今回はKANのランキングを作成しました。
彼の音楽は、聞き手の感情への浸透度がエグいです。
単に良い音楽というだけでなく、ハートを感じさせてくれる人でした。
日本のビリー・ジョエルと呼びたい人です。
- 1 1位「言えずのI LOVE YOU」(アルバム:GIRL TO LOVE)
- 2 2位「REGRETS」(アルバム:HAPPY TITLE -幸福選手権-)
- 3 3位「恋する二人の834㎞」(アルバム:野球選手が夢だった。)
- 4 4位「永遠」(アルバム:ゆっくり風呂につかりたい)
- 5 5位「今夜はかえさないよ」(アルバム:NO-NO-YESMAN)
- 6 6位「君が好き胸が痛い」(アルバム:野球選手が夢だった。)
- 7 7位「だいじょうぶI’M ALL RIGHT」(アルバム:GIRL TO LOVE)
- 8 8位「東京ライフ」(アルバム:HAPPY TITLE -幸福選手権-)
- 9 9位「君を想う夜」(アルバム:NO-NO-YESMAN)
- 10 10位「プロポーズ」(アルバム:ゆっくり風呂につかりたい)
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1位「言えずのI LOVE YOU」(アルバム:GIRL TO LOVE)
■曲名:言えずのI LOVE YOU
■アルバム名:GIRL TO LOVE
■動画リンク:「言えずのI LOVE YOU」
彼の魅力はメロディと歌だけではありません。
彼の書く歌詞は時にシャイなところがあって、気恥ずかしくも聞き入ってしまいます。
高校の時まだ交際までいたっていない女の子と手をつないで登校し、学校でひやかされたとか。
そんな数少ない遠い日の花火のようなことを思い出したりしました。
この曲の主人公は自分の恋心を伝えることができず、つい口ごもってしまいます。
あのね うんとね うまくは言えないけど
あのね うんとね なんとなくわかるだろう
今どきはどんな感じなのか分かりませんが、昔は男性が告白するのが当たり前でした。
女性側から距離を詰めてきても、男性が告白するかごめんなさいが鉄則でした。
そんな時代のシャイな男心をテーマにした、とてもKANらしい名曲です。
2位「REGRETS」(アルバム:HAPPY TITLE -幸福選手権-)
■曲名:REGRETS
■アルバム名:HAPPY TITLE -幸福選手権-
■動画リンク:「REGRETS」
KANの音楽の土台には、幸福感があるかもしれません。
このアルバム名を見るとそんな感じがします。
ちなみにこの曲は、以下の曲を参考にした続編みたいな位置づけの曲らしいです。
どちらも別れた後の後悔が歌われています。
しかし彼の音楽には一時的には悲しくても、その後ハッピーエンドを迎えそうな感じがします。
苦い経験から学んだ今、次はきっと良い恋愛になる。
そんな予感を感じさせる2曲です。
ちなみにKANは、美人ヴァイオリニスト早稲田桜子と結婚しています。
現次点で彼女は昭和音楽大学で講師をしている、才色兼備の女性です。
3位「恋する二人の834㎞」(アルバム:野球選手が夢だった。)
■曲名:恋する二人の834㎞
■アルバム名:野球選手が夢だった。
■動画リンク:「恋する二人の834㎞」
この曲を聞いた方は小沢健二っぽいと思われるかもしれません。
ただ時系列ではこちらの方が先です。
両者は似た資質があるかもしれません。
こういうプレ小沢健二な曲は、他にもいくつかあります。
彼の音楽のジャンルはJPOPだと思われます。
私は小学生の時にはハードコア・パンクを聞いていた人で、基本的にはオルタナ・ロックがルーツのリスナーです。
昔はJPOPなど聞く価値はないと考えていました。
そんな私KANのこのアルバムが良いと知り、叩き売り価格で売っていたので買ってみました。
聞いて驚きました。
ポップスの宝石箱のようなアルバムだと思います。
4位「永遠」(アルバム:ゆっくり風呂につかりたい)
■曲名:永遠
■アルバム名:ゆっくり風呂につかりたい
■動画リンク:「永遠」
この人のバラードは絶品です。
油断すると、バラードばかりご紹介することになりかねません。
彼はシンガーソングライターですが、ピアノ・プレイヤーとしても聞きごたえがあります。
シンガーソングライターが演奏力を高めるメリットはいくつかあります。
たとえばバンドなしでも弾き語りライブが成立すること。
そしてレコーディング時に他プレイヤーに対して主導権が握れること。
しかも彼はアレンジャーでもありました。
私は彼についてシンガー、ソングライターとしての才能に疑いはないと思っています。
しかし編曲については、そこまでと考えていません。
たとえば「HAPPY TITLE−幸福選手権−」では、アレンジが曲を活かしきれていないと感じます。
編曲は化粧に似ています。
そして彼の音楽に厚化粧は必要ありません。
しかしこの頃は小林信吾という良い編曲家を得て、彼の負担が軽減された感じがします。
ちなみに「愛は勝つ」のイントロのピアノは、小林氏がKANに無断で付け加えたそうですが、とても良い判断だと思います。
5位「今夜はかえさないよ」(アルバム:NO-NO-YESMAN)
■曲名:今夜はかえさないよ
■アルバム名:NO-NO-YESMAN
■動画リンク:「今夜はかえさないよ」
彼は「愛は勝つ」で一躍ブレイクしました。
しかしそのヒットには功罪があったように思います。
売れたのは喜ばしいことですが、一方でイメージが固定化されたように思います。
また時々誤解されているようですが、彼は他にもいくつか小ヒットがありますので一発屋ではありません。
