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中村一義(Nakamura Kazuyoshi)、100sの名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回は中村一義と100sのランキングを作成しました。

彼の音楽は奔放さとエモがさ魅力です。

初期の宅録時代は、引きこもった狭い世界で内的宇宙を濃縮し、その結果でき上がった音楽は外の世界で絶賛されました。

その後も彼は充実した音楽活動を続けています。

 

1位 「キャノンボール」(アルバム:100s)

nakamura-kazuyosi-100s

■アーティスト名:中村一義
■曲名:キャノンボール
■アルバム名:100s
■動画リンク:「キャノンボール」

彼の音楽はメッセージ性が重要です。

私は歌詞にこだわる方ですが、音楽の世界にはとんでもない表現力の持ち主や、優れたストーリーテラーがいるものです。

しかしこの人はそういうタイプではありません。

詩人的感性とシンプルなメッセージで一点突破するタイプです。

この曲はその一例かもしれません。

僕は死ぬように生きていたくはない。

キャノンボール(作詞:中村一義)

ちなみに曲名の「キャノンボール」の弾丸のこと。

この混沌とした時代にその一言で一騎駆けしようとする、この人らしい歌詞だと感じます。

このアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。

中村一義 – セブンスター

 

2位 「Honeycom.ware」(アルバム:OZ)

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■アーティスト名:100s
■曲名:Honeycom.ware
■アルバム名:OZ
■動画リンク:「Honeycom.ware」

100sというバンド名義の曲です。

彼は前作「100s」の後、アルバム名をそのままバンド名にしました。

この曲は100s名義の1枚目で、100sとは「100式」のこと。

彼はビートルズ(The Beatles)に影響を受けていますが、さしずめこの曲のイントロは「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー(Strawberry Fields Forever)」といったところでしょうか。

ただその後乾いたギターが入ると曲調が一変します。

初期のアルバムはすばらしいですが、宅録ならではの問題がありました。

宅録の問題は密質性、つまりダイナミズムに欠けることです。

後でも述べますが、バンドになったことは良かった部分とそうでない部分が相半ばしていたように思います。

 

3位 「永遠なるもの」(アルバム:金字塔)

nakamura-kazuyosi-kinjito

■アーティスト名:中村一義
■曲名:永遠なるもの
■アルバム名:金字塔
■動画リンク:「永遠なるもの」

ファースト・アルバムの曲です。

彼の初期は青くささが魅力でした。

ほんの少しの博愛なる、気持ちなんじゃないかなぁ。
愛が、全ての人達へ
あぁ、全てが人並みに
あぁ、全てが幸せに
あぁ、この幼稚な気持ちが、どうか、永遠でありますように。

永遠なるもの(作詞:中村一義)

このアルバムのテーマは「博愛」です。

もしかしたらそれは、ヒリヒリした現実を回避した甘ったるい理想論と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし歌詞にもあるように、彼も自覚していて織り込み済みのようです。

そういえばビートルズも甘い理想を歌っていました。

この曲は中村一義にとっての「愛こそはすべて(All You Need Is Love)」です。

 

4位 「笑顔」(アルバム:太陽)

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■アーティスト名:中村一義
■曲名:笑顔
■アルバム名:太陽
■動画リンク:「笑顔」

セカンド・アルバムの曲です。

当初彼はセカンド・アルバムを製作する予定はなかったそうです。

中村自身は『金字塔』は今までの人生の全てを出し切った作品であり、このアルバムをリリースしてアーティスト活動も終えるつもりであった。

中村一義 ウィキッペディア

しかしファースト・アルバムは予想外に売れ、オリコン・アルバムチャートで10位になりました。

彼はファースト・アルバムの時点で、全てを出し切ったのでしょう。

私個人の感想としては、この2作目はデビュー・アルバムに及びません。

しかし全て出し切ったはずなのに、それに近い水準にまで持っていきました。

彼はこんなポテンシャルを残したまま、本当に1枚だけで引退しようとしたのでしょうか。

 

5位 「ジュビリー」(アルバム:ERA)

nakamura-kazuyosi-era

■アーティスト名:中村一義
■曲名:ジュビリー
■アルバム名:ERA
■動画リンク:「ジュビリー」

彼の最高傑作は「金字塔」かこの「ERA」だと思います。

ファースト「金字塔」は独りよがりの情熱をぎっしり詰め込んだ傑作でした。

デビュー作に「金字塔」と名付けるとは、LOVE PSYCHEDELICOの「THE GREATEST HITS」といい勝負です。

しかしこの3枚目では、ヒキニート的な脆弱な体力が強化され、アーティストとして確かな実力を確立しています。

私は取っ散らかった音楽性で、これほどの完成度に仕上げてきたことに驚きました。

ベック(Beck)に似た資質がある人かもしれません。

私はこのサード・アルバムを最高傑作に推します。

他にも「君の声」「ゲルニカ」といったすばらしい名曲が収録されていますし。

後者の曲だけリンクを貼っておきましょう。

中村一義 – ゲルニカ

個々の曲もすばらしいですが、アルバム単位で出色の出来です。

 

6位 「歓喜のうた」(アルバム:対音楽)

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■アーティスト名:中村一義
■曲名:歓喜のうた
■アルバム名:対音楽
■動画リンク:「歓喜のうた」

