今回は相対性理論のランキングを作成しました。
彼らは初期の禁断ロリ路線から、アートを感じる作風へと変化していきました。
知的でセンス抜群の演奏とゆるい脱力ポップの組み合わせは、かなり病みつき度が高いです。
洋楽にはないサブカル感もあり、洋楽リスナーの方が聞いても、新鮮な驚きがあると思います。
- 1 1位「品川ナンバー」(アルバム:ハイファイ新書)
- 2 2位「地獄先生」(アルバム:ハイファイ新書)
- 3 3位「ペペロンチーノ・キャンディ」(アルバム:シンクロニシティーン)
- 4 4位「LOVEずっきゅん」(アルバム:シフォン主義)
- 5 5位「気になるあの娘」(アルバム:シンクロニシティーン)
- 6 6位「ほうき星」(アルバム:TOWN AGE)
- 7 7位「さわやか会社員」(アルバム:ハイファイ新書)
- 8 8位「小学館」(アルバム:シンクロニシティーン)
- 9 9位「ケルベロス」(アルバム:天声ジングル)
- 10 10位「わたしは人類」(アルバム:調べる相対性理論)
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1位「品川ナンバー」(アルバム:ハイファイ新書)
■曲名:品川ナンバー
■アルバム名:ハイファイ新書
■動画リンク:「品川ナンバー」
私はこのアルバムで、初めて彼らを知りました。
初めてアルバム・ジャケットを見た時は「ハイファイ新書」と「相対性理論」のどちらがバンド名か分かりませんでした。
バンド名は、ボーカルのやくしまるえつこが命名したそうです。
なんでも彼女の父親が科学者であることから、名付けられたのだとか。
しかしそんなバンド名とはかけ離れたゆるい楽曲とのミスマッチが、このバンドの特徴です。
この曲が1位と言い切れるかどうか、正直自信はありません。
しかし最初から刺激の強い楽曲をご紹介すると、ドン引きされるかもしれないと勝手に心配し、少し抑えめな曲を選んでみました。
アーリー・エイティーズのアーバン・ソウルっぽい感じもあり、音楽通の方にも気に入ってもらえると思いました。
この曲に何かを感じたら、2位からの禁断ワールドにお進みください。
2位「地獄先生」(アルバム:ハイファイ新書)
■曲名:地獄先生
■アルバム名:ハイファイ新書
■動画リンク:「地獄先生」
さてここからがこのバンドの本領発揮です。
まずイントロのギターから曲者感が漂っていますね。
問題は歌詞です。
先生 先生ってば先生
ああ先生 フルネームで呼ばないで
下の名前で呼んで
お願い お願いよ先生
地獄先生(作詞者:真部脩一)
舞台は高校だと思われます。
2人がどのような関係か知りませんが、ただならぬ様子が伺えます。
まあ禁断の関係でなくても生徒を下の名前で呼ぶ先生もいると思いますけどね。
ただこんな歌詞をロリ声で歌われると、想像力をたくましくしてしまいます。
この天然でロリ声のやくしまるえつこのボーカルと、批評性が高く奔放な永井聖一のギターの組み合わせが、このバンドの魅力です。
そしてこの禁断の世界をつくり出したのは、作詞作曲を担当する真部脩一。
彼については、また後で触れることにします。
3位「ペペロンチーノ・キャンディ」(アルバム:シンクロニシティーン)
■曲名:ペペロンチーノ・キャンディ
■アルバム名:シンクロニシティーン
■動画リンク:「ペペロンチーノ・キャンディ」
前作「ハイファイ新書」では、真部脩一が全曲の作詞作曲をしていました。
しかしこのアルバムからは、やくしまるえつこと永井聖一が、クレジットに名を連ねています。
このアルバムは2010年のアルバムですが、2年後の2012年にやくしまるえつこ、永井聖一の双頭体制になりました。
そういう意味では、後の相対性理論の出発地点となったアルバムだと思います。
こういうサブカル系バンドは、チャートで苦戦することも多いのですが、このアルバムはオリコンで3位まで上がりました。
しかし当時このアルバムに失望した声があったことを覚えています。
はっきり言って、このアルバムは傑作だと思います。
