今回はマリーザ・モンチのランキングを作成しました。
この人はブラジル音楽に咲いた大輪の花です。
しかし彼女の魅力は美貌だけではありません。
シンガーとしてだけでなく、プロデューサーやソングライターとしても活躍しています。
味わい深く美しい歌をご堪能ください。
- 1 1位「Na Estrada」(アルバム:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao)
- 2 2位「Ainda Lembro」(アルバム:Mais)
- 3 3位「O Que Me Importa」(アルバム:Memorias, Cronicas, e Declaracoes de Amor)
- 4 4位「Volta Meu Amor」(アルバム:Colecao)
- 5 5位「Acontecimento」(アルバム:Memorias (2001) – Ao Vivo)
- 6 6位「Pale Blue Eyes」(アルバム:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao)
- 7 7位「Give Me Love (Give Me Peace On Earth)」(アルバム:Barulhinho Bom)
- 8 8位「Satisfeito」(アルバム:Universo ao Meu Redor)
- 9 9位「Beija Eu」(アルバム:Mais)
- 10 10位「Bem Que Se Quis (E Po’ Che Fa’)」(アルバム:MM)
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1位「Na Estrada」(アルバム:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao)
■曲名:Na Estrada
■曲名邦題:ナ・エストラーダ
■アルバム名:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao
■アルバム名邦題:ローズ・アンド・チャコール
■動画リンク:「Na Estrada」
彼女の最大の特徴は声の美しさです。
この曲の冒頭のスキャットでは、彼女の魅力が分かりやすく表現されています。
ウィキペディアに、以下のような記述がありました。
マリア・カラスの大ファンだったことから19歳にしてクラシックの声楽の手ほどきを受けるためにイタリアに渡った。
声楽の勉強をした人であれば、この声もうなづけます。
さてこの曲では、もう1人の主役はオルガンです。
そこでクレジットを見たところ、弾いているのはバーニー・ウォーレル(Bernie Worrell)でした。
パーラメントなど、主にファンク畑で活躍した人です。
バーニーは様々な人の作品で目にしていましたが、こんなところでも演奏していたのですね。
2位「Ainda Lembro」(アルバム:Mais)
■曲名:Ainda Lembro
■曲名邦題:アインダ・レンブロ
■アルバム名:Mais
■アルバム名邦題:マイス
■動画リンク:「Ainda Lembro」
この曲は後に「Barulhinho Bom」でも取り上げられました。
どちらのバージョンも同じぐらいすばらしく、繰り返し聞き返した末、こちらをご紹介することにしました。
「Barulhinho Bom」のバージョンは、リンクだけ貼っておきましょう。
「Barulhinho Bom」の方で彼女は1人で歌っていますが、すばらしいギターの演奏を聞くことができます。
一方こちらでは、エヂ・モッタ(Ed Motta)とデュエットしています。
エヂ・モッタはブラジリアン・ソウルを代表する人物。
この曲で彼は包容力のある声で、マリーザを献身的にサポートしています。
3位「O Que Me Importa」(アルバム:Memorias, Cronicas, e Declaracoes de Amor)
■曲名:O Que Me Importa
■曲名邦題:私はどうでもいい
■アルバム名:Memorias, Cronicas, e Declaracoes de Amor
■アルバム名邦題:アモール、アイ・ラヴ・ユー
■動画リンク:「O Que Me Importa」
本来このアルバムでは、アルバム・タイトル曲をご紹介すべきかもしれません。
リンクだけ貼っておきましょう。
Marisa Monte – Amor I Love You
こちらをご紹介したのは、歌い出しのところが気に入っているからです。
この作品はセカンド・アルバムから彼女のプロデュースを手がけてきた、アート・リンゼイ(Arto Lindsay)との最終作です。
