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ジャパン(Japan)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はジャパンのランキングを作成しました。

このバンドはヨーロピアン路線のロキシー・ミュージック(Roxy Music)やデヴィッド・ボウイ(David Bowie)などの系譜を受け継いでいます。

しかし最終的には、アート志向の強い独自の境地にたどり着きました。

後に彼らはデュラン・デュラン(Duran Duran)など、ニューロマンティック勢に影響を与えています。

 

1位「Ghosts」(アルバム:Tin Drum)

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■曲名:Ghosts
■曲名邦題:ゴウスツ
■アルバム名:Tin Drum
■アルバム名邦題:錻力の太鼓
■動画リンク:「Ghosts」

私は彼らの最高傑作はこのアルバムだと思います。

この曲はシングルチャート5位と最大のヒット曲になりました。

ちなみに後年デヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)は、ジャパン時代について、かなり否定的な見解を述べていました。

生きていくためのバンドで、偽りの姿だった。

ただ最後の方では、少しだけ自分を表現できるようになってきたと。

シルヴィアンがこの曲を書いた時、一部のメンバー以外この曲に興味を示さなかったそうです。

当時バンド内の人間関係は、決して良好ではありませんでした。

バンドは仲良しクラブである必要はありません。

逆に才能を持った1人の発言権が強まることで、音楽的にもセールス的にも大きな成果を挙げるケースも多いです。

このアルバムは、そのパターンの典型例といえるかもしれません。

この曲はシルヴィアンにとって、ソロで自分がやりたい音楽の原型になったそうです。

しかしバンドのメンバーは違う方向を向いていました。

シルヴィアンが独裁的な人であれば、それでもバンドは継続したかもしれませんが、むしろ真逆の人です。

様々な意味で、解散は必然であったかもしれません。

 

2位「Quiet Life」(アルバム:Quiet Life)

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■曲名:Quiet Life
■曲名邦題:クワイエット・ライフ
■アルバム名:Quiet Life
■アルバム名邦題:クワイエット・ライフ
■動画リンク:「Quiet Life」

最初の2枚で彼らは毒のあるホワイト・ファンクやグラム・ロックをやっていました。

このアルバムあたりから、彼らは大きく変化しています。

この曲はサード・アルバムの冒頭を飾る曲で、ファンは急にピコピコし始めたと思ったかもしれません。

ただその前には伏線がありました。

思えばファースト・アルバム「Adolescent Sex」のタイトル曲は、歪んだディスコといえる曲でした。

また翌年1979年にはジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)と共作した「ライフ・イン・トウキョウ(Life in Tokyo)」を発表しています。

ジョルジオ・モロダーといえば、エレクトリックなディスコ・サウンドを特徴とする人です。

リリース順でいえば、その次のシングルがこの曲。

必然的にディスコに行き着く流れだったのですね。

ただ3:38からのミック・カーン(Mick Karn)のベースは、普通のディスコとは違うニューアンスを感じさせます。

 

3位「The Unconventional」(アルバム:Adolescent Sex)

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■曲名:The Unconventional
■曲名邦題:奇しい絆
■アルバム名:Adolescent Sex
■アルバム名邦題:果てしなき反抗
■動画リンク:「The Unconventional」

彼らが最初の2枚のアルバムを嫌っていることは有名な話です。

何度もインタビューでその種の発言を読みました。

当然ベスト盤でも冷遇されがちです。

初期の曲が1曲も入っていないベスト盤もありますし、ライブ・アルバムでも初期の曲は、ほぼ取り上げらません。

しかし私はこのファースト・アルバムを結構気に入っています。

シングルカットされた「パレードに雨を降らせないで(Don’t Rain on My Parade)」など、良い曲が沢山収録されています

彼らはサード・アルバムあたりから、キーボードが主体のサウンドに移行しますが、この頃はロブ・ディーン(Rob Dean)のギターが目立っていました。

この曲でも屈折したファンクの上でざらつくギターは、とても刺激的です。

ちなみに彼らはデビュー時、本国イギリスでは全く人気がありませんでした。

当時はアイドル的に売られようとしていましたが、それにしては音楽に毒がありすぎますし、少しミスマッチだったかもしれません。

しかし唯一日本では人気がありました。

当時はクイーン(Queen)やジャパンなど、最初に日本で人気が出ることがありました。

昔の日本の洋楽ファンは、目利き能力が高かったのですね。

 

