今回はアレサ・フランクリンのランキングを作成しました。
音楽初心者にアレサ・フランクリンの良さを知ってもらえるよう、聞きやすい曲を中心に選曲しました。
フリーソウルっぽい曲が多いかもしれません。
この卓越したシンガーの魅力の一端をご紹介してみました。
- 1 1位「I Say a Little Prayer」(アルバム:Aretha Now)
- 2 2位「Don’t Go Breaking My Heart」(アルバム:With Everything I Feel in Me)
- 3 3位「Don’t Let Me Lose This Dream」(アルバム:I Never Loved a Man the Way I Love You)
- 4 4位「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」(アルバム:Lady Soul)
- 5 5位「April Fools」(アルバム:Young, Gifted and Black)
- 6 6位「Make It with You」(アルバム:Aretha Live at Fillmore West)
- 7 7位「Look into Your Heart」(アルバム:Sparkle)
- 8 8位「Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do)」(アルバム:Let Me in Your Life)
- 9 9位「Oh No Not My Baby」(アルバム:Spirit in the Dark)
- 10 10位「Day Dreaming」(アルバム:Young, Gifted and Black)
- 11 番外編「Elusive Butterfly」(アルバム:Soul ’69)
- 12 関連記事
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- 14 他ブログ・SNS等
1位「I Say a Little Prayer」(アルバム:Aretha Now)
■曲名:I Say a Little Prayer
■曲名邦題:小さな願い
■アルバム名:Aretha Now
■アルバム名邦題:アレサ・ナウ
■動画リンク:「I Say a Little Prayer」
この曲はボーカルものでは、アレサのバージョンが決定版です。
ちなみにボーカルなしだとローランド・カーク(Roland Kirk)の演奏がおすすめです。
勝因はアレサが少し抑えめに歌っていること。
アレサはボーカルの表現力だけでなく、曲の解釈も怪物級の人で、曲を自分色に染め上げてしまうところがあります。
その結果良い楽曲ではないのに、名曲となった例が沢山あります。
しかしこの曲はオリジナルがかなりの名曲ですから、できればあまり曲の雰囲気を変えてほしくありません。
アレサはこの曲のメロディをあまり崩していませんが、それでも一流の歌を聞かせてくれています。
アレサは派手な歌唱だけの人ではありません。
2位「Don’t Go Breaking My Heart」(アルバム:With Everything I Feel in Me)
■曲名:Don’t Go Breaking My Heart
■曲名邦題:ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート
■アルバム名:With Everything I Feel in Me
■アルバム名邦題:燃える愛の炎
■動画リンク:「Don’t Go Breaking My Heart」
一方この曲では彼女の奔放さが魅力です。
アルバムジャケットも奔放すぎて、気まずいというか、掲載するのがためらわれてしまいますが。。。
このアルバムは1974年にリリースされて、チャック・レイニー(Chuck Rainey)、リチャード・ティー(Richard Tee)、バーナード・パーディ(Bernard Purdie)など、新しい感覚のミュージシャンたちがサポートしています。
アレサ・フランクリンは時代の変化に順応できた人で、時期によってスタイルを変えています。
デビュー時も泥くさいサザン・ソウルを歌っていましたが、当時はサザン・ソウルがヒットチャートで1位を取れる時代でした。
私が一番好きなのはニューソウルっぽいこの頃で、この時期を多めに選曲してみました。
このアルバムでは他に、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の「アイ・ラヴ・エヴリ・リトル・シング(I Love Every Little Thing About You)」などもカバーしています。
3位「Don’t Let Me Lose This Dream」(アルバム:I Never Loved a Man the Way I Love You)
■曲名:Don’t Let Me Lose This Dream
■曲名邦題:夢をさまさないで
■アルバム名:I Never Loved a Man the Way I Love You
■アルバム名邦題:貴方だけを愛して
■動画リンク:「Don’t Let Me Lose This Dream」
この曲はダスティ・スプリングフィールド(Dusty Springfield)も歌っていて、そちらもなかなかの出来です。
この曲はアレサ自身が作曲した曲です。
彼女はジャズ・シンガーとしてデビューしましたが、人気が出ませんでした。
そこでソウル・シンガーとして心機一転再出発した第一弾がこのアルバムです。
この曲の出だしでは「この夢を失ったら私はどうなるのだろう」という不安な気持ちが歌われています。
