今回はルイ・アームストロングのランキングを作成しました。
彼は1920年代から活躍していた人です。
今回はボーカル曲に焦点を当てて、録音状態の良い後年の曲を多めにしました。
人の気持ちをほぐして、笑顔にさせてくれる曲ばかりです。
- 1 1位「What a Wonderful World」(アルバム:What a Wonderful World)
- 2 2位「When You Wish upon a Star」(アルバム:Disney Songs the Satchmo Way)
- 3 3位「La Vie En Rose」(アルバム:Satchmo Serenades)
- 4 4位「C’est Si Bon (It’s So Good)」(アルバム:Satchmo Serenades)
- 5 5位「Let’s Call the Whole Thing Off」(アルバム:Ella and Louis Again)
- 6 6位「I’ve Got a Feeling I’m Falling」(アルバム:Satch Plays Fats)
- 7 7位「Just One Of Those Things」(アルバム:Louis Armstrong Meets Oscar Peterson)
- 8 8位「Hello, Dolly!」(アルバム:Hello, Dolly!)
- 9 9位「On The Sunny Side Of The Street」(アルバム:Louis Armstrong At Town Hall)
- 10 10位「Old Kentucky Home」(アルバム:Satchmo Plays King Oliver)
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1位「What a Wonderful World」(アルバム:What a Wonderful World)
■曲名:What a Wonderful World
■曲名邦題:この素晴らしき世界
■アルバム名:What a Wonderful World
■アルバム名邦題:この素晴らしき世界
■動画リンク:「What a Wonderful World」
誰もが知っている定番曲ですが、彼には他にも良い曲が沢山あります。
ただこの曲を1位にしないと、どうにも収まりが悪いと感じます。
この曲は著名なジャズ・プロデューサー、ボブ・シール(Bob Thiele)が書いた曲。
元々はベトナム戦争の悲惨さを嘆いて書いた曲で「この世界はなんてすばらしいのか」と綴られた曲です。
様々な問題を抱えたこの世界をすばらしいとする歌詞は、当時の現実とは違っていたかもしれません。
この曲は現実にはそうなっていないということを前提にしていると思われます。
今はまだそうではないけれど本来この世界はすばらしいはずという、作者の願いが込められている曲。
そしてそのポジティブなメッセージは、真摯で愚直なこの人だからこそ伝わるような気がします。
他の人が歌ってもこれほどまでに機能しなかったかもしれません。
2位「When You Wish upon a Star」(アルバム:Disney Songs the Satchmo Way)
■曲名:When You Wish upon a Star
■曲名邦題:星に願いを
■アルバム名:Disney Songs the Satchmo Way
■アルバム名邦題:サッチモ・シングス・ディズニー
■動画リンク:「When You Wish upon a Star」
このアルバムでは、ディズニー・ソングばかり取り上げています。
もう1曲私の好きな曲をご紹介しておきましょう。
Louis Armstrong – Zip-a-dee-doo-dah
彼は1971年に亡くなっていますが、このアルバムは1968年に録音されています。
当時ルイは病気に苦しみ、以前のふっくらした姿から想像できない程やせていたそうです。
やせていたのはダイエットをしていたからですが、病気で必要に迫られた中でのダイエットですから、相当大変だったのではないでしょうか。
ただ当時ディズニーのエクゼクティヴは、ルイについて「非常に細かったが、エネルギーに満ちていた」と語っています。
確かに曲を聞けば、その言葉もうなづけますね。
情感豊かに歌い上げていますが、特に3:51からのキメにグッときます。
この曲は「ピノキオ」で使われた曲で「星にお願いすれば、君の夢は叶えられるだろう」という内容です。
彼は最後までエンターテイナーであり続け、夢を与えてくれた人でした。
3位「La Vie En Rose」(アルバム:Satchmo Serenades)
■曲名:La Vie En Rose
■曲名邦題:バラ色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ)
■アルバム名:Satchmo Serenades
■アルバム名邦題:サッチモ・セレナーデ
■動画リンク:「La Vie En Rose」
さてこちらも「バラ色の人生」という、前向きなタイトルの曲です。
元々はエディット・ピアフ(Edith Piaf)で有名なシャンソンの曲です。
ピアフのオリジナルがすばらしすぎて、誰が歌っても太刀打ちできないかもしれません。
まさに魂の絶唱といえるでしょう。
唯一ピアフに匹敵するのが、ルイのバージョンだと思います。
最初は彼のトランペットの演奏から始まっています。
オリジナルのメロディを崩さず歌っていますが、小細工なしの演奏がこの人らしいですね。
彼のトランペットはストレートで単純ですが、その単純さゆえ違いを生み出しにくいもの。
この単純な演奏に込められた多すぎる情報量を思うにつけ、改めて表現者としての厚みを感じます。
4位「C’est Si Bon (It’s So Good)」(アルバム:Satchmo Serenades)
■曲名:C’est Si Bon (It’s So Good)
■曲名邦題:セ・シ・ボン
■アルバム名:Satchmo Serenades
■アルバム名邦題:サッチモ・セレナーデ
