今回はエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)のランキングを作成しました。
彼らは一般的にプログレと分類されています。
しかし私などは、ハードロックのバンドとして聞いた方がいいのではないかと思うことがあります。
そこで今回はそういう観点+αで選曲してみました。
プログレにしてはホットすぎる彼らの魅力をご堪能ください。
- 1 1位「Nut Rocker」(アルバム:Pictures At An Exhibition)
- 2 2位「Jerusalem」(アルバム:Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends…Ladies And Gentlemen)
- 3 3位「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1」(アルバム:Brain Salad Surgery)
- 4 4位「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2」(アルバム:Brain Salad Surgery)
- 5 5位「Knife Edge」(アルバム:Emerson, Lake And Palmer)
- 6 6位「From the Beginning」(アルバム:Trilogy)
- 7 7位「Hoedown」(アルバム:Trilogy)
- 8 8位「Canario」(アルバム:Love Beach)
- 9 9位「Tarkus」(アルバム:Tarkus)
- 10 10位「Maple Leaf Rag(Live)」(アルバム:Works Volume 2 (Deluxe Edition))
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1位「Nut Rocker」(アルバム:Pictures At An Exhibition)
■曲名:Nut Rocker
■曲名邦題:ナットロッカー
■アルバム名:Pictures At An Exhibition
■アルバム名邦題:展覧会の絵
■動画リンク:「Nut Rocker」
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このアルバムはムソルグスキー(Mussorgsky)の「展覧会の絵」を、ロックバンドのフォーマットで再現したものです。
当初はライブで演奏しただけで、発売する予定はありませんでした。
しかし海賊版として出回ってしまったため、急遽正式にリリースしたという経緯があるそうです。
ただこの曲は「展覧会の絵」の曲ではありません。
展覧会の絵+アンコールのナット・ロッカー(チャイコフスキーの『くるみ割り人形』の一曲である「行進曲」をロック調にアレンジしたもの。
実はB.Bumble & The Stingersが1962年に出したNut Rockerのカバー)という構成の1枚組アルバムとしてリリースした。
つまり「くるみ割り人形」の曲なのですね。
それも参考となる元ネタがあったようです。そちらのリンクも貼っておきましょう。
B.Bumble & The Stingers – Nut Rocker
出来としてはELPの圧勝ですが、アイデアを与えてくれたことに感謝すべきでしょうね。
インストは苦手という人も、こういう曲だったら楽しめるのではないでしょうか。
速度を上げすぎたメリーゴーランドといった感じの曲です。
2位「Jerusalem」(アルバム:Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends…Ladies And Gentlemen)
■曲名:Jerusalem
■曲名邦題:聖地エルサレム
■アルバム名:Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends…Ladies And Gentlemen
■アルバム名邦題:レディース・アンド・ジェントルメン
■動画リンク:「Jerusalem」
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こちらもライブ・アルバムからの選曲です。
彼らはスタジオ録音よりライブの方がいいと言われることが多いのですが、私は必ずしもそうは思いません。
彼らのライブでは時に荒すぎたり、走りすぎることがあるからです。
しかしこの曲などは、臨場感のあるライブバージョンの方がいいと思います。
音質は悪いですけどね。
この曲はグレッグ・レイクのボーカルが映えています。
この人はキング・クリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)」で、ボーカルとベースを担当していました。
あの名曲「ムーンチャイルド(Moonchild)」もこの人が歌っていたのですが、こちらの曲も名唱ですね、
この曲はウィリアム・ブレイクの詩を合唱曲にしたものがオリジナルで、この曲はカバー曲です。
日本ではなじみがありませんが、イギリスでは国民的な歌らしいです。
こちらも元ネタを貼っておきましょう。
しかしグレッグの歌は、大勢の合唱にも負けていませんね。
3位「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1」(アルバム:Brain Salad Surgery)
■曲名:Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1
■曲名邦題:悪の教典#9 第1印象 パート1
■アルバム名:Brain Salad Surgery
■アルバム名邦題:恐怖の頭脳改革
■動画リンク:「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 1」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
このアルバムは彼らの最高傑作と言われています。
私も同意します。
このアルバムは大半を「悪の教典#9(Karn Evil 9)」という組曲が占めているのですが、この曲はその冒頭を飾っています。
