今回はラムシュタインのランキングを作成しました。
彼らはアクが強く、様々な意味で強烈なインパクトを与えるバンドです。
眉をしかめる人も多いと思いますが、一部の人からは熱狂的に支持されています。
自分がどちらの側になるのか、実際に聞いてお確かめください。
- 1 1位「Asche zu Asche」(アルバム:Herzeleid)
- 2 2位「Engel(Featuring Bobo)」(アルバム:Sehnsucht)
- 3 3位「Radio」(アルバム:Untitled (No Title))
- 4 4位「Wollt ihr das Bett in Flammen sehen?」(アルバム:Herzeleid)
- 5 5位「Du hast」(アルバム:Sehnsucht)
- 6 6位「Waidmanns Heil」(アルバム:Liebe Ist Fuer Alle Da)
- 7 7位「Mein Herz brennt」(アルバム:Mutter)
- 8 8位「Benzin」(アルバム:Rosenrot)
- 9 9位「Pussy」(アルバム:Liebe Ist Fuer Alle Da)
- 10 10位「Los」(アルバム:Reise, Reise)
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1位「Asche zu Asche」(アルバム:Herzeleid)
■曲名(ドイツ語):Asche zu Asche
■曲名(英語):Ashes to Ashes
■曲名(日本語):アシェ・ツー・アシェ
■アルバム名:Herzeleid
■アルバム名邦題:ヘルツェライト
■動画リンク:「Asche zu Asche」
イントロからスラッシュ・メタルのような硬質なリフが強力です。
このバンドのギターは、以下の2人。
・パウル・ランダース(Paul Landers):リズムギター
・リヒャルト・Z・クルスペ(Richard Z. Kruspe):リードギター
彼らの音楽は、この2本のギターが演奏面の要です。
リード・ギターとありますが、ギターソロはほぼありません。
ひたすらリフで推してきますが、それだけには留まりません。
当時彼らの音楽は「ノイエ・ドイチェ・ヘァテ(NDH)」と呼ばれていました。
これはエレクトリックでテクノ色の強いキーボードとメタルの組み合わせに着目した言葉です。
また他方では「タンツ・メタル(Tanz-Metall)」という言い方もされていました。
「Tanz」とは、ドイツ語で「ダンス」の意味です。
この曲でもそうですが、意外とリズムが軽快で踊れなくもありません。
今ではインダストリアル・メタルというカテゴリーに分類されることが多いように思います。
ただ言葉自体はどうということはありません。
問題はジャーナリズムが当時彼らの音楽を聞いて、その衝撃を何か言葉で言い表さなければと思ったことです。
この得体の知れない音楽を定義して、形を与えることで、理解しようとしたのかもしれません。
私も最初彼らの曲を聞いた時、おそらく半笑いになったと思います。
とにかく最初のインパクトが半端ありませんでした。
2位「Engel(Featuring Bobo)」(アルバム:Sehnsucht)
■曲名(ドイツ語):Engel(Featuring Bobo)
■曲名(英語):Angel(Featuring Bobo)
■曲名(日本語):エンジェル
■アルバム名:Sehnsucht
■アルバム名邦題:渇望
■動画リンク:「Engel(Featuring Bobo)」
セカンド・アルバムからの選曲です。
曲名の「Engel」とは「天使」という意味ですが、Boboという女性とデュエットしています。
Boboという女性はドイツ人のシンガーで、この曲以降度々彼らと共演しています。
彼女の写真を見つけました。
確かに美しい人で、天使感がありますね。
西部劇のような口笛で始まり、その後ギターのリフが始まる瞬間がかっこいいです。
続いてのリンデマンの声が、野卑で声が低すぎるように思います。
そこに絡む清楚な女性ボーカルとは、まさしく美女と野獣、鈍色に光る鉛と清らかな水といった組み合わせではないでしょうか。
リンデマンの野蛮な低音ボーカルと、ボボの澄んだ高音ボーカルの対比がすばらしいです。
PVでは蛇を巻きつけた美女が出てきていますが、ヨーロッパらしいデカダンスを感じますね。
