今回はタワー・オブ・パワーのランキングを作成しました。
このバンドの魅力は演奏面です。
特にリズムのキレっぷりは、音楽の演奏というよりも、クイックネスが必要とされるスポーツみたいです。
一般にそういう側面が語られる機会が多いグループです。
しかし私はこのバンドのもう一つの一面も、アピールしてみたいと思います。
それは歌もののすばらしさです。
今回は彼らの魅力をできるだけ多面的にご紹介したいと思って選曲しました。
- 1 1位「Only So Much Oil in the Ground」(アルバム:Urban Renewal)
- 2 2位「You Ought to Be Havin’ Fun」(アルバム:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now)
- 3 3位「You’re So Wonderful, So Marvelous」(アルバム:In The Slot)
- 4 4位「Can’t You See (You Doin’ Me Wrong)」(アルバム:Back to Oakland)
- 5 5位「So Very Hard to Go」(アルバム:Tower of Power)
- 6 6位「What Happened To The World That Day?」(アルバム:Bump City)
- 7 7位「Heaven Must Have Made You」(アルバム:Back on the Streets)
- 8 8位「It’s So Nice」(アルバム:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now)
- 9 9位「We Came to Play!」(アルバム:We Came to Play!)
- 10 10位「Through Lovers’ Eyes」(アルバム:Power)
- 11 番外編「Oakland Stroke」(アルバム:Back to Oakland)
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1位「Only So Much Oil in the Ground」(アルバム:Urban Renewal)
■曲名:Only So Much Oil in the Ground
■曲名邦題:限りある世界
■アルバム名:Urban Renewal
■アルバム名邦題:オークランド・ストリート
■動画リンク:「Only So Much Oil in the Ground」
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このバンドの多すぎる名曲のうち、私の中ではこの曲が不動の首位です。
もしかしたら同じ方も多いかもしれません。
一般的に彼らの全盛期と言われているのは「Bump City」からこの「Urban Renewal」の時期です。
人によっては「In The Slot」までを含めるかもしれません。
演奏の充実がそのままセールスに直結していた、彼らにとってとても幸せな時代だったと思います。
この頃はサードアルバムから加入し全盛期を支えた、レニー・ウィリアムズ(Lenny Williams)がボーカルの時期です。
少しこの塩辛い声はたまりませんね。
いつも通りリズムも快調そのものです。ただ演奏面で特に貢献しているのはオルガンです。
3:08ぐらいからのオルガンソロのグルーヴィーなこと!
このバンドは曲の魅力に注目するか、演奏のすごさに注目するかで、人によって好きな曲が異なります。
この曲などは、どちらも高いレベルで合致している、稀な大名曲だと思います。
2位「You Ought to Be Havin’ Fun」(アルバム:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now)
■曲名:You Ought to Be Havin’ Fun
■曲名邦題:ユー・オートゥ・ビー・ハヴィン・ファン
■アルバム名:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now
■アルバム名邦題:夜の賭博師
■動画リンク:「You Ought to Be Havin’ Fun」
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彼らはこのアルバムからコロンビアレコード(Columbia Records)に移籍しました。
移籍して1枚目であるこのアルバムからのファーストシングルがこの曲です。
シングルカットされて、そこそこのヒットを記録しています。
この人たちはそもそもアルバム単位で聞く人たちだと思いますから、シングルかどうかは特に気にしたことがありません。
ただこの曲はいかにもシングル向きといえる、外向的でポップな曲となっています。
彼らは「Back to Oakland」の頃の人気が高く、一般的に代表作とされるのはその前後のアルバムです。
演奏に関しては、私はその評価に同意したいと思います。
ただコロンビア時代の彼らは、ポップ路線をを更に推し進めています。
彼らは前作ぐらいから、歌もの重視の姿勢を強めて、このアルバムで大きな成果を挙げているように思います。
私が普段聞く機会が多く、一番のお気に入りはこのアルバムです。
