今回は大貫妙子のランキングを作成しました。
初期のシティ・ポップ時代に焦点を当てて選曲してみました。
海外の音楽マニアに注目された曲の数々をお聞きください。
- 1 1位「恋人達の明日」(アルバム:AVENTURE)
- 2 2位「横顔」(アルバム:MIGNONNE)
- 3 3位「ピーターラビットとわたし」(アルバム:Cliche)
- 4 4位「黒のクレール」(アルバム:Cliche)
- 5 5位「Samba de Mar」(アルバム:AVENTURE)
- 6 6位「都会」(アルバム:SUNSHOWER)
- 7 7位「海と少年」(アルバム:MIGNONNE)
- 8 8位「Wander Lust」(アルバム:Grey Skies)
- 9 9位「色彩都市」(アルバム:Cliche)
- 10 10位「愛にすくわれたい」(アルバム:ROMANTIQUE)
- 11 11位「夏に恋する女たち」(アルバム:SIGNIFIE)
- 12 12位「メトロポリタン美術館」(アルバム:カイエ)
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1位「恋人達の明日」(アルバム:AVENTURE)
■曲名:恋人達の明日
■アルバム名:AVENTURE
■アルバム名読み方:アヴァンチュール
■動画リンク:「恋人達の明日」
この曲の歌詞は偶然昔の恋人を見かけて声をかけたら、相手から塩対応をされたという内容です。
しかしそれほネガティヴな印象は受けません。
苦い経験だったと思いますが、前向きに切り替えているようですね。
むしろ気持ちの切り替えがテーマと感じます。
普通は昔の男と再会して冷たくされたら嫌味の一つでも言いたくなるものです。
しかしこの曲には感情の濁りが感じられません。
それは歌詞だけでなく透明感のある声質のせいかもしれません。
私は彼女の最大の武器は声の美しさだと思います。
この曲は彼女の澄んだ歌声によって、更に感情の濁りを感じない曲に仕上がっています。
2位「横顔」(アルバム:MIGNONNE)
■曲名:横顔
■アルバム名:MIGNONNE
■アルバム名読み方:ミニヨン
■動画リンク:「横顔」
彼女は大手のRCAに移籍し、このアルバムを発表しました。
ただ多額の宣伝費が投入されたにもかかわらず、全然売れませんでした。
このアルバムでは半数の5曲を、瀬尾一三がアレンジを手がけています。
この曲もその1曲。
プロデュースを務めたのは、音楽評論家の小倉エージ。
小倉氏は彼女の歌に焦点を当てようと、アレンジを抑え気味にしたようです。
その作戦は音楽的にはある程度功を奏したかもしれません。
このアルバムは売れませんでしたが、後年よくカバーされた「突然の贈りもの」などが収録されています。
3位「ピーターラビットとわたし」(アルバム:Cliche)
■曲名:ピーターラビットとわたし
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「ピーターラビットとわたし」
まずピーターラビットとは何か、ご紹介しておきましょう。
ピーターラビット(Peter Rabbit)は、ビアトリクス・ポターの児童書に登場する主役キャラクターであり、シリーズ作品の総称ともなっている。
「ピーターうさぎ」と翻訳されている場合もある。
洋食器などで、この絵柄を見たことがあるような気がします。
今回ご紹介した曲は、このウサギのキャラクターをテーマにした曲です。
この曲の設定では、ピーターラビット一家が彼女の家の隣に住んでいるのだとか。
そんな想像をして曲にするとは、彼女は本当にピーターラビットが好きなのですね。
4位「黒のクレール」(アルバム:Cliche)
■曲名:黒のクレール
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「黒のクレール」
最初はこの曲を1位にしていました。
今でも1位にふさわしい曲だと思っています。
しかしある程度彼女の世界になじんでから聞いていただいた方がいいと思い、この順位にしてみました。
というのは、この曲は彼女にしては異色の悲しい曲だからです。
愛する人を失った悲しみを歌った曲で、特に以下の歌詞は刺さります。
誰も知らない島で
子供のように 暮らすのが夢だった
黒のクレール(作詞:大貫妙子)
この曲の主人公は、将来その島で一緒に暮らすはずの男性を失ったようです。
さてこの曲は、当時マクセルのカセットテープのCMに使われた「黒の三部作」の1曲。
上のジャケットは、そのシングルの写真を採用してみました。