私は彼女の最高傑作は「Verde, anil, amarelo, cor de rosa e carvao」「Barulhinho Bom」、そしてこのアルバムの内のどれかだと思っています。
この時期はアートらしい尖ったセンスが、隠し味として利いていました。
この曲ではギターがすばらしいですが、これはマーク・リボー(Marc Ribot)の演奏。
アート・リンゼイらしいと良い人選だと思います。
4位「Volta Meu Amor」(アルバム:Colecao)
■曲名:Volta Meu Amor
■アルバム名:Colecao
■アルバム名邦題:コレサォン
■動画リンク:「Volta Meu Amor」
私が近年の作品で最も気に入っているのは、オリジナル・アルバム未収録曲を集めたこの編集盤です。
その中で私が狂喜したのがこの曲。
この曲では、ヴェーリャ・グアルダ・ダ・ポルテーラ(Velha Guarda Da Portela)というサンバのグループと共演しています。
子供の頃、彼女はサンバを聞いて育ったようですね。
マリーザの家庭は中流階級でありながら、マリーザの父親がエスコーラ・ジ・サンバ・ポルテーラ(G.R.E.S.Portela)のメンバーで役員だったことから、黒人の下層階級の音楽とされるサンバなど、幼少より多くのブラジル音楽に囲まれて育った。
したがって、マリーザはポルテレンセ(ポルテーラの人、あるいはポルテーラ贔屓の人)として知られている。
私はヴェーリャ・グアルダ・ダ・ポルテーラが大好きで、その内ランキング記事を書く予定です。
マリーザが彼らと共演している事実だけで、感慨深いものがあります。
こうしてすばらしい歌が次の世代に受け継がれていくのですね。
5位「Acontecimento」(アルバム:Memorias (2001) – Ao Vivo)
■曲名:Acontecimento
■アルバム名:Memorias (2001) – Ao Vivo
■動画リンク:「Acontecimento」
彼女はライブ・アルバムを好んでいるようです。
ライブでは2014年の「Verdade Uma Ilusao」なども聞き逃せません。
そもそもデビュー・アルバム「MM」からしてライブ盤でしたし、2枚組「Barulhinho Bom」の内の1枚はライブ盤です。
おそらく彼女は緻密なスタジオワークによる整った音楽だけでなく、ライブでの偶然性も重視しているのでしょう。
それはとりもなおさず、生の舞台での自分の表現力に自信を持っているということ。
私は彼女の自己認識が正しいと思います。
この曲も簡素な演奏をバックに、彼女の歌は少しラフなところを含めて絶品ですから。
また彼女がギターを抱えたアルバム・ジャケットが、とても美しいです。
彼女は才色兼備という言葉が似合います。
この後彼女は、カルリーニョス・ブラウン(Carlinhos Brown)との繋がりを深めていきました。
アルナルド・アントゥネス(Arunaldo Antunes)、カルリーニョス・ブラウンと一緒にトリバリスタス(Tribalistas)というバンドを結成しています。
6位「Pale Blue Eyes」(アルバム:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao)
■曲名:Pale Blue Eyes
■曲名邦題:ペイル・ブルー・アイズ
■アルバム名:Verde, Anil, Amarelo, Cor-de-Rosa e Carvao
■アルバム名邦題:ローズ・アンド・チャコール
■動画リンク:「Pale Blue Eyes」
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)のカバー曲です。
オリジナルはダウナーな曲ですが、ここでは実に軽やかにカバーしています。
甘すぎないさじ加減も絶妙ですし。
バックはホメロ・ルバンボ(Romero Lubambo)によるギターとナナ・ヴァスコンセロス(Nana Vasconcelos)のパーカッションというシンプルな編成です。
そこに彼女の歌が加わっただけで、この曲は新たな表情を見せています。
華やかなアルバム・ジャケットも印象的ですし。
彼女の音楽は、ジャンルでいえばMPBということになると思います。
つまりブラジルの伝統音楽を土台にしつつ、現代的な感覚を持った音楽ということです。
彼女はこの曲で、自分がブラジルの次世代を担うにふさわしい存在であることを証明しました。
7位「Give Me Love (Give Me Peace On Earth)」(アルバム:Barulhinho Bom)
■曲名:Give Me Love (Give Me Peace On Earth)
