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バーデン・パウエル(Baden Powell)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はバーデン・パウエルのランキングを作成しました。

ギターを弾いている方は、ジャンルを問わず聞いておきたい個性派ギタリストです。

彼の奔放さに驚くかもしれません。

特に最後の曲などは、ギター芸術と呼びたくなる希代の名演です。

1位「Tristeza」(アルバム:Tristeza On Guitar)

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■曲名:Tristeza
■曲名邦題:トリステーザ
■アルバム名:Tristeza On Guitar
■アルバム名邦題:トリステーザ・オン・ギター
■動画リンク:「Tristeza」

私はこのアルバムを単体の音源では持っていません。

その代わり「Poema On Guitar」「Apaixonado」と3作がセットになった「Three Originals」というCDを持っています。

「Tristeza On Guitar」は比較的入手しやすいですが、他の2枚の入手が難しいため、そのCDを買うしかありませんでした。

本当は1枚単位でそろえたいところですが。

ブラジル音楽のCDやレコードとの出会いは、ロック以上に一期一会です。

次に出会えるとは限らず、見つけたら買っておいた方がいいかもしれません。

私はこの人のCDを21枚(22作品)持っていますが、まだまだ全然足りません。

しかし今からそろえようと思ったら、その21枚ですら集めるのが困難なはず。

最初にこれからこのアルバムを探す方に向けて注意点を申し上げてみました。

 

2位「One Note Samba」(アルバム:Baden Powell Swings with Jimmy Pratt)

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■曲名:One Note Samba
■曲名邦題:ワン・ノート・サンバ
■アルバム名:Baden Powell Swings with Jimmy Pratt
■アルバム名邦題:ワン・ノート・サンバ
■動画リンク:「One Note Samba」

いかにもエレンコ(Elenco)といった感じのアルバム・ジャケットがいいですね。

エレンコといえば、ボサノヴァを象徴するレーベル。

このアルバムはショーロっぽいです。

ショーロとは「ブラジルのジャズ」とも言われるブラジル音楽のジャンルの1つ。

もう1曲、同じアルバムからご紹介しましょう。

Baden Powell – Coisa No.1

このアルバムは、今回ご紹介した中で最初期の1963年にリリースされています。

この作品で共演したジミー・プラット(Jimmy Pratt)は、本場アメリカのジャズ・ドラマー。

「Coisa No.1」はまだしも「One Note Samba」では、バーデン・パウエルが目立ちまくっていますし、そのせいかリズムとのミスマッチも感じます。

この頃彼は既に型に収まりきらない演奏をしていました。

しかしそのはみ出た部分こそが、彼の魅力といえるかもしれません。

 

3位「Fim da Linha(End of the Line)」(アルバム:Solitude on Guitar)

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■曲名:Fim da Linha(End of the Line)
■曲名邦題:小さな終着駅
■アルバム名:Solitude on Guitar
■アルバム名邦題:孤独
■動画リンク:「Fim da Linha(End of the Line)」

まず「孤独」というアルバム名がいいですね。

彼はよく「孤高のギタリスト」と呼ばれていますが、その呼称はこのアルバム名に由来するかもしれません。

1971年にリリースされたこのアルバムは、1960年代とは異なり落ち着いた魅力があります。

同じアルバムからもう1曲「いそしぎ(The Shadow of Your Smile)」のカバー曲をご紹介しましょう。

Baden Powell – The Shadow of Your Smile

この作品は本国ブラジルではなく、ドイツで録音されています。

彼はヨーロッパに活動の場を移しましたが、その結果彼は世界的な知名度を得ました。

当時は日本でも人気があったらしく、こんなシングルも発売されています。

バーデン・パウエル – 知床旅情

 

4位「Samba do Aviao」(アルバム:Live at the Rio Jazz Club)

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■曲名:Samba do Aviao
■曲名邦題:ジェット機のサンバ
■アルバム名:Live at the Rio Jazz Club
■アルバム名邦題:ライヴ・アット・ザ・リオ・ジャズ・クラブ
■動画リンク:「Samba do Aviao」