最初で書いたように、私は彼らをブリティッシュ・ハードロックとして聞いているようなところがあります。
普通のプログレのバンドと違って、彼らの音楽はもっと直接的に人を熱狂させるところがあります。
この曲も普通のロックみたいな始まり方をしていますが、2:18あたりから、がぜん演奏が熱を帯び始めます。
通常ハードロックのバンドでは、ギターがサウンドの中心的な役割を担います。
ELPもグレッグがギターを弾くこともありますが、ほとんどはキース・エマーソンがキーボードを弾き倒して終わります。
ギターの不在を感じさせる暇を与えず。
キースのキーボードは、人を熱狂させるという点では頂点の一人です。
彼の演奏は熱狂のうちに人の心をつかみ、リスナーをふりまわしてくれます。
4位「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2」(アルバム:Brain Salad Surgery)
■曲名:Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2
■曲名邦題:悪の教典#9 第1印象 パート2
■アルバム名:Brain Salad Surgery
■アルバム名邦題:恐怖の頭脳改革
■動画リンク:「Karn Evil 9: 1st Impression-Part 2」
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この曲は先程の曲の続きです。
こちらもハードロック寄りで、前曲の熱狂をそのまま引き継いでいます。
相変わらずキースのキーボードは絶好調ですが、ここではカール・パーマーのドラムに注目してみましょう。
彼のドラムの魅力について私なりの表現をすると、闘将タイプのドラマーです。
はっきり言ってプレイは荒いです。
小技を駆使する業師タイプとか正確なタイムキーパータイプではなく、ラフにガンガン攻めていくという感じです。
よくサッカーでも攻撃的なゴールキーパーっていますよね。
積極的に前に出てボールをキャッチし、すぐに味方に攻め上がるようあおるタイプ。
私のイメージでは、カールのドラムはそれです。
特に2:55からの演奏は、そんな感じがしないでしょうか。
しかしそれがキースのパンクなキーボードと相性が良かったことが、このバンドを特別な存在にしました。
最後にこのアルバムは、H・R・ギーガーの作品です。
好き嫌いは分かれるでしょうが、とても印象に残るジャケットではないでしょうか。
5位「Knife Edge」(アルバム:Emerson, Lake And Palmer)
■曲名:Knife Edge
■曲名邦題:ナイフ・エッジ
■アルバム名:Emerson, Lake And Palmer
■アルバム名邦題:エマーソン・レイク・アンド・パーマー
■動画リンク:「Knife Edge」
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彼らは結成時から「スーパーグループ」と呼ばれ、注目の的でした。
というのも、彼らは既にそれぞれの出身バンドで有名な存在だったからです。
整理しておきましょう。
・キース・エマーソン(Keith Emerson):ギター担当
※ナイス(The Nice)出身
・グレッグ・レイク(Greg Lake):ボーカル、ベース、ギター担当
※キング・クリムゾン(King Crimson)出身
・カール・パーマー(Carl Palmer):ドラム担当
※アトミック・ルースター(Atomic Rooster)出身
私は小学生の頃、中古のロック・ディスクガイドを買って、どんな音楽だろうと想像しながら何度も読み返していました。
それらの本でこのバンドについて必ず書かれていたのが、デビュー時の彼らがどんなに人気があったかということです。
ウィキペディアにもこう書いてあります。
エマーソンはメロディー・メーカー誌の人気投票でトップとなり、バンドもブライテスト・ホープ一位を獲得している。
ただ当時の私にとってELPはとても難しい音楽でしたし、なぜこんなに売れたのかとても不思議でした。
音楽的に新しくてすぐれていたからですけどね。
ただ当時はアイドル的な人気もあったようです。
このベスト盤のジャケットをご覧ください。
イケメンたちがこんなスリリングな曲を演奏していたのですから、売れて当然だったと思います。
6位「From the Beginning」(アルバム:Trilogy)
■曲名:From the Beginning
■曲名邦題:フロム・ザ・ビギニング
■アルバム名:Trilogy
■アルバム名邦題:トリロジー
■動画リンク:「From the Beginning」
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ここではグレッグ・レイクについて触れていきたいと思います。
彼はバンド内では、ボーカルとベースを担当していますが、ギターも演奏しています。
この曲はグレッグの独壇場といった曲ではないでしょうか。
このバンドのカラーは、イマジネーションあふれる演奏でガンガン行くキース、そして手数が多く疾走するカールという2人が決めているようなところがあります。
しかしそこには、引きの美学がありません。
その弱点を埋めていたのが、グレッグのこういう曲です。
彼は当初から時々こういう曲を提供していました。
ファーストでは「石をとれ(Take A Pebble)」「ラッキー・マン(Lucky Man)」を提供していました。
私は彼らのハードな面が好きですが、そういう私でさえ時にはこういう曲で、一息つきたいと思うことがあります。
グレッグの書く曲は、美しいけれど甘さ控えめなところがとても好ましいと思います。
7位「Hoedown」(アルバム:Trilogy)
■曲名:Hoedown
■曲名邦題:ホウダウン
■アルバム名:Trilogy
■アルバム名邦題:トリロジー
■動画リンク:「Hoedown」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
この曲はオリジナルではありません。
コープランド(Copland)の組曲「ロデオ(Rodeo)」の中の1曲をカバーしています。
これまでご紹介した他の曲と同様、オリジナルはクラシックの曲というわけです。
