今回はUAのランキングを作成しました。
UAは音楽家である以前に優れた表現者でした。
彼女は多方面に応用可能な唯一無二の個性を武器に、様々なタイプの名曲を残しています。
この記事では7曲目までUAの初期のヒット曲、最後の3曲はUAが参加したAJICOの曲をご紹介しました。
文章を動画にしたYoutubeラジオもご用意しています。
- 1 UA 1位 「情熱」(アルバム:11)
- 2 UA 2位 「悲しみジョニー」(アルバム:アメトラ)
- 3 UA 3位 「アントニオの唄」(アルバム:アメトラ)
- 4 UA 4位 「リズム」(アルバム:11)
- 5 UA 5位 「雲がちぎれる時」(アルバム:11)
- 6 UA 6位 「太陽手に月は心の両手に」(アルバム:PETIT)
- 7 UA 7位 「世界」(アルバム:泥棒)
- 8 AJICO 1位 「美しいこと」(アルバム:深緑)
- 9 AJICO 2位 「すてきなあたしの夢」(アルバム:深緑)
- 10 AJICO 3位 「毛布もいらない」(アルバム:深緑)
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UA 1位 「情熱」(アルバム:11)

■曲名:情熱
■アルバム名:11(1996年)
■動画リンク:「情熱」
今回の選曲の多くはアルバム・バージョンではなく、シングル・バージョンでご紹介しました。
そのため掲載しているアルバム・ジャケットとは一致していない場合があります。
この曲のアルバム・バージョンをご紹介しましょう。
この2つのバージョンは、そもそも狙いが違うかもしれません。
シングル・バージョンは歌に合わせて肉付けしていますが、アルバム・バージョンでは歌とアレンジをミスマッチにして、あえて緊張感を生んでいます。
アルバム・バージョンは、3分37秒以降の展開が聞きものです。
彼女のアルバムはこうしたシングルとのバージョン違いが多く、ヒット曲目当てで買ったリスナーを度々当惑させました。
初期の彼女は、意図的にシングルとアルバムでターゲット層を変えていたように思います。
UA 2位 「悲しみジョニー」(アルバム:アメトラ)

■曲名:悲しみジョニー
■アルバム名:アメトラ(1998年)
■動画リンク:「悲しみジョニー」
初期の彼女の周辺には、藤原ヒロシ、大沢伸一など当時最高の才能が集まっていました
その中で1人キーマンを挙げるとしたら、やはり朝本浩文でしょうか。
彼はレゲエ/ダブ・バンド、MUTE BEAT(ミュート・ビート)のキーボード奏者でした。
朝本浩文は彼女の初期、ヒット曲や有名曲の多くを作曲しプロデュースしました。
1位の「情熱」とこの曲も彼が書いた曲です。
私はこの異才である彼女を、よく商業ベースに乗せたなと感心します。
UAの才能に疑いはありませんが、売れることはまた別の問題ですから。
もし朝本浩文がいなかったとしても、彼女は何らかの形で突出した存在になったことでしょう。
しかし彼がいなかったら、UAはカルト人気で終わっていたかもしれません。
2014年朝本浩文は53歳で亡くなりましたが、彼の存在はUAをこの世に送り出した功績で、人々の記憶に残り続けるでしょう。
UA 3位 「アントニオの唄」(アルバム:アメトラ)

■曲名:アントニオの唄
■アルバム名:アメトラ(1998年)
■動画リンク:「アントニオの唄」
マイケル・フランクスのカバーです。
UAはビョークから強く影響を受けているそうです。
確かに彼女の「アントニオの唄」には、以下のビョークの曲と共通点を感じます。
スパニッシュ・ギターに誘発された、匂い立つ濃厚な官能性。
隠し切れない異端性。血と死の匂いが少々。
私はUAの「アントニオの唄」を聞くと、後にAJICOへと繋がる何かを感じます。
彼女は決して歌が下手ではありませんが、真の魅力は歌の上手さにはないかもしれません。
抑え気味だからこそ感じられる、生々しい微熱な感じが魅力です。
UA 4位 「リズム」(アルバム:11)