5位「Samba de Mar」(アルバム:AVENTURE)
■曲名:Samba de Mar
■アルバム名:AVENTURE
■アルバム名読み方:アヴァンチュール
■動画リンク:「Samba de Mar」
彼女はサンバが好きなようですが、中でも私のイチオシはこの曲です。
彼女は文学的な素養を感じさせる歌詞のせいか、文系女子のイメージがあるかもしれません。
しかし曲によっては結構解放感があります。
たとえばこの曲。
リズム・アレンジは清水信之と加藤和彦の2人が担当したようですが、生演奏ではなく打ち込みとのこと。
確かにリズムだけを聞くと無機質な感じがします。
しかしアコーディオンなど他の楽器のおかげで、人の体温を感じさせてくれる音楽に仕上がっています。
ただこの曲は、それだけでは終わりません。
プログラミングされたリズムは、最後に破壊的的な暴走をしています。
こういうエンディングにしたくて打ち込みにしたのかもしれません。
6位「都会」(アルバム:SUNSHOWER)
■曲名:都会
■アルバム名:SUNSHOWER
■アルバム名読み方:サンシャワー
■動画リンク:「都会」
彼女は東京の杉並区久我山で生まれ育ちました。
しかしこの曲では、東京のある部分になじめないと歌われています。
彼女の言葉を引用しましょう。
大貫は「ずっと東京にいる事もあって、都会とか街に対するこだわりはずっとあって、そういった歌を歌い続けてきたんですが、よくいわれる都会の中の淋しさとか孤独感以外にやっぱり都会ってすごく好きなんです、楽しい事がたくさんあって。
でも、このアルバムに関しては、都会の華やかさを否定している訳です。
毎夜浮かれて歩いている若い人達とか。そういった何ひとつ生産的な事はない、ただ一夜飲み明かすだけのそういったものに対しての批判かな。
もっとやる事があるんじゃないだろうかという気持ちがすごくありまして。これはすごく好きな曲です」[book 4]とし、スティーヴィー・ワンダーの影響で作った曲だという。
生真面目な性格がうかがえますね。
私は上の引用部にある「スティーヴィー・ワンダーの影響」という箇所を読んだ時、腑に落ちる思いがしました。
この曲の2:13からのキーボードは、スティーヴィーそのものですから。
他ではイントロの清水靖晃によるサックスと、スタッフ(Stuff)のクリストファー・パーカー(Chiristopher Parker)によるドラムも聞きものです。
7位「海と少年」(アルバム:MIGNONNE)
■曲名:海と少年
■アルバム名:MIGNONNE
■アルバム名読み方:ミニヨン
■動画リンク:「海と少年」
彼女の代表曲を聞かれて即答できる人はどれほどいるでしょうか。
おそらく最も有名なのは「Shall We Dance?」の主題曲ですが、あれは例外的な曲かもしれません。
後は「メトロポリタン美術館」は有名ですが、代表曲と言っていいか。
誰もが口をそろえて一致する曲はないように思います。
またアルバム単位でも、最高傑作を決めるのは難しいかもしれません。
今回の対象期間以外でもブラジル色の強い「TCHOU」など、様々なタイプの傑作を発表しています。
最高傑作のアルバムについても定説はありません。
しかし彼女には多くのファンがいて、誰もが認める存在になっています。
もしかしたら彼女は、一発屋とは真逆の存在かもしれません。
曲の平均水準の高さによって高い評価を得ました。
この選曲時でも以下を選外にしたほど良い曲ばかりですし。
8位「Wander Lust」(アルバム:Grey Skies)
■曲名:Wander Lust
■アルバム名:Grey Skies
■アルバム名読み方:グレイ・スカイズ
■動画リンク:「Wander Lust」
彼女はシュガー・ベイブ(SUGAR BABE)のメンバーでした。
シュガーベイブは山下達郎を中心に結成されたバンド。
「SONGS」というアルバム一枚だけで解散したこともあり、伝説のバンドと言われています。
彼女はそのバンドで曲を書き、ボーカルとキーボードを担当していました。
しかし当時シュガーベイブは正当な評価を得られず、バンドの存続が困難になりました。
そんな時彼女に注目したのが牧村憲一です。
彼女はその伝手でクラウンレコードからソロ・デビューすることになりました。
ただ当時の彼女はかなり不安だったようです。
乗り気ではなかったというか、不安は大いにありました。
でも、シュガー・ベイブが売れてたわけじゃないし、ソロになって初めの第一歩だから、そんなにプレッシャーは無かったけど。
アルバム名の「Grey Skies」とは「灰色の空」という意味ですが、当時の心境を表していたかもしれません。
