今回はミッシェル・ガン・エレファントのランキングを作成しました。
彼らは古いロックンロールに命を吹き込み、現代に蘇らせています。
こんなリアルなロックンロールが、オリコン・チャートの上位に入っていたことは、とても痛快な出来事でした。
チバユウスケが他のバンドを評して、こんなことを言っていたことがあります。
「それにしても燃えるロックンロールです」
その言葉は、そっくりそのまま彼らにお返ししたいと思います。
- 1 1位「スモーキン・ビリー」(アルバム:ギヤ・ブルーズ)
- 2 2位「世界の終わり (primitive version)」(アルバム:カルト・グラス・スターズ)
- 3 3位「ハイ!チャイナ!」(アルバム:チキン・ゾンビーズ)
- 4 4位「キャンディ・ハウス」(アルバム:ランブル)
- 5 5位「ゲット・アップ・ルーシー」(アルバム:ランブル)
- 6 6位「ウエスト・キャバレー・ドライブ」(アルバム:ギヤ・ブルーズ)
- 7 7位「why do you want to shake ?」(アルバム:ワンダー・スタイル)
- 8 8位「シャンデリヤ」(アルバム:ハイ・タイム)
- 9 9位「赤毛のケリー」(アルバム:ロデオ・タンデム・ビート・スペクター)
- 10 10位「ブギー」(アルバム:チキン・ゾンビーズ)
- 11 関連記事
- 12 記事一覧
- 13 他ブログ・SNS等
1位「スモーキン・ビリー」(アルバム:ギヤ・ブルーズ)
■曲名:SMOKIN’ BILLY
■曲名邦題:スモーキン・ビリー
■アルバム名:GEAR BLUES
■アルバム名邦題:ギヤ・ブルーズ
■動画リンク:「スモーキン・ビリー」
この曲はアベフトシのギターが暴走しています。
アベフトシのプレイは、カミソリ・カッティングがトレードマークです。
しかしこのような暴走気味のドライブ感もまた彼の特徴。
思えば彼はいつも寡黙でした。
メジャーデビュー後は解散に至るまで、ライブでは殆どMCをしてこなかったが、解散ライブの最後には笑みを浮かべながら「ありがとう」とだけ述べ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTでの活動を終了。
しかしそんな彼のギターは、いつも雄弁でした。
アベフトシについてウィキペディアでは「寡黙で礼儀正しい」「グループ行動が苦手」などと書かれていました。
そんな彼のギターには、内に秘めた男のやむにやまれぬ衝動を感じないでしょうか。
2009年彼は42歳の若さで亡くなりましたが、それはTMGEの再結成がなくなったことを意味しています。
彼抜きのミッシェルはありえません。
2位「世界の終わり (primitive version)」(アルバム:カルト・グラス・スターズ)
■曲名:World’s end
■曲名邦題:世界の終わり (primitive version)
■アルバム名:cult grass stars
■アルバム名邦題:カルト・グラス・スターズ
■動画リンク:「世界の終わり (primitive version)」
私は日本のアーティストの記事を書く時、海外のウィキペディアがあるか、いつも確認しています。
というのは海外でどう評価されているか、単純に興味があるからです。
ミッシェルは、英語のウィキペディアがありました。
読んでみると歌詞は日本語だが、ランダムで奇妙な英単語の組み合わせが多用されていると書かれていました。
私はローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「カジノ・ブギ(Casino Boogie)」という曲の歌詞が大好きです。
その曲はナンセンスな言葉遊びをしているだけなのに、デカダンスと切迫感がにじみ出ていました。
この曲でチバユウスケは、パンを焼きながら世界の終わりを待ち続けていると歌っています。
ヘラヘラして悪ふざけの冗談ばかり言い、全然余裕のようでいて、しかしギリギリの場所にいるような。
チバユウスケの中にある飄飄と切迫感のごちゃまぜが、このバンドの魅力でした。
3位「ハイ!チャイナ!」(アルバム:チキン・ゾンビーズ)
■曲名:HI!CHINA!
■曲名邦題:ハイ!チャイナ!
