今回はクラフトワークのランキングを作成しました。
彼らは電子音楽の可能性を切り開きました。
現在の音楽シーンに対する影響力は、あのビートルズすらしのぐかもしれません。
ぜひご自身の耳で、伝説の正体をお確かめください。
なお動画はアルバム・バージョンではない場合がありますので、予めご了承ください。
- 1 1位「Expo 2000 (Underground Resistance Mix)」(EP:Expo 2000 Remix)
- 2 2位「Tour de France Etape 1」(アルバム:Tour de France Soundtracks)
- 3 3位「Tour De France Etape 2」(アルバム:Minimum-Maximum)
- 4 4位「Europe Endless」(アルバム:Trans-Europe Express)
- 5 5位「Ruckzuck」(アルバム:Kraftwerk)
- 6 6位「Computer Love」(アルバム:Computer World)
- 7 7位「The Robots」(アルバム:The Man Machine)
- 8 8位「Sex Object」(アルバム:Electric Cafe(Techno Pop))
- 9 9位「Autobahn」(アルバム:Autobahn)
- 10 10位「Radio-Activity」(アルバム:Radio-Activity)
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1位「Expo 2000 (Underground Resistance Mix)」(EP:Expo 2000 Remix)
■曲名:Expo 2000 (Underground Resistance Mix)
■曲名邦題:エキスポ2000(UNDERGROUND RESISTANCE MIX)
■EP名:Expo 2000 Remix
■動画リンク:「Expo 2000 (Underground Resistance Mix)」
ドイツのハノーバーで開催された万博用につくられた曲です。
リリース当時は、大きな話題になりました。
というのも純粋な新曲としては、1987年の「The Telephone Call」以来12年ぶりでしたからから。
今回はリミックス・バージョンの方をご紹介してみました。
リミックスを手掛けたのは、こちらもデトロイト・テクノのレジェンド、アンダーグラウンド・レジスタンス(Underground Resistance)。
デトロイト・テクノのクリエイターは、クラフトワークのような音楽を「テクノ」と呼んでいました。
また彼らの音楽は、日本で「テクノポップ」と定義され、一世を風靡しました。
テクノポップという言葉は、1978年、大阪で『ロック・マガジン』を発行していたロック評論家の阿木譲が、クラフトワークのアルバム『人間解体』のレビューで使ったのが初出とされている[6]。
つまりクラブ・ミュージックの「テクノ」と「テクノポップ」、どちらもクラフトワークが起点なのですね。
この曲はクラブ・ミュージック寄りの曲です。
リミックスが1位というのも、彼ららしいかもしれません。
2位「Tour de France Etape 1」(アルバム:Tour de France Soundtracks)
■曲名:Tour de France Etape 1
■曲名邦題:ツール・ド・フランス-エタップ1
■アルバム名:Tour de France Soundtracks
■アルバム名邦題:ツール・ド・フランス
■動画リンク:「Tour de France Etape 1」
彼らはセールス的にも高く評価されました。
1980年代初頭までにトップテン・ヒットのアルバムが2枚あって、特に「Autobahn」はアメリカでも5位を記録しています。
しかしセールス面の代表作は、このアルバムではないかと思います。
本国ドイツで1位を獲得していますから。
このアルバムはツール・ド・フランスという、自転車ロードレースのサウンドトラックです。
ツール・ド・フランスのテレビ中継は、世界中で30億人が視聴するそうです。
世界的なビッグ・イベントなのですね。
しかもこのアルバムは、ツール・ド・フランスの100周年を記念する作品。
リーダー格のラルフ・ヒュッターは、自身も自転車マニアでした。
おそらく相当気合が入ったと思われますが、そのせいかこのアルバムは傑作といえる出来です。
サントラという枠を超えて、音楽単体で充分すばらしい作品だと思います。
3位「Tour De France Etape 2」(アルバム:Minimum-Maximum)
■曲名:Tour De France Etape 2
■曲名邦題:ツール・ド・フランス-エタップ2
■アルバム名:Minimum-Maximum
■アルバム名邦題:ミニマム・マキシマム
■動画リンク:「Tour De France Etape 2」
このアルバムはライブ・アルバムです。
スタジオ・バージョンとは、少し違った臨場感が感じられないでしょうか。
音響が心地よいですね。
「Electric Cafe」以降の彼らは、リミックスとライブ・アルバムばかりリリースしています。
このアルバムや「3-D The Catalogue」では、古い曲のアレンジや音色を今風に再現しています。