しかしそんな心配は無用だったようですね。
この曲を聞く限り、牧村氏の眼力は正しかったようです。
9位「色彩都市」(アルバム:Cliche)
■曲名:色彩都市
■アルバム名:Cliche
■アルバム名読み方:クリシェ
■動画リンク:「色彩都市」
初期の彼女を語る時、坂本龍一の存在なしには語れません。
この曲は「色彩都市」という曲名です。
シティ・ポップ時代の彼女は色彩感豊かなサウンドが特徴でした。
その色彩を演出したのが、教授こと坂本龍一です。
たとえばこの曲などはいかがでしょうか。
1980年代特有のシンセサイザーが目立っていますね。
当時の音楽を今聞き返すと、アレンジに時代を感じることが少なくありません。
しかしこの曲は時代を超えた坂本龍一の才能ゆえか、時の経過による劣化を免れているように思います。
この曲も「色彩都市」という曲名にふさわしく、とてもカラフルなアレンジではないでしょうか。
このアルバムのアレンジは前半を坂本龍一、後半はジャン・ミュジー(Jean Musy)が担当しています。
ジャンには悪いですが、坂本龍一のアレンジがすばらしすぎて全曲教授が担当していたらと思ってしまいます。
10位「愛にすくわれたい」(アルバム:ROMANTIQUE)
■曲名:愛にすくわれたい
■アルバム名:ROMANTIQUE
■アルバム名読み方:ロマンティーク
■動画リンク:「愛にすくわれたい」
再度サンバの曲を取り上げます。
しかしこちらは先程の曲とは違って、歌謡サンバといった感じがします。
このアルバムは持っているけれど、この曲を知らない方もいらっしゃるかもしれません。
それもそのはず、この曲は「ふたり」のB面曲で、CDオンリーのボーナストラックですから。
隠れ名曲枠として選んでみました。
さてこの頃彼女は前作「MIGNONNE」のセールス不振、そしてプロデューサーとの関係に悩んで、引退を考えていたそうです。
そんな彼女を励ます提案をしたのが、デビューを後押しした牧村憲一。
彼はヨーロッパをテーマにしてみてはどうかと助言し、ヨーロッパ映画が大好きだった彼女はそれであればとキャリアを継続したそうです。
この「ROMANTIQUE」と続く「AVENTURE」「Cliche」は、ヨーロッパ三部作と言われています。
さてこのアルバムの1曲目は、坂本龍一がYMO的なアレンジを施したこんな曲でした。
牧村健一はこのアルバムのプロデューサーでもありますが、こんな曲を1曲目に入れてしまうあたりもさすがです。
11位「夏に恋する女たち」(アルバム:SIGNIFIE)
■曲名:夏に恋する女たち
■アルバム名:SIGNIFIE
■アルバム名読み方:シニフィエ
■動画リンク:「夏に恋する女たち」
彼女は当初から音楽的な評価は高かったものの、セールス面では苦戦していました。
しかしこのアルバムは初めてアルバム・チャート5位を記録しました。
同名のテレビ・ドラマのテーマ曲に採用されたことが大きかったようです。
このアルバムでは「SIESTA〈ひるね〉」もおすすめですが、Youtubeで動画が見つかりませんでした。
私は音楽を聞いていて、ラブ・ソングが多すぎると思うことがあります。
多くの曲で登場人物は恋愛の主人公にならなければなりません。
会いたくて会えなくてみたいな曲もあっていいけれど、いささか多すぎやしないかと。
私はラブソングに食傷気味かもしれません。
しかし大貫妙子には、ピーターラビットとかお昼寝の歌とか違ったテーマの曲が沢山あります。
この曲も「夏に恋する」ですし。
12位「メトロポリタン美術館」(アルバム:カイエ)
■曲名:メトロポリタン美術館
■アルバム名:カイエ
■動画リンク:「メトロポリタン美術館」
この曲を私なりに表現すると、ちびまる子ちゃん的名曲です。
末っ子的なユーモアにあふれた曲です。
そういえば大貫妙子のニックネームは「ター坊」でしたね。
さて最後にどうしても取り上げたい話題があります。
それは「YOUは何しに日本へ?」というテレビ番組のこと。
下の動画には、スティーヴというアメリカ人が登場しています。
彼は幻の名盤と言われる大貫妙子の「サンシャワー」のアナログ盤を探しに来日したそうです。
YOUは何しに日本へ? 2020年11月9日 大貫妙子のレコードから日系移民のルーツまで大捜索
8:38から28:29までが、そのコーナー。
彼女は随分スティーヴに愛されているのですね。
日本人の私はアメリカ人の彼に彼女の魅力を教えてもらったような気がします。
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