今回はラモーンズのランキングを作成しました。
彼らはニューヨーク・パンクを代表的するバンドです。
彼らの存在は商業主義に傾きつつあった音楽シーンに、一石を投じました。
それはシンプルなロックンロールの復権です。
彼らが1.2.3.4とカウントすると、次の瞬間からロックンロールのファンタジーが始まります。
エバーグリーンなパンクをご堪能ください。
- 1 1位「Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?」(アルバム:End of the Century)
- 2 2位「Blitzkrieg Bop」(アルバム:Ramones)
- 3 3位「Rockaway Beach」(アルバム:It’s Alive)
- 4 4位「Needles and Pins」(アルバム:Road to Ruin)
- 5 5位「Sheena Is a Punk Rocker」(アルバム:Rocket to Russia)
- 6 6位「I Wanna Be Sedated」(アルバム:Ramones Mania(The Best of 1976–1988))
- 7 7位「California Sun」(アルバム:Leave Home)
- 8 8位「Do You Wanna Dance?」(アルバム:Rocket to Russia)
- 9 9位「I Wanna Be Your Boyfriend」(アルバム:Ramones)
- 10 10位「The Crusher」(アルバム:Adios Amigos)
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1位「Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?」(アルバム:End of the Century)
■曲名:Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?
■曲名邦題:リメンバー・ロックンロール・レイディオ? (思い出のロックンロール・ラジオ)
■アルバム名:End of the Century
■アルバム名邦題:エンド・オブ・ザ・センチュリー
■動画リンク:「Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?」
このアルバムはフィル・スペクター(Phil Spector)がプロデュースしています。
フィル・スペクターといえば「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれる独特な音づくりが特徴の人です。
「ウォール・オブ・サウンド」とは多重録音を駆使し、音を壁のように分厚くして、エコーをかけたサウンドのこと。
1960年代に一世風靡したサウンドでした。
ただその音づくりは、シンプルなガレージ・サウンドが特徴のラモーンズとは、相容れない感じがするかもしれません。
ラモーンズの音は、スカスカだからいいんだと。
しかしこの曲では、意外にも成功しています。
この曲は様々な楽器の音で埋め尽くされていますが、なんとも胸が弾むサウンドではないでしょうか。
ただこのレコーディングは、かなりの修羅場だったらしいです。
フィル・スペクターはメンバーに対して銃口を向け、彼の大邸宅に身柄を拘束して、延々と演奏させたそうです。
フィルは3つの拳銃を持ち歩いていたのだとか(笑)
しかしこのアルバムは彼らの最高位を獲得し、この曲は彼らを代表する曲になりました。
過酷な体験だったかもしれませんが、得られたものも大きかったかもしれません。
2位「Blitzkrieg Bop」(アルバム:Ramones)
■曲名:Blitzkrieg Bop
■曲名邦題:ブリッツクリーグ・バップ
■アルバム名:Ramones
■アルバム名邦題:ラモーンズの激情
■動画リンク:「Blitzkrieg Bop」
デビューアルバムの1曲目で、デビュー・シングルの曲です
あいさつ代わりの1曲といえるでしょう。
まず印象的なのはイントロの「Hey, ho, let’s go」という掛け声です。
実はこの部分は、ベイシティ・ローラーズ(Bay City Rollers)の「サタデー・ナイト(Saturday Night)」からヒントを得たのだそうです。
