今回はデヴィッド・リンドレーのランキングを作成しました。
彼はジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)のバンドのギタリストとして、多くの名演を残しています。
又ライ・クーダー(Ry Cooder)との共演でも知られています。
それらもすばらしいですが、ソロ・アルバムでは彼のやりたい音楽が、より明確に表現されているかもしれません。
エルラーヨ・エックス(El Rayo-X)との共演期を中心に選曲してみました。
- 1 1位「Don’t Look Back」(アルバム:El Rayo-X)
- 2 2位「Mercury Blues」(アルバム:El Rayo-X)
- 3 3位「Talk to the Lawyer」(アルバム:Win This Record!)
- 4 4位「Texas Tango」(アルバム:Very Greasy)
- 5 5位「She Took Off My Romeos」(アルバム:El Rayo-X)
- 6 6位「I Just Can’t Work No Longer」(アルバム:Very Greasy)
- 7 7位「El Rayo-X」(アルバム:El Rayo-X)
- 8 8位「Ram a Lamb a Man」(アルバム:Win This Record!)
- 9 9位「Pretty Girl Rules The World」(アルバム:Mr. Dave)
- 10 10位「Hana」(アルバム:A World Out of Time)
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1位「Don’t Look Back」(アルバム:El Rayo-X)
■曲名:Don’t Look Back
■曲名邦題:ドント・ルック・バック
■アルバム名:El Rayo-X
■アルバム名邦題:化けもの
■動画リンク:「Don’t Look Back」
この曲はテンプテーションズ(The Temptations)のカバーです。
オリジナルのリンクを貼っておきましょう。
The Temptations – Don’t look Back
この曲を書いたのは、スモーキー・ロビンソン(Smokey Robinson)。
しかしこの曲がこんな風にカバーされるとは、思いもしなかったでしょうね。
デヴィッドの音楽は、陽気な曲が多いように思います。
この曲もイントロのチャンチキしたギターのフレーズからして、もうたまりません。
初恋が叶わなかった女性に対して「俺の手を取れば悩みなんかなくなるさ。過去を振り返るな」と語りかけている曲です。
しかしこんな陽気に言われたら、前向きに切り替えられそうですね。
このアルバムでは他にも、ビートルズ(The Beatles)で有名な「ツイスト・アンド・シャウト(Twist and Shout)」やエヴァリー・ブラザース(The Everly Brothers)の「バイ・バイ・ラヴ(Bye Bye Love)」などが取り上げられています。
しかしそれらの曲も全部こんな調子で、底抜けに楽しい曲ばかりです。
2位「Mercury Blues」(アルバム:El Rayo-X)
■曲名:Mercury Blues
■曲名邦題:マーキュリー・ブルース
■アルバム名:El Rayo-X
■アルバム名邦題:化けもの
■動画リンク:「Mercury Blues」
この曲のオリジナルはかなり古く、初録音は1948年K.C. ダグラス(K.C. Douglas)によって録音されています。
K.C. ダグラスはフォーク・ブルース・シンガーですが、この曲はカントリー系の人にカバーされることが多いように思います。
ちなみに「Mercury Blues」の「Mercury」とは、フォード車のブランド名のこと。
マーキュリーの車に対するあこがれを歌った曲です。
もしお金があったら、マーキュリーの車を1台か2台買おうと。
どんな車か調べてみましたが、私はこの車が一番かっこいいと思いました。
確かにこれは欲しくなりますね。
さてこの曲は、彼にしてはかなりアップテンポな曲です。
ギターの演奏も、車の音を模している感じかもしれません。
またこの時期は、イアン・ウォーレス(Ian Wallace)のジッタリン・ジンみたいなドラムも魅力です。
イアン・ウォーレスは、キング・クリムゾン(King Crimson)のドラムだった人です。
ただその頃とはプレイが違いすぎるようですが。
3位「Talk to the Lawyer」(アルバム:Win This Record!)
■曲名:Talk to the Lawyer
■曲名邦題:トーク・トゥ・ザ・ロイヤー
■アルバム名:Win This Record!