■動画リンク:「C’est Si Bon (It’s So Good)」
私はトランペットの演奏だけでいえば、全盛期と呼ばれる1920年代がすごいと思います。
特にすばらしいと思うのは、1928年の「Essence Of Louis Armstrong」というアルバム。
私が尊敬する油井正一氏による編集盤です。
既に入手困難ですが、もし見つけたら買っておくことをおすすめいたします。
今回はボーカル曲特集ですが、後年の曲を中心に取り上げてみました。
せっかくの名演名唱も、録音が悪いと伝わりにくいですから。
私はボーカル限定では、このアルバムが最高傑作だと思います。
この曲は1950年に録音されたシャンソンの曲で、やはり歌詞はポジティブです。
信じられない
君がこれほどまでに僕を愛していたとはね
そんな感じの歌詞です。
曲名の「C’est Si Bon」は「それは素敵なこと」という意味です。
5位「Let’s Call the Whole Thing Off」(アルバム:Ella and Louis Again)
■曲名:Let’s Call the Whole Thing Off
■曲名邦題:すべてを忘れよう
■アルバム名:Ella and Louis Again
■アルバム名邦題:エラ・アンド・ルイ・アゲイン
■動画リンク:「Let’s Call the Whole Thing Off」
ルイは男性ジャズ・ボーカルの最高峰です。
そんな彼と釣り合う女性シンガーがいるとしたら、エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)ぐらいでしょうか。
彼女は「ジャズの女王」と呼ばれています。
ちなみにルイ・アームストロングも「キング・オブ・ジャズ」と呼ばれていました。
つまりこの曲では、ジャズの王様と女王がデュエットしていることになります。
最初は2人でハモっていますね。
歌詞はとてもユーモラスで、ささいなことでぶつかり合う男女の話。
でもお互いに必要としているならば、すべて忘れて水に流しましょうと歌われています。
歌を聞いた感じだと、ルイがエラに言いくるめられている感じがしないでもありません(笑)
ルイの愛称「サッチモ(Satchmo)」は、エラが彼の口の大きさを指して「Such a mouth」とからかったことが由来という説があります。
2人の歌を聞くと、そんなエピソードも本当ではないかという気がしてしまいますね。
ちなみに人気バンド、サチモス(Suchmos)は、そのルイのニックネームから名付けられたそうです。
6位「I’ve Got a Feeling I’m Falling」(アルバム:Satch Plays Fats)
■曲名:I’ve Got a Feeling I’m Falling
■曲名邦題:私は落ちている
■アルバム名:Satch Plays Fats
■アルバム名邦題:サッチ・プレイズ・ファッツ
■動画リンク:「I’ve Got a Feeling I’m Falling」
彼には「プレイズ・W.C.ハンディ(Plays W.C. Handy)」という名盤があります。
W.C.ハンディは、ブルースの父と呼ばれている作曲家です。
そのアルバムから1曲ご紹介しておきましょう。
Louis Armstrong – Saint Louis Blues
そのアルバムは大好評でした。
その続編としてリリースされたのが、このアルバム。
ファッツ・ウォーラー(Fats Waller)は古い時代のジャズ・ピアニストで、このアルバムでは彼の曲が取り上げられています。
ルイとファッツの2人はどちらも明るくユーモラスで、資質的に似ているかもしれません。
さてこの曲は「私は落ちている」という邦題から、暗い内容だと思われるかもしれません。
しかし歌詞を読んだら、正反対の内容でした。
この曲の主人公は恋をしていて、舞い上がってしまっています。
「僕は落ちていくのさ、ただし君のところへ」という歌詞です。
彼の音楽を聞くといつも思うこと。
人は負の感情の裏打ちなしに、ここまでの高みに到達できるのですね。
7位「Just One Of Those Things」(アルバム:Louis Armstrong Meets Oscar Peterson)
■曲名:Just One Of Those Things
■曲名邦題:ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シング
■アルバム名:Louis Armstrong Meets Oscar Peterson
■アルバム名邦題:ルイ・アームストロング・ミーツ・オスカー・ピーターソン
■動画リンク:「Just One Of Those Things」
彼は多くの大物と共演しています。
有名なところでは、デューク・エリントン(Duke Ellington)と共演した「ザ・グレート・サミット(The Great Summit)」というアルバムがあります。
このアルバムのお相手は、モダン・ジャズの大物ピアニスト、オスカー・ピーターソン。
この曲では、ルイのトランペットも絶好調です。
今回の記事で中心に据えたボーカルは、彼の魅力の1つにすぎません。
あのウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)も、こんなことを言っているぐらいです。
ジャズ界でも稀であるほどの天才トランペット奏者と言われ、ウィントン・マルサリスは「色々なトランペット奏者の良い所を盗もうとしたけど、アームストロングだけは盗めなかった。とにかく凄すぎるからさ」と賞賛[7]。
私はウィントンの言いたいことが分かる気がします。
おそらくテクニックなど技巧面だけであれば、ウィントンは問題としないはず。
しかしルイのトランペットは常に明快で、シンプルでまっすぐで、それでいて味わい深く、決して陳腐になりません。
テクニック的には難しくありませんが、その骨太なフィーリングは唯一無二です。
ルイには巨木に似た魅力があり、その前提を飛ばしての模倣は不可能です。
8位「Hello, Dolly!」(アルバム:Hello, Dolly!)