■曲名:リズム
■アルバム名:11(1996年)
■動画リンク:「リズム」
初期の彼女はかなり音楽性がばらけていました。
ただ私を含めた多くの人が漠然とR&Bにカテゴライズしていたのは、こうした曲があったからかもしれません。
1990年代の後半はMISIA、birdなど、従来の歌謡曲とは違った女性R&Bシンガーが台頭した時期でした。
UAはそうした新しいシーンを先導した1人でした。
当時の彼女の曲は、時代の半歩先を行く親しみやすいシングルとコアな人に向けた曲が混在しています。
この記事では選曲方針を決めるのに二転三転しました。
最終的には広く好かれそうなヒット曲を中心に選びましたが、もし裏ベスト的な選曲にしたとしても、同じ水準になったと思います。
ただヒット曲以外では、人によって好きな曲がかなり異なると思いました。
そこでヒット曲、人気曲を中心にしてみました。
もし気に入った曲が見つかりましたら、アルバムを通して聞いて、自分なりのツボを見つけていただければと思います。
UA 5位 「雲がちぎれる時」(アルバム:11)

■曲名:雲がちぎれる時
■アルバム名:11(1996年)
■動画リンク:「雲がちぎれる時」
これも朝本浩文が作曲し、プロデュースした曲です。
彼女の場合、最高傑作を決めるのも、かなり困難かもしれません。
というのは後に彼女は人を選ぶ音楽性に変化しましたが、特定のアルバムがツボにハマると、それ一択になるところがあります。
もし「一般的な意味で」という注釈をつけた上で選べば、「11」か「アメトラ」が最高傑作といえるかもしれません。
時代の先を進みすぎていると、ついていけない人が出てきます。
その点初期の彼女は大衆との距離感が絶妙でした。
当初から彼女はJPOPではなく、クラブ寄りの資質を持った人でしたが、そのせいか洋楽ファンをも魅了しました。
彼女は椎名林檎以前に、洋楽ファンを強く惹き付けた人だったかもしれません。
実際1999年に彼女は、女性アーティストとして初めてフジロックに出演しました。
UA 6位 「太陽手に月は心の両手に」(アルバム:PETIT)

■曲名:太陽手に月は心の両手に
■アルバム名:PETIT(1995年)
■動画リンク:「太陽手に月は心の両手に」
ここで彼女のルーツをご紹介しましょう。
小・中学生時期、イエロー・マジック・オーケストラ, 日本のパンクミュージックを聴き始める。また、小学校の音楽授業で学んだドイツの作曲家カール・オルフの器楽曲に縦笛、木琴で親しむ。
高校生時期、クラブミュージックからの影響で、UK、USを始め、ワールドワイドに音楽を聴き始め、レコードを集め始める。
私は上の引用部に1つ欠けているように思いました。
それはアフリカ的な要素。
そもそも彼女の芸名「UA」は、「花」と「殺す」という意味のスワヒリ語の言葉に由来するそうです。
私は彼女のプリミティヴで野性的なところが、アフリカ的だと感じます。
「11」のアルバム・ジャケットを見ても民族色を感じますし、彼女特有の声の強さもアフリカのシンガーを思わせます。
彼女にはアフリカ的な部分を含めて、雑食性の中から生まれるバイタリティを感じます。
UA 7位 「世界」(アルバム:泥棒)

■曲名:世界
■アルバム名:泥棒(2002年)
■動画リンク:「世界」
この記事はソロ時代では、このアルバムまでを対象にしました。
それ以降の彼女は人を選ぶものの、興味深い作品を次々に発表しています。
彼女は早い段階から奇妙な世界観を打ち出していました。
その特徴は音楽のみならず、ビジュアル面でも顕著でした。
そもそも上のジャケットも、手塚治虫の漫画に出てきそうな物の怪みたいですし。
彼女は自分をダウングレードしかねないメイクとファッションを誇示するかのように見えました。
そこに平凡な美人シンガーになりたくなかった、彼女の本心が見てとれます。
彼女は誰にも好かれる表面的な美しさよりも、奇妙でも自分らしくありたいと思ったのかもしれません。
最初私は彼女を見た時、眉毛の太さに驚きました。
眉毛といえば、以下のパブリック・イメージ・リミテッド (Public Image Ltd) のジャケットが印象的です。

