今回はカウンティング・クロウズのランキングを作成しました。
このバンドは、アメリカン・ロックの良心と呼ぶべきアルバムでデビューしました。
しかしその後音楽性が変わっていったため、いま一つ全体像がつかみにくいかもしれません。
この記事では、彼らの様々な側面に焦点を当ててみました。
特にアダム・デュリッツ(Adam Duritz)の圧倒的な歌に注目です。
- 1 1位「Mr. Jones」(アルバム:August and Everything After)
- 2 2位「A Long December」(アルバム:Recovering the Satellites)
- 3 3位「Round Here」(アルバム:August and Everything After)
- 4 4位「Accidentally in Love」(アルバム:Shrek 2)
- 5 5位「St. Robinson in His Cadillac Dream」(アルバム:This Desert Life)
- 6 6位「Angels of the Silences」(アルバム:Recovering the Satellites)
- 7 7位「Rain King」(アルバム:August and Everything After)
- 8 8位「Possibility Days」(アルバム:Somewhere Under Wonderland)
- 9 9位「Hard Candy」(アルバム:Hard Candy)
- 10 10位「Coming Around」(アルバム:Underwater Sunshine (or What We Did on Our Summer Vacation) )
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1位「Mr. Jones」(アルバム:August and Everything After)
■曲名:Mr. Jones
■曲名邦題:ミスター・ジョーンズ
■アルバム名:August and Everything After
■アルバム名邦題:オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター
■動画リンク:「Mr. Jones」
この曲で彼らを知った方も多いかもしれません。
このデビューアルバムは最高4位、この曲はシングルチャートで5位を記録し、新人バンドとしては上々のスタートでした。
ちなみにこの曲の「Mr. Jones」とは、アダムの幼馴染で、かつて在籍していたヒマラヤンズ(The Himalayans)のメンバー、マーティ・ジョーンズ(Marty Jones)のこと。
この曲の中でアダム・デュリッツは「俺はビッグになるつもりだ」と歌っています。
また「俺はボブ・ディランになりたい」とも。
確かにこの曲は「見張塔からずっと(All Along the Watchtower)」みたいなところがありますね。
アダムのエモーショナルなボーカルが圧巻です。
2位「A Long December」(アルバム:Recovering the Satellites)
■曲名:A Long December
■曲名邦題:ア・ロング・ディセンバー
■アルバム名:Recovering the Satellites
■アルバム名邦題:リカヴァリング・ザ・サテライツ
■動画リンク:「A Long December」
このランキングでは、彼らのポップな曲を多めに取り上げています。
ただそうした曲を聞く前に、彼らの骨太な本質を知っておいた方がいいかもしれません。
この曲と次の「Round Here」は傑作です。
とても地味な曲ですが、聞く人の心を捉え、静かに震わせる力があります。
ちなみにこの曲のタイトルは「A Long December」つまり「長い12月」という曲名。
アダムが入院していた友人をお見舞いしたことから書かれた曲のようです。
彼らはこういう何気ない日常を切り取った歌詞が多く、メッセージ性はそれほど強くありません。
彼らの曲にはジワる魅力があります。
3位「Round Here」(アルバム:August and Everything After)
■曲名:Round Here
■曲名邦題:ラウンド・ヒア
■アルバム名:August and Everything After
■アルバム名邦題:オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター
■動画リンク:「Round Here」
アダムの表現力を堪能できる曲です。
少しタイプは異なりますが、彼の歌にはJeff Buckley(ジェフ・バックリィ)にも似た説得力があります。
このアルバムを最初に聞いた方は、少々混乱するかもしれません。