■曲名:Hello, Dolly!
■曲名邦題:ハロー・ドーリー!
■アルバム名:Hello, Dolly!
■アルバム名邦題:ハロー・ドーリー!
■動画リンク:「Hello, Dolly!」
この曲は有数の有名曲で、ヒット曲です。
この曲がリリースされた1964年は、アメリカでビートルズ旋風が巻き起こっていました。
当時はなんとビートルズの曲が3か月シングルチャートを独占していたのだとか。
その連続1位記録を止めたのが、この曲です。
当時ルイは63歳でした。
新進気鋭のイギリスのバンドの快進撃を、ジャズの大ベテランが止めたのですね。
確かに当時ルイ・アームストロングの人気は、大変なものがありました。
ちなみに著名なLIFE誌でも、こんな評価をしています。
LIFE誌が1999年に選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」に選ばれている。
世界の1000年で100人に選ばれるとは、すごいですね。
彼は後年知名度を活かして、ジャズの親善大使として活動しました。
9位「On The Sunny Side Of The Street」(アルバム:Louis Armstrong At Town Hall)
■曲名:On The Sunny Side Of The Street
■曲名邦題:明るい表通りで
■アルバム名:Louis Armstrong At Town Hall
■アルバム名邦題:タウン・ホール・コンサート
■動画リンク:「On The Sunny Side Of The Street」
曲の邦題は「明るい表通りで」ですから、これまでと同様ポジティブな曲です。
先程からなんだか前向きな曲ばかりです。
そういうのが苦手な人もいるかもしれません。
しかし彼の人生を知ると、印象が違ってくるかもしれません。
彼の人生は、決してイージーではありませんでした。
彼は1901年、ニューオリンズの貧民街で生まれています。
彼は11歳で学校を辞めて、お金を稼ぐため街頭で歌うことになりました。
その後彼は質屋からコルネットを購入すると、すぐに頭角を現しました。
彼は人気者になりましたが、当時のアメリカは人種差別の真っ只中です。
ルイも例外ではなく理不尽な差別を受け、時にはトイレを借りることすらままなりませんでした。
有名になってからも一流ホテルで演奏しても、そのホテルに泊まることは許されません。
しかも彼は同胞の黒人たちからも、白人にこびへつらう奴と冷笑されて、さげすまれたそうです。
一方で彼は差別のない世の中を目指していた公民権運動に対して、密かに資金援助していました。
そういうことが知られている今では、もう彼を非難する人はいません。
さてこのアルバムは「サッチモ・アット・シンフォニー・ホール(Satchmo At Symphony Hall)」と並ぶ代表作です。
録音は良くありませんが、古き良きニューオリンズ・ジャズの醍醐味を味わえます。
10位「Old Kentucky Home」(アルバム:Satchmo Plays King Oliver)
■曲名:Old Kentucky Home
■曲名邦題:ケンタッキーの我が家
■アルバム名:Satchmo Plays King Oliver
■アルバム名邦題:サッチモ・プレイズ・キング・オリヴァー
■動画リンク:「Old Kentucky Home」
このアルバムは彼にとって、重要な意味を持っていたかもしれません。
このアルバムは、キング・オリヴァー(King Oliver)という人物に捧げられています。
キング・オリヴァーは青二才だったルイを楽団に迎え入れて、音楽の基礎を叩き込んでくれた人物です。
いわば恩人といえるでしょう。
彼はこのアルバムで恩返しをした形です。
さて今回は彼の歌に焦点を当てて、ご紹介してみました。
最後に特に重要な点について、補足しておきたいと思います。
ちなみにジャズで使われるスキャットという唱法は、彼の発明ではありませんが、広めたのはこの人です。
ある録音中彼は歌詞の紙を床に落としてしまい、機転を利かせて即興でダバダバと歌いました。
その時の歴史的な録音が見つかりました。
Louis Armstrong – Heebie Jeebies
ただ歌っただけで毛筆のような厚みがある。
そして素の音楽的豊かさと型にとらわれない自由な精神、いつも絶やすことのない笑顔とユーモア。
それがこの人の偉大さだと思います。
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