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大貫妙子(Onuki Taeko)の名曲名盤12選【代表曲・隠れた名曲】

今回は大貫妙子のランキングを作成しました。

彼女は海外発のシティ・ポップ人気を受けて、国内外で再評価が著しい人です。

今回は人気のシティ・ポップ時代に焦点を当てて、選曲してみました。

海外の音楽マニアを驚かせた楽曲の数々をご堪能ください。

 

1位「恋人達の明日」(アルバム:AVENTURE)

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■曲名:恋人達の明日
■アルバム名:AVENTURE
■アルバム名読み方:アヴァンチュール
■動画リンク:「恋人達の明日」
※現在動画を視聴いただけません

偶然昔の恋人を見かけて声をかけたら、相手から冷たい対応をされたという歌詞の曲です。

苦い経験だったと思いますが、前向きに切り替えているようですね。

普通は昔の男と再会して冷たくされたら、嫌味の一つでも言いたくなるものです。

しかしこの曲には、感情の濁りが感じられません。

それは歌詞と透明感のある声質が、合っているせいかもしれません。

私は彼女の最大の武器は、声質の美しさだと思います。

この曲では彼女の澄んだ歌声によって、未来に希望が持てる印象を与えてくれます。

 

2位「横顔」(アルバム:MIGNONNE)

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■曲名:横顔
■アルバム名:MIGNONNE
■アルバム名読み方:ミニヨン
■動画リンク:「横顔」

彼女は大手のRCAに移籍し、このアルバムを発表しました。

ただ多額の宣伝費が投入されたにもかかわらず、全然売れませんでした。

このアルバムでは半数の5曲を、瀬尾一三が手がけています。

この曲では、瀬尾氏によるニュー・ミュージック風のアレンジが光っています。

プロデュースを務めたのは、音楽評論家の小倉エージ。

小倉氏は彼女の歌に焦点を当てようと、アレンジをひかえめにしたようです。

その目論見は成功したかもしれません。

確かにこのアルバムは売れませんでしたが、後年よくカバーされた「突然の贈りもの」など、歌の魅力が際立った曲が多いように感じます。

この人の特徴は、普通っぽさかもしれません。

この曲も地味で普通っぽいのに、とんでもない名曲です。

私はこういう普通っぽい曲にこそ、彼女の天才性がよく表れていると思います。

 

3位「ピーターラビットとわたし」(アルバム:Cliche)

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■曲名:ピーターラビットとわたし
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「ピーターラビットとわたし」

まずピーターラビットとは何か、ご紹介しておきましょう。

ピーターラビット(Peter Rabbit)は、ビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターであり、シリーズ作品の総称ともなっている。

「ピーターうさぎ」と翻訳されている場合もある。

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ピーターラビット ウィキペディア

洋食器などで、この絵柄を見たことがあるような気がします。

今回ご紹介した曲は、このウサギのキャラクターをテーマにした曲です。

この曲の設定では、ピーターラビット一家が彼女の家の隣に住んでいるのだとか。

そんな想像をして曲にするとは、彼女は本当にピーターラビットが好きなのですね。

ピーターラビットの絵を見ながら聞くと、曲の魅力が伝わりやすいかもしれません。

 

4位「黒のクレール」(アルバム:Cliche)

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■曲名:黒のクレール
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「黒のクレール」

最初はこの曲を1位にしていました。

今でも1位にふさわしい曲だと思っています。

しかしある程度彼女の世界になじんでから聞いた方がいいと思い、この順位にしてみました。

というのは、この曲は彼女にとって異色の悲しい曲だからです。

愛する人を失った悲しみを歌った曲で、特に以下の歌詞はグサりときます。

誰も知らない島で

子供のように 暮らすのが夢だった

黒のクレール(作詞:大貫妙子)

この曲の主人公は、将来その島で一緒に暮らすはずの男性を失ったようです。

過去形で終わっているところがせつないですね。

さてこの曲は、当時マクセルのカセットテープのCMに使われた「黒の三部作」の内の1曲だったそうです。

上のジャケットは、そのシングルの写真を採用してみました。

 

5位「Samba de Mar」(アルバム:AVENTURE)

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■曲名:Samba de Mar
■アルバム名:AVENTURE
■アルバム名読み方:アヴァンチュール
■動画リンク:「Samba de Mar」