彼の最高傑作としては、初期の「A Vontade」「Os Afro-Sambas de Baden e Vinicius」あたりがよく挙げられます。

1960年代に発表されたその2枚は、確かに名盤といえます。

しかし普段私が聞くのは1971年の「Solitude on Guitar」と1990年のこのアルバムあたりが多いかもしれません。

彼は1970年前後からより繊細に、しかし包容力を感じる作風に移行しました。

その変化について、スリルが失われたと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしこの曲を聞けば、スリルはそのまま表現の幅が広がったことをご理解いただけると思います。

穏やかな演奏では「セレスタ・ブラジレイラ(Seresta Brasileira)」収録の以下の曲がおすすめです。

Baden Powell – Primeiro Amor

私はアルバム1枚通して聞くなら後期が良いと思っています。

しかしこうしたランキングでは、初期の曲を選びたくなるのも事実。

いつが彼の全盛期かはとても悩ましい問題です。

 

5位「Berimbau」(アルバム:A Vontade)

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■曲名:Berimbau
■曲名邦題:ビリンバウ
■アルバム名:A Vontade
■アルバム名邦題:ア・ヴォンタージ
■動画リンク:「Berimbau」

彼は多くの名曲を書いており、作曲家としても高く評価されています。

この曲はその筆頭といえるかもしれません。

他には映画「男と女(Un homme et une femme)」に提供しピエール・バルー(Pierre Barouh)が歌った、以下の曲も有名です。

Pierre Barouh – Samba Saravah

さて彼の曲には独特の哀感や情念を感じさせる演奏が少なくありません。

その憂いを含んだ感覚は「サウダージ」と呼ばれるものです。

彼の音楽が高く評価されているのは、ブラジル音楽の根底にある感覚を表現しているからです。

 

6位「Tempo de Amor」(アルバム:Os Afro-Sambas de Baden e Vinicius)

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■曲名:Tempo de Amor
■曲名邦題:テンポ・ヂ・アモール/愛の季節
■アルバム名:Os Afro-Sambas de Baden e Vinicius
■アルバム名邦題:アフロ・サンバ
■動画リンク:「Tempo de Amor」

ヴィニシウス・ヂ・モライス(Vinícius De Moraes)との出会いは、彼にとって大きな転機となりました。

マリア・ベターニャ曰くヴィニシウス・ヂ・モライスとバーデンの出会いは、ボサノヴァを産んだヴィニシウス・ヂ・モライスとアントニオ・カルロス・ジョビンの出会いと同じくらいブラジル音楽にとって重要な意味を持つと語る。

バーデン・パウエル ウィキペディア

ちなみに私が考える第二の転機は、1968年のフランスへの移住。

それも当時フランスに住んでいたヴィニシウス・ヂ・モライスが彼を誘ったからなのだとか。

1962年から2人は共同で創作活動を行うようになりました。

2人はウィスキーのボトルを1日平均2.7本を空にしては、曲をつくり続けたそうです。

ヴィニシウス・ヂ・モライスは、ボサノヴァ史上最高の詩人と言われている人。

一方バーデン・パウエルはボサノヴァ・ギターに分類されることもありますが、そのジャンル分けは彼にとって狭すぎるかもしれません。

むしろパコ・デ・ルシア(Paco de Lucia)あたりと比較した方がいいような。

そんなバーデン・パウエルにヴィニシウス・ヂ・モライスは「アフロ・サンバ」というふさわしい言葉を与えました。

この曲はヴィニシウスの歌だけでなく、クアルテート・エン・シー(Quarteto em Cy)のコーラスもいい感じです。

 

7位「Ate-Eu」(アルバム:Images on Guitar)

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■曲名:Ate-Eu
■曲名邦題:アテ・エウ
■アルバム名:Images on Guitar
■アルバム名邦題:イメージズ・オン・ギター
■動画リンク:「Ate-Eu」

さてここでボーカル曲をご紹介しましょう。

この曲の聞きどころはギターではなくボーカルです。

ジャニーニ・ディ・ヴァレイーニ(Janine De Waleyne)のコーラスもいいですね。

彼のボーカルは、ヴィニシウス・ヂ・モライスの影響を受けているかもしれません。

こういう曲は鬼神化したスリリングな演奏を好む人には不評かもしれません。

しかしこの順位であれば、ご容赦いただければと思います。

もしこの曲が気に入ったら、以下の曲もおすすめです。

Baden Powell – Cancioneiro

こういう曲からバーデン・パウエルの音楽にたしなむのも一興かと思います。

 

