今回はレア・グルーヴのランキングを作成しました。
しかしその定義はあいまいで、人によってイメージが全く異なるかもしれません。
それに昔は希少だったけれど、今では必ずしもそうではない場合もあります。
たとえば10位のサイマンデは、レア・グルーヴを象徴する存在です。
しかし先程Amazonで確認したところ、コメントが376個付いているアルバムがありました。
もはや無名とはいえませんが、音楽的にはレア・グルーヴのど真ん中です。
この記事ではそれをふまえて、私がレア・グルーヴだと思う曲をご紹介してみました。
- 1 1位 Bobby Byrd「I Know You Got Soul」(アルバム:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD)
- 2 2位 Manu Dibango「Pepe Soup」(アルバム:Super Kumba)
- 3 3位 Sir Joe Quarterman & Free Soul「(I Got) So Much Trouble in My Mind」(アルバム:Sir Joe Quarterman & Free Soul)
- 4 4位 The Last Poets「It’s a Trip」(アルバム:Delight Of The Garden)
- 5 5位 George Muribus「The Dolphin」(アルバム:Brazilian Tapestry)
- 6 6位 Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」(アルバム:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings)
- 7 7位 The Gaturs feat. Willie Tee「Funky Funky Twist」(アルバム:Wasted)
- 8 8位 Mandrill「Cohelo」(アルバム:Mandrill Is)
- 9 9位 Greyboy Allstars「Tenor Man」(アルバム:West Coast Boogaloo)
- 10 10位 Cymande「Anthracite」(アルバム:Second Time Round)
- 11 関連記事
- 12 記事一覧
- 13 他ブログ・SNS等
1位 Bobby Byrd「I Know You Got Soul」(アルバム:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD)

■アーティスト名:Bobby Byrd
■アーティスト名カナ:ボビー・バード
■曲名:I Know You Got Soul
■曲名邦題:アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル
■アルバム名:Bobby Byrd Got Soul: The Best of Bob by BOBBY BYRD(1995年)
■アルバム名邦題:アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル~ベスト・オブ・ボビー・バード
■動画リンク:Bobby Byrd「I Know You Got Soul」
この人はジェームス・ブラウン(James Brown)のバンドでの活躍がよく知られています。
彼は「セックス・マシーン(Get Up (I Feel Like Being a) Sex Machine)」で、ジェームス・ブラウンに続いて「ゲロッパ」と返している人です。
この曲はファンク・クラシックとして有名なので、ご存知の方も少なくないかもしれません。
あえて私がこの曲をレア・グルーヴとして選んだのは、レア・グルーヴの有名コンピレーション「Ultimate Breaks & Beats」に収録されているから。
エリックB&ラキム(Eric B & Rakim)の同名曲の元ネタとしても知られています。
Eric B. & Rakim – I Know You Got Soul
脇役がJBの最高の曲に比肩する傑作を生んだ驚き。
そうした立ち位置に由来するサプライズも、レア・グルーヴっぽい感じがしないでしょうか。
カッコ良い曲名を含めて、1位にふさわしい曲だと思います。
2位 Manu Dibango「Pepe Soup」(アルバム:Super Kumba)

■アーティスト名:Manu Dibango
■アーティスト名カナ:マヌ・ディバンゴ
■曲名:Pepe Soup
■曲名邦題:ペペ・スープ
■アルバム名:Super Kumba(1974年)
■アルバム名邦題:スーパー・クンバ
■動画リンク:Manu Dibango「Pepe Soup」
この人の知名度は決して低くありません。
ただこの人についてはいつも「ソウル・マコッサ(Soul Makossa)」の話題ばかりかもしれません。
私は一時期ロックとソウルのDJをしていたことがあって、こじんまりとしたお店でソウル・ミュージックをかけるのが好きでした。
当時お店では客の混み具合によって選曲を変えていました。
客が少ない時ににぎわい感のある曲をかけると、空気が寒くなりますし。
この曲はお店が混んでいる時用でしたが、それはお店側が臨戦態勢に入る合図みたいな意味合いもありました。
あとこの曲がかかると、かなり音楽に詳しい人たちからも誰の曲か聞かれたものです。
マヌ・ディバンゴだと伝えると、ああなんだという感じのリアクションが返ってきました(笑)。
ただ彼の名前は知っていても、この曲は意外と知られていないようでした。
有名なアーティストの認知度の低い名曲を探すこともまた、レア・グルーヴのディグではないでしょうか。
この曲はアフロ・レア・グルーヴの最高峰の1つだと思います。
3位 Sir Joe Quarterman & Free Soul「(I Got) So Much Trouble in My Mind」(アルバム:Sir Joe Quarterman & Free Soul)