そちらのリンクも貼っておきましょう。
Hoe-down from “Rodeo” (Copland)
私はクラシックにあまり詳しくありませんが、こういう風に自分の知っている曲のオリジナルから、クラシックに親しんでいくのもありかもしれませんね。
このアルバムは「Pictures At An Exhibition」と「Brain Salad Surgery」の間にリリースされた、通算4枚目のアルバムです。
彼らはよく「プログレッシブ・ロック四天王」とか「プログレッシブ・ロック5大バンド」と呼ばれています。
しかし全盛期といえるのは、その内4-5年にすぎません。
それにもかかわらず、レジェンド入りしているということは、短い間に出したアルバムがどれも傑作ぞろいだからです。
このアルバムは中でも一番地味なアルバムですが、根強い人気を誇るアルバムです。
8位「Canario」(アルバム:Love Beach)
■曲名:Canario
■曲名邦題:キャナリオ
■アルバム名:Love Beach
■アルバム名邦題:ラヴ・ビーチ
■動画リンク:「Canario」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
彼らの全盛期は1970年のファーストアルバムから、1974年のライブアルバムまでと言われています。
それに異を唱える人はほとんどいません。
というのは、その後は急激に失速していくからです。
しかもその落差が激しく、私は「Brain Salad Surgery」の次作「Works Volume 1」を最初聞いた時、本当に同じバンドかと思ったほどでした。
実際彼らのモチベーションも落ちていたようですが。
さてこの曲はラストアルバムから選曲しました。
全盛期を過ぎた彼らはどんどん曲がポップになっていきましたが、このアルバムはその極みといった感じがします。
特に前半は気が抜けたような曲が多く、昔聞いた時は失望したものです。
今回改めて聞き返しても、感想は変わりません。
しかしこの曲と次曲「将校と紳士の回顧録(Memoirs of an Officer and a Gentleman)」は素通りできません。
特にこの曲は、低調期の中ではベストといえる出来です。
ちなみに彼らは1980年に一度解散して、その後1986年カールの代わりにコージー・パウエル(Cozy Powell)をドラムに迎えた「エマーソン、レイク&パウエル(Emerson Lake & Powell)」を発表しています。
9位「Tarkus」(アルバム:Tarkus)
■曲名:Tarkus
■曲名邦題:タルカス
■アルバム名:Tarkus
■アルバム名邦題:タルカス
■動画リンク:「Tarkus」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
彼らの最高傑作は意見が分かれます。
一般的にはこのアルバムか「Brain Salad Surgery」という意見が多いと思いますが、私は「Brain Salad Surgery」派です。
しかし「Tarkus」派が根拠とするこの曲の魅力は、認めざるを得ません。
本来もっと上の順位でご紹介したいところですが、これまでの中で彼らの魅力が理解できた方だけ、じっくりこの長い曲を楽しんでいただきたいと思い、あえてこの順位にしました。
なにせ20分を超えますからね。
特にキースの演奏がすばらしく、次から次へとアイデアがあふれ出てくるかのようです。
2:57からようやくボーカルが入りますが、その後4:02ぐらいからのパーカッシブな演奏からスイッチが入っています。
オルガンとムーグの使い分けも効果的ですね。
20分もある曲なので全部聞けないという方は、試しに3分手前から数分だけ聞いてみてください。
ちなみにタルカスとは、ジャケットにある戦車とアルマジロが合体したような動物のこと。
突如地球に現れて世界を破壊しまくるという設定です。
またこの組曲には「マンティコア(Manticore)」という曲名がありますが、以下の人面サソリのことです。
物語としては、マンティコアがタルカスに致命傷を負わせ、タルカスは海に帰って物語が完結しています。
「マンティコア」は、後に彼らが所属するレーベルの名前にも採用されましたが、上の絵を見るとあまり正義の味方っぽくありませんね。
ちなみにこんな逸話が残っています。
当初グレッグ・レイクはこの作品のコンセプトに興味を抱かずに、キース・エマーソンに「ソロでやれば?」と冷たく言い放ったというエピソードがある。
グレッグ、ストレートすぎです(笑)
10位「Maple Leaf Rag(Live)」(アルバム:Works Volume 2 (Deluxe Edition))
■曲名:Maple Leaf Rag(Live)
■曲名邦題:メイプル・リーフ・ラグ(ライブ)
■アルバム名:Works Volume 2 (Deluxe Edition)
■アルバム名邦題:作品第2番(デラックス・エディション)
■動画リンク:「Maple Leaf Rag(Live)」
■Amazon:このアルバムについて、他のレビューを読みたい方はこちらから
キース・エマーソンについては、クラシックをロック的に演奏したキーボード奏者だと言われることがあります。
しかし彼の演奏を聞くと、ジャズの影響も伺えます。
しかもモダン・ジャズよりもっと古いジャズの香りがしますね。
実際この曲はジャズ・ピアニスト、スコット・ジョプリン(Scott Joplin)の曲のカバーですし。
この曲が最初に発表されたのが1899年ですから、第一次世界大戦の開戦よりも15年も前という古さです。
スタイル的にはラグタイム・ピアノと呼ばれていますが、キースの演奏は明らかにラグタイムの影響を受けています。
そういえば1位に挙げた「Nut Rocker」も、この曲と同じくラグタイムっぽいところが感じられないでしょうか。
この曲はスタジオ・バージョンの方でシングルカットされていますが、私はデラックス・エディションに収録されているこちらのライブ・バージョンの方が好みです。
しかしキレッキレでパンキッシュなラグタイム・ピアノは最高です。
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