彼はソロで4枚のアルバムを発表した後バンドを結成し、その後再度ソロ活動に戻りました。

そのソロ復帰の第一弾のアルバムです。

このアルバムは少し変わっています。

「中村一義×ベートーベン」のコンセプト[1]を基に、収録曲は全てベートーベンの交響曲第1番から第9番、およびピアノソナタ第8番のフレーズが盛り込まれている。

対音楽 ウィキペディア

つまりクラシックとロックを融合した作品ということ。

この曲ではベートーベン交響曲第9番が引用されています。

ベートーベン交響曲第9番だけではピンと来ない方に向けて、私が大好きな第九のリンクを貼っておきます。

ストリートで『歓喜の歌』

彼はベートーベンの曲に敬意を持って引用していますね。

 

7位 「犬と猫」(アルバム:金字塔)

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■アーティスト名:中村一義
■曲名:犬と猫
■アルバム名:金字塔
■動画リンク:「犬と猫」

彼が音楽の道に進むことを決心した時のエピソードをご紹介します。

当時住んでいた祖父母の家の自室をスタジオ代わりとし、デモテープなどを録音している。資金を借りた祖母には「2年だけ」時間が欲しいと伝え、「それでダメだったら死ぬ」覚悟であったという

中村一義 ウィキペディア

彼は「2年でダメだったら死ぬ」という背水の陣を敷き、どうにかその約束を果たしました。

それどころか彼はロッキング・オンから猛烈にプッシュされる存在になりました。

渋谷陽一は「10年に1人の天才」と評したそうです。

しかし私は彼を天才だと思いません。

ちなみに私が本当の天才だと思う1人は、イヴァン・リンスです。

Ivan Lins – Dinorah, Dinorah

上の曲はメロディは独創性にあふれ、アヴァンギャルドでありつつポップのフォーマットに留まっています。

どこから出てきたのか発想の源泉が分からない、まさに天才の所業。

では中村一義の強味はどこにあるかというと、メンタルが音楽を強く影響するタイプのように思います。

彼の強味はリスナーに訴えかける力が強いこと。

中村一義は漫画「NARUTO」でいえば、天才サスケではなく、ナルトの方かもしれません。

つまり音楽に気持ちが入った時、本領が発揮される人のように思います。

 

8位 「再会」(アルバム:太陽)

nakamura-kazuyosi-taiyo

■アーティスト名:中村一義
■曲名:再会
■アルバム名:太陽
■動画リンク:「再会」

彼が天才と言われるのは、ナチュラルで変なコード進行、J-POPには収まりきらない奔放さなど、様々な理由があると思います。

しかし私はそう評価されるに至るには、独特の感性に基づく哲学的な歌詞も大きかったと感じます。

12歳の時彼は両親の離婚により、祖父母に引き取られて育てられることになりました。

祖父母との生活は、彼の感受性の土壌を肥沃にしました。

彼が祖父母から学んだ言葉については、書籍にまとめられているようですね。

祖父の言葉をまとめた書籍『中村語録』が発行されている

中村一義 ウィキペディア

私はその本を読んでいませんが、いくつかのエピソードを読むだけで、彼の祖父は相当な人物だったことは分かります。

彼は「状況が割いた部屋」と呼ぶ引きこもり部屋兼スタジオと祖父からの影響で、内的宇宙を拡大していきました。

 

9位 「なぁ、未来。」(アルバム:ALL!!!!!!)

nakamura-kazuyosi-all

■アーティスト名:100s
■曲名:なぁ、未来。
■アルバム名:ALL!!!!!!
■動画リンク:「なぁ、未来。」

再度バンド名義の曲です。

このバンドは、後にレキシ名義で活躍した池田貴史もメンバーにいました。

当初は他のメンバーが書いた曲もありましたが、その後中村一義が書いた曲のみになりました。

ただ編曲はバンド全体で担当していたようです。

この曲もソロ時代に比べてライブ感があります。

ただ一方で彼の魅力でもあった、奔放で独りよがりな面が影を潜めました。

私の独断からいえば、彼の魅力は独りよがりと、それをベースにしたエモさです。

一人家にこもって宅録に熱中し、積もる焦燥感と切迫感を音に落とし込んでいく。

彼はバンドという人間関係の中で、音楽的になればなるほど、そうした魅力を失いつつあるように思いました。

彼はバンドという形態では、想像力のリミッターを解除できなかったのかもしれません。

私はバンド時代の作品について、必需品から嗜好品になったようなさびしさを覚えました。

事実バンドを解散してから発表した「対音楽」は、バンド時代のどのアルバムより想像力が飛躍しています。

 

10位 「ある日、」(アルバム:世界のフラワーロード)

nakamura-kazuyosi-sekai

■アーティスト名:100s
■曲名:ある日、
■アルバム名:世界のフラワーロード
■動画リンク:「ある日、」

彼のボーカルは少し独特です。

地の歌とファルセットを自由に行き来し、主に高音域で歌っています。

ただ歌自体はそれほど上手いと思いません。

活舌もよくありませんが、そもそも発声が良いとはいえませんし。

ただそんなことは重要ではないかもしれません。

それが欠点になっているかといえば、必ずしもそうは思いません。

彼の曲はこの歌い方でなければと思わせてくれる声です。

私はJPOPの曲を聞くと、歌を含めよくできているなと感じることが少なくありません。

ただそれは規格化され、個性を犠牲にした上手さかもしれません。

私は彼の最大の魅力は、訴えかける力の強さ、エモさにあると考えています。

彼の声はそのエモさの源泉になっています。

 

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