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ジルベルト・ジル(Gilberto Gil)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はジルベルト・ジルのランキングを作成しました。

この人は知名度の割にあまり聞かれていないように思います。

そこでもっと聞かれてほしいと思い、彼の代表曲や魅力についてご紹介してみました。

ブラジルが誇るレジェンドの実力をご確認ください。

 

1位「Palco」(アルバム:Luar (A Gente Precisa Ver o Luar))

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■曲名:Palco
■曲名邦題:舞台(パルコ)
■アルバム名:Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)
■アルバム名邦題:ルアール
■動画リンク:「Palco」

アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)が好きな方におすすめの曲です。

ファルセットのコーラスだけでなく、アレンジもそれっぽいのでかなり意識しているかもしれません。

余談ですが、ショッピングセンターの「パルコ」の綴りは「PARCO」なので、スペルが異なります。

こちらの「Palco」は、曲名邦題の通り「舞台」という意味。

さて彼はブラジル音楽の大物ですが、代表曲さえそれほど知られていません。

この曲も彼の代表曲の1つですが、いま一つ知名度は高くありませんし。

より有名なのはボブ・マーリー(Bob Marley)のカバー「Não Chore Mais (No Woman, No Cry)」ですが、後でご紹介しています。

またジルベルト・ジルについて名前は知っているけれど、どこがそんなにすごいのかという方も少なくないはず。

この記事ではそんな彼の魅力をお伝えしようとしました。

彼はブラジル音楽のアフロ的な部分に強味を持った、とても地力のあるアーティストだと思います。

 

2位「Realce」(アルバム:Realce)

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■曲名:Realce
■曲名邦題:ヘアルシ(輝き)
■アルバム名:Realce
■アルバム名邦題:ヘアルシ
■動画リンク:「Realce」

この曲もアメリカのソウル・ミュージックの影響が強いです。

こちらはディスコの影響を感じます。

確かにアメリカナイズされた曲ですが、実際ギターはスティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)ですし。

一般に彼はMPBに分類されますが、その中で彼は大衆的でキャッチーな曲を書けます。

私は日本では実力に見合った人気がないような気がしています。

カルリーニョス・ブラウン(Carlinhos Brown)なども同様かもしれませんが、ブラジルのアフロ・バイーア色が強い曲は過小評価されがちのような気が。

この人にはいかにもMPBらしい名曲も多数あります。

しかし私は彼の本質は屈託のない、こういう曲にこそあるような気がします。

 

3位「Banda um」(アルバム:Um Banda Um)

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■曲名:Banda um
■曲名邦題:バンダ・ウン
■アルバム名:Um Banda Um
■アルバム名邦題:ウン・バンダ・ウン
■動画リンク:「Banda um」

曲名の「Banda Um」は、アルバム名であると共にバンド名でもあります。

つまりバンド名義の作品なのですね。

メンバーで特に有名なのは、ギターのセルソ・フォンセカ(Celso Fonseca)。

ジルベルト・ジルは後にブラジル音楽の重要人物となる彼を発掘しました。

そういえば前作「Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)」では、プロデューサーとしてリミーニャ(Liminha)を起用しました。

ジルは若い才能を発掘したり、多くのアーティストと共演した人でした。

それらの活動から得た経験は、後年まで良い作品を生むポテンシャルとなり、アーティストとしてのスケール感として結実しました。

ムーディーマン(Moodymann)のようにあえて孤立して刃を研ぐ人もいますが、一般に交流の多い方がアーティストとして伸びるような気がします。

 

4位「Sarará Miolo」(アルバム:Nightingale)

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■曲名:Sarará Miolo
■曲名邦題:サララー・ミオロ
■アルバム名:Nightingale
■アルバム名邦題:ナイチンゲール
■動画リンク:「Sarará Miolo」

このアルバムはアメリカ向けの作品として発売されました。

プロデュースはセルジオ・メンデス( Sergi)ですが、多くのアメリカ人が参加しています。

通常アメリカナイズされたブラジル音楽は、コアなファンから疎んじられるもの。

私見によればブラジルのアーティストがアメリカ録音すると、浮遊感や陰り、情感が失われるように感じます。

特に後者2つはサウダーヂと言い換え可能かもいいかもしれません。

つまり音が整理されて、売れるのに必要ない成分は排除されがちなのですね。

しかしジルベルト・ジルにおいては、そのあたりの弊害はなかったかもしれません。

私はジルベルト・ジルのような音楽もブラジル音楽の魅力の一部だと思いますが、同時に国境を超えて汎アフロ・ミュージック=バイーアと考えています。

この頃彼はボブ・マーリーに傾倒していました。

ボブ・マーリーはアフリカでも人気がありますが、ジルベルト・ジルもアフリカ的要素を感じます。

彼の音楽にはアメリカを含めたワールドワイドなスケール感を感じます。

 

5位「Não Chore Mais (No Woman, No Cry)」(アルバム:Realce)

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■曲名:Não Chore Mais (No Woman, No Cry)
■曲名邦題:ナォン・ショーリ・マイス(ノー・ウーマン、ノー・クライ)
■アルバム名:Realce
■アルバム名邦題:ヘアルシ
■動画リンク:「Não Chore Mais (No Woman, No Cry)」

彼の全盛期は人によって異なるかもしれません。

ディスクガイドで紹介されるアルバムは、かなりばらつきがあります。

初期の作品は比較的人気がありますが、私はその後の時期の方が良いと思っています。

私が全盛期だと思うのは、以下のアルバムの時期ですが、更に絞れば最後の2枚。

1977年: Refavela
1979年: Nightingale
1979年: Realce
1981年: Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)

彼の最大のヒット曲であるこの曲が収録されているのは、最後の「Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)」です。

念の為この曲の原曲を引用しておきましょう。

Bob Marley – No Woman, No Cry

 

