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パティ・スミス(Patti Smith)の名曲名盤10選【代表曲・隠れた名曲】

今回はパティ・スミスのランキングを作成しました。

ただいつもとは少し趣きを変えています。

便宜上順位を付けましたが、一部を除いてほぼリリース順にご紹介することにしました。

実際に好きな順もほぼ近いのですが、この並び順の方が彼女の魅力が伝わりやすいと思ったからです。

パンクの女王が次第に成熟していく過程をご堪能ください。

 

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1位「Free Money」(アルバム:Horses)

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■曲名:Free Money
■曲名邦題:フリー・マネー
■アルバム名:Horses
■アルバム名邦題:ホーセス
■動画リンク:「Free Money」
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このアルバムでは「Gloria」が一番人気だと思いますが、私は大昔からこの曲派です。

この曲は倫理的に正しい曲ではありません。

盗んだお金を手にした人が「これで様々な問題から解放される、自由が得られる」という内容の歌詞です。

決してほめられた話ではないでしょう。

「お金がすべてではない」「そもそも盗んではいけない」それが正論です。

しかしこの曲はそんな正論を超えて、訴えかけてくるものがあります。

彼女はお金に苦労してきました。

彼女は大学で美術を学びたくて、学費を稼ぐために15歳から働いていたようです。

自分で稼いだお金と奨学金で無事大学には進学できましたが、進学後に彼女は妊娠し、なんとか出産はしたものの、代償として大学を辞めることになりました。

しかし子供を育てるお金の余裕はなく、養子に出す決断をしましたが、この判断は後まで彼女を苛んだようです。

大学を辞めた彼女は、地元の工場で働き始めていましたが、心が死にそうになったある時一大決心をします。

ニューヨークに行こうと。

そこでニューヨークに行きましたが、到着時の所持金はわずか16ドルですから、日本円で2000円以下でしょうか。

彼女はニューヨークでも極貧生活で、一時はホームレスに近い生活をしていたようです。

この曲はそんな彼女だからこそ訴えたかった内容かもしれません。

彼女なりのリアルを表現した曲だと思います。

 

2位「Gloria」(アルバム:Horses)

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■曲名:Gloria
■曲名邦題:グローリア
■アルバム名:Horses
■アルバム名邦題:ホーセス
■動画リンク:「Gloria」
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この曲はヴァン・モリソン(Van Morrison)が在籍していたゼム(Them)の曲のカバーです。

5分超えで少しスローな展開のところから、まずドラムが発火してその後大合唱になるところは、あまりにもすばらしい展開ではないでしょうか。

このアルバムはジャケットも有名ですね。

ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)が撮影した写真で、当時ロバートは彼女の交際相手でした。

ちなみに彼女がニューヨークに出てきた目的は、ボブ・ディランなどあこがれの人の愛人になることだったんだそうです。

美術には興味があったけれど、当時は自分がアーティストだという意識を持っていなかったようですね。

芸術にあこがれているだけ、その周辺にいるその他大勢の1人にすぎませんでした。

そんな彼女に表現するよう勧めたのは、ロバートです。

その後彼女は働きながら詩を書いたり、絵を描いたり、演劇に出演することもありました。

パティのハングリー・イヤーズです。

さてアルバム・ジャケットの話に戻りましょう。

この写真では普通の女の子に収まりきらない、普通でいたくない、そんな彼女の姿が見事表現されています。

ロバートが彼女の理解者であったことが伝わってくる写真です。

 

3位「Ask the Angels」(アルバム:Radio Ethiopia)

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■曲名:Ask the Angels
■曲名邦題:アスク・ジ・エンジェルス
■アルバム名:Radio Ethiopia
■アルバム名邦題:ラジオ・エチオピア
■動画リンク:「Ask the Angels」
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セカンド・アルバムからの選曲です。

名盤として紹介されるのはファースト・アルバムの方が多いのですが、コアなファンはこちらのアルバムの方を好む人が多いかもしれません。

このアルバムの特徴は、プロデューサーにエアロスミス(Aerosmith)などの仕事で有名なジャック・ダグラス(Jack Douglas)を起用したことです。

この時点でパティは、より強固なロックンロール・サウンドを望んでいたのですね。

後に彼女の夫になるフレッド・ソニック・スミス(Fred “Sonic” Smith)が在籍していたMC5に影響されたようです。

特にこの曲ではやりたいことが、とても明確に表れているかもしれません。

歌詞でも「ロックンロール、それは私が生まれてきた意味」という箇所がありますね。

またこのアルバムからは「パティ・スミス・グループ」名義となり、ソロ名義ではなくバンド名義になりました。

そのせいか前作よりバンド・サウンドがなじんできたように思います。

 

4位「Because the Night」(アルバム:Easter)