しかしなぜそんな声が挙がったのでしょうか。
まず前作と同じ路線を踏襲していて、意外性が感じられなかったこと。
そして前作にあった甘酸っぱさやせつなさなどの、禁断成分が少な目だったことだと思われます。
みんな「地獄先生」みたいな路線を期待していたのでしょうか。
4位「LOVEずっきゅん」(アルバム:シフォン主義)
■曲名:LOVEずっきゅん
■アルバム名:シフォン主義
■動画リンク:「LOVEずっきゅん」
彼らのデビューアルバムです。
ただフル・アルバムではなく、5曲入りですので、ミニ・アルバムと言った方がいいかもしれません。
2007年6月に自主制作盤として発表され、ライブ会場と通信販売で4,000枚の売上を記録した[1]。
その後翌2008年5月8日に、みらいrecordsからリマスター盤が発売され[2]、翌年の『第1回CDショップ大賞』にて大賞を受賞した[3]。
このアルバムは1曲目の「スマトラ警備隊」と、この曲が有名です。
特にこの曲はオルタナティブな歌謡曲風で、ダイレクトに訴えかけてきますね。
ちなみにやくしまるえつこは、こういう人です。
積極的にメディアに出るタイプではありませんが、なかなかの美形ではないでしょうか。
彼女がうわずった声でサビを熱唱するところで、ハートを射貫かれた人も多いかもしれません。
5位「気になるあの娘」(アルバム:シンクロニシティーン)
■曲名:気になるあの娘
■アルバム名:シンクロニシティーン
■動画リンク:「気になるあの娘」
さてそんなキャラ立ちしているやくしまるえつこですが、彼女は単なるバンドのお飾りではありませんでした。
彼女の活動は多岐に渡っています。
相対性理論以外にも、TUTU HELVETICA、やくしまるえつことd.v.d、熱海のピンチョン、ひらくし°名義でも活動しています。
またティカ・α名義で、楽曲提供もしていますし。
アルバム・ジャケットのイラストも彼女が書いていて、個展も開かれています。
現在はアート方面の活動も多く、音楽も彼女の創作の1つといった感じがします。
ただ彼女の音楽的才能は疑いようがありません。
それが確信できたのは「RADIO ONSEN EUTOPIA」というソロ・アルバムを聞いた時でした。
そのアルバムは、相対性理論と遜色ない傑作です。
先程申し上げた通り、このアルバムではやくしまるえつこも作曲に参加しました。
この曲は他のメンバーとの共同名義ですが、彼女のソロ・アルバムに近い感じがします。
このアルバムでは他に「ペペロンチーノ・キャンディ」「ミス・パラレルワールド」のクレジットにも名を連ねています。
「ミス・パラレルワールド」については、リンクだけ貼っておきましょう。
彼女はこのアルバムでバンドの核になれることを証明しました。
6位「ほうき星」(アルバム:TOWN AGE)
■曲名:ほうき星
■アルバム名:TOWN AGE
■動画リンク:「ほうき星」
このアルバムからメンバー構成が変わりました。
2012年ベースの真部脩一とドラムの西浦謙助が脱退し、それぞれ吉田匡と山口元輝がバンドに加わりました。
同じ頃Itokenも加入しています。
彼らは2009年に「ハイファイ新書」がリリースされると、一躍各方面から注目を浴びる存在になりました。
2010年には、渋谷慶一郎との共同名義で「アワーミュージック」を発表しています。
そのアルバムから、1曲ご紹介しておきましょう。
また同年2010年、大谷能生との共同名義で、以下のシングルを発表しています。
しかし様々な経験を積む中で、バンドの内に溝ができたらしく、先程の2人が脱退することになりました。
この曲はギターの永井聖一が書いた曲です。
彼ららしいヒネリはないものの、だからこそ純粋にメロディの良さが際立つ曲ではないでしょうか。
7位「さわやか会社員」(アルバム:ハイファイ新書)
■曲名:さわやか会社員
■アルバム名:ハイファイ新書
■動画リンク:「さわやか会社員」
このアルバムまでは、全曲の作詞作曲を真部脩一が担当していました。
彼の作風の特徴は、ある種のセンチメントや禁断性にあるかもしれません。