■曲名邦題:ギヴ・ミー・ラヴ
■アルバム名:Barulhinho Bom
■アルバム名邦題:グレート・ノイズ
■動画リンク:「Give Me Love (Give Me Peace On Earth)」
この曲もカバー曲です。
オリジナルはジョージ・ハリスン(George Harrison)で、「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド(Living in the Material World)」というアルバムに収録されています。
こちらのカバーもすばらしいですね。
内向的で繊細な原曲を、こちらも軽やかにカバーしています。
イントロのさわやかなギターの時点で、名曲の予感が漂います。
このアルバムは2枚組で、1枚目がライブ録音、2枚目がスタジオ録音ですが、どちらもすばらしい出来です。
さてこのアルバムは、エロいイラストのジャケットが話題になりました。
CDのブックレットを開くと、裸の女性のイラストばかりですが、意図がよく分かりません。
ただ初期の彼女は先鋭的なところも魅力だったと思います
8位「Satisfeito」(アルバム:Universo ao Meu Redor)
■曲名:Satisfeito
■曲名邦題:充たされて
■アルバム名:Universo ao Meu Redor
■アルバム名邦題:私のまわりの宇宙
■動画リンク:「Satisfeito」
このアルバムは「私の中の無限(Infinito Particular)」と、2枚同時にリリースされたことが話題になりました。
どちらも落ち着いた曲が多いアルバムだと感じます。
このあたりから彼女の音楽には、冒険的な要素が少なくなりました。
ナチュラルな部分を前面に押し出したといえるかもしれません。
たとえばこの曲などはいかがでしょうか。
アートがプロデュースしていた頃のような先鋭性はありませんが、実に愛すべき曲だと思います。
その後リリースされた「あなたが本当に知りたいこと(O Que Você Quer Saber de Verdade)」と「ポルタス(Portas)」も良い作品です。
9位「Beija Eu」(アルバム:Mais)
■曲名:Beija Eu
■曲名邦題:ベイジャ・エウ~私にキスして
■アルバム名:Mais
■アルバム名邦題:マイス
■動画リンク:「Beija Eu」
セカンド・アルバムの曲です。
この頃の彼女は刺激的なミュージシャンに囲まれていました。
このアルバムは、アート・リンゼイのプロデュースです。
曲によっては坂本龍一、ローリー・アンダーソンン(Laurie Anderson)、ジョン・ゾーン(John Zorn)などが参加しています。
ただアルバムの内容は過激一辺倒にはなっていません。
伝統的なブラジル音楽とは違った部分が見え隠れする程度に抑えられています。
たとえばこの曲は無国籍音楽みたいな感じがしないでしょうか。
アルバム・ジャケットの彼女も、このアルバムのイメージに合っています。
レコード会社は、少し尖ったいい女路線で売ろうとしていたのかもしれません。
10位「Bem Que Se Quis (E Po’ Che Fa’)」(アルバム:MM)
■曲名:Bem Que Se Quis (E Po’ Che Fa’)
■曲名邦題:ベン・キ・セ・キス
■アルバム名:MM
■アルバム名邦題:マリーザ・モンチ
■動画リンク:「Bem Que Se Quis (E Po’ Che Fa’)」
ファースト・アルバムからの曲です。
彼女は声楽の勉強のためイタリアに渡った後、バーやクラブで歌うようになりました。
彼女はこのデビューアルバムで、本国アルバム・チャートの1位を獲得しました。
センセーショナルなデビューだったようですね。
デビュー・アルバム発売前から前評判が高く、「エリス・レジーナ亡きあとのMPB女性歌手」などと称賛されたが、マリーザは「その称賛は嬉しいけど、エリスの20年に対し私は5年というキャリアしかなく、またやっているスタイルが全く違うから、比べられる共通点があるとは思えないわ」などとやんわりと否定している[2]。
エリス・レジーナ(Elis Regina)は、とてもパンチのあるシンガーでした。
ここでのマリーザはうなるような歌い方が目立ちますが、それはエリス・レジーナとは違った個性です。
この曲は今の彼女に近いボーカル・スタイルの曲ですが。
その後彼女の存在感が高まるにつれ、エリス・レジーナを引き合いに出されることはなくなりました。
この時期の彼女は、これからどうなるか分からない未知の可能性を秘めた存在でした。
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