今回はティナリウェンのランキングを作成しました。
彼らの音楽は「砂漠のブルース」と呼ばれています。
サハラ砂漠の遊牧民族、トゥアレグ族の伝統音楽と西洋音楽が融合した楽曲の数々は、とても魅力的です。
ワールド・ミュージックに分類しましたが、ロック系リスナーにも気に入っていただけると思います。
- 1 1位「Cler Achel」(アルバム:Aman Iman: Water is Life)
- 2 2位「Hayati」(アルバム:Elwan)
- 3 3位「Kel Tinawen」(アルバム:Amadjar)
- 4 4位「Matadjem Yinmixan」(アルバム:Aman Iman: Water is Life)
- 5 5位「Tenhert」(アルバム:Imidiwan: Companions)
- 6 6位「Assawt」(アルバム:Elwan)
- 7 7位「Timadrit In Sahara」(アルバム:Emmaar)
- 8 8位「Tenere Taqqim Tossam」(アルバム:Tassili)
- 9 9位「Chet Boghassa」(アルバム:Amassakoul)
- 10 10位「Le Chant Des Fauves」(アルバム:The Radio Tisdas Sessions)
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1位「Cler Achel」(アルバム:Aman Iman: Water is Life)
■曲名:Cler Achel
■アルバム名:Aman Iman: Water is Life
■アルバム名邦題:アマン・イマン~水こそ命
■動画リンク:「Cler Achel」
彼らはマリのトゥアレグ族出身のグループです。
トゥアレグ族はサハラ砂漠の遊牧民で、人口は50万人位とのこと。
「アマン・イマン~水こそ命」というアルバム・タイトルにふさわしい出自といえるでしょう。
彼らはこのアルバムでブレイクした印象があります。
成功の影は、プロデューサーのジャズティン・アダムス(Justin Adams)の貢献があったかもしれません。
ジャスティン・アダムス自身の名義の曲をご紹介します。
ティナリウェンと似た部分がありますが、彼はもっと洗練さた音楽を志向していました。
ティナリウェンの音楽を多くの人に聞いてもらうのに最適な人選だったと思います。
2位「Hayati」(アルバム:Elwan)
■曲名:Hayati
■アルバム名:Elwan
■アルバム名邦題:エルワン ~エレファント
■動画リンク:「Hayati」
彼らをワールド・ミュージックに分類することに、違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。
というのは、彼らはロックなど西洋音楽の影響が色濃いからです。
ただワールド・ミュージックのアーティストの多くは、民族音楽が西洋音楽と出会って生まれたケースが多いです。
ここではあえて、彼らの音楽とロックの違いについて着目すべきかもしれません。
私が考える一番大きな違いは、反復による高揚感。
少しファンキーかもしれません。
思えばあまりに強烈なあのヌスラト・ファテー・アリー・ハーン(Nusrat Fateh Ali Khan)も、イスラム教音楽の人でした。
ヌスラトの音楽は、反復によってリスナーを高揚させるところに特徴がありました。
この曲ではロックと自然由来のトランス・ミュージックが融合しています。
3位「Kel Tinawen」(アルバム:Amadjar)
■曲名:Kel Tinawen
■アルバム名:Amadjar
■アルバム名邦題:アマジャー~名もなき旅人
■動画リンク:「Kel Tinawen」
このアルバムの名前「Amadjar」とは「未知の来訪者」という意味。
彼らはマリ出身のバンドです。
しかし彼らにとってマリという国は、愛しい祖国ではなかったかもしれません。
トゥアレグ族はマリに対して独立を求めており、2012年に発生した大規模な武装蜂起はマリ北部紛争と呼ばれる激しい戦いだったようです。
このバンドの中心人物は、イブラヒム・アグ・アルハビブ(Ibrahim Ag Alhabib)。
彼は4歳の時、1963年の独立運動に関与した父親が処刑されるのを目撃しています。
このバンドはレジスタンスの立場で結成されました。
この曲の名前「Kel Tinawen」は、タマシェク語で「砂漠の人々」もしくは「砂漠の少年たち」という意味だそうです。
彼らは最初からトゥアレグ族としてのアイデンティティが強いバンドだったのですね。
4位「Matadjem Yinmixan」(アルバム:Aman Iman: Water is Life)
■曲名:Matadjem Yinmixan
■アルバム名:Aman Iman: Water is Life
■アルバム名邦題:アマン・イマン~水こそ命
■動画リンク:「Matadjem Yinmixan」
彼らの最高傑作は人によって意見が異なると思います。
私はこのアルバムか、もしくは第60回グラミー賞で最優秀ワールドミュージック・アルバム賞を受賞した「Elwan」だと思います。
2012年にベスト・ワールドミュージック・アルバム賞を受賞した「Tassili」も有力候補ですが。
もし1枚に絞れと言われたら、私はこのアルバムを推します。
それはこのアルバムが、最初に聞いたティナリウェンのアルバムだったからかもしれません。
第一印象はかなり強烈でした。
当時ミュージック・マガジンでも強烈にプッシュされていた記憶があります。
5位「Tenhert」(アルバム:Imidiwan: Companions)
■曲名:Tenhert
■アルバム名:Imidiwan: Companions
■アルバム名邦題:イミディワン~アフリカの仲間たち
■動画リンク:「Tenhert」
彼らの音楽は「砂漠のブルース」と呼ばれています。