しかしこの曲のポイントは、サビにあるように思います。
サビの吐息みたいなところが、真部氏の狙いなのかなと。
こういう背徳的な表現は、女性の立場からは打ち出しにくいものです。
まるで妄想たくましい男が、無理やり若い女性に歌わせたかのような。
多くのリスナーは無意識に禁断の構図をイメージさせられ、気付いたら彼らの虜になっていました。
8位「小学館」(アルバム:シンクロニシティーン)
■曲名:小学館
■アルバム名:シンクロニシティーン
■動画リンク:「小学館」
彼らの音楽は洗練されています。
サウンドのセンスの良さは、日本でも屈指かもしれません。
この曲のギターはなんちゃって東洋風ですが、ギターのエフェクトなども含めて、批評性の高さを感じます。
またこの曲は、西浦謙助のドラムも聞きもの。
途中ドラムンベース風になる部分など、そのモダンなドラミングは、オールド・ロックとは違う今時のロックの魅力をよく表しています。
そこにやくしまるえつこのボーカルが乗ると、奇妙なバランスが発生しています。
まるで才人ぞろいの中に素人女性が混じったような、非対称な感じといいますか。
しかしそれにもかかわらず、やくしまるえつこが他を圧倒している感じがしないでもありません。
9位「ケルベロス」(アルバム:天声ジングル)
■曲名:ケルベロス
■アルバム名:天声ジングル
■動画リンク:「ケルベロス」
メンバー変更後2作目のアルバムです。
変更後の音楽性が、より固まってきた感じがします。
昔の方が良かったという人もいますが、私は必ずしもそうは思いません。
私は変化を肯定したいと思っています。
「ハイファイ新書」の禁断ロリ路線は、ある種の一発芸みたいなものですし、ずっとそのままではいられません。
当時は女子高生が主人公の曲も多いので、今後やくしまるえつこが年齢を重ねると、そういう曲を歌いにくくなることでしょう。
ツカミとしてはOKでしたし、破壊力は抜群でした。
しかし変わる必要があるならば、早めに変わった方がいいと思います。
彼らは楽曲と演奏、どちらでも勝負できる実力派バンドですから、キワモノ風のままでいるのはもったいないと思いますし。
このアルバムはストレンジなロック・ポップスとして、完成度の高い作品を届けてくれました。
実力派バンドとしての地位を、更に高めた名作だと思います。
10位「わたしは人類」(アルバム:調べる相対性理論)
■曲名:わたしは人類
■アルバム名:調べる相対性理論
■動画リンク:「わたしは人類」
彼らは普通のバンドと少し違った立ち位置なのかもしれません。
2012年6月に真部と西浦が脱退した後は、メンバーが流動的となり、参加メンバーや人数も時期により変動している。やくしまるえつこは、「相対性理論はソフトウェア」と語っている[4]。
そもそも彼らはレコード会社に所属していません。
自主レーベルみらいrecordsからアルバムをリリースしていますが、テレビなどに出演する機会が少なく、かなりマイペースに活動している印象があります。
とはいえバンドらしい活動もしていて、時々ライブも行っています。
彼らのライブはおもしろそうです。
近年の演奏では、ポップミュージックを軸としながらも、光を発するオリジナル9次元楽器「dimtakt」や、ジェスチャーや動きで音や映像・照明をコントロールする装置「YXMR Ghost“Objet”」(ヤクシマル・ゴースト・オブジェ)などの、やくしまるえつこオリジナル楽器の数々や、即興も交えたスペーシーなグルーヴから轟音フィードバックまでも駆使した独自のアンサンブルが特徴的であり[7][8]、海外アーティストとの共演や共作も多数行っている。
その一端が垣間見えるのが、上にご紹介したこの曲の動画です。
長い曲ですが、演出が工夫されていて、なかなか感動的ではないでしょうか。
近年の彼らの活動はアート色が強まっているように感じますが、これからはその路線で期待できそうです。
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