4位「Visions of China」(アルバム:Tin Drum)

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■曲名:Visions of China
■曲名邦題:ヴィジョンズ・オブ・チャイナ
■アルバム名:Tin Drum
■アルバム名邦題:錻力の太鼓
■動画リンク:「Visions of China」

先程このバンドはシルヴィアン中心のバンドだと書きました。

しかしそれはコンセプトや曲づくりについてであって、演奏面では強者ぞろいでした。

特にミック・カーンとスティーヴ・ジャンセン(Steve Jansen)のリズムはとても独創的です。

それはこの曲のイントロを聞くだけで実感していただけると思います。

ここではスティーヴのドラムについて触れておきましょう。

彼のプレイは一言で言うと、一風変わったドラムです。

ギターでいえばエイドリアン・ブリューみたいに、発想の自由さが感じられる演奏です。

2:12ぐらいから、少しアフリカのパーカッションみたいになりますが、良いアクセントになっていますね。

このバンドの場合、シンセサイザーも結構パーカッシブになる時があります。

それらのパーツがうまくはまると、このような不思議な音響空間が出現することになります。

 

5位「Swing」(アルバム:Gentlemen Take Polaroids)

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■曲名:Swing
■曲名邦題:スウィング
■アルバム名:Gentlemen Take Polaroids
■アルバム名邦題:孤独な影
■動画リンク:「Swing」

この曲はミックカーンのベースにご注目ください。

この人はフレットレス・ベースの名手で、サウンド面の要です。

フレットレス・ベースとは、通常弦の上にある区切りがないベースのこと。

フレットは音程をプレイヤーが把握する目印になるので、素人がフレットレスを使うとかなり悲惨なことになります。

この人のベースを聞くと、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)やパーシー・ジョーンズ(Percy Jones)を思い起こさせる瞬間があります。

それは彼らが皆フレットレス・ベースを弾くことが一因かもしれません。

ちなみにミック・カーンは独学でベースを習得したらしく、楽譜も読めません。

フレットレス・ベースなのに、耳コピで練習していたのですね。

感覚だけでここまで登りつめたのはすごいです。

決して眉が無いだけの人ではありません。

 

6位「The Art of Parties」(アルバム:Tin Drum)

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■曲名:The Art of Parties
■曲名邦題:ジ・アート・オブ・パーティーズ
■アルバム名:Tin Drum
■アルバム名邦題:錻力の太鼓
■動画リンク:「The Art of Parties」

この曲ではアレンジの妙が味わえます。

リチャード・バルビエリ(Richard Barbieri)のシンセが、とても色彩感豊かです。

「錻力の太鼓」とは同名の映画から取られていますが、アルバムを通じて感じられるのは、中国をモチーフにしたオリエンタルな感覚です。

ただジャケットが示しているようにフェイク・チャイニーズ風。

改めて歌詞を読んでみましたが、中国に特別思い入れている様子はありません。

あくまでオリエンタルなイメージだけを借りてきたような印象を受けます。

そういうアプローチは、YMOから影響されたのかもしれませんが。

もしくはアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)が毛沢東から思想などの意味をはぎ取って、ポップアートとして表現したのに似ています。

このアルバムにはデヴィッド・シルヴィアンの美意識が強く表れています。

 

7位「Automatic Gun」(アルバム:Obscure Alternatives)

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■曲名:Automatic Gun
■曲名邦題:オートマティック・ガン
■アルバム名:Obscure Alternatives
■アルバム名邦題:苦悩の旋律
■動画リンク:「Automatic Gun」

セカンド・アルバムからの選曲です。

このアルバムは少し残念なところがあります。

まずジャケットですが、ライブハウスで撮影したような低予算な感じは少しかわいそうです。

あとアルバム・タイトルも「Obscure Alternatives」つまり「あいまいな代替」みたいな意味ですが、何を言わんとしているのかよく分かりません。

原題がそうですから、邦題でも「苦悩の旋律」というぱっとしないタイトルになってもやむを得ません。

更には彼らの音楽はリズム面におもしろさがありますが、このアルバムはその魅力が薄いように感じます。

迷走気味のアルバムといえるでしょう。

ただ中には「愛の住人(The Tanant)」という、後に繋がるアンビニエントな曲も入っています。

またこの曲などキャッチーで、最もロックらしい曲といえるかもしれません。

シルヴィアンのボーカル・スタイルが次作と違い過ぎますが、この曲ではこの歌い方が適しているように思います。

 

