今回はスマパンのランキングを作成しました。
このバンドは、グランジというジャンルに分類されることが多いかもしれません。
しかし私は単にオルタナロック・バンドと考えています。
しかもかなり優秀な。
この記事では最初の解散までの時期を対象にしています。
少し珍しい曲もご紹介してみました。
- 1 1位「1979」(アルバム:Mellon Collie and the Infinite Sadness)
- 2 2位「Tonight, Tonight」(アルバム:Mellon Collie and the Infinite Sadness)
- 3 3位「Today」(アルバム:Siamese Dream)
- 4 4位「The Everlasting Gaze」(アルバム:Machina/The Machines of God)
- 5 5位「Perfect」(アルバム:Adore)
- 6 6位「Stand Inside Your Love」(アルバム:Machina/The Machines of God)
- 7 7位「Quiet」(アルバム:Siamese Dream)
- 8 8位「Daydream」(アルバム:Gish)
- 9 9位「I Am One」(アルバム:Gish)
- 10 10位「Glass」(アルバム:Machina II/The Friends & Enemies Of Modern Music)
- 11 番外編「Bye June」(アルバム:Pisces Iscariot Deluxe Edition)
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- 14 他ブログ・SNS等
1位「1979」(アルバム:Mellon Collie and the Infinite Sadness)

■曲名:1979
■曲名邦題:1979
■アルバム名:Mellon Collie and the Infinite Sadness(1995年)
■アルバム名邦題:メロンコリーそして終りのない悲しみ
■動画リンク:「1979」
この記事を書くにあたり、このアルバムから2曲だけに制限しよう思いました。
そうでもしないと、このアルバムの曲で記事が埋め尽くされてしまうからです。
そこで良い曲ばかりの中から更に突出した2曲を選んで、1位と2位に配置しました。
2位の「Tonight, Tonight」とどちらを1位にしてもいいのですが、イントロのつかみが良いこちらを1位にしました。
ところで曲名の「1979」とは、どういう意味を持つ年なのでしょうか。
1979年この曲を書いたビリー・コーガン(Billy Corgan)は12歳でした。
大人にはまだ遠い年齢かもしれません。
ところがこの曲から読み取れるのは、世界を達観している目線です。
「僕たちは分かっていない。いずれ僕らの骨が塵になった後どこで休めるのか。忘れ去られて大地に吸収されるだけではないか」という内容です。
ビリーは老成した子供だったのですね。
2位「Tonight, Tonight」(アルバム:Mellon Collie and the Infinite Sadness)

■曲名:Tonight, Tonight
■曲名邦題:トゥナイト・トゥナイト
■アルバム名:Mellon Collie and the Infinite Sadness(1995年)
■アルバム名邦題:メロンコリーそして終りのない悲しみ
■動画リンク:「Tonight, Tonight」
アルバム名邦題は忠実に翻訳されています。
このアルバムは感傷的な気持ち、そして悲しみが永遠に続くのかもしれないという恐れ、そういう世界観を前提にしています。
悲観的な見方だと思うでしょうか。
しかしビリーはそういう時代どう生きたらいいか、この曲にメッセージを込めました。
「君は自信がなく、チャンスがないと思っている。しかし今夜だけは信じてほしい。人は変われるということを」という内容です。
このアルバムは2枚組の大作で2時間を超えています。
しかしそのハンデを超えて、全世界で1000万枚以上の大ヒットを記録しました。
とかく音楽は生きることには直接関係ない、嗜好品のように思われがちです。
しかし人が長い人生を渡りきろうとする時、このアルバムは命綱のような必需品なのかもしれません。
これからこのアルバムを買う予定の方は、歌詞和訳付きの国内盤を買うことをおすすめいたします。
3位「Today」(アルバム:Siamese Dream)

■曲名:Today
■曲名邦題:トゥデイ
■アルバム名:Siamese Dream(1993年)
■アルバム名邦題:サイアミーズ・ドリーム
■動画リンク:「Today」
このセカンド・アルバムも2曲だけに制限をしました。
理由は先程と同じく、このアルバムには良い曲が多すぎるからです。
他にも「天使のロック(Cherub Rock)」「武装解除(Disarm)」「奇人U.S.A.(Geek U.S.A)」「マヨネーズ(Mayonaise)」など、多くの名曲をランキング外にしました。
このバンドの最高傑作は「Mellon Collie and the Infinite Sadness」か「Siamese Dream」のどちらかだと思います。
冒頭で私は彼らがグランジと呼ばれることに違和感があると書きました、
しかしこの曲は少しグランジっぽいと感じます。
それもそのはずこのアルバムのプロデューサーは、ニルヴァーナ(Nirvana)の「ネヴァーマインド(Nevermind)」を担当したブッチ・ヴィグ(Butch Vig)。
ブッチ・ヴィグはソニック・ユース(Sonic Youth)などのプロデュースでも知られる人で、ギターの音の処理が特徴的です。
この時期ビリーは思いつめていたかもしれません。
当時、パンプキンズは数多あるオルタナティヴ・バンドの一つにすぎないとみなされており、バンドの中心であるビリーは「次のアルバムで成功しなければ、その次はない」と考えるようになっていた。
彼らは良きプロデューサーを得て、その難局を乗り越えました。
4位「The Everlasting Gaze」(アルバム:Machina/The Machines of God)