アルバム名の「Sehnsucht」は「懐かしさ」という意味ですが、日本盤では「渇望」となっています。
彼らのPVの世界観は、古い時代の舞台設定が多いです。
彼らについては音楽だけではなく、セピア色でダークな世界観を一緒に味わうといいでしょう。
3位「Radio」(アルバム:Untitled (No Title))
■曲名:Radio
■曲名(日本語):ラディオ(ラジオ)
■アルバム名:Untitled (No Title)
■アルバム名邦題:タイトルなし
■動画リンク:「Radio」
このアルバムは前作から10年ぶりの2019年にリリースされました。
その間彼らはライブに力を入れていました。
2011年、アメリカのHR/HM専門アワードRevolver Golden God Awardでベスト・ライヴ・バンドに選出される。
その間メンバーのソロ活動も活発化していました。
ボーカルのティル・リンデマンはソロ・プロジェクト、リンデマン(Lindemann)を、リチャード・クルスペはエミグレイト(Emigrate)というバンド名義で、アルバムを2枚リリースしました。
その後リリースされたこのアルバムは、ラスト・アルバムかもしれないようです
他で代用可能なバンドではありませんので、そうならないことを祈りたいと思いますが。
さて彼らの音楽を評して、軍隊の行進のようと言われることがありますが、この曲などはまさしくそれです。
実際にオフィシャルの動画では軍隊が行進していますし。
34秒から差し込まれるキーボードのフレーズもいいですね。
4位「Wollt ihr das Bett in Flammen sehen?」(アルバム:Herzeleid)
■曲名(ドイツ語):Wollt ihr das Bett in Flammen sehen?
■曲名(英語):Do You Want to See the Bed in Flames?
■曲名(日本語):ヴォルト・イーア・ダス・ベット・イン・フラメン・ゼーエン
■アルバム名:Herzeleid
■アルバム名邦題:ヘルツェライト
■動画リンク:「Wollt ihr das Bett in Flammen sehen?」
このバンドは、1993年東ドイツ出身のリンデマンとクルスペが中心となって結成されました。
1994年に今のメンバーが揃い、同年アマチュアのバンド・コンテストに応募しました。
そのコンテストに優勝すると、一週間レコーディング・スタジオを使える権利が得られるというのですから、事実上レコード・デビューが決定したになります。
彼らは当然のように優勝し、1995年このアルバムでデビューしました。
その後彼らの曲は、音楽監督を務めるトレント・レズナー(Trent Reznor)の意向で、映画「ロスト・ハイウェイ(Lost Highway)」に2曲使われることになりました。
それをきっかけにして、世界的に注目を浴びました。
当時の彼らは、良くも悪くも目立っていたようです。
まずジャケットからして平均身長が190cmを超える大男たちが、裸で仁王立ちをしていますが、実にむさくるしいですね(笑)
背景のガーベラが、全く似合いません。
アルバム名の「Herzeleid」は「心痛」という意味ですが、当時クルスペとリンデマンは、交際相手と別れたばかりだったようです。
今では全員が離婚経験者という有様ですが(笑)
当時は同性愛者だとか、ネオナチだとか言われたそうです。
しかし彼らはそれをむしろチャンスと言わんばかりに、噂の種火に油を注ぐようなあやしい歌詞を書いていました。
5位「Du hast」(アルバム:Sehnsucht)
■曲名(ドイツ語):Du hast
■曲名(英語):You Have
■曲名(日本語):デュ・ハスト(ユー・ヘイト)
■アルバム名:Sehnsucht
■アルバム名邦題:渇望
■動画リンク:「Du hast」
この曲は映画「マトリックス(The Matrix)」のサントラに使われたことで知られています。
彼らは歌詞でも、独特の世界を展開しています。
この曲を和訳したブログを見つけましたので、引用させていただきましょう。
お前は、俺を憎んでいるな
お前は、お前は憎んでいる
(中略)
お前は死ぬまで、永遠に彼女に誠実でいることを放棄するのか?
まさか、そんなことあるまい?
まさか、そんなことあるまい?
【Rammstein / Du Hast】和訳 English Translation The Wallman’s Here 壁男、参上!