この頃の彼らは新人バンドでしたが、既に充分な風格を備えているように感じられるからです。
もう何十年もタフな人生を生き抜いてきたかのような風情が漂っています。
当時アダムは、まだ20代だったんですけどね。
それにはプロデューサーのT・ボーン・バーネット(T Bone Burnett)の貢献もあったかもしれません。
T・ボーン・バーネットは、1980年代というアメリカン・ロックの冬の時代に奮闘して、シーンを支えていた人です。
4位「Accidentally in Love」(アルバム:Shrek 2)
■曲名:Accidentally in Love
■曲名邦題:アクシデンタリー・イン・ラヴ
■アルバム名:Shrek 2
■アルバム名邦題:シュレック2
■動画リンク:「Accidentally in Love」
オリジナル・アルバム未収録曲です。
映画「シュレック」のサントラから選曲しました。
この曲はサウンドトラックのせいか、幅広い層にアピールする軽快なナンバーに仕上がっています。
まずイントロのドラムの音からして、これまでと印象が違いますね。
この曲は2005年のリリースですから、時期的には「Hard Candy」の少し後ということになります。
彼らは3枚目からポップな曲が増えてきましたが、この曲はその路線の筆頭に挙げられるべき曲かもしれません。
ちなみにこのアルバムは他にも、ピート・ヨーン(Pete Yorn)やトム・ウェイツ(Tom Waits)などの曲が収録されていて、アニメ映画のサントラとは思えない人選です。
この曲は映画の主題曲で、アカデミー賞にノミネートされ、彼らの代表曲の1つになっています。
5位「St. Robinson in His Cadillac Dream」(アルバム:This Desert Life)
■曲名:St. Robinson in His Cadillac Dream
■曲名邦題:セイント・ロビンソン・イン・ヒズ・キャデラック・ドリーム
■アルバム名:This Desert Life
■アルバム名邦題:ディス・デザート・ライフ
■動画リンク:「St. Robinson in His Cadillac Dream」
あまり注目されることのない曲ですが、個人的に愛聴している曲です。
このバンドではアダムのボーカルに焦点が当てられがちです。
彼らの演奏は、アダムのボーカルを活かすことに徹するシンプルな演奏が多いかもしれません。
確かにバンド全体で強みを強調するのもいいでしょう。
しかし彼らの演奏は強く主張しなくても、ツボを押さえた玄人好みの演奏が多いように思います。
ただこの曲では珍しく演奏が強く主張している箇所があります。
最初は現代版ザ・バンド(The Band)みたいな演奏ですが、2:31から始まるチャーリー・ギリンガム(Charlie Gillingham)のハモンド・オルガンをお聞きください。
飛翔するかのようなすばらしいオルガンに、心を奪われてしまいます。
6位「Angels of the Silences」(アルバム:Recovering the Satellites)
■曲名:Angels of the Silences
■曲名邦題:エンジェルス・オブ・ザ・サイレンシズ
■アルバム名:Recovering the Satellites
■アルバム名邦題:リカヴァリング・ザ・サテライツ
■動画リンク:「Angels of the Silences」
このセカンド・アルバムでは、大ヒットしたファースト・アルバムと比べて少し音楽が変化しました。
激しめのギターが目立つ曲が少し増えたかもしれません。
これはダン・ヴィッカリー(Dan Vickrey)というセカンド・ギタリストが加入したことが大きかったと思われます。
またプロデューサーが交代したことも、注目すべきポイントです。
新たにプロデューサーとして起用したギル・ノートン(Gil Norton)は、ファースト・アルバムのような音楽を得意としている人ではありません。
ギルはピクシーズ(Pixies)やフー・ファイターズ(Foo Fighters)などのプロデューサーとして知られています。
こうしたことから、彼らが意識的に変わろうとしていたことがうかがえます。
このアルバムで彼らは新しい魅力を獲得しました。
その最良の成果の1つがこの曲です。
7位「Rain King」(アルバム:August and Everything After)
■曲名:Rain King
■曲名邦題:レイン・キング
■アルバム名:August and Everything After
■アルバム名邦題:オーガスト・アンド・エヴリシング・アフター
■動画リンク:「Rain King」
彼らは元々2人組でした。
当初はギターのデヴィッド・ブライソン(David Bryson)とアダムの2人。