■アルバム名:Chicken Zombies
■アルバム名邦題:チキン・ゾンビーズ
■動画リンク:「ハイ!チャイナ!」
後期の彼らは行き詰っていたように思います。
今回全アルバムを聞きなおしましたが、一般に評価が高くない後期のアルバムも、改めてすばらしいと思いました。
もし新人バンドがこのレベルの作品をリリースしたら、すごい新人が出たと評判になることでしょう。
しかし彼ら自身もファンも、以前の彼らと比較してしまいます。
一時期彼らの音楽は、よりヘヴィーでエモーショナルになっていったように思います。
それは過去よりも強いインパクトを残したいという気持ちが表れていたせいかもしれません。
しかしより強くより激しくという路線で進めば進むほど、次第に効果が薄れてしまう。
そういうジレンマを抱えていたように思います。
私はこの曲を聞くと、この頃のままで良かったように思います。
となりの兄ちゃん的なノリが軽く、適当な感じで充分だったと。
こちらも気軽に聞くことができますし。
しかし「ハイ!チャイナ」「吐いちゃいな」って一体何なんですかね(笑)
4位「キャンディ・ハウス」(アルバム:ランブル)
■曲名:Candy House
■曲名邦題:キャンディ・ハウス
■アルバム名:RUMBLE
■アルバム名邦題:ランブル
※上のジャケット写真は、シングルのものを使用しています
■動画リンク:「キャンディ・ハウス」
このアルバムは初期ベストです。
アルバムに収録されている曲も、シングル・バージョンで収録されています。
彼らのベスト盤といえば「TMGE 106」ですが、そちらとは曲が重複していません。
こちらにも有名曲が入っているので、セットで聞く必要があります。
さてこの曲はアベフトシのギターも聞きものですが、クハラのいなたいドラムがすばらしいですね。
ロックロール・バンドは、踊れるバンドと踊れないバンドに分かれます。
音楽性もありますが、ドラムの実力が大きいかもしれません。
ミッシェルはこの手のバンドとしては異例なほど踊れます。
先程アベフトシのドライブ感について書きましたが、ドラムがしょぼいとバンド全体がグルーヴしません。
その点ミッシェルには、クハラがいました。
クハラはミッシェル解散後もチバと一緒にThe Birthdayで、すばらしいプレイを聞かせてくれています。
5位「ゲット・アップ・ルーシー」(アルバム:ランブル)
■曲名:GET UP LUCY
■曲名邦題:ゲット・アップ・ルーシー
■アルバム名:RUMBLE
■アルバム名邦題:ランブル
■動画リンク:「ゲット・アップ・ルーシー」
この曲もチバの歌詞が冴えています。
ねぇルーシー二人
幸せを見つけたね
終わりだね 終わりだね
「世界の終わり」と同じようなテーマみたいですね。
さて彼らの音楽は特に初期に顕著ですが、パブロックの影響が濃厚です。
パブロックとはイギリスのパブで演奏されていた、労働者階級ご用達のロックのことです。
そんなお勉強的な説明より、ミッシェルを聞いている人は、感覚的に理解していると思いますが。
もし良かったら以下のような記事を書いていますので、そちらで聞いてみてください。
きっとミッシェルっぽいと感じる瞬間があるはずです。
上の記事で最もミッシェルっぽいのは2位、9位あたりでしょうか。
彼らのルーツを知ると、よりミッシェルを楽しめるようになると思います。
6位「ウエスト・キャバレー・ドライブ」(アルバム:ギヤ・ブルーズ)
■曲名:WEST CABARET DRIVE
■曲名邦題:ウエスト・キャバレー・ドライブ
■アルバム名:GEAR BLUES
■アルバム名邦題:ギヤ・ブルーズ
■動画リンク:「ウエスト・キャバレー・ドライブ」
重低音でゴリゴリと押してくるイントロが最高すぎます。
この恐ろしくかっこいいベースだけで、名曲が確定ではないでしょうか。
彼らは演奏力の高いバンドでした。
しかしその演奏力は、単にテクニックが高いというだけではありませんでした。
主にライブでの活動に重点を置き、1回のツアーで全国40〜60か所のライブハウスやホールを回っていた。
ライブ活動が多いことについて、ウエノは「レコード作ってその後もうやることが無いので、ツアーやるのが仕事」と「ミュージックステーション」で発言していた。
彼らはライブの場で演奏を鋭利に研いでいたように思います。
この曲などを聞くと、ライブではないかと錯覚してしまうほど。
ライブで鍛えたラフなグルーヴとキレのある演奏は、スタジオ録音でもにじみ出ています。
この曲は1998年に発表されていますが、昔のガレージ・ロックと同じようなスリルを感じます。
7位「why do you want to shake ?」(アルバム:ワンダー・スタイル)
■曲名:why do you want to shake ?