3位「You’re So Wonderful, So Marvelous」(アルバム:In The Slot)
■曲名:You’re So Wonderful, So Marvelous
■曲名邦題:ソー・ワンダフル・ソー・マーヴェラス
■アルバム名:In The Slot
■アルバム名邦題:イン・ザ・スロット
■動画リンク:「You’re So Wonderful, So Marvelous」
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もうイントロの時点で名曲確定です。
ヒューバート・タブス(Hubert Tubbs)のボーカルがいい感じです。
彼らはメンバーの入れ替えが大変多いバンドです。
通常ボーカルは過去の曲をライブで演奏する関係上、過去のシンガーに似た特徴のシンガーを起用する傾向にあります。
しかし彼らはそんなことを、全く考えている様子がありません。
ファーストアルバムから、毎回違う特徴を持ったシンガーに交代しています。見事なぐらい傾向がばらけています。
更に言えば、メンバー交代が激しいのはボーカルだけではありません。
現在までの累積メンバーを数えてみたところ、なんと54人でした。
あまりにも多すぎですが、不思議と音楽的な一貫性を保っているのは、一度に大幅なメンバーチェンジをしなかったせいかもしれません。
うなぎのタレ方式ですかね。
また一度脱退したメンバーがまた復活することも多く、まるで大学のバンドサークルみたいにメンバーをシャッフルしている感じもします。
ドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)みたいに、バンドというよりも共同体と言った方がいいのかもしれません
4位「Can’t You See (You Doin’ Me Wrong)」(アルバム:Back to Oakland)
■曲名:Can’t You See (You Doin’ Me Wrong)
■曲名邦題:キャント・ユー・シー
■アルバム名:Back to Oakland
■アルバム名邦題:バック・トゥ・オークランド
■動画リンク:「Can’t You See (You Doin’ Me Wrong)」
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このアルバムは彼らの代表作と言われることが多いです。
まずベースがフランシス・ロッコ・プレスシャ(Francis “Rocco” Prestia)とデイビット・ガリバルディ(David Garibaldi)いう全盛期の鉄壁の布陣です。
それに加えて歴代ボーカリストで一番人気だと思われるレニー・ウィリアムズもいます。
今回選ぶか迷った「スクウィブ・ケイクス(Squib Cakes)」など、これでもかというぐらい鳥肌ものの演奏が詰め込まれています。
演奏がすごすぎるので、聞き流すことができず、じっとして聞くしかないアルバムです。
このアルバムは直訳すると「オークランドに帰る」というタイトルです。
オークランドとはカルフォルニアの都市のことで、彼らの発祥の地です。
要するに自分たちの原点に立ち返ろうという意味だと思われます。
オークランドは治安のよくない港湾都市のようですが、デビューの頃の彼らは少し粗削りなファンクバンドでした。
このアルバムで野性味あふれるファンクが多めなのは、そうした意図があるのかもしれません。
5位「So Very Hard to Go」(アルバム:Tower of Power)
■曲名:So Very Hard to Go
■曲名邦題:ソー・ベリー・ハード・トゥ・ゴー
■アルバム名:Tower of Power
■アルバム名邦題:タワー・オブ・パワー
■動画リンク:「So Very Hard to Go」
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この曲はサードアルバムからの選曲です。
この曲は珍しくリラックスできる雰囲気を持っています。
彼らにしては普通のソウルバラードみたいな感じです。
このバンドは都会的な雰囲気を持っていますが、更に洗練されていきました。
しかしこの頃にはまだ少しやぼったいところが残っていたものです。
この曲には、人間的な温かみみたいなものを感じます。
この曲が発表された1973年は、田舎の音楽であるサザンソウルにもヒットチャート上に居場所がありました。
この年はO.V.ライト(O. V. Wright)がディープソウルの大傑作「Memphis Unlimited」をリリースし、アン・ピーブルズ(Ann Peebles)が「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン(I Can’t Stand The Rain)」をヒットさせた年です。
ちなみにこの曲は彼らの最大のヒット曲で、全米チャートで17位を獲得しています。
私は彼らがもう少しこういうやぼったい曲をやってくれたらと思ってしまいます。
そのぐらいこの曲は魅力的です。
サビでホーンが盛り立てる中、女性コーラスと交互に歌い上げるレニー・ウィリアムズのボーカルの味わい深いこと!
見方を変えれば、今回のランキングで裏の目玉になる曲かもしれません。
6位「What Happened To The World That Day?」(アルバム:Bump City)
■曲名:What Happened To The World That Day?