ただ彼らの音楽はそのネーミングに反して、普通のブルースとは異なる音楽だと思います。
あくまで表面的な呼び名で、形式的にはブルースといえないかもしれません。
しかしそれにもかかわらず、彼らの音楽はブルース好きに気に入られそうな感じもします。
私はこのバンドを普通のロック好きに聞かせたことがありますが、普通に気に入ってもらえました。
彼らの音楽は、意外と幅広い層に受け入れられるかもしれません。
ロックとかブルースとかワールドとか関係なく、普通にカッコいい音楽だと思います。
意外な汎用性の高さ、それも彼らの魅力です。
6位「Assawt」(アルバム:Elwan)
■曲名:Assawt
■アルバム名:Elwan
■アルバム名邦題:エルワン ~エレファント
■動画リンク:「Assawt」
先程彼らの音楽は西洋音楽の影響を受けていると書きました。
ここではトゥアレグ族の側から、彼らの音楽について述べてみます。
彼らの音楽はギターが主体ですが、これはトゥアレグ族のアソフと言われるスタイルのようです。
そういえば彼らに影響を与えたアリ・ファルカ・トゥーレ(Ali Farka Toure)も、砂漠のギタリストでした。
ちなみにティナリウェンを気に入ったら、同じくドゥアレグ族の以下の曲を聞いてみてください。
Imarhan N’Tinezraf – Ed Eslegh
ティナリウェンの音楽はすばらしいですが、彼らだけが突出しているわけではありません。
トゥアレグ民族の勝利というべきかもしれません。
7位「Timadrit In Sahara」(アルバム:Emmaar)
■曲名:Timadrit In Sahara
■アルバム名:Emmaar
■アルバム名邦題:エンマー~灼熱の風~
■動画リンク:「Timadrit In Sahara」
先程彼らがトゥアレグ族の独立を夢見ていたと書きました。
しかし単純な対立構図ではないようです。
2012年のトゥアレグ族の反乱の後、彼らはトゥアレグ族から追放されました。
その過程で、イスラム過激派がギタリストのアブダラ・アグ・ラミダ(Abdallah Ag Lamida)を誘拐した事件もあったようです。
マリの内紛が激化した結果、彼らは身の安全を確保するため、アメリカに移住することにしました。
このアルバムは、アメリカのヨッシャトゥリー国立公園の近くでレコーディングされています。
なんでも彼らは故郷と同じく砂漠があることが気に入ったのだとか。
そのせいか、このアルバムはU2の「ヨシュア・トゥリー(The Joshua Tree)」に似た雰囲気があります。
8位「Tenere Taqqim Tossam」(アルバム:Tassili)
■曲名:Tenere Taqqim Tossam
■アルバム名:Tassili
■アルバム名邦題:タッシリ
■動画リンク:「Tenere Taqqim Tossam」
彼らは「Aman Iman: Water is Life」でブレイクし、このアルバムで更に名声を高めました。
その間彼らは多くの有名アーティストから絶賛されました。
その中にはトム・ヨーク(Thom Yorke)、デーモン・アルバーン(Damon Albarn)、ブライアン・イーノ(Brian Eno)も含まれています。
彼らは世の中のほとんどの音楽に飽き飽きしている種類の人間です。
しかしティナリウェンは新奇性のある音楽で、彼らの知的好奇心を満たしました。
彼らの音楽は通常のロックとは少しずれていますが、その独自の進化はスタイリッシュで洗練されています。
私は実力派ロックバンドが、中東モード取り入れた感じがします。
古さと新しさが同時に成立している不思議な音楽かもしれません。
9位「Chet Boghassa」(アルバム:Amassakoul)
■曲名:Chet Boghassa
■アルバム名:Amassakoul
■アルバム名邦題:アマサクル
■動画リンク:「Chet Boghassa」
私が彼らの記事を書こうと思ったのは、ダイアー・ストレイツ(Dire Straits)の記事を書いていた時です。
ティナリウェンのギターのプレイ・スタイルが、マーク・ノップラー(Mark Knopfler)に少し似ていると思いました。
実際ティナリウェンは、ダイアーストレイツに影響を受けていると知って驚きましたが。
ここではもう一つ、彼らのメロディについて触れておきます。
といっても私は彼ら独自の旋律について、詳細を語れるほどの知見はありません。
ただ中東にルーツを持つシステム・オブ・ア・ダウン(System of a Down)のメロディに似た部分があると感じます。
この曲のメロディには官能と陶酔感がありますね。
そのエキゾチックな感覚が魅力的です。
10位「Le Chant Des Fauves」(アルバム:The Radio Tisdas Sessions)
■曲名:Le Chant Des Fauves
■アルバム名:The Radio Tisdas Sessions
■アルバム名邦題:ザ・レイディオ・ティスダス・セッションズ
■動画リンク:「Le Chant Des Fauves」
彼らの音楽は「反逆の音楽」だと言われます。
実際彼らは兵士で、メンバーは戦場で出会っていますし。
彼らは1979年リビアの革命戦士キャンプで出会って結成されました。
その後彼らはマリに帰国し、マリ政府に対して宣戦布告して戦いました。
ただ1991年の和平調停をきっかけに、彼らは反政府勢力から離れ、音楽に専念することになりました。
彼らがデビューしたのは2001年ですから、それから10年間の準備期間がありましたが。
このアルバムから、もう1曲ご紹介しておきましょう。
このアルバムは、現地ラジオ局のスタジオを借りてレコーディングされました。
この2曲を聞く限り、2001年の時点で既に彼らは完成されていたように思います。
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