このバンドの大黒柱アダムは、元々ヒマラヤンズというバンドをやっていました。
ヒマラヤンズはルーツ色が強い音楽性ではありません。
このバンドのメイン・ソングライターで、ドレッド・ヘアーという目立つ風貌をしていて、圧倒的な歌の実力からしても、アダム・デュリッツが注目されるのは順当です。
しかし一方でもう1人の柱、デヴィッド・ブライソンの貢献については見えにくいところがあります。
デヴィッド・ブライソンは共作ばかりで単独で曲を書きませんし、ソロ活動もやっていませんし。
ちなみに名曲「Round Here」は、アダムが在籍していたヒマラヤンズでもやっていましたが、カウンティング・クロウズのバージョンとはかなり曲の印象が異なります。
この曲はヒマラヤンズ時代はオルタナ色が強い曲でしたが、アメリカン・ロックの王道サウンドに生まれ変わりました。
私はデビュー作のルーツ色が強い音楽性は、デヴィッド・ブライソンの影響かもしれないと思っています。
8位「Possibility Days」(アルバム:Somewhere Under Wonderland)
■曲名:Possibility Days
■曲名邦題:ポッシビリティ・デイズ
■アルバム名:Somewhere Under Wonderland
■アルバム名邦題:サムウェア・アンダー・ワンダーランド
■動画リンク:「Possibility Days」
1993年にデビュー・アルバムを発表してから、彼らは試行錯誤していました。
大ヒットしたデビュー・アルバムと同じ路線のアルバムをつくろうとしませんでした。
しかし2014年にその頃に近い路線のアルバムを完成させました。
それがこのアルバム。
彼らはデビューしてからずっとメジャーのゲフィン・レコード(Geffen Records)と契約していましたが、その後クッキング・ヴァイナル(Cooking Vinyl)という、イギリスのインディレーベルに移籍しました。
インディーズは、メジャーレーベルに比べると、マーケティング力、配給、広告宣伝などの基盤が弱いというデメリットがあります。
しかし一方でインディーズでは、束縛されず自由に音楽をやれるというメリットもあります。
彼らは一度インディーズに移籍した後、またキャピトル・レコード(Capitol Records)というメジャー・レーベルに戻っています。
彼らはインディーズの水には合わなかったのかもしれません。
このメジャーへの移籍事情が、原点回帰したこのアルバムの背景にあるような気がします。
ともあれこのアルバムはファンに高く評価され、売り上げ的にも上々で、久々の快作といえる出来になっています。
9位「Hard Candy」(アルバム:Hard Candy)
■曲名:Hard Candy
■曲名邦題:ハード・キャンディ
■アルバム名:Hard Candy
■アルバム名邦題:ハード・キャンディ
■動画リンク:「Hard Candy」
彼らはこの4枚目で更にポップ色を強めました。
とはいっても、売れ線の音楽にシフトしたのではなさそうです。
というのは彼らの場合は、むしろアーシーで土の匂いを感じさせる曲の方がファンの受けがいいでしょうから。
私はこのアルバムの音の表情が明るい点を、好ましいと思っています。
最初の2枚は傑作ですが、ヴァン・モリソン(Van Morrison)などにも通じるような、少し生真面目すぎるきらいがあります。
その生真面目さは、音楽の価値とは別のところで、聞き手のハードルを上げてしまっているかもしれません。
一方このアルバムは気軽に楽しめる極上のホットケーキみたいなところがあります。
初期に比べると曲も小粒ですが、その小粒感もいい塩梅です。
10位「Coming Around」(アルバム:Underwater Sunshine (or What We Did on Our Summer Vacation) )
■曲名:Coming Around
■曲名邦題:カミング・アラウンド
■アルバム名:Underwater Sunshine (or What We Did on Our Summer Vacation)
■アルバム名邦題:アンダーウォーター・サンシャイン・オア・ホワット・ウィ・ディドゥ・オン・アワ・サマー・ヴァケーション
■動画リンク:「Coming Around」
このアルバムはカバーアルバムです。
ティーンエイジ・ファンクラブ (Teenage Fanclub)、フェイセズ(Faces)、ビッグスター(Big Star)などの曲がカバーされています。
この曲はトラヴィス(Travis)のカバーですが、完全に自分たちの色に染め上げています。
原曲のリンクを貼っておきましょう。
予想以上にトラヴィスの曲との相性が良く、聞き逃すことができない曲です。
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