そちらのリンクを貼っておきましょう。
Bay City Rollers – Saturday Night
渋谷陽一はラモーンズについて「革ジャンを着たベイシティ・ローラーズ」と評しましたが、的確な表現だったかもしれません。
この曲はとにかくシンプルなところが魅力です。
よくシンプルな曲のことを「スリーコード・ソング」という言い方をします。
彼らはまさにそれで、そのシンプルさゆえ多くの人に愛されました。
今聞いてもピュアなロックに感動してしまいます。
3位「Rockaway Beach」(アルバム:It’s Alive)
■曲名:Rockaway Beach
■曲名邦題:ロッカウェイ・ビーチ
■アルバム名:It’s Alive
■アルバム名邦題:イッツ・アライヴ 1974-1996
■動画リンク:「Rockaway Beach」
私はニューヨークに行ったことがあります。
私にはお目当ての場所がありました。
それはニューヨーク・パンクの聖地「CBGB」と、昔ロリンズが吠えたジャズクラブ「Village Vanguard」。
当時の私は神保町でDOLL誌のバックナンバーを買い漁り、いつもスリムのブラック・ジーンズにバンダナという人でした。
ラモーンズみたいなライダース・ジャケットも持っていました。
そんな私が「CBGB」に行くというのは、いわゆる聖地巡礼だったかもしれません。
しかし当時の私はライブを躊躇してしまって、建物の前で記念写真を撮り、Tシャツを買って立ち去りました。
このライブ盤を聞くと、何でもいいからライブを見ておけばよかったと悔やまれます。
この曲はライブ・アルバムから選びました。
意外とパンクはライブの名作が少ないように思いますが、中でもこれはおすすめの1枚です。
この曲などは、スタジオ録音よりも良い出来だと思います。
4位「Needles and Pins」(アルバム:Road to Ruin)
■曲名:Needles and Pins
■曲名邦題:針とピン
■アルバム名:Road to Ruin
■アルバム名邦題:ロード・トゥ・ルーイン
■動画リンク:「Needles and Pins」
「Rocket to Russia」と「End of the Century」という代表作に挟まれているせいか、このアルバムの知名度は高くありません。
しかし出来は両者に比べても遜色ありません。
前作「Rocket to Russia」は内容こそ良かったものの、セールス面では苦戦しました。
そこで作曲面でも貢献していたトミー・ラモーン(Tommy Ramone)がプロデュースに専念するため、ドラマーを辞めました。
このアルバムでは新加入のマーキー・ラモーン(Marky Ramone)が、ドラムを叩いています。
彼らはカバー曲が多く、しかも名カバーが多いように思います。
この曲もサーチャーズ(The Searchers)がオリジナルですが、原曲のリンクも貼っておきましょう。
The Searchers – Needles And Pins
ソニー・ボノ(Sonny Bono)とジャック・ニッチェ(Jack Nitzsche)が書いた曲とご紹介した方が、反応する人がいるかもしれません。
この曲をカバーしたのは大正解だったと思います。
ただこのアルバムも全然売れませんでしたが。
そのセールス不振を受けて、ヒット請負人としてレコード会社から送り込まれた刺客が、先程ご紹介したフィル・スペクターでした。
5位「Sheena Is a Punk Rocker」(アルバム:Rocket to Russia)
■曲名:Sheena Is a Punk Rocker
■曲名邦題:シーナはパンク・ロッカー
■アルバム名:Rocket to Russia
■アルバム名邦題:ロケット・トゥ・ロシア
■動画リンク:「Sheena Is a Punk Rocker」
初めて曲名に「パンク・ロック」という言葉が入った曲だそうです。
ちなみにシーナ&ロケッツ(SHEENA & THE ROKKETS)のシーナという名前も、この曲に由来しています。
バンド活動をするにあたり、活動名を「シーナ」とする。この名は、夫・鮎川の祖母の名前が「鮎川シナ」であったことと、2人が好きなバンド・ラモーンズの「シーナはパンクロッカー」という曲が由来[3]。