文学的といいますか、どことなく哲学的な香りがしますね。
そうした印象を受けるのは、ドイツ語の独特な響きが影響しているかもしれません。
ティル・リンデマン(Till Lindemann)のボーカルスタイルは、かなりどぎつい個性があります。
まず声が低こと。
バリントンと呼ぶ人もいますが、もっと低いバス相当の音域かもしれません。
ドイツ語の独特な語感の言葉を、腹の底から絞り出すように歌っていますね。
サビでは巻き舌で高らかに歌っていますが、その時の高揚感とスケール感もすばらしいです。
6位「Waidmanns Heil」(アルバム:Liebe Ist Fuer Alle Da)
■曲名(ドイツ語):Waidmanns Heil
■曲名(英語):Huntsman’s Salute
■曲名(日本語):ヴァイドマンス・ハイル
■アルバム名:Liebe Ist Fuer Alle Da
■アルバム名邦題:最愛なる全ての物へ
■動画リンク:「Waidmanns Heil」
6枚目のアルバムからの曲です。
初期を思い起こさせる曲で、ハードなギター・サウンドが戻って来ています。
このバンドの最高傑作を決めるのは、とても難しいかもしれません。
私は初期のギターがソリッドな時代が好きですが、3枚目の「Mutter」も捨てがたいですし。
その後の「Reise, Reise」「Rosenrot」は、私の好みでは少し落ちますが、この2枚が一番良いという人もいます。
更に曲の魅力では、このアルバムが一番かもしれないと思うことがあります。
まあこのバンドの場合、最初から拒否反応を示すか、首下まで漬かるかの二択だと思いますから、琴線に触れたら全部聞かざるを得ませんが。
さてこの曲は、絶対ライブで盛り上がる曲だと思います。
彼らのライブは、火炎を使った過激なステージが人気です。
特にこの頃は磨きがかかっていた時期でしたので、この曲のライブ動画を探してみました。
Rammstein – Waidmanns Heil – Live in Berlin
後半は恒例の炎が飛び交っていますね。
前半はライトを含めて地味ですが、おそらく後半の派手な演出を際立たせるための伏線だと思います。
そして2:11あたりからの映像は圧巻の一語です。
7位「Mein Herz brennt」(アルバム:Mutter)
■曲名(ドイツ語):Mein Herz brennt
■曲名(英語):My Heart Burns
■曲名(日本語):燃える心(マイン・ヘルツ・ブレント!)
■アルバム名:Mutter
■アルバム名邦題:ムター
■動画リンク:「Mein Herz brennt」
このアルバム・ジャケットは、発売時に物議を醸しました。
ホルマリン漬けの乳児の死体写真が使われています。
彼らはイメージ戦略に長けていて、初期から一貫して犯罪や猟奇的な部分を強調しています。
時々やりすぎではないかと感じますが。
音楽面に注目すると、彼らはこのアルバムから新境地を開きました。
それまでのいかにもインダストリアル・メタルといった楽風から、ヨーロッピアン・ゴシックな音楽性に変化しています。
それを代表するのが、この曲。
イントロからオルセン・インボルティーニ (Olsen Involtini)によるストリングスを背景に、映画のモノローグみたいな語りで始まります。
1:14から一瞬華麗なキメが入りますが、その後も重厚なミディアム・テンポで進行しています。
サビがとてもドラマティックですが、彼らはこのあたりから、曲のメリハリを強調するようになりました。
またこのアルバムでは、演奏面でも変化がみられます。
クリスチャン・ロレンツ(Christian Lorenz)のキーボードが、キーマンとなった感があります。
彼はフラケというニックネームで呼ばれていますが、以前はトリッキーでチープな音色が特徴の演奏をしていました。
しかしこのアルバムでは、重苦しくダークな音色を多用して、曲の印象を大きく左右しています。
新しい作風を代表する曲を、もう1曲ご紹介しておきましょう。
私はこの時期の叙情的な曲が大好物です。
他にはアルバム・タイトル曲も傑作だと思います。
8位「Benzin」(アルバム:Rosenrot)
■曲名(ドイツ語):Benzin
■曲名(英語):Gasoline
■曲名(日本語):ベンジン
■アルバム名:Rosenrot
■アルバム名邦題:ローゼンロート
■動画リンク:「Benzin」
曲名の「Benzin」とは「ガソリン」という意味で、歌詞はこんな感じです。
友達も女もいらない
ほしいのはガソリンだけ
最初は意味が分かりませんでしたが、PVを見てから歌詞を読むと、焼身自殺用かもしれないと思ったりもします。
