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オージェイズ(The O’Jays)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はオージェイズのランキングを作成しました。

彼らはフィリー・ソウル(Philly Soul)を代表するグループです。

華やかなストリングスが舞う中、熱いボーカルが炸裂する、それが彼らの一番の魅力でしょう。

しかしこの記事ではそういう曲だけではなく、違うタイプの曲も織り交ぜてみました。

実力派ボーカルグループの名曲をご堪能ください。

 

1位「Love Train」(アルバム:Back Stabbers)

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■曲名:Love Train
■曲名邦題:ラヴ・トレイン
■アルバム名:Back Stabbers
■アルバム名邦題:裏切り者のテーマ
■動画リンク:「Love Train」

まずイントロからして強力です。

いきなりキラーなギターが炸裂していますね。

推進力のあるドラムの上で、フィリー・ソウル特有のストリングスが華麗に舞っています。

歌詞は世界中の人々に向けて、一緒に愛の列車を走らせようという内容。

ケニー・ギャンブル(Kenny Gamble)とリオン・ハフ(Leon Huff)が書いたこの曲は、前向きなメッセージに満ちあふれています。

この曲の背景にはベトナム戦争がありました。

戦局が泥沼化していたこの時期は、反戦運動が活発化していたこともあって、アメリカ政府は水面下で和平の動きを模索していました。

このシングルが発売されたのは、1972年12月20日です。

そしてアメリカ軍の全面撤退を意味するパリ協定が締結されたのは、1973年1月27日です。

ちょうどこの曲がヒットしていた頃でした。

ヒットの背景には、平和を求める多くの人の切なる願いがあったのですね。

この曲を聞くと、当時の前向きな空気が伝わってくるような気がします。

 

2位「Back Stabbers」(アルバム:Back Stabbers)

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■曲名:Back Stabbers
■曲名邦題:裏切り者のテーマ
■アルバム名:Back Stabbers
■アルバム名邦題:裏切り者のテーマ
■動画リンク:「Back Stabbers」

この曲は「Back Stabbers」という曲名なのですが、「Stab」とは刺すという意味です。

つまり「背中から刺す人」という意味ですが、それが転じて「裏切り者」という意味です。

ただこのコンセプトは、当時の流行を反映していました。

1971年に「黒いジャガー(Shaft)」という黒人向けの映画、いわゆるブラックスプロイテーション(Blaxploitation)映画がヒットしていました。

それらの映画には麻薬の売人とかヒットマンなどの主人公が多く、よく裏切り者も出てきます。

このアルバムがリリースされた1972年は、そういう映画がもてはやされる時代だったのですね。

歌詞を読むと、自分の女を狙って近づいてくる奴に気を付けろと歌われています。

友達のふりをしてよく家に遊びに来るけれど、その内女だけの時に来るようになるぞと(笑)

しかしオージェイズは本当にイケメンぞろいです。

上のジャケットを見ると、実にいい面構えをしていますね。

こんな男は女も簡単に手放さないのではないでしょうか。

 

3位「Message in Our Music」(アルバム:Message in Our Music)

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■曲名:Message in Our Music
■曲名邦題:メッセージ・イン・ザ・ミュージック
■アルバム名:Message in Our Music
■アルバム名邦題:メッセージ・イン・ザ・ミュージック
■動画リンク:「Message in Our Music」

彼らの全盛期は以下の3人による鉄壁の布陣でした。

・エディ・リヴァート(Eddie LeVert)
・ウォルター・ウィリアムス(Walter Williams)
・ウィリアム・パウエル(William Powell)

彼らはR&Bのボーカルグループです。

リードボーカルのエディ・リヴァートの熱い歌に、ウォルター・ウィリアムスが絡んでいくのが、彼らの必勝パターンです。

その中でウィリアム・パウエルは、地味な第三の男みたいな役割だったかもしれません。

ウィリアムは1977年5月に35歳の若さで、ガンによって亡くなります。

前作からウィリアムの出番が少なくなっていましたが、この曲はウィリアムのボーカルが聞ける最後の曲なのだそうです。

次作「トラヴェリン・アット・ザ・スピード・オブ・ソート(Travelin’ at the Speed of Thought)」の発売日は、ウィリアムが亡くなったのと同じ1977年5月でした。

彼らはボーカルグループなので、コーラスを維持するのには、3人のメンバーが必要です。

後任として次作からサミー・ストレイン(Sammy Strain)が加入しますが、その作品の出来はいまひとつでした。

そのためこのアルバムは黄金期最後のアルバムと言われています。

 

4位「I’m So Glad I Found You」(アルバム:Back on Top)

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■曲名:I’m So Glad I Found You
■アルバム名:Back on Top
■アルバム名邦題:バック・オン・トップ
■動画リンク:「I’m So Glad I Found You」

