band – Hihache
ニューヨークで結成した当初は、ボビー・ボイド・コングレス(Bobby Boyd Congress)というバンド名でした。
その後パリに移住してボーカルが脱退すると、バンド名をアイス(Ice)と変え、更にアイスと並行してこのバンドも始めました。
名前の通りアフロ色の強いインスト・バンドなのですが、独特のB級感覚が魅力的です。
レア・グルーヴとは当時は売れなかったということ。
ただ中には様々な事情から音楽が良くても評価されなかったケースも少なくありません。
このバンド特有のB級感覚は、今でこそ評価すべきかもしれません。
7位 The Gaturs feat. Willie Tee「Funky Funky Twist」(アルバム:Wasted)
■アーティスト名:The Gaturs feat. Willie Tee
■アーティスト名カナ:ザ・ゲイターズ・フューチャリング・ウィリー・ティー
■曲名:Funky Funky Twist
■曲名邦題:ファンキー・ファンキー・ツイスト
■アルバム名:Wasted
■アルバム名邦題:ウェイステッド
■動画リンク:The Gaturs「Funky Funky Twist」
このアルバムはブックオフで見つけて買いました。
このアルバムを買うような人が、ブックオフでCDを売るのでしょうか。
それ以前にとてもすばらしいアルバムなので、売ることは考えられませんが。
驚きつつ買ったことを覚えています。
それはともかく、このアルバムはレア・グルーヴ好きの間では定番とまではいかなくても、そこそこ知られているアルバムです。
ミーターズを引き合いに出されることが多いインスト・バンドですが、今回はボーカル入りの曲を選びました。
基本的に今回のランキングには、歌もの色が強い曲は入れていません。
ボーカルは入っていてもいいけれど、歌メロ中心の曲は候補から外しました。
この曲は唯一の例外です。
この人たちは基本的にインストバンドですし、特例とさせていただきました。
ミーターズ(The Meters)やニューオリンズ・ファンクがお好きな方は、ぜひアルバム単位でチェックしてみてください。
8位 Mandrill「Cohelo」(アルバム:Mandrill Is)
■アーティスト名:Mandrill
■アーティスト名カナ:マンドリル
■曲名:Cohelo
■曲名邦題:コヘロ
■アルバム名:Mandrill Is
■アルバム名邦題:マンドリル・イズ
■動画リンク:Mandrill「Cohelo」
1970年代のB級ファンク・グループは、レア・グルーヴの宝庫です。
そういうバンドが少し毛並みの変わった曲をやると、おいしい曲になることが多いかもしれません。
彼らは基本ファンク主体のバンドですが、この曲はラテンっぽいです。
そもそもレア・グルーヴの曲には、ラテンっぽい曲が少なくありません。
タイプは異なりますが、ハーレム・リヴァー・ドライヴ(Harlem River Drive)なども、ラテン・レア・グルーヴの定番です。
あとこの曲のバックの掛け声は、ダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)の「ゲットー(The Ghetto)」っぽいですね。
「ゲットー」も、後半はほぼラテンでした。
「ゲットー」は知名度が低かったら、レア・グルーヴと呼ばれたことでしょう。
完全にラテンの曲はレア・グルーヴではありません。
しかしこの曲のように境界線をまたぐラテンは、レア・グルーヴといってもいいと思います。
9位 Greyboy Allstars「Tenor Man」(アルバム:West Coast Boogaloo)
■アーティスト名:Greyboy Allstars
■アーティスト名カナ:グレイボーイ・オールスターズ
■曲名:Tenor Man
■アルバム名:West Coast Boogaloo
■動画リンク:Greyboy Allstars「Tenor Man」
今回は私の中にある「こういうのがレア・グルーヴ」というイメージに沿って選曲しました。
さて皆さんはこの曲を聞いてどのように思われたでしょうか。
レア・グルーヴの王道だと思った方は、私とイメージが似ているかもしれません。
このバンドはサンディエゴ出身のジャズファンク・バンドで、このアルバムは1994年に自主レーベルからリリースされています。
一般的なレア・グルーヴの時期からは外れますが、音楽的には完全に1970年代ではないでしょうか。
他にもオーサカ=モノレールとかエディ・ロバーツ(Eddie Roberts)など、1970年代特有の質感を持ったタイムレスなレア・グルーヴを代表する曲として選んでみました。
そもそもこの曲にはフレッド・ウェズリー(Fred Wesley)が参加しています。
それだけでレア・グルーヴと言い切ってもいい感じがしないでもありません。
10位 Cymande「Anthracite」(アルバム:Second Time Round)
■アーティスト名:Cymande
■アーティスト名カナ:サイマンデ
■曲名:Anthracite
■アルバム名:Second Time Round
■アルバム名邦題:セカンド・タイム・アラウンド
■動画リンク:Cymande「Anthracite」
彼らはジャマイカ系イギリス人のバンドです。
他にもいくつかレア・グルーヴ・クラシックと呼ぶにふさわしい曲があります。
代表曲「Bra」のリンクを貼っておきましょう。
今回おすすめした「Anthracite」は、特に後半が聞きものです。
フルートのソロに続いて、引き締まった音色のホーンが入る展開がたまりません。
さて最後に今回私がこだわった点について、少し補足したいと思います。
レア・グルーヴを発掘する場合、ハードルを下げさえすればいくらでも曲は見つかるものです。
ただ私にも経験がありますが、苦労して見つけた少し良いぐらいの曲を、人には名曲だと言いたくなるのですね。
そこでこの記事ではレアであることに過剰な意味を持たせず、自己満足にならないよう自らを戒めながら選曲しました。
ご紹介に値する良い曲かどうか、その一点だけにこだわっています。
有名どころと私的おすすめ曲を中心にご紹介してみましたが、どれも自信を持っておすすめできる曲ばかりです。
レア・グルーヴの世界に興味を持った方は、ぜひもっと先まで掘り進んでみてください。
この特集がその入口となればうれしいです。
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