今回はソフト・マシーンのランキングを作成しました。
このバンドはメンバーと音楽性が頻繁に変わりました。
そのため個性を把握しにくいバンドだといえるでしょう。
この記事では、どの時期も聞きごたえがあるこのバンドの変遷をたどってみました。
- 1 1位「Moon in June」(アルバム:Third)
- 2 2位「The Soft Weed Factor」(アルバム:Six)
- 3 3位「Teeth」(アルバム:Fourth)
- 4 4位「As Long as He Lies Perfectly Still」(アルバム:Volume Two)
- 5 5位「Hazard Profile Part One」(アルバム:Bundles)
- 6 6位「Carol Ann」(アルバム:Seven)
- 7 7位「All White」(アルバム:Fifth)
- 8 8位「We Did It Again」(アルバム:The Soft Machine)
- 9 9位「The Tale of Taliesin」(アルバム:Softs)
- 10 10位「Out-Bloody-Rageous Pt. 2」(アルバム:Live at the Proms 1970)
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1位「Moon in June」(アルバム:Third)
■曲名:Moon in June
■曲名邦題:ムーン・イン・ジューン
■アルバム名:Third
■アルバム名邦題:3
■動画リンク:「Moon in June」
19分を超えるとても長い曲です。
ただ何はともあれ、この曲を聞いていただかなくてはこのバンドを語れません。
彼らの最高傑作のアルバムを決めるのは、かなり困難です。
時期によって音楽性が大きく異なる一方名作ぞろいなので、単純に比較しにくいのですね。
強いて決めたら「3」か「6」「7」のどれかかもしれません。
ただし代表曲を聞かれたら、この曲だと即答できます。
この曲の作曲者であり、前半部分をけん引するロバート・ワイアット(Robert Wyatt)のボーカルがあまりにすばらしい曲です。
この後の彼らはインスト中心に移行し、再び彼が歌うことはありませんでした。
2位「The Soft Weed Factor」(アルバム:Six)
■曲名:The Soft Weed Factor
■曲名邦題:ソフト・ウィード・ファクター
■アルバム名:Six
■アルバム名邦題:6
■動画リンク:「The Soft Weed Factor」
このアルバムの前に重要なメンバー変更がありました。
「3」から「5」までのジャズ・ロック路線をけん引した、エルトン・ディーンがバンドを去りました。
その代わりに後期のキーマン、カール・ジェンキンス(Karl Jenkins)が加入しています。
カール・ジェンキンスの特徴は、ミニマル・ミュージック色が強いこと。
この曲もカール・ジェンキンスが作曲しています。
この曲も繰り返しの箇所が多く、次々に展開していった従来とは真逆の曲といえるかもしれません。
ただ従来の路線を代表するマイク・ラトリッジとヒュー・ホッパーも健在です。
カール・ジェンキンスは前任のエルトン・ディーンと異なり、オーボエなども演奏できるマルチ・プレイヤーでした。
3位「Teeth」(アルバム:Fourth)
■曲名:Teeth
■曲名邦題:歯
■アルバム名:Fourth
■アルバム名邦題:4(フォース)
■動画リンク:「Teeth」
このアルバムでは前作までの中心人物、ロバート・ワイアットの存在感が後退しました。
その代わりに、以下の3人が前面に出てきました。
エルトン・ディーン (Elton Dean):サックス
マイク・ラトリッジ (Mike Ratledge):キーボード
ヒュー・ホッパー (Hugh Hopper) :ベース
この時期主導権を握っていたのは、アルバム・ジャケットで腕組みをしている男、マイク・ラトリッジとヒュー・ホッパーでした。
ちなみにマイク・ラトリッジの後ろに立っているのがロバート・ワイアット。
当時のバンドの力関係を表しているようで、興味深いジャケットです。
この時期既にソロ・アルバム「ジ・エンド・オブ・アン・イアー(The End of an Ear)」を発表していたロバート・ワイアットは、この後バンドを去りました。
4位「As Long as He Lies Perfectly Still」(アルバム:Volume Two)