8位「Cantonese Boy」(アルバム:Oil On Canvas)

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■曲名:Cantonese Boy
■曲名邦題:カントニーズ・ボーイ
■アルバム名:Oil On Canvas
■アルバム名邦題:オイル・オン・キャンヴァス
■動画リンク:「Cantonese Boy」

彼らのラスト・アルバムとなったライブ・アルバムから選曲しました。

シルヴィアンはライブが好きではなかったようです。

一方他のメンバーはライブが大好きで、そういうことも解散の一因になったようです。

ちなみにこのアルバムはライブであるにもかかわらず、観客の声をカットするよう編集されています。

デヴィッド・シルヴィアンの仕業でしょうか(笑)

ちなみに前作「Tin Drum」の前にギターが脱退してしたので、このライブ盤ではサポートギタリストとして一風堂の土屋昌巳が参加しています。

一風堂は1982年に「すみれ September Love」を大ヒットさせましたが、その後に参加したようですね。

さて解散後の1991年に彼らは、レイン・トゥリー・クロウ(Rain Tree Crow)という別名義で、アルバムを1枚だけリリースしました。

実質ジャパンの再結成アルバムといえるかもしれませんが、私は別物だと考えています。

というのはシルヴィアン色が強すぎると思いますから。

質こそ高いものの、メンバーの個性がぶつかり合っていたジャパン時代とは別ものと考えています。

 

9位「Gentlemen Take Polaroids」(アルバム:Gentlemen Take Polaroids)

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■曲名:Gentlemen Take Polaroids
■曲名邦題:孤独な影
■アルバム名:Gentlemen Take Polaroids
■アルバム名邦題:孤独な影
■動画リンク:「Gentlemen Take Polaroids」

彼らは前作「Quiet Life」から音楽性を変えて、初の全英チャート入りを果たしました。

その後Hansa Recordsから、大手のVirgin Recordsに移籍することができました。

通常大手のレコード会社に移籍すると売れ線を強いられることが多いですが、このアルバムでは必ずしもそういう方向に変化していません。

むしろよりアンビニエントで耽美な方向に変化しています。

日本でこのアルバムは「テイキング・アイランズ・イン・アフリカ(Taking Islands in Africa)」で、坂本龍一と共演したことが話題になりました。

惜しくもランキング外とはなりましたが、その曲のリミックスバージョンを貼っておきましょう。

Taking Islands In Africa (Steve Nye Remix)

このアルバムも前作と同程度にはヒットしましたが、大手からリリースされたことを考えると、かろうじて及第点といったところでしょうか。

彼らは次作「Tin Drum」では解散してもかまわない覚悟で、更にやりたい音楽を突き詰めました。

そのラスト・アルバム「Tin Drum」はロック史に残る傑作となり、有終の美を飾ることができました。

 

10位「European Son」(アルバム:Assemblage)

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■曲名:European Son
■曲名邦題:ヨーロピアン・サン
■アルバム名:Assemblage
■アルバム名邦題:アセンブラージュ
■動画リンク:「European Son」

最後にアルバム未収録曲集から隠れ名曲をご紹介します。

時期的には「Tin Drum」の2か月前に発売されています。

当時彼らはアルバム未収録のシングル曲を、次から次へとリリースしていました。

この編集盤には「Life in Tokyo」や、シングルチャートでトップテン入りを果たした「アイ・セカンド・ザット・エモーション(I Second That Emotion)」などが収録されています。

ちなみに後者はスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ(Smokey Robinson & Miracles)の有名なヒット曲のカバー。

ただ私の一番のお気に入りこの曲です。

「ヨーロピアン・サン(European Son)」という曲名から、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)のカバーだと思う方もいらしゃるかもしれません。

彼らはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「オール・トゥモローズ・パーティーズ(All Tomorrow’s Parties)」のカバーをしていますし。

しかしこの曲は、彼らのオリジナル曲です。

少しニュー・オーダー(New Order)に似た感じに聞こえますね。

そしてやはりここでもミック・カーンのベースが躍動しています。

 

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