彼は曲づくりの才能に恵まれていて、曲の出来不出来が少ない人でした。
しかも曲のアベレージが高いのに、スバ抜けた曲を書けるタイプ。
だからこそ「愛は勝つ」以降も、熱心な固定ファンを沢山抱えていました。
彼はミュージシャンズ・ミュージシャンで、多くの同業者にも高く評価されていますし。
今回のランキングでは、純粋に曲の質で判断した結果「愛は勝つ」は選外となりました。
せめて文中でご紹介しておきましょう。
200万枚を超えるメガヒット曲が選外となるとは、彼の才能の大きさを示しています。
6位「君が好き胸が痛い」(アルバム:野球選手が夢だった。)
■曲名:君が好き胸が痛い
■アルバム名:野球選手が夢だった。
■動画リンク:「君が好き胸が痛い」
彼の音楽は訴えかける力が尋常ではありません。
まっすぐでピュアな感情を武器に、リスナーの心に揺さぶりをかけてきます。
昔、松嶋菜々子が反町隆史のプロポーズを受け入れた理由として、自分に対してまっすぐに向かってきたというようなことを言っていました。
若い頃の反町隆史は女癖が悪かったと言われていますが、結婚してから浮気の噂を聞いたことがありません。
そうしたド直球で一途なところは、KANの曲にも感じられます。
この曲もそんな感じがしないでしょうか。
曲の純度が高く、ピュアな感情が美しいメロディとして結実しています。
この人は後年も夢を叶えるためにフランスに移住したり、クラシック・ピアノを再勉強しています。
いつまでも純粋さを失わなかった人でした。
ストレートすぎるせいか、中二病的な傾向のある音楽ジャーナリズムには評価されにくかったかもしれません。
しかしハートで音楽を聞く多くの人の支持を得ることができました。
7位「だいじょうぶI’M ALL RIGHT」(アルバム:GIRL TO LOVE)
■曲名:だいじょうぶI’M ALL RIGHT
■アルバム名:GIRL TO LOVE
■動画リンク:「だいじょうぶI’M ALL RIGHT」
この人はビリー・ジョエル(Billy Joel)の影響を受けています。
借りたビリー・ジョエルのアルバム『ニューヨーク52番街』に衝撃を受け、ピアノロックに目覚める(KANはこのLPを本来の所有者に返却するのを忘れ、29年間所持していた。後に返却)。
その一端をうかがえるのがこ曲です。
さてここでKANのアーティスト名の由来について触れておきます。
もちろんCANではありません(笑)
彼の本名は「木村和(キムラカン)」ですが、命名には以下のような父親の願いが込められています。
創作を行うことにより(世の中の人に)平和を与えるという行動を実践する
まさに「名は体を表す」ですね。
8位「東京ライフ」(アルバム:HAPPY TITLE -幸福選手権-)
■曲名:東京ライフ
■アルバム名:HAPPY TITLE -幸福選手権-
■動画リンク:「東京ライフ」
この頃の彼はまだ売れていませんでした。
翌年になって彼は「愛は勝つ」の大ヒットで一躍注目を浴びました。
つまりこの頃が夜明け前、一番暗い時期だったのですね。
ただそのセールスが低迷していた暗黒期は、音楽的には実りのある時期でした。
この記事では1991年の6枚目「ゆっくり風呂につかりたい」までを対象期間としています。
当初私はこの記事を書くにあたって、もっと後年まで取り上げたいと思っていました。
しかし初期だけで良い曲が多すぎます。
そこで苦渋の決断で時期を絞り込みました。
彼はこのアルバムの後、出世作にして名盤「野球選手が夢だった。」をリリースしましした。
初めて聞いたという思い入れのせいか、私はそのアルバムが最高傑作だと思っています。
9位「君を想う夜」(アルバム:NO-NO-YESMAN)
■曲名:君を想う夜
■アルバム名:NO-NO-YESMAN
■動画リンク:「君を想う夜」
セカンド・アルバムの曲です。
今回はデビュー・アルバム「テレビの中に」から曲を選びませんでした。
しかし出来は悪くないどころか、とても良い曲がそろっていました。
ここで1曲だけご紹介しておきましょう。
この当時まだブレイク前の彼は精力的に活動していました。
1987年にファースト・アルバムを発表すると、1999年までに13枚ものすばらしい作品をリリースしています。
しかしその後2023年11月12日、61歳になった彼はメッケル憩室がんで亡くなりました。
私がXで彼の訃報を投稿したところ、予想を超える反響がありました。
やはり評価している人は評価しているのですね。
その点で少し救われたような気がします。
10位「プロポーズ」(アルバム:ゆっくり風呂につかりたい)
■曲名:プロポーズ
■アルバム名:ゆっくり風呂につかりたい
■動画リンク:「プロポーズ」
彼の音楽はいつも人間としての魅力を感じさせてくれました。
繊細で揺れ動く心を表現したと思ったら、ユーモアたっぷりに早変わり。
人間性を感じる曲の数々に、私は惹き込まれていきました。
涙と笑いと共に表現したチャールズ・チャップリンのような桁違いに豊かな感受性。
誤解を恐れずに言えば、この人の本質的な魅力はもはや音楽ではありません。
こんな感受性を持っている人ならば、当たり前のように良い音楽が生まれます。
彼は人間的な魅力と豊かな感受性をベースに、すぐれた歌を紡ぎ続けた人でした。
それなのに61歳の死とは、あまりに痛ましいです。
しかし幸運なことに、彼は良い曲を数多く残してくれました。
せめてこの記事が彼の魅力に気付く一助になれば幸いです。
最後に聞き足りない方に、もう1曲ご紹介して記事を終えます。
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