■曲名邦題:ホワット・ハップンド・トゥ・ザ・ワールド
■アルバム名:Bump City
■アルバム名邦題:バンプ・シティ
■動画リンク:「What Happened To The World That Day?」
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この曲は彼らのセカンドアルバムである「Bump City」からの選曲です。
今回はファーストアルバムの「イースト・ベイ・グリース(East Bay Grease)」からは選曲していませんが、デビュー時から彼らはただ者ではない演奏をしていました。
しかしこのセカンドアルバムぐらいから、彼らは自分たちのスタイルを確立しはじめた感じがします。
躍動的なファンク路線と、ボーカルメインのメロウな曲という二本柱です。
この曲では前作のボーカルであるルーファス・ミラー(Rufus Miller)から、リック・スティーブンス(Rick Stevens)に変わり、メロウな部分を全面に押し出しています。
彼らはベースのロッコとドラムのガリバルディばかりが注目されがちです。
しかし一般的にこのグループは、ホーンセクションが高く評価されています。
彼らは売れない時代に、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(Huey Lewis & The News)のホーンセクションを務めていました。
彼らは不遇の時期をホーンセクションの仕事で乗り越えました。
この曲では彼らのホーンの魅力が味わえます。
7位「Heaven Must Have Made You」(アルバム:Back on the Streets)
■曲名:Heaven Must Have Made You
■曲名邦題:ヘヴン・マスト・ハヴ・メイド・ユー
■アルバム名:Back on the Streets
■アルバム名邦題:バック・オン・ザ・ストリート
■動画リンク:「Heaven Must Have Made You」
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彼らにとって大きな節目のアルバムです
まずコロンビアレコードでの最後のアルバムとなりました。
私はそれほど悪くないと思いますが、この頃の彼らは人気が低迷していて、一般的にファンの間でも人気が高くありません。
コロンビアというレコード会社はご存知の方も多いと思いますが、比較的大きな会社です。
一部の玄人受けする音楽を喜んでリリースするような会社とは違うということですね。
彼らは地元など一部の熱狂的な支持者はいましたが、一般的なセールスでは振るわなくなってきていました。
しかし彼らは試行錯誤していました。
徐々に歌ものへとシフトしていきましたが、私はこの曲がその方向性で正しいことを証明しているように思います。
この曲はまるでオフ・ザ・ウォール(Off The Wall)の頃のマイケル・ジャクソン(MichaelJackson)を思わせる曲です。
もしかしたらAORファンは、この曲に聞き覚えがあるかもしれません。
作曲はピーセス(Pieces)のジェフリー・レイブ(Geoffrey Leib)で、AOR名盤と呼ばれる彼らのアルバムにも収録されています。
そちらのバージョンも捨てがたいのですが、私としてはこちらに軍配を上げたいと思います。
8位「It’s So Nice」(アルバム:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now)
■曲名:It’s So Nice
■曲名邦題:イッツ・ソー・ナイス
■アルバム名:Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now
■アルバム名邦題:夜の賭博師
■動画リンク:「It’s So Nice」
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私はこのアルバムが最高傑作だと思いますが、その理由は楽曲が強力だからです。
ちなみに今回このアルバムからは2曲を選びましたが、まだまだこの曲と同レベルの曲があります。
一応今回取り上げるか迷った候補曲を、以下に挙げておきましょう。
「ビコーズ・アイ・シンク・ザ・ワールド・オブ・ユー(Because I Think the World of You)」
「ワイル・ウィ・ウェント・トゥ・ザ・ムーン(While We Went to the Moon)」
ちなみにタイトル曲でシングルカットされた「エイント・ナッシン・ストッピン・アス・ナウ(Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now)」もなかなかの出来です。
さてこの曲はまずイントロでホーンが高らかに鳴り響き、その後始まるコーラスもすばらしいです。
この曲は従来のような演奏力にものをいわせた曲ではありません。
その代わりに洗練されたアレンジと、気分を高揚させるポップな魅力があります。
彼らの演奏の魅力は否定しません。
しかしこれら楽曲には抗えない魅力があります。
9位「We Came to Play!」(アルバム:We Came to Play!)
■曲名:We Came to Play!