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■曲名:Because the Night
■曲名邦題:ビコーズ・ザ・ナイト
■アルバム名:Easter
■アルバム名邦題:イースター
■動画リンク:「Because the Night」
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この曲は、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)とのデュエット曲です。

彼女の曲で最もヒットした曲で、UAなどにもカバーされています。

ブルースはニュージャージー出身ですが、パティも一時住んでいましたから、どこかで繋がりがあったのでしょう。

ちなみにこのアルバムがリリースされたのは1976年で、大ヒットした「明日なき暴走(Born to Run)」の翌年です。

力関係的に、ブルースがパティを引き上げたという形になるかもしれません。

一方パティは、このアルバムの前に療養生活を送っていました。

彼女は「Radio Ethiopia」後のツアーで、5メートル近くあるステージから落下して、首の椎骨のけがをしてしまいました。

そのため前作とは、2年もの間隔が開いています。

意図せずスローダウンすることになりましたが、彼女にとって今後のことを考える良い機会になったそうです。

このアルバムはポップ色が強まったことで否定する人もいますが、音楽的にはより成熟してきたように思います。

脱パンクが成功したアルバムではないでしょうか。

 

5位「Frederick」(アルバム:Wave)

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■曲名:Frederick
■曲名邦題:フレデリック
■アルバム名:Wave
■アルバム名邦題:ウェイヴ
■動画リンク:「Frederick」
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このアルバムは、トッド・ラングレン(Todd Rundgren)がプロデュースしたことで話題になりました。

前作よりも更にポップになり、一般的な評判はあまり良くありませんが、私は大好きなアルバムです。

この当時彼女は、幸せの絶頂期にありました。

彼女は以前からファンであったMC5のフレッド・ソニック・スミスと交際していました。

曲名の「Frederick」とは、彼のことです。

今回私は歌詞を読んで、少しとまどってしまいました。

おやすみのキスだけで「私の魂はもう降伏、驚きのあまり死にそう」と、訳しているこちらが恥ずかしくなるほど、乙女が入っています。

本当に彼女の書いた曲かと疑ってしまうぐらいですね。

曲がポップになったのは、当時の彼女の心境を反映していただけではないでしょうか。

ジャケットも花嫁っぽいですし、鳩まで引っ張り出してきています。ただ眼光は鋭いですが。

実際にこの後2人は結婚することになります。

 

6位「Summer Cannibals」(アルバム:Gone Again)

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■曲名:Summer Cannibals
■曲名邦題:サマー・カニバルズ
■アルバム名:Gone Again
■アルバム名邦題:ゴーン・アゲイン
■動画リンク:「Summer Cannibals」
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から

結婚してからの彼女は、とても幸せな日々を送っていたようです。

前作は「ドリーム・オブ・ライフ(Dream Of Life)」というタイトルで、直訳すると「人生の夢」

そこには「ピープル・ハブ・ザ・パワー(People Have the Power)」のようにメッセージ色の強い曲もありますが、息子に捧げた「ザ・ジャクソン・ソング(The Jackson Song)」など、母性を感じさせる曲が収録されています。

しかし幸せな生活は、突然終わりを告げました。

1994年フレッドが急性心筋梗塞で急逝してしまいました。

そこでつくられたのが、このフレッドの追悼アルバムです。

アルバムタイトル曲では「ねえ、今や私はあなたの親族なのよ」などと歌われています。

一方この曲では、おっかないパティが戻ってきました。

曲名を直訳すると「夏の人食い」ですし、歌詞の中には「地獄に降りていく」という言葉もあります。

ただこの曲はポップですよね。

しかし「Frederick」のポップさとは異なって、ラフな気持ちを無理やりポップなフォーマットに押し込めているような感じがします。

特に3:45ぐらいからのドスの聞いた声は、生々しくないでしょうか。

 

7位「1959」(アルバム:Peace And Noise)

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■曲名:1959
■曲名邦題:1959
■アルバム名:Peace And Noise
■アルバム名邦題:ピース・アンド・ノイズ
■動画リンク:「1959」
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この曲は多大な犠牲者を出した「チベット蜂起」をテーマにした曲です。

映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット(Seven Years in Tibet)」と同じテーマを扱った曲で、こんな曲を出せば中国市場から締め出しをくらうことは確実です。

しかしそこはこの人のことですから、そんなことはおかまいなしです。

この人は「パンクの女王」と呼ばれていました。

当初のセカンドアルバムの邦題は「ストリート・パンクの女王」でしたし。

しかし彼女の音楽自体は、典型的なパンクではなかったように思います。

初期の彼女は、パンクというより切迫感のあるロックン・ロールといった方がいいかもしれません。

当時の彼女にとって、パンクとは下克上のことでした。

貧しい生活から抜け出して、Gloria(栄光)をつかむのだという切迫感が感じられました。

しかしその後彼女は、社会問題に目を向け始めています。

当時チベット問題については、音楽業界からも抗議と支援の動きがありました。

1997年に「第二回フリー・チベット チベタン・フリーダム・コンサート」が開かれましたが、そこにはパティも参加しています。

 

