今回は砂原良徳のランキングを作成しました。
この人は電気グルーヴの元メンバーとして知られています。
しかしソロ・アルバムも傑作ぞろいです。
彼の透徹した美意識と細部へのこだわりは半端ありません。
- 1 1位「SUN SONG ’80」(アルバム:TAKE OFF AND LANDING)
- 2 2位「SUN SONG ’70」(アルバム:THE SOUND OF 70’s)
- 3 3位「CLOUDS ACROSS THE MOON」(アルバム:CROSSOVER)
- 4 4位「LOVEBEAT」(アルバム:LOVEBEAT)
- 5 5位「SPIRAL NEVER BEFORE」(アルバム:LOVEBEAT)
- 6 6位「The Telephone Call」(アルバム:DANCE2NOISE 005)
- 7 7位「SONY ROMANTIC ELECTRO WAVE」(アルバム:TAKE OFF AND LANDING)
- 8 8位「THEME FROM TAKE-OFF (MAGIC SUNSET)」(アルバム:THE SOUND OF 70’s)
- 9 9位「STINGER STINGRAY」(アルバム:CROSSOVER)
- 10 10位「YUMEGIWA LAST BOY」(アルバム:WORKS ’95-’05)
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1位「SUN SONG ’80」(アルバム:TAKE OFF AND LANDING)
■曲名:SUN SONG ’80
■アルバム名:TAKE OFF AND LANDING
■動画リンク:「SUN SONG ’80」
このアルバムは飛行機の離陸から着陸までをテーマにした作品です。
彼はこのアルバムで化けたように思います。
いや音楽の質だけでいえば、前作だってかなり高水準でした。
もしかしたら私はこのアルバムで音楽の質ではなく、彼の美意識に打ちのめされたのかもしれません。
このアルバムの1曲目「INFORMATION OF of TUA」は、搭乗手続きをイメージさせる曲です。
そしてラストの曲は「WELCOME TO JAPAN」。
つまりこの飛行機は、海外を出発して日本に到着したようですね。
その間彼の曲は様々な表情を見せています。
まるで日常のフライトであっても、空の模様は移り変わりやすいことを表現しているかのよう。
もしこの記事が気に入ったら、アルバム1枚聞き通して旅の全行程を味わってみてください。
2位「SUN SONG ’70」(アルバム:THE SOUND OF 70’s)
■曲名:SUN SONG ’70
■アルバム名:THE SOUND OF 70’s
■動画リンク:「SUN SONG ’70」
先程の「SUN SONG ’80」は、1980年代を想定した曲です。
一方こちらは「SUN SONG ’70」ですから、1970年代の空の旅の曲をイメージした曲です。
アルバム名も「THE SOUND OF 70’s」ですから、1970年代をテーマにした作品といえるでしょう。
以前の彼の音楽はシンセサイザーが主体でした。
しかしソロに転じてからは、サンプリングを多用するようになりました。
彼がサンプリングを多用した理由は、なんとなく分かる気がします。
おそらくそれはヴィンテージな音の質感を得たいから。
どんなに楽器や機材が進歩しても、古い音楽の質感の再現するのは難しいものです。
だからこそヴィンセント・ギャロ(Vincent Gallo)やジャック・ホワイト(Jack White)は、古い機材にこだわりました。
私はこの曲のベースの音色に注目しています。
その音がサンプリングなのか私は知りません。
しかしそのローファイで古めましい音は、この曲に説得力を与えているように思います。
3位「CLOUDS ACROSS THE MOON」(アルバム:CROSSOVER)
■曲名:CLOUDS ACROSS THE MOON
■アルバム名:CROSSOVER
■動画リンク:「CLOUDS ACROSS THE MOON」
1995年にリリースされたファースト・アルバムの曲です。
この曲はカバー曲です。
元ネタのリンクを貼っておきましょう。
The RAH Band – Clouds Across The Moon
ラー・バンドはリチャード・アンソニー・ヒューソン(Richard Anthony Hewson)を中心にしたバンドです。
大まかにはシンセ・ポップに分類されるでしょう。
原曲は男女の語りから始まります。
その箇所が彼の琴線に触れたかもしれません。
彼の音楽には音に対するフェティシズムを感じます。
それはマッドと言えるほどの偏愛ぶり。
ぜひこの2曲を聞き比べて、彼の偏愛ぶりを確かめてみてください。
4位「LOVEBEAT」(アルバム:LOVEBEAT)
■曲名:LOVEBEAT
※アルバム・バージョンとは異なるショート・バージョン
■アルバム名:LOVEBEAT
■動画リンク:「LOVEBEAT」
彼はCMJKが脱退した電気グルーヴに加入しました。
彼は電気グルーヴと平行してソロ活動を始め「CROSSOVER」「TAKE OFF AND LANDING」「THE SOUND OF 70’s」の3枚で立場を確立しました。
その後彼は電気グルーヴを脱退しています。
その後も電気グルーヴとの交流がありますので、円満脱退だったと思われます。
このアルバムは脱退後リリースされた第一弾。
彼は従来のモンド/ラウンジ路線から軌道修正してきました。
端的にいえば、それはモンド/ラウンジ色の払拭。
彼の音楽の魅力は、マッド・サイエンティストを思わせる細部のこだわりにありました。
しかしこのアルバムでは音の細部そのものを否定しています。
まるで華麗なテクニックを封印してシンプルなプレイに徹した一流サッカー選手のごとし。
この曲はストイックでアブストラクト、しかしポップな音が心地よいですね。
5位「SPIRAL NEVER BEFORE」(アルバム:LOVEBEAT)