■アルバム名邦題:ウィン・ジス・レコード
■動画リンク:「Talk to the Lawyer」
この人のソロ・アルバムは、天然っぽい魅力があります。
曲名は「Talk to the Lawyer」つまり「弁護士に相談」という意味ですが、こんな曲調では遊びの相談かと思ってしまいます。
この人は元々ジャクソン・ブラウンのバンドでギターを弾いていた人ですが、その頃はこれほど能天気な人だとは思いませんでした。
胸を突くスライド・ギターが特徴で、かなり目立つ存在だったと思います。
しかしここまで屈託のない演奏はありませんでした。
当時ジャクソン・ブラウンの演奏を気に入って買った人は、さぞかし驚いたのではないかと推察します。
この曲でも2:19からインチキくさい東洋風なフレーズが飛び出てきて、楽しいことこの上ありません(笑)
確かに生真面目なジャクソン・ブラウンのバックでは、こういう面を出しにくかったかもしれません。
4位「Texas Tango」(アルバム:Very Greasy)
■曲名:Texas Tango
■曲名邦題:テキサス・タンゴ
■アルバム名:Very Greasy
■アルバム名邦題:ヴェリー・グリーシー
■動画リンク:「Texas Tango」
ライ・クーダーのアルバムに入っていてもおかしくない曲です。
この人はライ・クーダーのアルバムに参加したり、よく一緒にライブをやっています。
ライは当時デヴィッドに先行して、様々なルーツ音楽を探求していました。
中でもメキシコのテックス・メックス(Tex-Mex)に取り組んだ作品では、とても大きな音楽的な成果を残しています。
おそらくデヴィッドも、かなり刺激を受けたことでしょう。
ちなみにテックス・メックスとは、テキサス州とメキシコの境界線あたりの音楽で、テハノミュージック(Tejano music)と言われることもあります。
テックス・メックスは、陽気なアコーディオンとポルカっぽい曲も多いのですが、この曲もそんな感じですね。
曲名にも「テキサス」と入っていますし。
1:32からの演奏はクレジットではギターとなっていますが、バンジョーっぽい音に聞こえます。
5位「She Took Off My Romeos」(アルバム:El Rayo-X)
■曲名:She Took Off My Romeos
■曲名邦題:僕のロミオ
■アルバム名:El Rayo-X
■アルバム名邦題:エル・ラーヨ・エキス
■動画リンク:「She Took Off My Romeos」
彼はカルフォルニア生まれで、様々な弦楽器に親しんだ後、バンジョー奏者として名を上げました。
その後彼は、カレイドスコープ(Kaleidoscope)というバンドに加入しています。
カレイドスコープはサイケデリックなルーツロックバンドで、それほど私はおもしろいと思いません。
参考にまで1曲だけ、ご紹介しておきましょう。
Kaleidoscope – Egyptian Gardens
この頃の彼は、バンジョーを弾くことが多かったようです。
その後彼は人気シンガー・ソングライターのジャクソン・ブラウンのバックバンドで、ギターを担当することになりました。
彼はそこで名声を高め、ソロデビューすることができました。
この曲は、そのデビューアルバムの1曲目。
同時に最高傑作として名高いアルバムです。
レゲエを大胆に導入した曲だけでなく、他にも様々な音楽がグツグツ煮込まれています。
この曲などは、少しニューオリンズの音楽に影響を受けているかもしれません。
6位「I Just Can’t Work No Longer」(アルバム:Very Greasy)
■曲名:I Just Can’t Work No Longer
■曲名邦題:キャント・ワーク・ノー・ロンガー
■アルバム名:Very Greasy
■アルバム名邦題:ヴェリー・グリーシー
■動画リンク:「I Just Can’t Work No Longer」
後で述べますが、前作は出来がかんばしくありませんでした。
しかしこの作品では、ファーストやセカンド・アルバムのサウンドに戻っています。
彼は毎回プロデューサーが変わりますが、このアルバムのプロデューサーは、なんとリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt)です。
リンダは自分のアルバムでもプロデュースしていないはずですが。
しかし彼女の手腕のおかげか、すばらしいアルバムに仕上がっています。
この曲の土台はやはりレゲエで、そこにデヴィッド特有のチャンチキしたギター乗っかっています。
アルバムタイトルの「Very Greasy」とは「とても脂っこい」という意味ですが、脂がのった実に美味な曲ではないでしょうか。
このアルバムがリリースされたのは1988年ですから、まだチープなサウンドの全盛期でした。
しかしこのアルバムの質感は、前作から大幅に改善されています。
プロデューサーとしてのリンダも、なかなかのものではないでしょうか。
7位「El Rayo-X」(アルバム:El Rayo-X)
■曲名:El Rayo-X
■曲名邦題:エル・ラーヨ・エキス
■アルバム名:El Rayo-X
■アルバム名邦題:化けもの
■動画リンク:「El Rayo-X」
彼はギタリストですから、ボーカルは本職ではありません。
しかしソロ・アルバムでは、堂々たる歌を聞かせてくれています。
もちろん本職のシンガーのような上手さはありませんが、自分の曲に合ったとても陽気な声質の持ち主だと思います。
ギターもバックバンド時代とはプレイスタイルが異なりますが、一貫しているのは音の伸びやかさです。
このアルバムを聞いて、彼のボーカルも伸びやかだと判明しました(笑)
さてここで、少しややこしい部分を整理しておきましょう。
この曲は「El Rayo-X」という曲名ですが、このアルバムにおいては3つの意味を持っています。
・曲名:「El Rayo-X」
・アルバム名:「El Rayo-X」
・バンド名:「El Rayo-X」
つまりバンド名と同じ曲名で、それがアルバム名にもなっているのですね。
ちなみに「El Rayo-X」は「レーザー光線X」という意味。
またアルバム邦題の「化け物」は、日本びいきの彼自ら名付けたそうです。
よく見るとアルバム・ジャケットでも、ちゃんちゃんこみたいな服を着ています。
8位「Ram a Lamb a Man」(アルバム:Win This Record!)
