今回はロス・ロボスのランキングを作成しました。
彼らは「ラ・バンバ(La Bamba)」のヒットで知られていますが、今回はアメリカン・ロック系の曲に限定しました。
その為「ラ・バンバ」は取り上げていません。
ミッチェル・フルーム(Mitchell Froom)とチャド・ブレイク(Tchad Blake)のプロデュース作品が有名ですが、それ以前の曲も取り上げています。
「現代のザ・バンド」とも呼ばれる彼らの魅力をご堪能ください。
- 1 1位「Mas y Mas」(アルバム:Colossal Head)
- 2 2位「Can’t Stop the Rain」(アルバム:Colossal Head)
- 3 3位「Dream In Blue」(アルバム:Kiko)
- 4 4位「Jenny’s Got a Pony」(アルバム:The Neighborhood)
- 5 5位「The Word」(アルバム:Good Morning Aztlan)
- 6 6位「Revolution」(アルバム:Colossal Head)
- 7 7位「La Playa」(アルバム:This Time)
- 8 8位「I Walk Alone」(アルバム:The Neighborhood)
- 9 9位「The Hardest Time」(アルバム:By The Light Of The Moon)
- 10 10位「The Fear」(シングル:Los Lobos Vs the Shins)
- 11 番外編「Wicked Rain / Across 110th Street (featuring Bobby Womack)」(アルバム:The Ride)
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1位「Mas y Mas」(アルバム:Colossal Head)
■曲名:Mas y Mas
■曲名邦題:マス・イ・マス
■アルバム名:Colossal Head
■アルバム名邦題:コロッサル・ヘッド
■動画リンク:「Mas y Mas」
彼らは長年「ラ・バンバ」の呪縛から抜け出せないでいました。
しかしこのアルバムで彼らはイメージチェンジに成功しています。
このアルバムはミッチェル・フルームとチャド・ブレイクがプロデュースを手掛けていて、その手腕も注目を集めました。
彼らには後で取り上げた「I Walk Alone」など、以前からこういう曲調の曲があります。
その曲と「Mas y Mas」を聞き比べると、ミッチェル&チャドがどういう貢献をしたかが、お分かりいただけると思います。
楽器の音を整理し、鋭角な部分の強調したりなど、細部のちょっとした改善だけで、この曲の魅力を一段引き上げています。
ロス・ロボスとミッチェル&チャド、両者の良い面が融合した名曲です。
2位「Can’t Stop the Rain」(アルバム:Colossal Head)
■曲名:Can’t Stop the Rain
■曲名邦題:キャント・ストップ・ザ・レイン
■アルバム名:Colossal Head
■アルバム名邦題:コロッサル・ヘッド
■動画リンク:「Can’t Stop the Rain」
彼らの強味は演奏力です。
しかしこのアルバムでは、適切に各楽器を音響空間に適切に配置し、それによって演奏力を更に際立だせています。
この曲でもうかつに音の空間を埋め尽くしてしまわないよう配慮していて、知的な印象を与えてくれますね。
ドラムとギターの重心が低く、このミディアムテンポの曲に濃厚な味付けを加えています。
彼らは初期から演奏力に定評がありましたが、最初からこのようなツボを押さえた演奏ができていたわけではありません。
彼らはキャリアを通じて、演奏センスを磨き続けました。
彼らは1974年に結成されていますから、この時点で20年以上が経過していました。
弾きすぎないところが魅力の曲です。
3位「Dream In Blue」(アルバム:Kiko)
■曲名:Dream In Blue
■曲名邦題:ドリーム・イン・ブルー
■アルバム名:Kiko
■アルバム名邦題:キコ
■動画リンク:「Dream In Blue」
彼らがミッチェル&チャドと組んで新境地を開拓したことはよく知られています。
最初にミッチェル&チャドと組んだのは「The Neighborhood」というアルバムです。