■曲名:As Long as He Lies Perfectly Still
■曲名邦題:アズ・ロング・アズ・ヒー・ライズ・パーフェクトリー・スティル
■アルバム名:Volume Two
■アルバム名邦題:ヴォリューム2
■動画リンク:「As Long as He Lies Perfectly Still」
彼らのアルバムでは、最初の2枚が独特の存在感を放っています。
サイケデリック・ポップな作品ですから。
ケヴィン・エアーズが脱退したこの2枚目では、ロバート・ワイアットがその路線を引き継いでいます。
しかしその前にはゴング(Gong)で知られるデヴィッド・アレン(Daevid Allen)がリーダー格でした。
※名前はスペルミスではありません
当初の主導権を握っていたデヴィッド・アレンはデビュー前に脱退し、その後ファーストではケヴィン・エアーズが中心となり、そしてこのセカンドでは、ロバート・ワイアットへとバトンが渡されました。
このバンドは、常にリーダーが移り変わるのが特徴です。
そういうバンドは他にもありますが、このバンドほど頻繁なのは極めて稀だと思います。
5位「Hazard Profile Part One」(アルバム:Bundles)
■曲名:Hazard Profile Part One
■曲名邦題:ハザード・プロファイル
■アルバム名:Bundles
■アルバム名邦題:収束(バンドルズ)
■動画リンク:「Hazard Profile Part One」
彼らは「6」「7」の間、マイク・ラトリッジとカール・ジェンキンスの蜜月期が続きました。
しかしこのアルバムでは大きな変化がありました。
それは嵐を呼ぶ男、技巧派ギタリストのアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)の加入。
元々彼らはギター主体のバンドではありません。
初期はケヴィン・エアーズが、その後はヒュー・ホッパーが時々ギターを弾く程度でした。
その代わりにマイク・ラトリッジのオルガンにファズをかけることで、ギターの不在を補っていましたし。
しかしアラン・ホールズワースの加入で、彼らは一気にギター・バンド色を強めています。
この曲を聞く限り、アラン・ホールズワースのワンマン・バンドに聞こえてしまうほどです。
とはいえアラン・ホールズワースは、このアルバム限りで脱退しましたが。
6位「Carol Ann」(アルバム:Seven)
■曲名:Carol Ann
■曲名邦題:キャロル・アン
■アルバム名:Seven
■アルバム名邦題:7
■動画リンク:「Carol Ann」
このバンドの音楽性は一貫性がなくコロコロ変わります。
このアルバムの時オリジナル・メンバーはマイク・ラトリッジだけとなり、他の3人はニュークリアス(Nucleus)出身者です。
もはやソフト・マシーンとニュークリアス、どちらなのか分かりませんね(苦笑)
この時期はカール・ジェンキンスが主導権を握りつつありました。
かつての彼らは音楽に破綻の要素を持ち込んでいました。
それをフリージャズ志向と言う人もいます。
しかしカール・ジェンキンスが書いたこの曲には破綻は感じられません。
この曲はアンビニエントの曲です。
中心人物が変わってもいつも吉と出るのが、このバンドのおもしろいところです。
7位「All White」(アルバム:Fifth)
■曲名:All White
■曲名邦題:オール・ホワイト
■アルバム名:Fifth
■アルバム名邦題:5
■動画リンク:「All White」
ジャズ・ロック色が強い時期の曲です。
それはつまり演奏中心主義と言っていいかもしれません。
ちなみにジャズ・ロックとは、エレクトリック楽器を使用した即興性を重視したロックのこと。
その源流をたどるとマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「ビッチェズ・ブリュー(Bitches Brew)」前後の作品に行き着きます。
また彼らはカンタベリー・サウンドとも呼ばれます。
彼らの前身グループ、ワイルド・フラワーズ(The Wilde Flowers)は、カンタベリーの源流といえる存在でした。
ソフト・マシーンでは、マイク・ラトリッジがカンタベリー出身です。
ワイルド・フラワーズからは、キャラヴァン(Caravan)とソフト・マシーンが枝分かれしました。