どうしても古い電子音楽は、細部や音色が古く感じられることがありますから、気持ちは分からないでもありません。
晩年のSF小説家の星新一も、過去の作品が時代に取り残されないよう、加筆修正していたといわれてます。
クラフトワークも似たようなことをしようとしたのかもしれません。
このアルバム当時、ラルフはもうすぐ還暦を迎えようとしていました。
この曲などを聞くと、常に新しくいたいという執念みたいなものが伝わってくるような気がします。
4位「Europe Endless」(アルバム:Trans-Europe Express)
■曲名:Europe Endless
■曲名邦題:ヨーロッパ・エンドレス
■アルバム名:Trans-Europe Express
■アルバム名邦題:ヨーロッパ特急
■動画リンク:「Europe Endless」
このアルバムは最高傑作と言われるだけあって「フランツ・シューベルト(Franz Schubert)」など、多くの名曲が収録されています。
またこのアルバムは、HIPHOP黎明期に影響を与えたといわれています。
アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)が「プラネット・ロック(Planet Rock)」という曲で「Trans-Europe Express」を引用したことが、当時大きな話題となりました。
その曲がヒットしたことは、HIPHOPの歴史に残る事件でした。
聞き比べられるように、リンクを貼っておきましょう。
Kraftwerk – Trans-Europe Express
Afrika Bambaataa & Soulsonic Force – Planet Rock
かなり大胆に引用していますね。
クラフトワークは上モノのシンセサイザーばかりが目立ちがちですが、リズム面でも傑出していました。
私は「Europe Endless」の方が好みなので、代わりにランクインさせました。
5位「Ruckzuck」(アルバム:Kraftwerk)
■曲名:Ruckzuck
■曲名邦題:リュックザック
■アルバム名:Kraftwerk
■アルバム名邦題:クラフトワーク
※ジャケットはシングルのもの
■動画リンク:「Ruckzuck」
1967年彼らはオルガニザツィオーン(Organisation)という前身バンドを結成しました。
そのバンドは、1970年「トーン・フロート(Tone Float)」というアルバムを発表しています。
1曲ご紹介しておきましょう。
Organisation (Kraftwerk) – Milk Rock
当時はかなり実験色の強い作風でした。
その後バンド名を変えてリリースされたのが、このアルバムです。
当時彼らは4人組でした。
当時はノイ!(NEU!)のクラウス・ディンガー(Klaus Dinger)も、バンドのメンバーでした。
クラウスはこの曲ではドラムを叩いていませんが、どことなくノイ!っぽい感じがします。
このファースト・アルバムと「クラフトワーク 2(Kraftwerk 2)」「ラルフ & フローリアン(Ralf & Florian)」の初期三部作は、現在廃盤になっています。
私もアルバム単位では聞けていません。
ただこの曲は名曲の誉れが高く、曲単体で知っていました。
ラルフの意向で初期三部作は再発されていないようですが、こんな曲が埋もれているのはもったいないと思ってしまいます。
6位「Computer Love」(アルバム:Computer World)
■曲名:Computer Love
■曲名邦題:コンピューター・ラヴ
■アルバム名:Computer World
■アルバム名邦題:コンピューター・ワールド
■動画リンク:「Computer Love」
ちなみに「Kraftwerk」というバンド名は、ドイツ語で「発電所」という意味です。
彼らはエレクトリックで工業的なイメージを好んでいるようですね。
また彼らは、人間的な言葉と無機質な言葉を、組み合わせることが多いように思います。
たとえば「The Man Machine」「Electric Cafe」といったアルバム名があったり、この曲も「Computer Love」ですし。
彼らは商業的な電子音楽のオリジネイターですが、今聞くと意外なほど人間らしさを感じます。
この曲でも「寂しい夜」という言葉が繰り返されていますし、シンセサイザーの音のゆらぎもいい感じですね。
つまり半分では人間らしさを表現しています。
現在はDTMという、パソコンで音楽をつくる手法が普及しています。
しかしこのアルバムが発売された1981年には、まだパソコンが発売されていませんでした。
初代Macintosh「Macintosh 128K」が発売されたのは、1984年ですから。
テクノロジーに対するあこがれが感じられる、レトロ・フューチャーな名曲だと思います。
7位「The Robots」(アルバム:The Man Machine)
■曲名:The Robots
■曲名邦題:ザ・ロボッツ
■アルバム名:The Man Machine
■アルバム名邦題:人間解体
■動画リンク:「The Robots」
彼らはニューウェーヴに対しても影響を与えています。
直接的な影響としては、YMOやディーヴォ(Devo)あたりが有名かもしれません。
それ以外で軽視できないのは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)経由の間接的な影響です。