その作品では「エンジェル・ダンス(Angel Dance)」1曲だけでしたが、明らかに他の曲とはドラムの音が違っていました。
更にその後、ミッチェル&チャドと、ロス・ロボスのデイヴィッド・イダルゴ(David Hidalgo)、ルイ・ペレス(Louie Perez)4人でサイドプロジェクト、ラテン・プレイボーイズ(Latin Playboys)を結成し、大きな話題となりました。
そういう経緯を経てから「Colossal Head」で、ミッチェル&チャドの2人にプロデュースを依頼しています。
この時点ではミッチェル・フルームが単独でプロデュースしていましたが、新しい個性が開花する予兆がうかがえます。
イントロのメタリックなドラムの質感は、従来の彼らにはなかった要素かもしれません。
「Colossal Head」で開花する魅力の萌芽を感じる曲です。
4位「Jenny’s Got a Pony」(アルバム:The Neighborhood)
■曲名:Jenny’s Got a Pony
■曲名邦題:ジェニーズ・ゴット・ア・ポニー
■アルバム名:The Neighborhood
■アルバム名邦題:ネイバーフッド
■動画リンク:「Jenny’s Got a Pony」
この頃の彼らはアメリカン・ロックといえる音楽性でした。
単純に楽しみたい方には、この頃の方がおすすめです。
初期のシングルヒット「カモン・レッツ・ゴー(Come On, Let’s Go)」や、初期の名作と呼ばれる「ウィル・ザ・ウルフ・サヴァイヴ(How Will the Wolf Survive?)」も、パーティ・ロック色が強い作品です。
ちなみに彼らは同じ高校のメンバーを中心に結成されたバンドです。
メキシコ系アメリカ人というルーツを活かした、メキシコの音楽とアメリカン・ロックを融合した音楽性が特徴でした。
この曲ではアコーディオンの演奏にメキシコ音楽の影響が顕著です。
純粋なアメリカン・ロックではなく、国境をまたぐボーダーレスなところが魅力です。
5位「The Word」(アルバム:Good Morning Aztlan)
■曲名:The Word
■曲名邦題:ザ・ワード
■アルバム名:Good Morning Aztlan
■アルバム名邦題:グッドモーニング・アズトラン
■動画リンク:「The Word」
私は彼らの近年の作品は、あまり繰り返し聞きません。
近作も演奏のセンスにはうなりますが、正直楽曲の魅力が感じられません。
特にアップテンポの曲では「Los Lobos Goes Disney(ロス・ロボス・ゴーズ・ディズニー)」に収録された「The Ugly Bug Ball」ぐらいしか良い曲が思い浮かびません。
私は彼らの一番の弱点は、楽曲だと思います。
彼らの代表曲「ラ・バンバ」も、自分たちで書いた曲ではありませんし。
ただ曲の出来が思わしくなくても演奏力でカバーできてしまっている感じがします。
ただ時々このようなすばらしい曲もありますから、彼らの新作はチェックせざるを得ませんが。
6位「Revolution」(アルバム:Colossal Head)
■曲名:Revolution
■曲名邦題:レボリューション
■アルバム名:Colossal Head
■アルバム名邦題:コロッサル・ヘッド
■動画リンク:「Revolution」
ミッチェル&チャドと組んだこのアルバムがリリースされると、彼らのファン層は一気に広がりました。
以前の彼らはあか抜けないけれども、確かな実力を持つバンドだと言われていました。
良心的なアメリカン・ロックだと。
しかしこのアルバムで彼らはオルタナティヴな魅力を獲得しました。
まるで服装に無頓着な中年男性が、一流のファッション・コーディネーターのアドバイスによって、ちょいワルにイメージチェンジするのに似ています。
当時バンドの主要メンバーは40歳を超えていました。
7位「La Playa」(アルバム:This Time)
■曲名:La Playa
■曲名邦題:ラ・プラヤ
■アルバム名:This Time
■アルバム名邦題:ディス・タイム
■動画リンク:「La Playa」
このアルバムもミッチェル&チャドがプロデュースしています。
前作「Colossal Head」でイメチェンした彼らは、しばらく同じ方向性を継続しました。
しかしこのアルバムを最後に、一旦チャド&ブレイクとの共同作業を終わりにしました。
確かにやるべきことをやった感じがします。