■アーティスト名:Sir Joe Quarterman & Free Soul
■アーティスト名カナ:サー・ジョー・クォーターマン & フリー・ソウル
■曲名:(I Got) So Much Trouble in My Mind
■曲名邦題:(アイ・ガット)ソー・マッチ・トラブル・イン・マイ・マインド
■アルバム名:Sir Joe Quarterman & Free Soul(1973年)
■アルバム名邦題:サー・ジョー・クォーターマン & フリー・ソウル
■動画リンク:Sir Joe Quarterman「(I Got) So Much Trouble in My Mind」
この曲も有名なレア・グルーヴ・クラシックです。
というよりはド定番とか有名曲といえるかもしれません。
私は読んだことはありませんが「レア・グルーヴA to Z」というディスクガイドでも、とても大きく扱われているようです。
まあこのぐらいの曲になるとそうでしょうね。
この曲の勝因は、元々太いリズムにギターとホーンが更に厚みを加えていて、バンド全体で骨太なグルーヴを生み出しているところ。
このアルバムには他にも「アイム・ゴナ・ゲット・ユー」など、聞き逃せない曲が収録されています。
Joe Quarterman and Free Soul – I’m Gonna Get You
ジェイムス・ブラウン直系の曲ですが、時々カーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)ぽいところも感じます。
ちなみに彼らのオリジナル・アルバムはこの1枚限りですが、実はもう1枚「ハウ・ハイ~レア・テイクス(How High: Rare Takes)」という未発表集がリリースされています。
彼らが未発表曲集をしかも日本盤でリリースするなんて、レア・グルーヴの恩恵といえるでしょう。
その分更にレアからは遠ざかりますが(笑)。
4位 The Last Poets「It’s a Trip」(アルバム:Delight Of The Garden)

■アーティスト名:The Last Poets
■アーティスト名カナ:ラスト・ポエッツ
■曲名:It’s a Trip
■曲名邦題:イッツ・ア・トリップ
■アルバム名:Delight Of The Garden(1977年)
■アルバム名邦題:ディライツ・オブ・ザ・ガーデン
■動画リンク:The Last Poets「It’s a Trip」
レア・グルーヴには、ストリート系詩人の系譜があります。
ワッツ・プロフェッツ(Watts Prophets)やギル・スコット=ヘロン(Gil Scott-Heron)などは、HIPHOPのルーツとも言われています。
彼らの多くは当初簡素なパーカッションやコンガをバックに、詩を朗読するだけでした。
その後徐々にファンク度を上げていくのが通例でしたが、レア・グルーヴの観点ではその時期が狙い目です。
この曲もその1つ。
レア・グルーヴはHIPHOPとの親和性が高く、レア・グルーヴの定番はサンプリング・ソースとしても有名です。
さてこのアルバムのドラムは、バーナード・パーディ(Bernard Purdie)。
レア・グルーヴで最も愛されているドラマーの1人ですが、同時にHIPHOPでも頻繁にサンプリングされました。
この曲のリズムは若干走り気味ですが、イナたい味わいは健在です。
5位 George Muribus「The Dolphin」(アルバム:Brazilian Tapestry)