6位「Balafon」(アルバム:Refavela)

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■曲名:Balafon
■曲名邦題:バラフォン
■アルバム名:Refavela
■アルバム名邦題:ヘファヴェーラ
■動画リンク:「Balafon」

ジルベルト・ジルが真に偉大な存在になるのは、このアルバムからかもしれません。

それには彼の資質がより表に現れるようになったことが関係しています。

1977年彼は世界黒人芸術文化祭(FESTAC)に参加しました。

その音楽部門には、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)やフェラ・クティ(Fela Kuti)が参加していました。

この3人が出演したのは、あまりにも豪華すぎますね。

ジルベルト・ジルはその時の経験からかなり刺激を受けたそうです。

その結果同年にアフロ色の強い、このアルバムが発表されました。

この曲でが彼の特徴であるトロピカルなサウンドに乗って、自由を得た魚のごとく躍動しています。

 

7位「O Canto da Ema」(アルバム:Expresso 2222)

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■曲名:O Canto da Ema
■曲名邦題:オ・カント・ダ・エマ
■アルバム名:Expresso 2222
■アルバム名邦題:エスプレッソ2222
■動画リンク:「O Canto da Ema」

初期の彼は様々な要素が整理されないまま、奇妙に同居していました。

例えばサイケデリック・ロック、ボサノヴァ、アフロなど、その折衷ぶりは興味深くはあっても、バランスが悪くうまく消化しきれていないように感じます。

単に私の好みにすぎませんが、初期を好きな人がいたら申し訳ありません。

ただ後に偉大な存在になるポテンシャルは感じます。

帰国後に発表したこの曲は、アフロ色が強く私好みでした。

この曲のリズムは一時期のトーキング・ヘッズ(Talking Heads)を彷彿させて、とても刺激的です。

6分超えと少し長い曲ですが、このリズムにはずっと浸っていたくなります。

 

8位「Cara Cara」(アルバム:Luar (A Gente Precisa Ver o Luar))

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■曲名:Cara Cara
■アルバム名:Luar (A Gente Precisa Ver o Luar)
■アルバム名邦題:ルアール
■動画リンク:「Cara Cara」

彼のボーカルには、黒人特有の伸びやかなところがあります。

後にサリフ・ケイタ(Salif Keïta)やリチャード・ボナ(Richard Bona)が果たした役割の先駆けといえるかもしれません。

黒人ボーカリストには声に張りがあることが多いように思います。

例えばアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)、スティーヴィー・ワンダー。

先の2人を含めて、一部の黒人音楽は声の張りが音楽の魅力を増幅させています。

ブラジルではバイーア州がアフロ色の強い音楽で知られていますが、ジルベルト・ジルは幼少期をバイーアで過ごしてます。

その後はバイーア連邦大学に進学して、その大学でカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)と出会っています。

なんという出会いでしょうか。

 

9位「Ensaio Geral」(アルバム:Louvação)

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■曲名:Ensaio Geral
■アルバム名:ロウヴァサォン
■アルバム名邦題:Louvação
■動画リンク:「Ensaio Geral」

彼の父親は医者でした。

そのせいか彼は大学に進学して、経営学を学びました。

音楽面でいえば、彼の転機は3回あります。

一つはジョアン・ジルベルト(João Gilberto)の音楽を聞いたこと。

それを機に彼はギターを買い、ボサノヴァを歌い始めました。

その後彼はジョルジ・ベンの音楽に出会いました。

一時期ジルベルト・ジルは、自分のやりたいことを全部やられてしまったと打ちひしがれたそうです。

ちなみに後に2人は共同名義のアルバムを発表し、以下のスリリングな名曲を生みました。

Gilberto Gil & Jorge Ben – Taj Mahal

確かに2人の資質はかなり似ているかもしれません。

個人的にこの2人がボサノヴァから出てきたのが興味深いと思っています。

多くの若者を音楽に向かわせたという点で、ボサノヴァはパンクと同じ役割を果たしたかもしれません。

また彼はビートルズ(The Beatles)の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band)」を聞いて衝撃を受けました。

その後彼は軍事政権から目を付けられて、国外に亡命しました。

その亡命先はビートルズを生んだイギリスです。

 

10位「Cinema Novo」(アルバム:Tropicália 2)

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■曲名:Cinema Novo
■曲名邦題:シネマ・ノーヴォ
■アルバム名:Tropicália 2
■アルバム名邦題:トロピカリア2
■動画リンク:「Cinema Novo」

彼はカエターノ・ヴェローゾと一緒にトロピカリア(トロピカリズモ)という芸術運動を始めました。

トロピカリアとは960年代後半のジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾが推進したムーブメントのこと。

音楽ではムタンチス(Os Mutantes)、トン・ゼー(Tom Zé)、ガル・コスタ(Gal Costa)などが参加した「トロピカリア(Tropicalia ou Panis et Circenses)」というアルバムを発表しました。

その運動の骨子は、古い音楽の再評価と当時の新しい音楽を融合することにより、ハイブリッドで先進的な音楽を生み出すことでした。

しかし野心的な運動は長続きせず、若い2人は軍事政権によって逮捕され、イギリスに亡命することになりました。

このアルバムは1968年に発表された「Tropicalia ou Panis et Circenses」の続編で、1993年に発表されました。

その頃には既に軍事政権は終わり、2人は共に誰もが認める存在になっていました。

とても野心的でしたが、若く青くさい理想主義のアルバム「Tropicalia ou Panis et Circenses」の続編が発表されたことに胸が熱くなります。

ジルベルト・ジルは「パラボリック(Parabolicamará)」など、他にも良いアルバムを数多く残しています。

また後に彼は政治家としてもブラジルの文化大臣に就任しました。

 

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