彼女はサンバがお好きなようですが、私のイチオシはこの曲です。

彼女は文学的な素養を感じさせる歌詞のせいか、文系女子のイメージがあるかもしれません。

しかしその音楽には、意外とスケール感と解放感が感じられます。

この曲では、彼女の伸び伸びした歌を聞くことができます。

リズム・アレンジは、清水信之と加藤和彦の2人が担当したようですが、生演奏ではなく打ち込みとのこと。

確かにリズムだけを聞くと、無機質な感じがします。

しかしアコーディオンなど他の楽器のおかげで、人間の体温を感じさせてくれる音楽に仕上がっています。

ただこの曲は、それだけでは終わりません。

プログラミングされたリズムは、最後の最後で破滅的な暴走をしています。

こういうエンディングにしたくて、打ち込みにしたのかもしれません。

 

6位「都会」(アルバム:SUNSHOWER)

onuki-taeko-sunshower

■曲名:都会
■アルバム名:SUNSHOWER
■アルバム名読み方:サンシャワー
■動画リンク:「都会」

彼女は東京の杉並区久我山で生まれ育ちました。

東京生まれ東京育ちというわけです。

しかしこの曲では、東京のある一面になじめない様子が歌われています。

彼女の言葉を引用しましょう。

大貫は「ずっと東京にいる事もあって、都会とか街に対するこだわりはずっとあって、そういった歌を歌い続けてきたんですが、よくいわれる都会の中の淋しさとか孤独感以外にやっぱり都会ってすごく好きなんです、楽しい事がたくさんあって。

でも、このアルバムに関しては、都会の華やかさを否定している訳です。

毎夜浮かれて歩いている若い人達とか。そういった何ひとつ生産的な事はない、ただ一夜飲み明かすだけのそういったものに対しての批判かな。

もっとやる事があるんじゃないだろうかという気持ちがすごくありまして。これはすごく好きな曲です」[book 4]とし、スティーヴィー・ワンダーの影響で作った曲だという。

SUNSHOWER ウィキペディア

さて私は上の引用部にある「スティーヴィー・ワンダーの影響」という箇所を読んだ時、目から鱗が落ちる思いがしました。

この曲の2:13からのキーボードは、スティーヴィーそのものですから。

他ではイントロの清水靖晃によるサックスと、スタッフ(Stuff)のクリストファー・パーカー(Chiristopher Parker)によるドラムも聞きものです。

 

7位「海と少年」(アルバム:MIGNONNE)

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■曲名:海と少年
■アルバム名:MIGNONNE
■アルバム名読み方:ミニヨン
■動画リンク:「海と少年」

彼女の代表曲を聞かれて即答できる人は、どれほどいるでしょうか。

一番有名なのは「Shall We Dance?」の主題曲ですが、あれは例外的な曲かもしれません。

誰もが口をそろえて一致する曲はないように思います。

またアルバム単位でも、最高傑作を決めるのは難しいように思います。

今回の対象期間以外でも、ブラジル色の強い「TCHOU」など、様々なタイプの傑作を発表しています。

最高傑作のアルバムについても定説はありません。

しかし現在彼女には多くのファンがいて、誰もが才能を認める存在になっています。

もしかしたら彼女は、一発屋とは真逆の存在かもしれません。

一発がなくても、楽曲の平均水準の高さだけで、ここまで昇りつめたのだと。

この選曲時でも以下の曲を選外にせざるを得ないほど、良い曲ばかりでした。

大貫妙子 – 言いだせなくて

並みのアーティストでは、こんな曲が選外というのはありえません。

 

8位「Wander Lust」(アルバム:Grey Skies)

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■曲名:Wander Lust
■アルバム名:Grey Skies
■アルバム名読み方:グレイ・スカイズ
■動画リンク:「Wander Lust」

彼女はシュガー・ベイブ(SUGAR BABE)のメンバーでした。

シュガーベイブは、山下達郎が中心となって結成されたバンドです。

「SONGS」というアルバム一枚だけで解散したこともあり、伝説のバンドと言われています。

彼女はそのバンドで曲を書き、ボーカルとキーボードを担当していました。

しかし当時シュガーベイブは正当な評価を得られず、バンドの存続が困難になりました。

そんな時彼女に注目したのが牧村憲一です。

彼女はその伝手でクラウンレコードから、ソロ・デビューすることになりました。

ただ当時彼女は不安を抱えていたようです。

乗り気ではなかったというか、不安は大いにありました。

でも、シュガー・ベイブが売れてたわけじゃないし、ソロになって初めの第一歩だから、そんなにプレッシャーは無かったけど。

Grey Skies ウィキペディア

アルバム名の「Grey Skies」とは「灰色の空」という意味ですが、当時の心境を表していたかもしれません。

しかしそんな心配は無用だったようです。

この曲を聞く限り、牧村氏の眼力は正しかったことが分かります。

 

9位「色彩都市」(アルバム:Cliche)

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■曲名:色彩都市
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「色彩都市」