8位「Garota de Ipanema(The Girl from Ipanema)」(アルバム:Le Monde Musical de Baden Powell)

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■曲名:Garota de Ipanema(The Girl from Ipanema)
■曲名邦題:イパネマの娘
■アルバム名:Le Monde Musical de Baden Powell
■アルバム名邦題:モンド・ミュージカル Vol. 1
■動画リンク:「Garota de Ipanema(The Girl from Ipanema)」

ボサノヴァを代表する有名曲です。

彼はクセが強めの解釈をしています。

この人のプレイスタイルを端的に言い表すと「野性味あふれる」かもしれません。

今回初めてバーデン・パウエルのウィキペディアを読んで、幼い頃から音楽の教育を受けていると知りました。

私は意外に思いました。

というのは彼の演奏は個性が強すぎて、クセの塊ですから。

まるで整髪料でも抑え込めない強いクセ毛みたいなもの。

正規の音楽教育では矯正されてしまうかもしれません。

また音の粒立ちの良さや尋常ではない瞬発力も特徴ですが、それは単純に弦を弾く時の強さだけではないかもしれません。

うまく表現できませんがラフなグルーヴの中でこそ生まれる、制御外に突出する単音の強さ。

まず最初に荒々しい身体感覚があって、それがシンコペーションするリズム中で、結果的にパーカッシヴな奏法になっているような。

先程私はそれを一言で「野性味」と表現しました。

しかし同時に、抒情的でメロウな面もあります。

彼は繊細さとワイルドさ、どちらも最高水準で備えていました。

 

9位「Sem Saber」(アルバム:Tempo feliz)

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■曲名:Sem Saber
■曲名邦題:セン・サベール
■アルバム名:Tempo feliz
■アルバム名邦題:テンポ・フェリス
■動画リンク:「Sem Saber」

初めて聞く人には、この曲あたりがいいかもしれません。

今回選曲するにあたって、私は彼の有名曲、ヒット曲を網羅しようとは考えませんでした。

そもそも彼が書いた名曲は多すぎて、10曲程度では焼石に水ですから。

その代り留意したのは、前期と後期、スリリングな演奏と親しみやすい演奏のバランス。

彼の凄さを伝えるには、スリリングな演奏ばかり並べればいいかもしれません。

しかし私は凄い演奏と愛される演奏は違うように思います。

私はどちらも感じ取っていただきたいと思いました。

そうしたことに留意し、私なりのバランス感覚で選曲してみました。

この曲は比較的親しみやすい演奏だと思います。

ただ次のラストではとてつもなく凄い、完全燃焼していただける演奏を選んでみました。

 

10位「The Girl from Ipanema / Samba Triste / Berimbau」(アルバム:Berlin Festival Guitar Workshop)

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■曲名:The Girl from Ipanema / Samba Triste / Berimbau
■曲名邦題:イパネマの娘 / 悲しみのサンバ / ビリンバウ
■アルバム名:Berlin Festival Guitar Workshop
■アルバム名邦題:ベルリン・フェスティヴァル・ギター・ワークショップ
■動画リンク:「The Girl from Ipanema / Samba Triste / Berimbau」

最後に配置したこの曲は、本来1位にすべきかもしれません。

この曲は1967年開催されたベルリン・フェスティヴァルの模様を収録したライブ・アルバムから。

バーデン・パウエルが演奏している曲は、この1曲しか入っていません。

最初はこの曲を1位にしていましたが、最初からこの曲では濃厚すぎるかもしれません。

そんな余計な心配をしてしまったほどの鬼神の所業です。

この演奏は彼の人生で大きな転機になりました。

1967年にベルリンで開催されたGuitarworkshopでは大御所バニー・ケッセルやジム・ホールを抑え、楽曲に対するその独特のアプローチと奏法で聴衆の度肝を抜き、その名がヨーロッパ中に知れ渡ることとなる。

バーデン・パウエル ウィキペディア

彼はこの演奏をきっかけにヨーロッパでの名声を高めました。

ただその後健康状態の悪化、結婚と離婚など数々の私生活のトラブルに見舞われました。

彼は2000年9月26日に肺炎で亡くなっています。

63歳という早すぎる死が惜しまれます。

今回は比較的入手しやすい有名アルバムを中心に選曲しました。

もう少し彼のCDが入手しやすくなればと願っています。

 

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