今回は井上陽水のランキングを作成しました。
この人の魅力は少しつかみどころがないように思います。
しかし同時に、すごい才能の持ち主であることは疑いようがありません。
この記事では彼のどこがすごいのか、私なりの考えをまとめてみました。
1位「少年時代」(アルバム:ハンサムボーイ)
■曲名:少年時代
■アルバム名:ハンサムボーイ
■動画リンク:「少年時代」
この曲は有名曲でありヒット曲ですから、ご存じの方も多いと思います。
私はパンクやオルタナ・ロックを聞いて育ったので、本来こういう曲はあまりなじみがありません。
しかしこの曲は純粋に音楽としてすばらしいと思います。
この曲は数奇な運命をたどっています。
元々はこの曲は荻野目洋子のシングルのB面用として書かれました。
しかしあまりにも出来が良いので、提供せず違う曲に差し替えることにしたそうです。
その後彼はこの曲の存在を忘れていました。
ある時彼は藤子不二雄Ⓐから「少年時代」という映画の主題曲を依頼されました。
そんなある日共作者の平井夏美が、この曲こそ映画にふさわしいと推薦したのだそうです。
それが今では教科書に掲載される曲になりました。
確かにB面曲で終わるには、もったいなかった曲かもしれません。
2位「夢の中へ」(アルバム:GOLDEN BEST)
■曲名:夢の中へ
■アルバム名:GOLDEN BEST
■動画リンク:「夢の中へ」
この曲は斉藤由貴のバージョンの方が有名かもしれません。
元々この曲は1973年3月1日、井上陽水自身の曲としてシングルカットされました。
「陽水II センチメンタル」と「氷の世界」の間です。
この曲はイントロのギターが印象的です。
しかしなんというキャッチーなギターでしょうか。
このアレンジは、モップスでギターを弾いていた星勝によるものでした。
以降星勝は長い間、井上陽水にアレンジを提供しました。
星勝は、RCサクセションの「ヒッピーに捧ぐ」「スローバラード」、上田正樹の「悲しい色やね」などのアレンジを提供しています。
彼は決定的な仕事ができるアレンジャーなのですね。
初期の井上陽水を語る上で欠かせない人です。
3位「帰れない二人」(アルバム:氷の世界)
■曲名:帰れない二人
■アルバム名:氷の世界
■動画リンク:「帰れない二人」
この曲は忌野清志郎との共作です。
当時はまだRCサクセションは売れていませんでした。
そんなある日井上陽水は、一緒に曲をつくろうと清志郎を呼び出して、その結果できたのがこの曲なのだとか。
当時陽水は24歳、清志郎は22歳。
まさに「類は友を呼ぶ」ですね。
ちなみにこのアルバム・ジャケットには、清志郎のギターが掲載されています(笑)
この作品は当時としては異例の100万枚を超えるミリオン・ヒットを記録しました。
忌野清志郎はこの曲の印税収入で、RCサクセションのブレイクまで食いつないだそうです。
4位「紙飛行機」(アルバム:陽水II センチメンタル)
■曲名:紙飛行機
■アルバム名:陽水II センチメンタル
■動画リンク:「紙飛行機」
もし私が彼らの最高傑作を聞かれたら、到底1枚に絞れません。
悩んだ末「陽水II センチメンタル」「氷の世界」のどちらかだと答えます。
デビュー・アルバムの「断絶」を含めて、初期3作はどれも私にとって特別な存在感を持っています。
当時の彼の音楽は、あまりにも独特の世界であるがゆえ誰かと比較できません。
しいていえば初期のRCサクセションぐらいでしょうか
完成度という尺度では到底計りきれない、独特の魅力を放つ音楽です
既成の枠からはみ出した生々しさをそのまま詰め込んだような、それゆえバランスの悪い音楽かもしれません。
しかし私はむしろそれがいいと感じます。
5位「氷の世界」(アルバム:氷の世界)
■曲名:氷の世界
■アルバム名:氷の世界
■動画リンク:「氷の世界」
このアルバムは、アルバム名とジャケットのイメージが一致しています。
ちなみにジャケットは偶然できたそうです。
アルバムジャケットを撮影した中村冬夫によると、とある事情でネガを現像液に浸けておく時間が長くなり、あの独特の白い感じになったとの事。
そしてこの曲にはこんな歌詞があります。
人を傷つけたいな 誰かを傷つけたいな
だけどできない理由はやっぱりただ自分が怖いだけなんだな
日本語が自由すぎますね(笑)
思っていても書くかという気もしますし。
ただその分表現できる範囲が広いですし、不思議と刺さります。
6位「なぜか上海」(アルバム:スニーカーダンサー)
■曲名:なぜか上海
■アルバム名:スニーカーダンサー
■動画リンク:「なぜか上海」
この作品はフォーライフ・レコードからリリースされました。
フォーライフ・レコードは普通のレコード会社とは違った存在でした。
小室等・吉田拓郎・井上陽水・泉谷しげるといった当時人気のフォークシンガー4人が1975年に設立したレコード会社[7][8][9]。
つまりミュージシャンが設立した、自主性を重んじたレーベルなのですね。