■曲名:SPIRAL NEVER BEFORE
■アルバム名:LOVEBEAT
■動画リンク:「SPIRAL NEVER BEFORE」
彼はこのアルバムで音数を絞り込みました。
従来はレコードのスクラッチ音、劣化したマスターテープのヨレみたいなディテイルにこだわっていました。
しかしこの作品では上ものではなく、土台にこだわった感じがします。
まるでトッピングが売りのラーメン店が、麺のみのラーメンでうならせるようなもの。
しかし彼の美点であった細部のこだわりを削ぎ落しても、彼は美意識は相変わらずでした。
ちなみに彼は続く「subliminal」「liminal」で、更に骨格重視、断片的な音楽に移行しました。
しかしそのアルバムからご紹介したい曲の動画が見つかりませんでした。
興味のある方はCDかサブスクで聞いてみてください。
6位「The Telephone Call」(アルバム:DANCE2NOISE 005)
■曲名:The Telephone Call
■アルバム名:DANCE2NOISE 005
■動画リンク:「The Telephone Call」
この曲は隠れ名曲枠として選曲しました。
オリジナル・アルバムを全部持っている方でも、ご存じない方がいらっしゃるかもしれません。
このアルバムはコンピレーションですし、この曲はクラフトワークのカバー曲です。
ちなみに以前私はクラフトワークについて、以下の記事を書きました
Kraftwerk – The telephone call
興味のある方jは上の記事もご覧ください。
この曲は砂原良徳ではなく「東京クラフトワーク」名義の曲。
シンセサイザーの音色から、オリジナルへの敬意を感じますね。
YMOと並ぶ彼のルーツを信仰告白といえる曲です。
7位「SONY ROMANTIC ELECTRO WAVE」(アルバム:TAKE OFF AND LANDING)
■曲名:SONY ROMANTIC ELECTRO WAVE
■アルバム名:TAKE OFF AND LANDING
■動画リンク:「SONY ROMANTIC ELECTRO WAVE」
昔は海外でSONY製品の評価が高く、日本の工業製品を代表する存在でした。
この曲はSONYへのオマージュ・ソングです。
私は彼の音楽をリアルタイムで追ってきました。
当時は石野卓球はもちろんのこと、日本のテクノ・クリエイターは世界的に脚光を浴びていました。
しかしその中でこの人は海外で過小評価されていたかもしれません。
私の思い違いだったらすみませんが、私はそんな感想を持っています。
そのギャップの原因は、彼の音楽がローファイでモンド/ラウンジ色が強かったせいかもしれません。
もっと刺激的でエッジが明確なテクノならば、評価されやすかったかもしれません。
しかし私は極めて日本的な感性を持った砂原良徳を支持します。
8位「THEME FROM TAKE-OFF (MAGIC SUNSET)」(アルバム:THE SOUND OF 70’s)
■曲名:THEME FROM TAKE-OFF (MAGIC SUNSET)
■アルバム名:THE SOUND OF 70’s
■動画リンク:「THEME FROM TAKE-OFF (MAGIC SUNSET)」
この頃の彼のコンセプトはユニークでした。
パンアメリカン航空が自社の宣伝のために配布したCD、つまりノヴェルティCDみたいなコンセプト。
そのテーマに基づいた音楽は、商業主義と前衛の間隙を突く音楽でした。
そのピークを記録した曲です。
このアルバムでは、前作までの特徴だったビートがない楽曲が増えました。
前作はモンド/ラウンジの上ものとテクノらしい即物的で硬質なビートの組み合わせが魅力でした。
しかしこの曲ではそのリズムがありません。
それにも関わらずこの曲は、旅立つ前のワクワク感でリスナーを魅了します。
私の中ではこの曲は、小沢健二の「ぼくらが旅に出る理由」へと繋がっています。
9位「STINGER STINGRAY」(アルバム:CROSSOVER)
■曲名:STINGER STINGRAY
■アルバム名:CROSSOVER
■動画リンク:「STINGER STINGRAY」
このアルバムが発表された時、私はかなり驚きました。
当時彼は電気グルーヴで「まりん」と呼ばれていました。
彼がグループ内で重要な役割を担っていたことは周知の事実。
しかし彼は予想以上のソロ・アルバムを発表しました。
それはhideのソロ曲が立て続けにヒット曲を連発した時の驚きに似ています。
このアルバムは次作ほど洗練されてはいません。
次作以降の彼の音楽はストイックすぎる部分があって、時には息苦しいほどかもしれません。
しかしこのファースト・アルバムでは、そこまでサウンドが煮つめられていません。
それでも私は次作以降の「TAKE OFF AND LANDING」「THE SOUND OF 70’s」「LOVEBEAT」のどれかが最高傑作だと思いますが。
しかしこのアルバムのモラトリアムな部分も捨てがたいです。
10位「YUMEGIWA LAST BOY」(アルバム:WORKS ’95-’05)
■曲名:YUMEGIWA LAST BOY
■アルバム名:WORKS ’95-’05
■動画リンク:「YUMEGIWA LAST BOY」
彼はリミックスの分野でも優れた仕事を数多く残しています。
中でも私が特に印象深いのは、スーパーカーのこの曲です。
私は以前スーパーカーの記事を書きました。
上の記事を書いた時に既にこの曲の存在を認識していましたが、上の記事では取り上げませんでした。
私はいずれ砂原良徳の記事を書こうと思っていて、この曲はそちらに回そうと思っていました。
この曲は映画「ピンポン」の主題曲です。
当時かなり話題になりましたし、彼にとっても思い出深い仕事だったと思います。
しかしこの人は主役と脇役、どちらでも輝ける人なのですね。
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