このPVは今回ご紹介した中でも、一番笑えます。
彼らはレスキュー隊の役で、とても大きくゴツい車を運転し、自殺者志願者の救助に向かいました。
その現場に着くまで、彼らは様々な物を壊しまくっています。
電線塔を粉砕し、電車を跳ね飛ばし、街路樹をなぎ倒し、道路の車を弾き飛ばし、無駄に建物を破壊し、はたして人命救助は成功したのでしょうか。
彼らの笑いのセンスは、少し独特です。
決して笑わず、まじめにやればやるほどおかしみが増してきます。
また毒がありすぎますしね。
さてこのアルバムは元々、前作「Reise,Reise」の曲と合わせて、2枚組で発売する予定でした。
しかし自分たちの音楽は2枚組ではキツいだろうと、常識的な判断をしたらしく、時期をずらして発売することにしたようです。
それがこの作品。
そのため「Reise,Reise」の日本盤のアルバム・ジャケットと同じ、船のジャケットが使用されています。
これからこのアルバムを買う方は、買い間違えないようくれぐれもご注意ください。
9位「Pussy」(アルバム:Liebe Ist Fuer Alle Da)
■曲名:Pussy
■曲名(日本語):プッシー
■アルバム名:Liebe Ist Fuer Alle Da
■アルバム名邦題:最愛なる全ての物へ
■動画リンク:「Pussy」
まず曲名からしてすごいですね。
あえて訳しませんが、歌詞を読むとサイズが重要だか、もう少しどうにかならないかと思ってしまいます。
彼らは聖と俗が極端すぎて、中間が抜けています。
先程ご紹介した「Du hast」では、永遠に彼女に誠実を誓えと気高く言い放っていましたが、こちらの曲では誠実さの欠片もありません。
彼らは一度下世話になると、行き着くところまで行ってしまいます。
この曲のオフィシャルPVは、過激すぎるせいか見つけることができませんでした。
以前私が見たPVはぼかしだらけでした。
それらの部分では実際にメンバーが、そういう行為をしていたのだそうです。
実際このプロモーション・ビデオには無修正版があって、そちらではメンバーの映ってはいけないところ映っていたそうですが。
よくやるよという感じですかね。
そんなに自分たちの行為を見せたいのでしょうか。
そんな内容をキャッチーな曲に仕上げて、シングル・カットまでしています。
ちなみにRammsteinというバンド名は、航空ショーの事故現場の地名から名付けられています。
彼らの変態性と悪趣味ぶりは、筋金入りですね。
10位「Los」(アルバム:Reise, Reise)
■曲名(ドイツ語):Los
■曲名(英語):Less
■曲名(日本語):ロース
■アルバム名:Reise, Reise
■アルバム名邦題:ライゼ・ライゼ 〜南船北馬〜
■動画リンク:「Los」
最後に少し地味な曲を取り上げてみました。
このバンドを聞いていると、ジャンプ漫画の戦闘力のように、インフレーションに慣れてきます。
変態的で尖った外的刺激ばかりに注目すると、キリがありません。
そもそも過激だから良い曲というわけでもありませんし。
その点この曲は、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)みたいな普通のロック・ナンバーです。
彼らはキワモノかもしれませんが、こういうシンプルでオーソドクスな曲でこそ、真の実力が測れるというものです。
さてこのアルバムは「アメリカ(Amerika)」という曲が、大きな話題を呼びました。
彼らはドイツ人としてのアイデンティティを重んじているバンドで、結成時からアメリカらしい音楽はやらないと決めていたのだそうです。
ドイツ語で歌うことも、その現れの1つでしかありません。
しかしそれから長い年月が経過して、この作品あたりでは考えが少し変わったかもしれません。
アルバム名「Reise, Reise」は「旅、旅」という意味で、邦題にある「南船北馬」とは「絶えず方々を旅行すること」だそうです。
彼らは長いキャリアの中で、多くの国に行って演奏しました。
彼らは「アメリカ」という曲で、アメリカを小ばかにしていると言う人もいます。
しかし現在クルスペはアメリカに住んでいますし、熱狂的なファンが沢山いることも知っています。
昔のように反米ではなくなっているかもしれません。
さて「Los」の話に戻ります。
この曲の歌詞は、他の曲のように過激で偏った内容ではありません。
純粋に詩として美しいと感じます。
歌詞を書いているリンデマンの父親は詩人でしたし、彼自身も詩集を出版しています。
過激さの影で芸術性や文学性がにじみ出るところも、彼らの魅力の1つではないでしょうか。
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