この時彼女は24歳で、あと数日で25歳になろうとしていました。
日本でもそういうところがありますが、当時のアメリカで女性シンガーは若いことが重要な要素でした。
25歳までに売れていなければ、リードを許した状態で後半戦に臨むサッカー選手みたいな気持ちになったことでしょう。
しかし彼女はこのアルバムが大ヒットして、見事チャンスをつかむことができました。
後に大輪の華を咲かせる彼女が、不安に打ち震えていた頃の曲です。
4位「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」(アルバム:Lady Soul)
■曲名:(You Make Me Feel Like) A Natural Woman
■曲名邦題:ナチュラル・ウーマン
■アルバム名:Lady Soul
■アルバム名邦題:レディ・ソウル
■動画リンク:「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」
この前作は傑作で「貴方だけを愛して(I Never Loved a Man the Way I Love You)」や「ベイビー・ベイビー・ベイビー(Baby, Baby, Baby)」などが収録されていました。
翌年発売されたこのアルバムにも「チェイン・オブ・フールズ(Chain of Fools)」や「ピープル・ゲット・レディ(People Get Ready)」などが収録されて、好調ぶりを維持しています。
この曲のオリジナルは、キャロル・キング(Carole King)とジェリー・ゴフィン(Gerry Goffin)のコンビによって書かれました。
この曲は「ある男性と出会ったことで、自分が女性であることに自然な形で気づくことができた」という内容。
曲名は松浦理恵子の小説「ナチュラル・ウーマン」のタイトルにも使われています。
その小説はレズビアンの2人の愛憎入り乱れるストーリーですが、良い小説でしたのでおすすめします。
5位「April Fools」(アルバム:Young, Gifted and Black)
■曲名:April Fools
■曲名邦題:エイプリル・フール
■アルバム名:Young, Gifted and Black
■アルバム名邦題:ヤング・ギフティッド・アンド・ブラック
■動画リンク:「April Fools」
この曲を書いたのはバート・バカラック(Burt Bacharach)とハル・デヴィッド(Hal David)のコンビ。
歌詞は、恋をした2人が「この喜びはエイプリル・フールでしょうか」と周囲の人に訊ねているというほほえましい内容です。
この曲のリリースは1972年。
私は時系列でその年に主要な名盤はほとんど聞いていますが、1972年は特に傑作が多い年だと感じます。
このアルバムもその輝かしい中の1枚。
「I Never Loved a Man the Way I Love You」「Lady Soul」と並ぶ彼女の最高傑作の有力候補だと思います。
私は1980年代の一時期、アレサを敬遠していた時期があります。
歌い方もバックのサウンドも、厚化粧になったように感じました。
しかしこの時期は派手になり過ぎていませんし、それでいて華があって、とてもバランスが良い時期だったように思います。
6位「Make It with You」(アルバム:Aretha Live at Fillmore West)
■曲名:Make It with You
■曲名邦題:二人の架け橋
■アルバム名:Aretha Live at Fillmore West
■アルバム名邦題:アレサ・ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト
■動画リンク:「Make It with You」
彼女はアメリカを代表するシンガーです。
ちなみにロック界の権威雑誌、ローリングストーン誌ではこういう評価です。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第1位に選ばれている[3]。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第9位に選ばれている。
男性女性関係なく、シンガー部門で1位に選ばれているのですね。
今回は楽曲の魅力を重視しましたので、必ずしも歌唱ばかりに焦点を当てていません。
彼女の凄みのある歌を堪能したい方には「至上の愛〜チャーチ・コンサート〜(Amazing Grace)」をおすすめします。
今回のランキングの中では、この曲あたりなどはいかがでしょうか。
このライブ・アルバムには「愛への讃歌(Love the One You’re With)」など、有名曲のカバーが収録されています。
バックは比較的簡素ですが、その分彼女の歌が引き立っています。
7位「Look into Your Heart」(アルバム:Sparkle)
■曲名:Look into Your Heart
■曲名邦題:ルック・イントゥ・ユア・ハート
■アルバム名:Sparkle
■アルバム名邦題:スパークル
■動画リンク:「Look into Your Heart」
このアルバムは、カーティス・メイフィールド(Curtis Mayfield)がプロデュースを担当したことで知られる映画のサウンドトラックです。
しかしサントラということが気にならなず、普通に楽しめる作品に仕上がっています。
私はピーター・バラカンの名著「魂のゆくえ」で知り買ってみました。
このアルバムは時の経過につれて評価を上げてきています。
このアルバムの知名度が上がるきっかけとなったのは、アン・ヴォーグ(En Vogue)。