■曲名:Ram a Lamb a Man
■曲名邦題:ラム・ア・ラム・ア・マン
■アルバム名:Win This Record!
■アルバム名邦題:ウィン・ジス・レコード
■動画リンク:「Ram a Lamb a Man」
セカンド・アルバムからの選曲です。
前作はジャクソン・ブラウンのプロデュースで自作曲が2曲であったのに対して、こちらは自分でプロデュースしており、自作曲も5曲に増えています。
より自分のやりたい音楽を追求しようということかもしれません。
このアルバムでは、ベースがホルヘ・カルデロン(Jorge Calderon)に交代しています。
またバーニー・ラーセン(Bernie Larsen)というリード・ギターを任せられるギタリストが加入しました。
特にギター1本が増えたことが、最も大きな変化といえるかもしれません。
この曲でも、2本のギターがいい感じで絡んでいます。
ハーモニクスで始まるイントロからしてすばらしいですが、曲の合間でもギターがよく歌っています。
9位「Pretty Girl Rules The World」(アルバム:Mr. Dave)
■曲名:Pretty Girl Rules The World
■曲名邦題:プリティ・ガール・ワールド
■アルバム名:Mr. Dave
■アルバム名邦題:MR.デイヴ
■動画リンク:「Pretty Girl Rules The World」
今回のランキングは、El Rayo-Xと共演した時期の曲が中心となりました。
オリジナル・アルバム4枚とライブの2枚「El Rayo Live」「Live At The Bottom Line, New York City, 1981」から9曲を選びました。
ライブの方もすばらしいのですが、スタジオ録音の方で聞きなれているせいか、ライブ盤からは1曲も選んでいません。
ただスタジオ・アルバムの中で、ダントツ聞く機会が少ないのがこれです。
聞いての通り、1980年代っぽいチープな音になっています。
ドラムだけでなく、心なしかギターを含めた演奏全般が味気ないように感じます。
ただこの曲の存在で少しだけ救われたかもしれません。
この曲の魅力は、楽曲の出来に尽きるといってもいいでしょう。
私はこの曲だけ聞いて、CD棚に戻すことがあります。
10位「Hana」(アルバム:A World Out of Time)
■曲名:Hana
■曲名邦題:花〜すべての人の心に花を〜
■アルバム名:A World Out of Time
■アルバム名邦題:ワールド・アウト・オブ・タイム
■動画リンク:「Hana」
El Rayo-X以外から1曲だけご紹介しておきましょう。
この曲もカバーで、オリジナルは喜納昌吉&チャンプルーズの有名曲です。
このアルバムは同じく民族音楽に関心を持つギタリスト、ヘンリー・カイザー(Henry Kaiser)との共同名義の作品です。
2人はマダガスカル島に行き、現地のミュージシャンと共演して大きな刺激を受けたのだとか。
マダガスカルは、南アフリカの右上あたりにある島国です。
このアルバムは、その共演時に録音された1枚。
実は私がもっともが聞き返すことが多いのは、これと「A World Out of Time Vol. 2」です。
それにもかかわずなぜこの曲だけにしたかというと、確かにすばらしい音楽ですが、デヴィッドの音楽ではないと思ったからです。
現地ミュージシャンの演奏に、デヴィッドがゲスト参加した感じといいますか。
ただ現地の言葉で歌われるこの曲は、かなりすばらしい出来だと思います。
デヴィッドの見せ場は1:42からで、すばらしいスライド・ギターを披露しています。
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