井上陽水は時に吉田拓郎と対立しながらも、フォーライフの倒産まで在籍し続けました。
彼は所属アーティストとしてヒット曲を連発し、最後まで経済的に会社を支え続けました。
7位「能古島の片想い」(アルバム:陽水II センチメンタル)
■曲名:能古島の片想い
■アルバム名:陽水II センチメンタル
■動画リンク:「能古島の片想い」
井上陽水は福岡県の出身で、この曲の地名「能古島」も福岡県の島です。
何か思い出があるのでしょうか。
初期の彼は、時々プライベートが歌に反映されていました。
たとえばファースト・アルバムの「断絶」に収録された「人生が二度あれば」という曲は、家業の歯科医を継ぐことができなかった罪悪感が背景にあると言われています。
その意味で初期の彼は、フォーク・ミュージックっぽいところがあったかもしれません。
ただ彼は中三の時からビートルズに夢中だったそうですが。
彼の音楽はカテゴライズしにくいかもしれません。
ロックに影響を受けていたとしても、必ずしもロック的ではありませんし。
「井上陽水の音楽」としか言いようがないところがあります。
8位「傘がない」(アルバム:断絶)
■曲名:傘がない
■アルバム名:断絶
■動画リンク:「傘がない」
デビュー・アルバムの曲です。
彼はアルバム・デビュー前は、アンドレ・カンドレという名前で活動していました。
当時の彼はこんな感じだったようです。
この当時の陽水をよく知る高石ともやは、陽水の印象を「ギター1本で客ひとりひとりをねじ伏せるような歌だった。
彼の言葉はとても鋭く、近づけないような雰囲気だった。
演奏している背中を見ると、なんだか切なかったことを覚えている」と語っている[6]。
彼は個性が強すぎて、彼の音楽を聞く時リスナーは彼の土俵に上がらなければいけません。
しかもその音楽にはリスナーが既存の枠組みを外さないと理解できない、消化が悪そうでいびつなものを含んでいます。
私は若いアーティストに、この人を参考にしてほしいと思っています。
特に恐れず自分の個性を打ち出すところを。
もちろんリスナーに居心地悪い思いをさせてしまうこともあるでしょう。
しかしそこから更に突き抜けると、結果がついてくるかもしれません。
9位「はじまり」(アルバム:氷の世界)
■曲名:はじまり
■アルバム名:氷の世界
■動画リンク:「はじまり」
この曲は「あかずの踏切」と切れ目なく続いています。
しかし上の動画では「はじまり」から再生されるように設定しました。
わずか40秒ですが、私は結構好きな曲です。
こんな良いのに40秒だけとは随分もったいないですが、元々彼はこういう人なのでしょう。
計算を感じさせず、天然で欲を感じさせません。
ウィキペディアにこんなエピソードがありました。
水谷豊にも多くの楽曲を提供したが、初対面のレコーディングの際はほとんど会話が無かったという。
それにもかかわらず「今日家に来ない?」と持ちかけ、水谷はその不思議な雰囲気に戸惑いながらも応諾する。
翌日、水谷は勧められるまま、鰻丼を食べたり近所の公園でキャッチボールをしたという[43]。
確かに彼は器用ではなく、一風変わった人かもしれません。
しかし同時にとても風通しが良く、人懐こいところが魅力の人だと思います。
10位「太陽の町」(アルバム:二色の独楽)
■曲名:太陽の町
■アルバム名:二色の独楽
■動画リンク:「太陽の町」
初期3作の井上陽水の音楽は、暗くて1人でしか聞けないところが気に入っています。
しかしこの4枚目からは、サウンドが明るくなり洗練されてきました。
この曲もその1曲。
しかしそれでも依然彼は魅力的であり続けました。
彼は屈指のメロディメイカーですが、簡単に消化されない独特の成分を含んでいます。
いつまでも彼の音楽の謎を解明できず、そのせいで長く聞ける音楽になります。
しかし彼はそんな風にとらえどころがないまま、大物アーティストであり続けました。
最後に彼が「招待状のないショー」に同封したメッセージを引用して、この記事を終えたいと思います。
外国へ旅に出たいと思わない
車を運転したいという欲求がまるでない
家を一軒持ちたいと思う気持もさほどない
すてきなスーツでということもない
酒の銘柄にコル程,飲めないし
友達と話す事は特別,楽しい事でもないし
極めてたいくつなことでもない歌を作ったり唄ったりすることに費す時間が
同業者と比べてすこぶる少ない
レコードを聞く事は月一回あるかないかで
ラジオを聞く事はまずない
自分の職業に格別の誇りもなければ
これといってうしろめたい事もない
本当にナイナイづくしだが,
マージャンはヤル. 麻雀だけはとことんヤル
これはもう, まいってしまう
いやー たまらん 麻雀井上陽水
彼の魅力のコアは、こういうボヘミアン気質にあるのかもしれません。
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