8位「Glitter in Their Eyes」(アルバム:Gung Ho)

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■曲名:Glitter in Their Eyes
■曲名邦題:グリッター・イン・ゼア・アイズ
■アルバム名:Gung Ho
■アルバム名邦題:ガンホー
■動画リンク:「Glitter in Their Eyes」
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昔のような攻撃的なギターがうれしい曲です。

さてパティを語る時に、ロバートメイプルソープ、フレッド・スミス以外に、もう1人触れておかなければいけない人がいます。

音楽評論家でパティ・スミス・グループのギタリスト、レニー・ケイ(Lenny Kaye)です。

レニーはパティの古くからの仲間です。

1971年、つまりデビューの4年前の時点で、既に彼女のバックでギターを弾いていました。

その後ほとんどの作品でギターを弾いています。

唯一参加していないのは、彼女の夫がギターを担当した「Dream of Life」だけで、フレッドが亡くなると、また彼女のバックでギターを弾いていました。

ご主人に気を遣ったのでしょうか。

レニーは音楽に造詣が深く、ガレージ・ロックの有名なコンピ「ナゲッツ(Nuggets)」のプロデュースを手掛けたことでも有名です。

音楽評論の分野で秀でていて、曲も書ける多彩な才能に恵まれたこの人は、いつも黙ってパティのバックでギターを弾いていました。

パティのアルバムで最新作は、2012年の「Banga」ですが、そこにも参加していますから、40年以上の付き合いということになりますね。

彼の存在はつつましいながらも、とても大きいと思います。

 

9位「Amerigo」(アルバム:Banga)

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■曲名:Amerigo
■曲名邦題:アメリゴ
■アルバム名:Banga
■アルバム名邦題:バンガ
■動画リンク:「Amerigo」
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この曲は詩の朗読から始まります。

この人はそもそも最初から詩人でした

彼女の幻の名曲、もしくは隠れ名曲と呼ばれるデビューシングル「Piss Factory」をご紹介しておきましょう。

これは1974年のシングルですから、アルバムデビューの前の曲です。

Patti Smith – Piss Factory

ただ詩を朗読しているだけなのに、本当にすばらしい曲ではないでしょうか。

ちなみに彼女は少女期に、自分が女性であることを嫌悪していたようです。

彼女は現実逃避するかのようにアートに陶酔感を求めましたが、当時最も愛してたのが、詩人アルチュール・ランボー(Arthur Rimbaud)でした。

ランボーは、映画「気狂いピエロ」で使われた詩が有名です。

見つかった
何が?
永遠が
海に溶け込む太陽が

気狂いピエロ~「ヌーヴェルヴァーグの到達点」と称されたゴダールの最高傑作

もうひとつご紹介しておきましょう。

あらゆるものに縛られた哀れ空しい青春よ。気むずかしさが原因で僕は一生をふいにした。

アルチュール・ランボー 名言

こじれ系文学少女だった彼女の心をとらえた理由が、分かる気がしないでしょうか。

 

10位「Pastime Paradise」(アルバム:Twelve)

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■曲名:Pastime Paradise
■曲名邦題:楽園の彼方へ
■アルバム名:Twelve
■アルバム名邦題:トゥウェルブ
■動画リンク:「Pastime Paradise」
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さてこの曲は、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の曲のカバーです。

このアルバムはカバー・アルバムですが、これがなかなか悪くありません。

他にはニルヴァーナ(Nirvana)の「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット(Smells Like Teen Spirit)」も取り上げていますが、そちらもなかなかの出来です。

この人はロック系の女性として、理想的な年の取り方をしている人かもしれません。

最初はテンションの高さに頼っていたかもしれませんが、テンションを落とした後も、変に丸くはなっていません。

いつまでも新鮮さを保つ一方で、年齢相応の深みも獲得しています。

その人独自のセンスとか感受性といったものは、社会に出たら全然必要とされないかもしれません。

それどころか時には足かせになることさえあるでしょう。

しかし彼女は自分を活かせる舞台で、センスか感受性といったふわふわしたものを武器に、すぐれた作品を発表し続けました。

表現することしか自分の良さが活かせないと思っている人は、パティのように働きながらでも、きっちり勝負してみるといいかもしれません。

ちなみにパティがデビューしたのは、29歳と決して若くはありませんでした。

パンクシーンから出てきたことを考えると、かなり遅かったといえるでしょう。

少し話が脱線してしまいました。

さてこの曲は「未来の楽園を目指して生きよう」という歌詞の曲です。

しかしパティという人は、偉人スティーヴィーの曲すら自分色に染めてしまうのですね。

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