■アルバム名:wonder style
■アルバム名邦題:ワンダー・スタイル
■動画リンク:「why do you want to shake ?」
彼らは明治学院大学のバンドサークルを舞台に結成されました。
1991年に結成されると、同年下北沢の屋根裏という有名なライブハウスに出演していますから、当初から人気と実力を兼ね備えていたと思われます。
バンド名の由来はよく知られています。
チバの友人(結成当時のベーシスト)が、ダムドのアルバム『マシンガン・エチケット(英: Machine Gun Etiquette)』の筆記体で記述されたアルバムタイトルを読み違えたものを、そのまま採用したことが由来[13]。
この作品はデビュー・アルバムで、1995年インディーズから発売されています。
この曲を聞く限り、既に音楽性は固まっていたようですね。
彼らはドクター・フィールグッド(Dr.Feelgood)というバンドに影響を受けていますが、この曲などはまさしく日本版ドクター・フィールグッドといえるでしょう。
ドクター・フィールグッドを聞いたことがない方は、以下でお聞きください。
ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)の名曲名盤10選
デビュー時からスタイリッシュなバンドだったのですね。
ただ動画には当時の彼らの写真が使われていて、いかにも普通の大学生っぽい風貌がほほえましいです。
特にアベフトシはやせすぎではないでしょうか。
細身のモッズスーツ姿しかご存じない方は、ぜひご覧ください。
8位「シャンデリヤ」(アルバム:ハイ・タイム)
■曲名:シャンデリヤ
■アルバム名:High Time
■アルバム名邦題:ハイ・タイム
■動画リンク:「シャンデリヤ」
アベフトシのマシンガン・カッティングを堪能したい曲です。
アベフトシはウィルコ・ジョンソン(Wilko Johnson)やミック・グリーン(Mick Green)などのギタリストから影響を受けています。
それはキレの系譜と言ってもいいかもしれません。
渋さはいらない、コクもいらない、キレ以外何も必要ない。
そんな覚悟が、こんな極端な肌ざわりの曲を生み出したのかもしれません。
味ではなく食感を味わう料理があるように、この曲はヒリヒリした音の質感を楽しむべきかもしれません。
彼らの音楽はザラザラしていたり、鋼のような強度があったり、音の手触りが魅力です。
少しファンクっぽいところもありますね。
スリル偏重の曲かもしれませんが、こんな曲はミッシェルぐらいでしか聞けません。
そこであえてご紹介することにしました。
9位「赤毛のケリー」(アルバム:ロデオ・タンデム・ビート・スペクター)
■曲名邦題:赤毛のケリー
■アルバム名:Rodeo Tandem Beat Specter
■アルバム名邦題:ロデオ・タンデム・ビート・スペクター
■動画リンク:「赤毛のケリー」
彼らの最高傑作は「High Time」「Chicken Zombies」「ギヤ・ブルーズ」の内のどれかだと言われています。
私も同じ意見です。
しかし今回改めて聞きなおすと、後期の作品も尋常ではないと思いました。
たとえば以下の「カサノバ・スネイク(CASANOVA SNAKE)」からの曲をお聞きください。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT – デッド・スター・エンド
「SABRINA HEAVEN」「SABRINA NO HEAVEN」も、他のバンドと比較したら傑作といえる出来です。
しかし彼らは過去の自分たちと比較し、更に高みを目指そうとしました。
この曲は過去の最高到達地点に、再度アタックできることを示した名曲です。
終始攻めているギターがすばらしいですね。
10位「ブギー」(アルバム:チキン・ゾンビーズ)
■曲名:BOOGIE
■曲名邦題:ブギー
■アルバム名:Chicken Zombies
■アルバム名邦題:チキン・ゾンビーズ
■動画リンク:「ブギー」
この曲は8分42秒あります。
シングルカットされていませんが、誰もが知っている有名な曲です。
私はジャズとプログレ以外、長い曲を好みません。
しかしそんな私をもってしても、下手にこの曲がシングル・カットされて、曲が短縮されなくて良かったと思います。
チバユウスケの激情とアベがつくり出す爆音の壁に打ちのめされます。
私は音楽ブログを運営していますから、時には分かった風なことを書いています。
評論という言葉は嫌いですが、自分なりの意見を述べています。
しかし時々こう思うことがあります。
まずきちんと音の世界に没頭して、その結果出てきた言葉だけ書けばいいと。
この曲もしっかり曲に浸ることができたら、8分42秒という時間も一瞬で通り過ぎます。
ぜひ頭を空っぽにして聞いていただきたいと思います。
関連記事
■ザ・バースディ(The Birthday)の名曲名盤10選
■ドクター・フィールグッド(Dr. Feelgood)の名曲名盤10選
■きのこ帝国(Kinoko Teikoku)の名曲名盤10選
記事一覧
他ブログ・SNS等
■このブログの「トップページ」に戻る
※お気に入りに登録をお願いいたします!
■おとましぐらの音楽ブログ(サブブログ)
※オピニオン記事、企画色の強い記事を連載しています
■note(ジャンル別おすすめ曲一覧)
※選りすぐりの名曲を1曲単位でご紹介しています
■おとましぐらXアカウント
※フォローをお願いいたします!