■曲名邦題:ウィ・ケイム・トゥ・プレイ
■アルバム名:We Came to Play!
■アルバム名邦題:ウィ・ケイム・トゥ・プレイ
■動画リンク:「We Came to Play!」
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この曲も悪名高きコロンビア時代の曲です。
先程私は曲がより魅力的になったこの時期が好みだと申し上げました。
しかし中には楽曲よりも、演奏が魅力的だと思える曲もあります。
この時期が人気がないのは、全盛期のベースとドラムの2人がそろっていないことが大きな理由です。
コロンビア時代の3枚で、ベースのロッコとドラムのガリバルディの2人ともそろったアルバムは1枚もありません。
「Ain’t Nothin’ Stoppin’ Us Now」ではベースのロッコだけ、「Back on the Streets」ではガリバルディだけ、三部作の真ん中にあたるこのアルバムでは、2人ともいません。
柱がいないバンドに失望する気持ちもわかります。
しかもこのアルバムでは、前作ほど曲の魅力もありませんでしたし。
他には「シェア・マイ・ライフ(Share My Life)」などはなかなかの名曲だと思いますが、全体としては今一つぱっとしない印象です。
実際この曲も、曲自体の魅力はあまりありません。
しかしそれにもかかわらずこの曲を選んだのは、演奏のすばらしさゆえです。
最初の方はごく平凡なファンク路線で、聞き流していただいて結構です。
しかしぜひ1:21ぐらいからの演奏を聞いてみていただきたいと思います。
ベースとドラムがブレイクビーツみたいな、少しおかしなリズムを刻んでいます。
私はこの演奏でベースのビクター・コンテ(Victor Conte)とドラムのロニー・ベック(Ronnie Beck)を見直しました。
10位「Through Lovers’ Eyes」(アルバム:Power)
■曲名:Through Lovers’ Eyes
■曲名邦題:スルー・ラバーズ・アイズ
■アルバム名:Power
■アルバム名邦題:パワー
■動画リンク:「Through Lovers’ Eyes」
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最後に少し奇妙な選曲をしようと思います。
この曲は不遇の時期を経て、久しぶりにリリースしたアルバムからの選曲です。
ヒューイ・ルイスのおかげで、彼らは1986年にアルバムを出すことができました。
1986年にリリースされたのは「T.O.P.」というアルバムでしたが、そのアルバムはヨーロッパのみでのリリースだったようです。
翌年一部の曲を入れ替えて「パワー(Power)」という名前でリリースしたのが、このアルバムです。
典型的な1980年代の音づくりで、以前からのファンが失望したことは想像に難くありません。
しかしこの曲などはいかがでしょうか。
もちろんこれが名曲などと言うつもりはありません。
しかし長年不遇の時期を過ごした彼らが、久々に巡ってきたチャンスをものにしようという姿勢がうかがえる曲です。
そういう私も最初は聞いて失望しましたが、久しぶりに聞きなおすと、この曲などはそれほど悪くないと思いました。
イントロの熱すぎるギターが少し恥ずかしいですが、よくできた曲だと思います。
そのおかげで彼らはコンスタントにアルバムを出すことができるようになりました。
番外編「Oakland Stroke」(アルバム:Back to Oakland)
■曲名:Oakland Stroke
■曲名邦題:オークランド・ストローク
■アルバム名:Back to Oakland
■アルバム名邦題:バック・トゥ・オークランド
■動画リンク:「Oakland Stroke」
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最後に何か忘れていませんかと言われそうな気がしたので、もう1曲だけ取り上げます。
おそらく多くの人にとって、タワー・オブ・パワーの代名詞といえる曲だと思います。
バンド名はサーカス・オブ・パワー(Circus Of Power)とまぎわらしいかもしれませんね。
もちろんそんなことを思うのは、私ぐらいでしょうが。。。
そんなつまらないジョークよりも、まずはこのリズムをお聞きください。
先程から何度もロッコとガリバルディのリズムセクションが人気だと書いていますが、この曲を聞くとその理由が分かっていただけると思います。
しかもベースとドラムだけでなく、ギターもホーンも、オルガンですらキレッキレです。
バンド全体まるごとキレがありすぎます。
今も彼らは活躍していますが、技術がある人は生き残るということかもしれません。
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