彼女たちはこのアルバムの収録曲「フックト・オン・ユア・ラヴ(Hooked on Your Love)」をカバーして話題になりました。
今ではこのアルバムはアレサの代表作のに挙げる人を見かけるようになりました。
アレサの最初の1枚におすすめのアルバムです。
8位「Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do)」(アルバム:Let Me in Your Life)
■曲名:Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do)
■曲名邦題:待ちこがれて
■アルバム名:Let Me in Your Life
■アルバム名邦題:輝く愛の世界
■動画リンク:「Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do)」
彼女がある曲をカバーする時、自分の刻印を押してしまうようなところがあります。
その点はジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)に似ているかもしれません。
ジミが「見張り塔からずっと(All Along the Watchtower)」をカバーして、その曲のオリジナルみたいに思われたように、アレサが歌うと彼女の曲みたいになってしまうことがあります。
しかしこの曲のオリジナルは、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)。
しかしいくらオリジナルがすばらしくても、そこはアレサです。
あの偉大なスティーヴィー・ワンダーの曲ですら、引き分けに持ち込んでいます。
この曲は、まずイントロのピアノから46秒に一瞬差し込まれるキーボードがすばらしいですね。
また2:27から飛翔するフルートや、力強い女性コーラスもアレサの歌をがっちりサポートしています。
彼女のボーカルは強力なので、歌だけで曲が成立するようなところがあるかもしれません。
しかしこの曲のように良いアレンジや演奏が得られると、更に曲の完成度が上がります。
サッカーでいえばメッシだけでも試合に勝てるかもしれないけれど、周囲に的確にサポートする選手がいると、より確実に勝てるようになるのと似ています。
9位「Oh No Not My Baby」(アルバム:Spirit in the Dark)
■曲名:Oh No Not My Baby
■曲名邦題:オー・ノー・ノット・マイ・ベイビー
■アルバム名:Spirit in the Dark
■アルバム名邦題:スピリット・イン・ザ・ダーク
■動画リンク:「Oh No Not My Baby」
この曲は隠れた名曲かもしれません。
まずはイントロのふくらみのあるホーンの音色がすばらしく、耳を惹きつけられます。
軽快に鳴り響くギターの響きが、この曲の雰囲気を高めています。
私は初期のアレサのサザン・ソウルっぽい曲も好きですが、同時にキャッチーだったり洗練されている曲が、もう少し紹介される機会があってもいいと感じています。
今回はアレサ初心者向けという趣旨でしたが、自分用にそういう曲ばかりを集めたという動機もあります。
カフェ・ミュージックとしても機能する聞きやすい曲を集めてみました。
10位「Day Dreaming」(アルバム:Young, Gifted and Black)
■曲名:Day Dreaming
■曲名邦題:デイ・ドリーミング
■アルバム名:Young, Gifted and Black
■アルバム名邦題:ヤング・ギフティッド・アンド・ブラック
■動画リンク:「Day Dreaming」
ニューソウル期の曲です。
アルバム・タイトルは、ニーナ・シモン(Nina Simone)の曲「To Be Young, Gifted and Black」という曲名が由来です。
ニーナの曲名では「To Be」があるので「若く才能に恵まれた黒人になろう」という意味ですが、アレサの方は「To Be」がありません。
そうなろうではなく、今現在彼女は既に「若く才能に恵まれた黒人」になっているという意味かもしれません。
確かに当時彼女は人気の絶頂で、まだ20代の若さでした。
しかし彼女は1970年代後半から、次第に低迷期に入ってしまいます。
その後彼女は1998年「ア・ローズ・イズ・スティル・ア・ローズ(A Rose is Still a Rose)」という快作を発表しました。
流行の音を取り入れながらも、彼女の歌の魅力が味わえる作品です。
後年の作品では彼女をリスペクトする人たちによるサポートを得て、質の高い作品が続きました。
彼女は2018年に亡くなりました。
最後まで一輪のバラとして人生を全うしたようです。
番外編「Elusive Butterfly」(アルバム:Soul ’69)
■曲名:Elusive Butterfly
■曲名邦題:夢の蝶々
■アルバム名:Soul ’69
■アルバム名邦題:ソウル’69
■動画リンク:「Elusive Butterfly」
さて最後に私が個人的に好きな曲をご紹介したいと思います。
この曲のサウンドは少し異色かもしれません。
一時期のアル・クーパー(Al Kooper)に似たアレンジの曲で、ニューシネマの映画で使われそうな空気感があります。
そこにアレサの弾けたボーカルが乗っかっているという、組み合わせの妙がありますね。
このアルバムが発売された1969年は、伝説のウッドストック・フェスティバルが開催された年です。
この曲を聞くと、アレサもそうしたカウンターカルチャー文化の影響を受けたのかなと想像したりもします。
少し変わった曲ですが、気に入っていただけたらうれしいです。
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