■アーティスト名:George Muribus
■アーティスト名カナ:ジョージ・ムリバス
■曲名:The Dolphin
■曲名邦題:ドルフィン
■アルバム名:Brazilian Tapestry(1976年)
■アルバム名邦題:ブラジリアン・タペストリー
■動画リンク:George Muribus「The Dolphin」
レア・グルーヴの中には、ブラジリアン・レア・グルーヴと呼ばれるものがあります。
ブラジリアン・ジャズ・ファンク、ブラジリアン・グルーヴ、ブラジリアン・フュージョンなど、人によって言い方は異なりますが。
レア・グルーヴは狭義ではファンクを指しますが、時にはラテンやブラジル色の強い曲が含まれることがあります。
ジョアン・ドナート(Joao Donato)やジョージ・デューク(George Duke)など、ファンクとブラジル音楽の境界線をまたぐ人も少なくありません。
この曲はスピリチュアル系やフュージョン寄りですが、すばらしい曲なのでご紹介してみました。
そもそも「ジョージ・ムリバスって誰?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
彼はラテン・ロックバンドのアステカ(Azteca)でキーボードを弾いていた人です。
この曲での編成は、キーボード、ベース、ドラムの3人。
ジョージのエレピもすばらしいですが、この曲がここまですばらしい出来になったのは、ベースの存在が大きいと思います。
4:21ぐらいからのベース・ソロは、絶品としか言いようがありません。
6位 Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」(アルバム:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings)

■アーティスト名:Lafayette Afro Rock Band
■アーティスト名カナ:ラファイエット・アフロ・ロック・バンド
■曲名:Little Sister
■アルバム名:Afon: 10 Unreleased Afro Funk Recordings(1999年)
■動画リンク:Lafayette Afro Rock Band「Little Sister」
彼らは「Hihache」という曲が有名ですが、私はこちらの方が好みです。
とはいえそちらも捨てがたいので、リンクだけ貼っておきましょう。
イントロのカッコよさが半端ありません。
Lafayette Afro Rock Band – Hihache
彼らはニューヨークで結成した当初、ボビー・ボイド・コングレス(Bobby Boyd Congress)というバンド名でした。
その後パリに移住してボーカルが脱退すると、バンド名をアイス(Ice)と変え、更に並行してこのバンド名でも活動を始めました。
名前の通りアフロ色の強いインスト・バンドですが、独特のB級感覚が魅力です。
レア・グルーヴとは、当時売れなかったということを暗に指した言葉です。
それらの曲にはたとえ音楽が良くても、様々な事情から評価されなかったケースが少なくありません。
このバンド特有のB級感覚は、今でこそ再評価すべきかもしれません。
7位 The Gaturs feat. Willie Tee「Funky Funky Twist」(アルバム:Wasted)

■アーティスト名:The Gaturs feat. Willie Tee
■アーティスト名カナ:ザ・ゲイターズ・フューチャリング・ウィリー・ティー
■曲名:Funky Funky Twist
■曲名邦題:ファンキー・ファンキー・ツイスト
■アルバム名:Wasted(1970年)
■アルバム名邦題:ウェイステッド
■動画リンク:The Gaturs「Funky Funky Twist」
このCDはブックオフで見つけて即買いしました。
そもそもこのアルバムを買うような人が、ブックオフでCDを売るものでしょうか。
それ以前にとてもすばらしいアルバムなので、売ることは考えられませんが。
そんな風に驚きつつ買ったことを覚えています。
それはともかく、このアルバムはレア・グルーヴ好きの間では定番とまではいかなくても、そこそこ知られているアルバムです。
ミーターズ(The Meters)を引き合いに出されることが多いインスト・バンドですが、今回はボーカル入りの曲を選びました。
当初からこの記事では、歌ものの曲は少なくしようと考えました。
レア・グルーヴの曲はあまりに多すぎて、ある程度条件を設けた方が選曲しやすいですし。
ただ彼らは基本的にインスト・バンドですし、個人的にこのボーカル曲が好きなので選んでみました。
8位 Mandrill「Cohelo」(アルバム:Mandrill Is)