キャラヴァンを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
8位「We Did It Again」(アルバム:The Soft Machine)
■曲名:We Did It Again
■曲名邦題:ウィ・ディド・イット・アゲイン
■アルバム名:The Soft Machine
■アルバム名邦題:ソフト・マシーン(アート・ロックの彗星)
■動画リンク:「We Did It Again」
ファースト・アルバムの曲です。
この頃はケヴィン・エアーズがバンドの主軸でした。
ちなみに私は、以前ケヴィン・エアーズの記事を書いています。
ケヴィン・エアーズ(Kevin Ayers)の名曲名盤10選
さてこのバンドの名前は、ウィリアム・バロウズ(William Burroughs)の小説から名付けられました。
ウィリアム・バロウズとはビート文学を代表する作家で、ロックにも影響を与えた人物です。
マイク・ラトリッジは、ウィリアム・バロウズに直接電話を掛けて「ソフト・マシーン」という名前の使用許諾を得たそうです(笑)
初期のソフト・マシーンは友人であったバロウズを含めて、ボヘミアン気質を持ったアーティストの集まりでした。
このアルバムでは、以下の曲もお気に入りです。
Soft Machine – A Certain Kind
※2:44から少しボリュームを下げてお聞きください
9位「The Tale of Taliesin」(アルバム:Softs)
■曲名:The Tale of Taliesin
■曲名邦題:テイルズ・オブ・タリエシン
■アルバム名:Softs
■アルバム名邦題:ソフツ
■動画リンク:「The Tale of Taliesin」
※曲の途中から始まるようにしています
このアルバムの前には、唯一の初期メンバーであったマイク・ラトリッジも脱退していました。
また前作ではギターのアラン・ホールズワースが圧倒的な存在を放ち、1枚限りで風のように去っていきました。
このアルバムでは代わりに元ダリル・ウェイズ・ウルフ(Darryl Way’s Wolf)のギタリスト、ジョン・エサリッジ(John Etheridge)が加入しています。
そのジョン・エサリッジも、このアルバム限りで脱退しましたが(苦笑)
この後彼らは、カール・ジェンキンス中心の「ランド・オブ・コケイン(Land of Cockayne)」を発表しました。
しかしソフト・マシーンらしいとは言い難い作品なので、この記事では対象外にしています。
その後カール・ジェンキンスは、アディエマス(Adiemus)というバンドで成功を収めました。
現在ソフト・マシーン名義ではジョン・エサリッジが中心人物のようです。
しかし個人的にはそのバンドをソフト・マシーンと呼んでいいのか疑問に思わなくもありません。
10位「Out-Bloody-Rageous Pt. 2」(アルバム:Live at the Proms 1970)
■曲名:Out-Bloody-Rageous Pt. 2
■曲名邦題:アウト・ブラッディー・レイジャス(パート2)
■アルバム名:Live at the Proms 1970
■アルバム名邦題:ライブ・アット・ザ・プロムス
■動画リンク:「Out-Bloody-Rageous Pt. 2」
今回のランキングでは、各アルバムから1曲ずつ選びました。
「Land of Cockayne」と「Hidden Details」からは除外しましたが。
その結果9曲まで枠が埋まりました。
そこで残り1曲をどうしようか考えましたが、最後のピースはライブ・アルバムから選曲することにしました。
彼らはライブ盤を沢山リリースしていますが、正直私も追いかけきれていません。
私が聞いた範囲で最も印象深いのが、このライブ。
アルバム名に1970とありますが、それはロバート・ワイアット在籍時ということを示しています。
ただ誰がこの曲を書いたのかと思ってクレジットを見たら、マイク・ラトリッジでした。
思えばマイク・ラトリッジは、その都度メンバーに合わせた男でした。
その順応性の高さこそが、ソフト・マシーンの屋台骨を支えていたのかもしれません。
初期はケヴィン・エアーズとロバート・ワイアット中心のバンドでした。
しかしその後長い間このバンドを支えたのは、マイク・ラトリッジという感じがします。
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