彼らはフィリーソウル期以前もすばらしいグループでした。

それをご理解いただくために、まずお聞きいただきたいのがこの曲です。

彼らは1958年に結成され、ブレイクしたのが1972年の「Back Stabbers」ですから、とても下積みが長いグループでした。

シングルチャートで100位にギリギリ入るなど、かろうじて次のアルバムを出せる程度には売れていましたが、いつも俵に足がかかった状態だったといえるでしょう。

いつ夢が終わってしまうか分からない苦しい状態が、10年以上続いたことになります。

その間彼らは様々なチャレンジをしていました。

このアルバムでは、スウィート・ソウルで手腕を発揮していたジョージ・カー(George Kerr)を、プロデューサーに迎えました。

そのおかげでこのアルバムでは、甘めのバラードの佳曲が収録されています。

しかし私は若々しく躍動感あふれるこのヤング・ソウルの方をおすすめします。

 

5位「Family Reunion」(アルバム:Family Reunion)

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■曲名:Family Reunion
■曲名邦題:誓いのファミリー
■アルバム名:Family Reunion
■アルバム名邦題:ファミリー・リユニオン
■動画リンク:「Family Reunion」

彼らの最高傑作については、多くの人は「Back Stabbers」を挙げと思われます。

しかしこのアルバムは、ほぼ同等の出来かもしれません。

このアルバムには他に「アイ・ラヴ・ミュージック(I Love Music)」という有名曲が入っています。

「I Love Music」については、以下にリンクを貼っておきましょう。

The O’Jays – I Love Music

ここではその名曲を差し置いて、アルバム・タイトル曲の方をおすすめしました。

この曲で熱唱しているエディ・リヴァートの声を聞くと、私はとてもいい気分になります。

これがソウル・ミュージックなのだと実感し、胸が一杯になります。

彼は肌の色や人種、信条に関係なく、一緒に生きていこうと歌っていますね。

アルバムジャケットにも、彼らの訴えたいことが表現されています。

 

6位「Unity」(アルバム:Family Reunion)

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■曲名:Unity
■曲名邦題:愛のユニティー
■アルバム名:Family Reunion
■アルバム名邦題:ファミリー・リユニオン
■動画リンク:「Unity」

この曲はメッセージソングで曲名の「Unity」とは「団結」という意味です。

我々は団結しなければいけないと訴えています。

「Love Train」では愛を推進しようと訴えていましたが、この曲はその続編みたいなもの。

このアルバムがリリースされたのは、1975年11月です。

この年には大きな出来事がありました。

1975年4月30日アメリカが介入していたベトナム戦争で、サイゴンが陥落したのです。

アメリカは既に撤退していたとはいえ、共産主義勢力によってベトナムが統一されることが決定的となりました。

しかし一区切りついた後にアメリカに残されたのは、戦争をめぐって分断した人々でした。

この曲では戦争と憎しみに終止符を打って、今こそ団結しようと訴えられています。

フィリー・ソウルのグループによるアップテンポで踊れる曲は、フィリーダンサーと呼ばれます。

この曲は典型的なフィリーダンサーといえるでしょう。

それにしても曲のテーマに合った気分を高揚させる曲ですね。

 

7位「Where Did We Go Wrong」(アルバム:Survival)

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■曲名:Where Did We Go Wrong
■曲名邦題:ホエア・ディド・ウィ・ゴー・ロング
■アルバム名:Survival
■アルバム名邦題:サバイバル(生存者)
■動画リンク:「Where Did We Go Wrong」

このアルバムでは「ソウル・パワーのテーマ(Give the People What They Want)」が定番です。

この曲とどちらを取り上げるのか、最後まで迷いましたが、最終的にメロウなこちらを選びました。

とはいえ「Give the People What They Want」も大好きな曲なので、リンクを貼っておきましょう。

O’Jays – Give The People What They Want

少し軽めでメロウな曲も入れておこうと思いました。

野球でいえば大砲ばかりを並べずに、バントもできる2番バッタも入れるのと似た判断で。

このアルバムの前半はグイグイくるジャンプ・ナンバーがそろっていて、実聞きごたえがあります。

熱い曲の後にこの曲が流れると、私はいつも聞きほれてしまいます。

このアルバムはフィリー期の彼らにしては、コンパクトにまとまった曲が多く、比較的聞きやすい作品です。

欠点はアルバムジャケットぐらいではないでしょうか。

 

8位「It’s Too Strong」(アルバム:In Philadelphia)

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■曲名:It’s Too Strong
■曲名邦題:イッツ・トゥー・ストロング
■アルバム名:In Philadelphia
■アルバム名邦題:イン・フィラデルフィア
■動画リンク:「It’s Too Strong」