当時からクラフトワークの熱狂的なファンであり、後に彼らと親交を持ちスタジオ・ワークによる創造的絶頂をベルリン三部作で迎えたデビッド・ボウイ[注 18][注 19][注 20]がコンサートの最前列席を買い占めた
その影響は思わぬところに飛び火しました。
当時のイギリスでは、ヴィサージ(Visage)のスティーヴ・ストレンジ(Steve Strange)が主催していたイベント「デヴィッド・ボウイ・ナイト」が大人気でした。
そのムーブメントは、デュラン・デュラン(Duran Duran)など、ニューロマンティック(New Romantic)のバンドを、数多く輩出しました。
同じような曲を、もう1曲ご紹介しておきましょう。
彼らはニューウェーブのバンドがエレ・ポップ化する過程で、決定的な影響を与えたと思います。
8位「Sex Object」(アルバム:Electric Cafe(Techno Pop))
■曲名:Sex Object
■曲名邦題:セックス・オブジェクト
■アルバム名:Electric Cafe(Techno Pop)
■アルバム名邦題:エレクトリック・カフェ(テクノ・ポップ)
■動画リンク:「Sex Object」
このアルバムがリリースされた1986年は、テクノ・ポップの成熟期でした。
ある意味で、時代が彼らに追いついたといえるかもしれません。
彼らの音楽では、機材が重要な役割をはたしてきました。
初期の彼らは、いち早く新しい機材を導入するだけでなく、自ら楽器を改造したり、時には自ら楽器を製作していました。
しかしこの頃になると彼らも他のバンドと同じような機材を使っています。
E-mu Emulator
Linn LM-1
ローランド・TR-808
NED Synclavier
YAMAHA DX7
特に「ローランド・TR-808」「YAMAHA DX7」は、当時多くの人が使っていました。
しかし彼らは斬新さの代わりに、質の高さで勝負してきました。
確かにこのアルバムは斬新ではないかもしれませんが、すばらしい楽曲が数多くそろっています。
テクノポップの完成形といえるアルバムです。
ここでは少し異色なドラマティックな曲を選んでみました。
9位「Autobahn」(アルバム:Autobahn)
■曲名:Autobahn
■曲名邦題:アウトバーン
■アルバム名:Autobahn
■アルバム名邦題:アウトバーン
■動画リンク:「Autobahn」
※シングルバージョン
アルバム・バージョンは22分超という長さですので、シングル・バージョンの方でご紹介してみました。
このアルバムは本国ドイツで9位、このシングルも9位を記録しています。
彼らはこのアルバムで、電子楽器を大胆に導入しました。
この曲ではミニ・ムーグが使われていますが、このアルバムがリリースされた1974年当時は高価だったため、使っている人があまりいませんでした。
またこの曲はアンビニエントな作風も斬新でした。
ブライアン・イーノ(Brian Eno)が「アンビエント1 ミュージック・フォー・エアポーツ(Ambient 1: Music for Airports)」で環境音楽を打ち出す4年前のことです。
この曲には、プレ・アンビニエントといった趣きがあります。
「Autobahn」とはドイツの高速道路のことで、快適にドライブしているイメージのようですね。
「Fun(楽しい)」という言葉を繰り返しています。
1:55から田園の風景を感じさせる展開も見事です。
10位「Radio-Activity」(アルバム:Radio-Activity)
■曲名:Radio-Activity
■曲名邦題:放射能
■アルバム名:Radio-Activity
■アルバム名邦題:放射能
■動画リンク:「Radio-Activity」
このアルバムから彼らは、セルフ・プロデュースになりました。
これ以前はクラウト・ロックの名プロデューサー、コニー・プランク(Conny Plank)がプロデュースを担当していました。
しかし彼らはやりたい音楽が明確でしたから、自らプロデュースするのは自然な成り行きだったかもしれません。
プロデュースしたのは、以下の2人です。
・ラルフ・ヒュッター(Ralf Hutter)
・フローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)
どちらもボーカルとシンセサイザーを担当しています。
あと興味深いのは、エーミール・シュルト(Emil Schult)というメンバーの存在です。
彼は「Autobahn」あたりからメンバーになりましたが、ステージに立たないメンバーでした。
エーミールの役割は、ビジュアルやイメージの立案だったようです。
彼らのビジュアル・コンセプトは、ディーヴォや有頂天など多くのバンドに影響を与えました。
現在はファルク・グリーフェンハーゲン(Falk Grieffenhagen)という人物が、映像面を担当しているようです。
近年のライブでもこんな感じです。
彼らは昔から音楽とビジュアルのトータルで、リスナーに訴求していました。
1970年代初頭からビジュアル担当のメンバーを置くとは、本当に未来を見通していたのだなと感心します。
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