初期の彼女を語る時、坂本龍一の存在なしには語れません。

この曲は「色彩都市」という曲名です。

シティ・ポップ時代の彼女は、カラフルで色彩豊かなサウンドが特徴でした。

その色彩感を演出したのが、教授こと坂本龍一です。

たとえばこの曲などはいかがでしょうか。

1980年代特有のシンセサイザーが目立っていますね。

当時の音楽を今聞き返すと、アレンジが古いと感じる曲が少なくありません。

しかしこの曲は坂本龍一のとぎすまされた感性ゆえか、時の経過による劣化を免れているように思います。

この曲でも「色彩都市」という曲名にふさわしい、カラフルなアレンジではないでしょうか。

このアルバムのアレンジは、前半を坂本龍一、後半はジャン・ミュジー(Jean Musy)が担当しています。

しかしジャンには悪いですが、坂本龍一のアレンジがすばらしすぎて、全曲教授のアレンジだったらと思ってしまいます。

 

10位「愛にすくわれたい」(アルバム:ROMANTIQUE)

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■曲名:愛にすくわれたい
■アルバム名:ROMANTIQUE
■アルバム名読み方:ロマンティーク
■動画リンク:「愛にすくわれたい」

再度サンバの曲を取り上げます。

しかしこちらは先程とは違って、歌謡サンバといった感じの曲調です。

このアルバムは持っているけれど、この曲を知らない方もいらっしゃるかもしれません。

それもそのはず、この曲は「ふたり」のB面曲で、CDオンリーのボーナストラックです。

アルバム本編は選びたい曲が多すぎるため、逆に選べませんでした。

そこで隠れ名曲枠として、この曲を選んでみました。

さてこの頃彼女は、前作「MIGNONNE」のセールス不振と、プロデューサーとの関係に悩んで、引退を考えていたのだそうです。

そんな彼女を救ったのが、デビューを後押しした牧村憲一です。

彼はヨーロッパをテーマにした音楽をやってみてはどうかと助言し、ヨーロッパ映画が大好きだった彼女は、それであればと話に乗ったのだそうです。

この「ROMANTIQUE」と続く「AVENTURE」「Cliche」は、ヨーロッパ三部作と言われています。

さてこのアルバムの1曲目は、坂本龍一がYMO的なアレンジを施したこんな曲でした。

大貫妙子 – Carnaval

牧村健一はこのアルバムのプロデューサーですが、こんな曲をさらりと1曲目に入れてしまうあたりもさすがです。

 

11位「夏に恋する女たち」(アルバム:SIGNIFIE)

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■曲名:夏に恋する女たち
■アルバム名:SIGNIFIE
■アルバム名読み方:シニフィエ
■動画リンク:「夏に恋する女たち」

彼女は当初から音楽的な評価は高かったものの、セールス面では苦戦していました。

しかしこのアルバムは、初めてアルバム・チャートで5位を記録しました。

成功の背景としては、この曲が同名のテレビ・ドラマのテーマ曲に採用されたことが大きかったようです。

アルバムの出来もすばらしいですし。

このアルバムでは「SIESTA〈ひるね〉」もおすすめですが、Youtube音源が見つけられなくて残念です。

私は彼女の世界観が好きなのかもしれません。

私は世の中ラブソングだらけだと感じることがあります。

多くの曲で女性たちは、恋愛の主人公にならなければなりません。

会いたくて会えなくてみたいな内容の曲はあってもいいけれど、いささか多すぎないでしょうか。

私はラブソングに食傷気味です。

しかし彼女の歌は、ピーターラビットとかお昼寝の歌とか、普通の女の子目線の曲が沢山あります。

この曲も「夏に恋する」ですし。

日常生活の小さな華やぎや心地良さなど、そういうテーマの曲がもっとあってもいいと思います。

 

12位「メトロポリタン美術館」(アルバム:カイエ)

タイト

■曲名:メトロポリタン美術館
■アルバム名:カイエ
■動画リンク:「メトロポリタン美術館」

この曲を私なりに表現すると、ちびまる子ちゃん的名曲です。

聞いていただければ、うなづいていただけるかもしれません。

末っ子的なユーモアにあふれた曲ですから。

そういえば大貫妙子のニックネームは「ター坊」でしたね。

さて最後にどうしても取り上げたい話題があります。

それは「YOUは何しに日本へ?」というテレビ番組のこと。

下の動画には、スティーヴというアメリカ人が登場しています。

彼は幻の名盤と言われる大貫妙子の「サンシャワー」のアナログ盤を探しに、来日したのだとか。

YOUは何しに日本へ? 2020年11月9日 大貫妙子のレコードから日系移民のルーツまで大捜索

8:38から28:29までが、そのコーナーです。

彼女はスティーヴに愛されているのですね。

私はアメリカ人の彼に、彼女の魅力を教えてもらったような気がします。

 

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