■曲名:The Everlasting Gaze
■曲名邦題:ジ・エヴァーラスティング・ゲイズ
■アルバム名:Machina/The Machines of God(2000年)
■アルバム名邦題:マシーナ/ザ・マシーンズ・オブ・ゴッド
■動画リンク:「The Everlasting Gaze」
この曲でジェームス・イハ(James Iha)は、まがまがしくもすばらしいリフを提供しました。
彼は日系アメリカ人で、日本名では井葉吉伸といいます。
外見はほぼ日本人ですが日本語は話せません。
歌詞は死を恐れる人が「あなたは私が死んでいないことをご存知ですよね」と何度も聞いている内容です。
不条理な演劇みたいなテーマですね。
しかしそれはバンドの状態を示唆していたのかもしれません。
今作は彼らのラスト・アルバムです。
解散以前からバンド内に亀裂ができていて、特にビリー・コーガンとダーシー・レッキー(D’arcy Wretzky)の関係は修復不可能になっていました。
このアルバムを最後にダーシーが脱退し、ついにバンドを解散することになりました。
5位「Perfect」(アルバム:Adore)

■曲名:Perfect
■曲名邦題:パーフェクト
■アルバム名:Adore(1998年)
■アルバム名邦題:アドア
■動画リンク:「Perfect」
ジミー・チェンバレン(Jimmy Chamberlin)が不祥事で解雇された後のアルバムです。
ジミーの不在によって、バンドは軌道修正を余儀なくされました。
ただその結果としてニュー・ウェイヴ色が強まったことは、バンドのルーツがうかがえて興味深いです。
この曲もポップな時のキュアー(The Cure)みたいなところがありますし。
この曲は付き合っていた恋人が、どうせ別れるのだから完璧に別れようという内容です。
今度会う時は見知らぬ他人として会おうと。
実際この時期、バンドの内情はかなり不安定だったようです。
次作「Machina/The Machines of God」のレコーディング前、既に解散することが決定していました。
このアルバムではダーシーやイハの演奏が引っ込み気味ですが、彼らは解散後ビリーが結成したズワン(Zwan)には参加していません。
スマパンはビリーとジミーのズワン組と、ダーシーとイハのソロ活動組に分かれしました。
そうしたバンドの分裂を思う時、とても意味深に感じる曲です。
6位「Stand Inside Your Love」(アルバム:Machina/The Machines of God)

■曲名:Stand Inside Your Love
■曲名邦題:スタンド・インサイド・ユア・ラヴ
■アルバム名:Machina/The Machines of God(2000年)
■アルバム名邦題:マシーナ/ザ・マシーンズ・オブ・ゴッド
■動画リンク:「Stand Inside Your Love」
このアルバムでは、麻薬問題で逮捕されたジミー・チェンバレンが復帰しています。
彼らは「Mellon Collie and the Infinite Sadness)」あたりから、映像で独自の世界観を表現することが増えました。
たとえばこの動画では、グロテスクか美しいか分からない映像が続いています。
また前作の「Adore」のアルバム・ジャケットも、少し演劇っぽい感じでしたね。
ちなみに「Machina」とはラテン語で機械のこと。
その後に「The Machines of God」という「神の機械」という言葉が続いています。
古い時代の機械じかけを舞台にして人間を俯瞰して見ている感じがします。
映画の歴史に残る名画「天井桟敷の人々」みたいな感じでしょうか。
歌詞では恋人に対して「あなたは永遠に私のものだ」という、強く純粋でしかしどこか倒錯した愛が歌われています。
彼らの表現する世界は、どことなくアントニー&ザ・ジョンソンズ (Antony & the Johnsons)との共通点を感じます。
7位「Quiet」(アルバム:Siamese Dream)

