今回はラスカルズのランキングを作成しました。
このバンドはブルー・アイド・ソウルの金字塔です。
この記事では彼らの音楽を再評価し、今の時代に合った魅力をアピールしたいと思い選曲しました。
そのためヒット曲でも選外にした場合がありますので、何卒ご了承ください。
- 1 1位「Groovin’」(アルバム:Groovin’)
- 2 2位「Good Lovin’」(アルバム:The Young Rascals)
- 3 3位「It’s Wonderful」(アルバム:Once Upon A Dream)
- 4 4位「A Ray of Hope」(アルバム:Freedom Suite)
- 5 5位「Sky Trane」(アルバム:Peaceful World)
- 6 6位「Any Dance’ll Do」(アルバム:Freedom Suite)
- 7 7位「I’d Like to Take You Home」(アルバム:See)
- 8 8位「Mother Nature Land」(アルバム:Peaceful World)
- 9 9位「Ready for Love」(アルバム:Search and Nearness)
- 10 10位「Lucky Day」(アルバム:The Island of Real)
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1位「Groovin’」(アルバム:Groovin’)

■曲名:Groovin’
■曲名邦題:グルーヴィン
■アルバム名:Groovin’(1967年)
■アルバム名邦題:グルーヴィン
■動画リンク:「Groovin’」
このバンドの代表曲であり有名曲です。
この曲では日曜日の午後、彼女と2人のんびり過ごす時間が最高だと歌われています。
内容的には、何の変哲もないように思われるかもしれません、
しかしこの曲がリリースされたのが1967年夏ということを考えると、特別な意味を持ってきます。
当時のアメリカは、ベトナム戦争の反戦運動が劇的に拡大する不穏な空気の中、多くのアーティストは反戦の姿勢を明確に打ち出していました。
しかしそんなピリピリした空気が漂う中、ラスカルズのフェリックス・キャヴァリエは「2人でいれば世界は俺たちのものさ」と能天気に歌っています。
一歩間違えると、この曲は大きな非難を浴びたかもしれません。
なにせ参戦していない日本でさえ、佐良直美の「世界は二人のために」の歌詞「二人のため世界はあるの」(作詞:山上路夫)という一節が批判されました。
しかしこの曲は4週連続で1位と大ヒットを記録しました。
どうやらこの曲は怒ったり抗議するのに疲れた若者に、穏やかな日常の大切さを再確認させたようですね。
どっちに転ぶか分からない不透明な中、良い方向で受けとめられて良かったです。
2位「Good Lovin’」(アルバム:The Young Rascals)

■曲名:Good Lovin’
■曲名邦題:グッド・ラヴィン
■アルバム名:The Young Rascals(1966年)
■アルバム名邦題:グッド・ラヴィン
■動画リンク:「Good Lovin’」
デビュー・アルバムの曲です。
彼らはブルー・アイド・ソウルを広く認知させたグループです。
ブルー・アイド・ソウルとは、白人による黒人音楽から強く影響された音楽のこと。
ラスカルズは4人のメンバー中、ギタリストのジーン・コーニッシュ(Gene Cornish)以外の3人はイタリア系アメリカ人でした。
その頃ニューヨークでは、イタリア系アメリカ人と黒人グループが街角でドゥーワップを歌っていました。
ただ当時黒人とイタリア系アメリカ人は、様々な火種を抱える対立関係にありました。
しかしこと音楽に関してイタリア系アメリカ人は、粋な黒人音楽にあこがれていたようです。
ラスカルズはそうした対立とあこがれが交錯する中から生まれました。
当時バンドの中心人物フェリックス・キャヴァリエは、黒人へのリスペクトが行動で示しました。
デビュー時のラスカルズは黒人グループと勘違いされたそうですが、白人と判明してからも黒人コミュニティの支持は変わりませんでした。
彼らは音楽の力で人種間のデリケートな問題を克服したのですね。
3位「It’s Wonderful」(アルバム:Once Upon A Dream)

■曲名:It’s Wonderful
■曲名邦題:イッツ・ワンダフル
■アルバム名:Once Upon A Dream(1968年)
■アルバム名邦題:夢みる若者
■動画リンク:「It’s Wonderful」
さてここからが選曲者としての本番といえます。
1位と2位の曲は特に有名な曲なので、ご存じの方も少なくないと思います。
しかし他に彼らの曲が思い浮かばない方も少なくないのでは。
この記事で私は、今の時代に彼らの魅力を伝えるにはどうしたらいいかを重視して選曲しました。
そうでなくても1960年代の音楽は、若い人からは古くさいと敬遠されがちです。
私が子供の時には既に古い音楽というイメージがありました。
そこで音楽そのものが持つ生命力、そして今も色あせていない洗練された魅力をアピールできればと思いました。
この曲はリリース当時、らしくないと不評だったようです。
しかし年月が経過した今、ソフト・ロックやノーザン・ソウルなどの文脈で再評価できるかもしれません。
このアルバムからもう1曲ご紹介しましょう。
こちらはドリーミーな曲ですが、ストーリー性のあるアレンジが新鮮です。
途中、天気の好転を思わせるアレンジとエディ・ブリガッティ(Eddie Brigati))の甘い歌が見事です。
4位「A Ray of Hope」(アルバム:Freedom Suite)