ちなみにシーナとは、アメコミのキャラクターです。
ターザンの女性版みたいな感じでしょうか。
この曲では、彼女がパンク・ロッカーだと歌われています。
テーマ曲を引用していないかと調べたところ、実写版のシーナの映像を見つけました。
Sheena (1984) – 9 – Final fight with Prince
ジープに乗り銃を持った密猟者らしき男に、シーナはシマウマに乗り、弓矢だけで立ち向かっています。
シーナは銃で撃たれてケガを負っても、まだ戦おうとしています。
ついにはシマウマからも落ちてしまいました。
はたして両者の決着はどうなったでしょうか。
熱いパンク・スピリットを感じたい方は、ぜひ上の動画で続きをご覧ください。
6位「I Wanna Be Sedated」(アルバム:Ramones Mania(The Best of 1976–1988))
■曲名:I Wanna Be Sedated
■曲名邦題:アイ・ウォナ・ビー・シディテッド
■アルバム名:Ramones Mania(The Best of 1976–1988)
■アルバム名邦題:ラモーンズ・マニア
■動画リンク:「I Wanna Be Sedated」
このブログでは、ベスト盤とは異なったスタンスで選曲しています。
好きなアーティストのベスト・アルバムを聞いた時、良さが伝わらないと感じた経験のある方はいないでしょうか。
私は結構あります。
このブログではシングル曲や有名曲であっても、つまらないと思った曲は取り上げません。
またシングル以外に良い曲がないか探しまくって、隠れ名曲としてご紹介しています。
ただそんな私でも絶賛したいベスト盤がいくつかあります。
その中の1枚がこのアルバム。
まず選曲的に申し分ありませんし、30曲も入っていますし、質と量どちらも申し分ありません。
このベストには1988年以前の曲が選ばれていますが、続編の「Ramones Mania 2(The Best of 1989–1996)」には、それ以降の曲が収録されています。
彼らの最高傑作は、「Ramones」「Rocket to Russia」「End of the Century」の内のどれかだと言われています。
しかし私が押したいのは、この「Ramones Mania」。
選曲者は最高の仕事をしていると思いますから。
この曲は「Road to Ruin」の収録曲ですが、このベスト盤の1曲目を飾っています。
選曲者に敬意を評して、こちらの方でご紹介してみました。
7位「California Sun」(アルバム:Leave Home)
■曲名:California Sun
■曲名邦題:カリフォルニア・サン
■アルバム名:Leave Home
■アルバム名邦題:リーヴ・ホーム
■動画リンク:「California Sun」
セカンド・アルバムからの曲です。
ファースト・アルバムのように有名曲は入っていません。
そのせいかファースト以上に金太郎あめで、同じような曲ばかりが続きます。
アルバム全体で1曲みたいな(笑)
通常同じような曲ばかりというのは嫌がられるものですが、彼らの場合はむしろそうあってほしいかもしれません。
私は若い頃1人で残業する時用に、ラモーンズのCDを会社に常備していました。
会社置きのCDは常に入れ替えていましたが、ラモーンズはいつも何かしらありました。
テンションを上げて、一気に仕事を片づけられる気がしたんですよね。
しかしそのせいで今でも彼らを聞くと、残業を思い出してしまうという(苦笑)
そんな昔話はさておき、この曲はリヴィエラズ(The Rivieras)のカバーです。
原曲のリンクを貼っておきましょう。
原曲に忠実なカバーにも関わらず、しっかりラモーンズ印が押されていますね。
まるでラモーンズのために書かれたみたいではないでしょうか。
彼らはサーフ・ロックの影響を受けていますが、リヴィエラズはサーフ・ロックのバンドです。
ラモーンズの音楽はとてもシンプルですが、様々な古い音楽のエッセンスが溶け込んでいます。
ワンパターンなのにあきないのは、意外と音楽的背景が豊かなせいがあるかもしれません。
8位「Do You Wanna Dance?」(アルバム:Rocket to Russia)
■曲名:Do You Wanna Dance?