■曲名:Quiet
■曲名邦題:クワイエット
■アルバム名:Siamese Dream(1993年)
■アルバム名邦題:サイアミーズ・ドリーム
■動画リンク:「Quiet」
演奏が魅力的な曲です。
まずイハのトニー・アイオミ(Tony Iommi)ばりのリフが、この曲を一段引き上げています。
ダーシーの地をはう重低音もたまりませんね。
ダーシーのベースはテクニカルではありませんが、腹がすわっていてドスが利いています。
才人ジミー・チェンバレンも、いつも通り快調そのもの。
個性が強いメンバーが同じ方向を向いた時、このような名曲が生まれました。
この重心の低さは病みつきになりそうです。
8位「Daydream」(アルバム:Gish)

■曲名:Daydream
■曲名邦題:デイドリーム
■アルバム名:Gish(1991年)
■アルバム名邦題:ギッシュ
■動画リンク:「Daydream」
ファースト・アルバムの曲です。
この曲では珍しくダーシーがボーカルをとっています。
中盤以降アレンジがチェンバーロック風になって、その後一旦曲が途絶えて、違うメロディで再開しています。
ファースト・アルバムには、後の作品に受け継がれていない途絶えた系譜の曲がありますが、この曲もその1つ。
ビリー・コーガンのボーカルは、爬虫類のようだと表現されることがあります。
良いボーカリストですが少しアクが強いところがあって、続けて聞くと個性の強さが裏目に出るところがあるかもしれません。
私も「Mellon Collie and the Infinite Sadness」に数曲ダーシーのボーカル曲があれば、更に傑作になったかもしれないと思ったりもします。
ダーシーのボーカル曲は、もっとあっても良かったかもしれません。
最後の方の彼女の声は生々しく、一瞬PJ ハーヴェイ(PJ Harvey)あたりを想起させます。
9位「I Am One」(アルバム:Gish)

■曲名:I Am One
■曲名邦題:アイ・アム・ワン
■アルバム名:Gish(1991年)
■アルバム名邦題:ギッシュ
■動画リンク:「I Am One」
ジミー・チェンバレンのドラムはこのバンドの要です。
この曲のイントロを聞いただけで、そう感じさせてくれますね。
ジミーはもともとジャズ畑出身であることは有名な話ですが、それにしてはロックのドラマーとして完成されています。
この曲はファースト・アルバムの収録曲ですが、デビューの時点で既にこの演奏ですし。
丸太のような太い腕をふるう豪快なタイプでもありませんし、おかずの入れ方にそれほど特徴があるわけでもありません。
しかし芯を的確にとらえるそのドラミングには、本質的なセンスの良さを感じます。
そこに重低音に特化したダーシーのベースが加わる時、このバンド独自のグルーヴ感が生まれます。
10位「Glass」(アルバム:Machina II/The Friends & Enemies Of Modern Music)

※ジャケットは「Machina/The Machines of God」を掲載しています
■曲名:Glass
■曲名邦題:グラス
■アルバム名:Machina II/the friends & enemies of modern music(2000年)
■アルバム名邦題:マシーナII
■動画リンク:「Glass」
この曲は「Machina II/The Friends & Enemies Of Modern Music」というアルバムの曲です。
名前の通り「Machina/The Machines of God」の続編といえるでしょう。
「The Friends & Enemies Of Modern Music」とは「現代音楽の友と敵」という意味です。
このアルバムはCDとして発売されず、ダウンロードのみ無料で配信されました。
ビリーによるとレコード会社にもうけさせるぐらいなら、無料にした方がいいと思ったようです。
そうした文脈から「敵」はレコード会社のことかもしれませんが、「友」とは誰のことでしょうか。
もちろん特定の誰かではないかもしれませんが。
スマパン解散後ビリーとジミーは「ズワン」を結成し、その後ビリーとジミーは2007年にスマパンを再結成しています。
この時期のビリーは、他の2人とは距離を置いていました。
ビリーが「友」という言葉を使う時、脳裏にはジミー・チェンバレンが思い浮かんでいたのかもしれません。
番外編「Bye June」(アルバム:Pisces Iscariot Deluxe Edition)

■曲名:Bye June
■曲名邦題:バイ・ジューン
■アルバム名:Pisces Iscariot(Deluxe Edition)
■アルバム名邦題:パイシーズ・イスカリオット(デラックス・エディション)
■動画リンク:「Bye June」
最後にアルバム未収録曲を集めたコンピレーションから取り上げましょう。
この曲はEP「LULL」に収録されています。
その後「Pisces Iscariot」という2枚組の未発表曲集に収録されました。
「Pisces Iscariot」は1枚ものと、2枚組のデラックス・エディションがありますが、この曲は後者にしか収録されていません。
この編集盤には「Siamese Dream」の頃のアルバム未収録曲が入っています。
この曲はジェイムス・イハのソロ・アルバムのように、聞きやすくてポップな曲です。
ビリー・コーガンのナイーヴな側面がよく表れていますね。
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