■曲名:A Ray of Hope
■曲名邦題:希望の光
■アルバム名:Freedom Suite(1969年)
■アルバム名邦題:自由組曲
■動画リンク:「A Ray of Hope」
ラスカルズといえば、山下達郎を思い出す方が少なくないと思います。
実際度々ラスカルズの曲をカバーしていて「Groovin’」のカバーは自身のラジオ番組のエンディング・テーマに採用しています。
さてこの時期の彼らには痛みを伴う困難な状況でも、前に進もうという前向きなメッセージを感じます。
The Rascals – People Got to Be Free
上の曲名は「人々は自由でなければいけない」という意味です。
キング牧師とロバート・ケネディ上院議員の暗殺を受けて書かれた曲だと言われています。
おそらく彼らは、銃弾では我々が自由を得るのを止められないと言いたいのでしょう。
その後発表されたこのアルバム名は直訳で「自由組曲」というタイトルですし、この曲は「希望の光」という意味です。
この頃の彼らの理想主義は、いささかまぶしく感じられるほどです。
東日本大震災の後、山下達郎は自身の新作に「Ray of Hope」と名付けて、未来への希望の思いを込めました。
5位「Sky Trane」(アルバム:Peaceful World)

■曲名:Sky Trane
■曲名邦題:スカイ・トレイン
■アルバム名:Peaceful World(1971年)
■アルバム名邦題:ピースフル・ワールド
■動画リンク:「Sky Trane」
彼らはベスト盤に不向きなバンドかもしれません。
彼らは実質7年間の活動期間でシングルチャート1位が3曲、10位以内が3曲とヒット曲が多く、かなりの人気バンドでした。
しかしシングルやヒット曲だけでは、全体像がつかみにくいように思います。
彼らはアルバムを通して聞いて初めて気付くことが多い、いわゆるアルバム・アーティストです。
しかも時期によって音楽性が大きく違うので、一度興味を持つとオリジナル・アルバム全部を聞くはめになります。
あと人によって意見が分かれそうですが、個人的には特に後期シングルの選択に疑問があります。
このアルバムからシングルカットされた「Love Me」はまだしも「Search and Nearness」は「Ready for Love」をシングルカットすべきだったかもしれません。
ただアルバム未収録曲目当てでベスト盤を買うのはおすすめです。
以下の曲はシングルチャートで4位とヒットしましたが、オリジナル・アルバムには収録されていません。
The Rascals – A Beautiful Morning
6位「Any Dance’ll Do」(アルバム:Freedom Suite)

■曲名:Any Dance’ll Do
■曲名邦題:エニー・ダンス
■アルバム名:Freedom Suite(1969年)
■アルバム名邦題:自由組曲
■動画リンク:「Any Dance’ll Do」
ノーザンソウル風のキャッチーな曲ですが、この曲もシングルカットされていません。
一般に彼らの最高傑作は「Groovin’」だと言われています。
しかし私はそれに加えて「Once Upon a Dream」「Freedom Suite」「Peaceful World」が横並びで選べません。
最終的にはその人の好みで意見が分かれると思います。
彼らのアルバムでは、ファースト「The Young Rascals」と「Groovin’」ばかりが取り上げられがちです。
もちろんその2作もすばらしい作品には違いありません。
しかし私はこの記事で「Once Upon A Dream」以降をプッシュしたいと思いました。
特にこのアルバムと「Once Upon a Dream」は、アリフ・マーディン(Arif Mardin)がプロデュースしたせいか、洗練された作風が魅力です。
アリフ・マーディンといえば、ホール&オーツ(Hall & Oates)やスクリッティ・ポリッティ(Scritti Politti)などで決定的な仕事をした、ブルー・アイド・ソウル請負人。
アリフ・マーディンは本質的な魅力を損なうことなく、ヒット性と洗練を両立させる匙加減が絶妙でした。
「Peaceful World」も良い作品ですが、少々玄人受けのアルバムかもしれません。
その点「Once Upon a Dream」「Freedom Suite」はもっととっつきやすいので、最初の1枚としてもおすすめします。
7位「I’d Like to Take You Home」(アルバム:See)