■曲名邦題:ドゥ・ユー・ウォナ・ダンス
■アルバム名:Rocket to Russia
■アルバム名邦題:ロケット・トゥ・ロシア
■動画リンク:「Do You Wanna Dance?」
ここで中心人物をご紹介しておきましょう。
まずボーカルのジョーイ・ラモーン(Joey Ramone)から。
ジョーイは198cmの長身と長髪、サングラスが特徴で、バンドの顔といえる存在です。
ただこのバンドの司令塔は、リーダーでギターのジョニー・ラモーン(Johnny Ramone)でした。
彼らの髪型やファッションは、ジョニーが決めていたそうです。
ジョニーは革のライダースジャケット、穴の開いたジーンズ、靴はコンバースがお好きだったようですね。
他のメンバーは違う服も着たかったようですが、しぶしぶジョニーの命令に従っていたのだとか。
ほとんどユニフォームみたいなものかもしれません。
今ではパンクの定番スタイルといえますが、当時彼らは異彩を放っていました。
ニューヨーク・パンクはテレヴィジョン(Television)、パティ・スミス(Patti Smith)、トーキング・ヘッズ(Talking Heads)など、知性派が多いことで知られています。
その中で彼らは真逆ともいえるキャラクターを打ち出しました。
兄弟でもないのにラモーン姓を名乗り、お揃いのファッション、単純で短い曲ばかり。
彼らはとてもキュートで、高度にスタイリッシュなバンドだったと思います。
9位「I Wanna Be Your Boyfriend」(アルバム:Ramones)
■曲名:I Wanna Be Your Boyfriend
■曲名邦題:アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド
■アルバム名:Ramones
■アルバム名邦題:ラモーンズの激情
■動画リンク:「I Wanna Be Your Boyfriend」
彼らの結成は意外と早く、1974年ニューヨークで結成されています。
最初のパンク・バンドの1つだと言われています。
彼らは最初からオリジナル曲が多く、このデビュー・アルバムでも1曲以外は自分たちで書いた曲です。
しかしそれはオリジナル志向が強かったからではありません。
デビュー時には他人の曲をカバーするほどの技術がなかったからのようです。
事実、次第に彼らはカバー曲をやるようになりました。
彼らの音楽はギターが中心ですが、あまり凝ったリフがありません。
ウィキペディアにもこう書かれています。
ダウンストローク一辺倒のハードなディストーションを利かせたギター
上の箇所を読んで、確かにそうだよなと思いました。
ダウンストロークとは、ピックを持った右手を上から下に振り下ろす弾き方です。
玄人も使いますが、素人はこれしかできません。
しかしギターのジョニー・ラモーンはギターソロなし、ダウンストローク中心のリフだけで、リスナーを熱狂させました。
技術的には難しくありませんが、この曲はロックンロールの魔法がかけられている特別仕様です。
10位「The Crusher」(アルバム:Adios Amigos)
■曲名:The Crusher
■曲名邦題:ザ・クラッシャー
■アルバム名:Adios Amigos
■アルバム名邦題:アディオス・アミーゴス〜さらば友よ〜
■動画リンク:「The Crusher」
この曲は1995年のラスト・アルバムに収録されています。
翌年1996年、彼らは解散をすることになりました。
彼らは22年間で2263回のライブを行ったそうですから、かなりハードだったかもしれません。
年間平均で100回以上のライブを22年間も続けてきたのですから、お疲れ様でしたと言ってあげたいです。
移動時間や曲作りの時間以外に、3日に1回のライブは、かなり過酷だったのではないかと思われます。
今回は全盛期と呼ばれる「End of the Century」以前を中心に選曲しました。
しかしそれ以降も、水準を維持しています。
「プレザント・ドリームズ(Pleasant Dreams)」以降で、最も私が好きな曲が「The Crusher」で、カバー曲部門では以下の曲です。
今ではもうオリジナルメンバー全員がこの世にはいません。
ただ彼らのスタイルは「ラモーン・パンク」と呼ばれ、彼らの影響を公言するバンドは、今でも後を絶ちません。
彼らは最後までかっこいいパンク・バンドを演じてくれました。
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