この頃の彼らはまだ成功したとはいえませんでした。

彼らは一旗揚げようとフィラデルフィア・インターナショナル・レコード(PIR)設立前のギャンブル&ハフ (Gamble and Huff)と組んで、このアルバムをつくり上げました。

プロデュースはギャンブル&ハフですが、 PIRの前身ともいえるNeptune Recordsからリリースされています。

まだシグマ・スタジオとか、ハウス・バンドのMFSBといった勝ちパターンが確立していない頃の曲。

アルバムとしては初めて156位とチャートインしましたが、期待したほどではなかったかもしれません。

しかし作品としては充実しています。

「One Night Affair」や「Deeper (In Love with You)」、隠れ名曲「You’re The Best Thing Since Candy」など、充実した楽曲がそろっています。

その中で私が一番好きなのはこの曲。

既にこの段階で後のフィリー・ソウルを思わせるストリングスも入っていますが。

まだそれほど洗練されていませんが、ボーカルグループとしての実力は既に際立っています。

 

9位「Peace」(アルバム:Super Bad)

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■曲名:Peace
■曲名邦題:ピース
■アルバム名:Super Bad
■アルバム名邦題:スーパー・バッド
■動画リンク:「Peace」

今回の裏テーマは「Back Stabbers」以前の彼らをご紹介するということです。

私がアルバム単位で一番紹介したいのは、この作品です。

前作「In Philadelphia」ではギャンブル&ハフらと組みましたが、商業的には成功したとはいえませんでした。

そこで彼らは故郷のオハイオに戻って、H.B.バーナム(H. B. Barnum)のプロデュースでこの作品を発表しています。

H.B.バーナムは、後にモータウンでも活躍した名プロデューサーですね。

このアルバムの特徴は彼らの黒く熱い魅力が、そのまま活かされているということ。

結果的にこのアルバムも売れませんでしたが、彼らの資質が活かされていて、内容的には大変充実しています。

彼らには「シップ・アホイ(Ship Ahoy)」のように、ドラマティックな展開の曲がありますが、私はこの曲にその原型を見る思いがします。

ちなみに彼らは最初からメッセージ色が強いグループでした。

彼らは当初レコード会社からマスコッツ(The Mascots)というグループ名を勧められました。

しかしエディは「これは白人のマスコットになれということか」と激怒したそうです。

その代わりに黒人ラジオ局のDJで、彼らの支援者であるエディ・オージェイ(Eddie O’Jay)の名前からグループ名を付けました。

この曲でも平和を訴えていますが、彼らの反骨心は付け刃ではないのですね。

 

10位「Use Ta Be My Girl」(アルバム:So Full of Love)

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■曲名:Use Ta Be My Girl
■曲名邦題:愛しのマイ・ガール
■アルバム名:So Full of Love
■アルバム名邦題:ソー・フル・オブ・ラブ
■動画リンク:「Use Ta Be My Girl」

最後に少し軽めの曲をご紹介しておきましょう。

この頃の彼らはメッセージを抑え気味にして、イメージチェンジしようとしていました。

より都会的な側面を打ち出して、音楽的にも少し軽くなってきています。

そのせいかこのアルバムは過去最高のチャートアクションを見せ、この曲も全米チャートで4位を獲得しました。

大成功といえるでしょう。

しかし私は少し寂しさを覚えます。

熱く自分たちの理想を語っていた人が、恋愛の話ばかりをするようになったような感じがするのですね。

ラブ・ソングが悪いというわけではありませんが。

ただ後から振り返ると、これは必要な変化だったと思います。

この後も彼らはしぶとく生き延びて「レット・ミー・タッチ・ユー(Let Me Touch You)」「シリアス(Serious)」「エモーショナリー・ユアーズ(Emotionally Yours)」などのヒット作を生みました。

それらの作品では適度に流行を取り入れていました。

その後も過去のレジェンド枠ではなく、現役アーティストとして第一線で活躍しています。

彼らは引退宣言をした後、ラスト・アルバム「The Last Word」をリリースしましたが、それも現役感のある充実作でした。

そのアルバムから1曲リンクを貼っておきましょう。

The O’Jays – I Got You

さて最後にご紹介した「Use Ta Be My Girl」は、後の成功に繋がる転換点といえる曲でした。

彼らは実力的には申し分ありません。

しかし彼らは適度に時代に合わせることによって、60年もの栄光のキャリアを築き上げたのですね。

エディ・レヴァートはもう78歳で、息子のジェラルド・リバート(Gerald Levert)を失った後も、地道に音楽活動を続けてきました。

同い年のウォルター・ウィリアムスは、難病に苦しみながらの音楽活動でした。

お疲れ様でした。

 

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