■曲名:I’d Like to Take You Home
■曲名邦題:家に連れていきたい
■アルバム名:See(1969年)
■アルバム名邦題:シー
■動画リンク:「I’d Like to Take You Home」
このバンドはメンバー間の不和がよく話題に上がります。
特にエディ・ブリガッティはおおよそボーカル専従で、演奏面での貢献はさほど大きくありません。
もう一方のシンガーであるフェリックス・キャヴァリエは、オルガンの演奏やメイン・ソングライターとして、バンド内で絶対的な存在でした。
しかもこの時期にはラスカルズのボーカルはフェリックス・キャヴァリエというイメージが定着しつつありました。
そんな中、歌が唯一の活躍の場であるエディ・ブリガッティが居場所を失くしたのは当然のことといえます。
その経緯はスティーリー・ダン(Steely Dan)でキーボードのドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)がシンガーとして定着した結果、ボーカル専従のデイヴィッド・パーマー(David Palmer)が脱退した経緯と似ています。
あとこのバンドはベーシストがいませんが、フェリックス・キャヴァリエのオルガンがベースの役割も兼ねていました。
更にフェリックス・キャヴァリエのオルガンはサウンド面でメロディとコードを主導し、相対的にギターのジーン・コーニッシュの存在が低下しました。
居場所を失くした2人は、次作を最後に脱退しています。
8位「Mother Nature Land」(アルバム:Peaceful World)

■曲名:Mother Nature Land
■曲名邦題:母なる国
■アルバム名:Peaceful World(1971年)
■アルバム名邦題:ピースフル・ワールド
■動画リンク:「Mother Nature Land」
このアルバムからオリジナル・メンバーは半減し、フェリックス・キャヴァリエとドラムのディノ・ダネリの2人だけになりました。
しかしその一方で多数のプレイヤーが参加した結果、前作までの停滞感が払拭されたように感じます。
特にギターのバジー・フェイトン(Buzzy Feiten)、フルートのヒューバート・ロウズ(Hubert Laws)やジョー・ファレル(Joe Farrell)らが、前作までのサウンドを一新しました。
特に興味深いのは、ロン・カーター(Ron Carter)、アリス・コルトレーン(Alice Coltrane)などのジャズ・プレイヤーの参加とパーカッションの使い方。
この曲もロックでもソウルでもジャズでもない、不思議な折衷感覚のある曲になりました。
ヴァン・モリソン(Van Morrison)の「アストラル・ウィークス(Astral Weeks)」やティム・バックリィ(Tim Buckley)の「ハッピー・サッド(Happy Sad)」のような異端の系譜を感じます。
ただパーカッションのおかげで、その2作よりも明るくふくよかな印象を与えます。
この曲などはフリー・ソウルとしても聞けそうですし。
フェリックス・キャヴァリエはロック以外の要素、ソウル、ポップスとラテンのバランスの中で持ち味を発揮する人だと思います。
9位「Ready for Love」(アルバム:Search and Nearness)

■曲名:Ready for Love
■曲名邦題:レディー・フォー・ラヴ
■アルバム名:Search and Nearness(1971年)
■アルバム名邦題:ラスト・アルバム
■動画リンク:「Ready for Love」
どのバンドにもスランプの時期や低迷期があるものです。
このアルバムを好きな方には申し訳ありませんが、私はこの「See」と次作「Search and Nearness」がその時期だと思います。
とはいえこの曲だけを聞けば、どこが低迷期だと思われるかもしれません。
アルバム全体としては、いささか散漫でまとまりに欠ける印象を受けます。
ただそれでも一定の品質を維持しているのは、フェリックス・キャヴァリエの底堅い歌の実力ゆえかもしれません。
フェリックス・キャヴァリエは、スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)と少しタイプが似ています。
彼らの歌に感じるソウル・ミュージックへの思いは、昔の日本人野球選手が大リーグに抱いていたあこがれに似ているかもしれません。
イチローや大谷翔平が大リーグで通用したように、フェリックス・キャヴァリエは傑出したソウル・シンガーでした。
それにしても彼は、ブルー・アイド・ソウルを歌うために生まれてきたような声をしていますね。
10位「Lucky Day」(アルバム:The Island of Real)

■曲名:Lucky Day
■曲名邦題:ラッキー・デイ
■アルバム名:The Island of Real(1972年)
■アルバム名邦題:アイランド・オブ・リアル
■動画リンク:「Lucky Day」
このラスト・アルバムは、売れ線を狙ったのかは分かりませんが、ファンキーな曲が散見される異色作になりました。
ラスカルズのアルバムだと思うととまどいますが、アルバムの内容は充実しています。
最後に蛇足ですが笑い話を1つ。
昔ある日の私は、音楽仲間とラスカルズの話をしていました。
私はラスカルズをコンプリートしているつもりでしたが、なぜか彼とセカンド・アルバムの話が食い違います。
彼が言うセカンド・アルバムは「Collections」ですが、私は「Groovin’」が2枚目だと思っていました。
どうやら私は「Collections」をベスト盤だと思っていたのですね。
「s」が付いているのが変だなと思いましたが(苦笑)。
その後私は気まずい気持ちを払拭しようと、すぐにAmazonで「Collections」で注文しました。
そういえばグレイトフル・デッド(Grateful Dead)にも「History Of The Grateful Dead Vol.1 (Bear’s Choice)」という、ベスト盤ではないまぎわらしいアルバムがありますね。
賢明な皆様におかれましては、私のようにベスト盤と勘違いなさらぬようご注意ください。
まあそんなのは私だけかもしれませんが(笑)。
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