当時の方法論を私なりの言葉で表現すると、有機的なバンドの演奏を一度分解して、メタリックな質感と無国籍な味付けをして、再構成した音楽。
楽器の音を分離し、左右のチャンネルに適切に配置し、音のエッジを尖らせています。
この曲は最後の打ち上げ花火として上々の曲です。
8位「I Walk Alone」(アルバム:The Neighborhood)
■曲名:I Walk Alone
■曲名邦題:アイ・ウォーク・アローン
■アルバム名:The Neighborhood
■アルバム名邦題:ネイバーフッド
■動画リンク:「I Walk Alone」
先程彼らの弱点は楽曲だと書きました。
ただこの「The Neighborhood」や前作の「By The Light Of The Moon」などでは、良質な曲がそろっています。
楽曲の魅力でいえば、その2枚に加えて「Kiko」までが一番良い時期かもしれません。
彼らは「Colossal Head」のちょい悪路線で新たな人気を獲得しましたが、その後も洗練された魅力を維持しました。
まるでファッション上級者に指南を受けて、私服のセンスが良くなった人みたいかもしれません。
私はセンスの良い彼らより、やぼったい彼らの頃の方が好みですが。
そもそもちょい悪路線も、時にやぼったく感じられる演奏力があったからこそ引き立ったと思います。
9位「The Hardest Time」(アルバム:By The Light Of The Moon)
■曲名:The Hardest Time
■曲名邦題:ハーデスト・タイム
■アルバム名:By The Light Of The Moon
■アルバム名邦題:バイ・ザ・ライト・オブ・ザ・ムーン
■動画リンク:「The Hardest Time」
この曲には初々しい魅力が感じられます。
このアルバムのプロデュースを手掛けたのは、1980年代のアメリカン・ロックの重要人物、T・ボーン・バーネット(T-Bone Burnett)。
この曲などはかなりT・ボーンの影響を受けているように感じられます。
特にギターの音色などはいつもの彼らと違っていて、T・ボーンの烙印が押されています。
彼らにしては珍しくフォーク・ロック調でですが、こういう彼らも悪くありません。
新鮮さや初々しさを感じさせる甘酸っぱいところが魅力の曲です。
10位「The Fear」(シングル:Los Lobos Vs the Shins)
■曲名:The Fear
■シングル名:Los Lobos Vs the Shins
■動画リンク:「The Fear」
この曲はYoutubeで他の曲を探している時にたまたま見つけました。
何だろうと思って聞いてみたところ、とてもすばらしい曲であることに気が付きました。
どうやらこの曲は、ザ・シンズ(The Shins)の曲をカバーした、アルバム未収録曲のようです。
先程近年の彼らについて苦言を呈しましたが、近作の良いところとしては、スローな曲に包容力がでてきたところです。
中でもこの曲は特に詩情豊かな名曲。
「現代のザ・バンド」と呼ぶ人がいるのもうなづけます。
番外編「Wicked Rain / Across 110th Street (featuring Bobby Womack)」(アルバム:The Ride)
■曲名:Wicked Rain / Across 110th Street (featuring Bobby Womack)
■アルバム名:The Ride
■アルバム名邦題:ザ・ライド
■動画リンク:「Wicked Rain / Across 110th Street (featuring Bobby Womack)」
彼らはこのアルバムで様々なアーティストと共演しています。
トム・ウェイツ(Tom Waits)、エルヴィス・コステロ(Elvis Costello)、メイヴィス・ステイプルズ(Mavis Staples)などが参加しています。
この曲の共演者はボビー・ウーマック(Bobby Womack)。
「Kiko」の収録曲「Wicked Rain」と、ボビー・ウーマックの代表曲「110番街交差点(Across 110th Street)」をメドレーにしています。
ボビー・ウーマックの存在感がありすぎるので、番外編として取り上げることにしました。
両者の魅力が味わえる、とても贅沢な逸品です。
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