■アーティスト名:Mandrill
■アーティスト名カナ:マンドリル
■曲名:Cohelo
■曲名邦題:コヘロ
■アルバム名:Mandrill Is(1972年)
■アルバム名邦題:マンドリル・イズ
■動画リンク:Mandrill「Cohelo」
1970年代のB級ファンク・グループは、レア・グルーヴの宝の山です。
そういうバンドが少し毛並みの変わった曲をやると、レア・グルーヴ的においしい曲になることが多いかもしれません。
彼らは基本ファンク・バンドですが、ここではラテンっぽい曲をセレクトしてみました。
そもそもレア・グルーヴの曲には、ラテンっぽい曲が結構あります。
ハーレム・リヴァー・ドライヴ(Harlem River Drive)などは、ラテン・レア・グルーヴの定番です。
あとこの曲の掛け声は、ダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)の「ゲットー(The Ghetto)」っぽいですね。
「ゲットー」も、後半はほぼラテンでした。
もし「ゲットー」の知名度が低かったら、レア・グルーヴと呼ばれたことでしょう。
ちなみに完全にラテンの曲は、レア・グルーヴとはいえません。
しかしこの曲のようにラテンとクロスオーバーした場合は、レア・グルーヴといってもいいと思います。
9位 Greyboy Allstars「Tenor Man」(アルバム:West Coast Boogaloo)

■アーティスト名:Greyboy Allstars
■アーティスト名カナ:グレイボーイ・オールスターズ
■曲名:Tenor Man
■アルバム名:West Coast Boogaloo(1994年)
■動画リンク:Greyboy Allstars「Tenor Man」
今回は私の中にあるレア・グルーヴのイメージに沿って選曲しました。
さて皆さんはこの「Tenor Man」を聞いて、どのように思われたでしょうか。
レア・グルーヴの王道だと思った方は、私とイメージが似ているかもしれません。
このバンドはサンディエゴ出身のジャズファンク・バンドで、このアルバムは1994年自主レーベルからリリースされました。
一般的なレア・グルーヴの時期からは外れますが、音楽的には完全に1970年代の影響下にあります。
他にもオーサカ=モノレールとかエディ・ロバーツ(Eddie Roberts)など、1970年代の質感を持ったタイムレスなレア・グルーヴを代表する曲としてご紹介してみました。
この曲にはフレッド・ウェズリー(Fred Wesley)が参加しています。
ただそれだけでレア・グルーヴに分類していい感じがしますね。
10位 Cymande「Anthracite」(アルバム:Second Time Round)

■アーティスト名:Cymande
■アーティスト名カナ:サイマンデ
■曲名:Anthracite
■アルバム名:Second Time Round(1973年)
■アルバム名邦題:セカンド・タイム・アラウンド
■動画リンク:Cymande「Anthracite」
彼らはジャマイカ系イギリス人のバンドです。
彼らの代表曲「Bra」のリンクを貼っておきましょう。
今回おすすめした「Anthracite」は、特に後半の演奏が聞きものです。
フルートのソロに続いて、引き締まった音色のホーンが入る展開がたまりません。
さて最後に今回私がこだわった点について、少々補足したいと思います。
レア・グルーヴを発掘していると、ハードルを下げさえすれば、いくらでも曲を発掘できるものです。
ただ私にも経験がありますが、苦労して見つけた少し良いぐらいの曲を、人には大名曲だと言いたくなるのですね。
そこでこの記事ではレアであることに過剰な意味を持たせず、自己満足にならないよう自らを戒めて選曲しました。
ご紹介に値する良い曲かどうか、その一点だけに強くこだわっています。
これらの曲を聞いてレア・グルーヴに興味を持った方は、ぜひご自身でも掘ってみてください。
この記事が探求の入口となればうれしいです。
なおもっとソウル系の曲を聞いてみたい方は、以下の記事もどうぞ。
私のnoteの方でも私の好きな曲を聞くことができます。
関連記事
■ギル・スコット・ヘロン(Gil Scott-Heron)の名曲名盤10選
■スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly & The Family Stone)の名曲名盤10選
■タワー・オブ・パワー(Tower of Power)の名曲名盤10選
■オハイオ・プレイヤーズ(Ohio Players)の名曲名盤10選
■リック・ジェームス(Rick James)の名曲名盤10選
■ドナルド・バード(Donald Byrd)の名曲名盤10選
■ジョージィ・フェイム(Georgie Fame)の名曲名盤10選
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■note(ジャンル別おすすめ曲一覧)
※選りすぐりの名曲を1曲単位でご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!