UAからそう遠くない感じがしないでしょうか。
AJICO 1位 「美しいこと」(アルバム:深緑)

■曲名:美しいこと
■アルバム名:深緑(2001年)
■動画リンク:「美しいこと」
ここからはUAが参加したバンド、AJICOの曲をご紹介します。
AJICOはブランキー・ジェット・シティ(BLANKEY JET CITY)の浅井健一とUAらが結成した4人組のバンドです。
このバンドはUAという異物感のある存在をどう活かしたらいいか、一つの解決策を示しました。
それまでのソロ・アルバムでは、周囲が献身的にUAの良さを活かしていました。
しかしここではクセの強い違う個性を彼女にぶつけて、スリリングな化学反応を引き起こしています。
この曲ではベンジーこと浅井健一とUAの声が重なる瞬間、異質感のある美が生まれています。
浅井健一はUAのアルバムにも曲を提供していますし、UAは特定のジャンルに定住しないタイプ。
浅井健一の文脈が強いこのバンドに参加しても、何ら不思議ではありません。
しかしこのアルバムを聞いた時、ここまでの相乗効果とはとうれしい誤算でした。
AJICO 2位 「すてきなあたしの夢」(アルバム:深緑)

■曲名:すてきなあたしの夢
■アルバム名:深緑(2001年)
■動画リンク:「すてきなあたしの夢」
当初私は彼女のダウナーな曲が好きで、そういう曲もご紹介したいと思っていました。
UA名義ではそういう曲を取り上げる枠がありませんでしたが、代りにAJICOの方で深緑の陰影を感じさせるこの曲を選びました。
このアルバムは本当に傑作ですね。
私はUAについて語る時、AJICO抜きでは語れないと考えています。
AJICOは全曲で浅井健一が作曲していますし、サウンド的にもベンジー色が強いバンドです。
UAにとっては他流試合みたいなものだったかもしれません。
しかしそんな中でも彼女は主演の浅井健一と拮抗する存在感を放ちました。
おそらくベンジーはそれを彼女に求めていたのでしょう。
彼女はAJICOで、表現者として底知れぬポテンシャルの高さを改めて証明しました。
AJICO 3位 「毛布もいらない」(アルバム:深緑)

■曲名:毛布もいらない
■アルバム名:深緑(2001年)
■動画リンク:「毛布もいらない」
彼女はこの記事で取り上げた期間以降も興味深い活動をしていました。
彼女はフィッシュマンズ(Fishmans)でゲスト・ボーカルを務めたり、菊地成孔とジャズのアルバムをつくったりしています。
また彼女は「11」の時に初めて子供を産み、現在まで4人の子供の母親になっています。
住む場所も沖縄に住んだりカナダに移住したり、離婚したり再婚したり。
彼女の生き方はバラバラでとっちらかっていて、さぞかし忙しかったのではないかと推察します。
私はこの記事を書くにあたって、彼女の発言を調べてみました。
彼女は自由奔放で強い個性の持ち主ですが、意外と奇人変人エピソードがありません。
インタビューなどを読んでも、普通の感覚を持ち合わせている人だと感じました。
彼女はタコの糸が切れたような、分かりやすく変な人ではなく、自分に忠実で自由奔放なだけでした。
そういえば私は昔、南Q太の漫画を読み漁った時期がありました。
南Q太の漫画には思うがままに行動する主人公が生き生きと描かれていました。
私は平凡な人生を送っているせいか、そういう生き方にあこがれているところがあります
それどころか、そういうオルタナティヴな生き方に励まされる気さえしています。
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