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ジャズ・ボーカル(Jazz Vocal)の名曲名盤12選【定番・代表曲・隠れた名曲】

今回はジャズ・ボーカルのランキングを作成しました。

ただし単独で記事を書く予定の人は除外しました。

またスムース・ジャズ系は別ランキングに書く予定ですので、そちらも対象外にしています。

とはいえ今回ご紹介した曲はどれも、自信を持っておすすめできる名曲ばかりです。

 

1位 Peggy Lee「I’ve Got You Under My Skin」(アルバム:Black Coffee)

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■アーティスト名:Peggy Lee
■アーティスト名カナ:ペギー・リー
■曲名:I’ve Got You Under My Skin
■曲名邦題:アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン
■アルバム名:Black Coffee(1956年)
■アルバム名邦題:ブラック・コーヒー
■動画リンク:Peggy Lee「I’ve Got You Under My Skin」

まずピアノの後にミュートのトランペットが入り、続いてハスキーなボーカルが始まります。

この出だしだけでもう最高ですね。

女性ジャズ・ヴォーカルには、様々なタイプがあります。

甘い高音を活かしたかわいこちゃんタイプ、オールマイティな実力派タイプ、クールで知的なタイプなど。

その中でペギーはハスキーで、大人っぽい落ち着いた歌が魅力です。

さてこの曲は、私の大好きなスタンダード・ナンバー。

通常好きな曲はメロディを崩してほしくないものですが、この曲はフェイクを入れて歌われることが多いかもしれません。

しかしここでは比較的素直に解釈されています。

好きな歌手、好きな曲、素直なメロディ解釈という三拍子そろった名曲です。

 

2位 Matt Dennis「We Belong Together」(アルバム:Plays & Sings Matt Dennis)

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■アーティスト名:Matt Dennis
■アーティスト名カナ:マット・デニス
■曲名:We Belong Together
■曲名邦題:ウィー・ビロング・トゥゲザー
■アルバム名:Plays & Sings Matt Dennis(1956年)
■アルバム名邦題:プレイズ・アンド・シングス
■動画リンク:Matt Dennis「We Belong Together」

この人は作曲家として知られています。

彼が書いた曲を挙げてみましょう。

・エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー(Everything Happens To Me)
・コートにすみれを(Violets For Your Fur)
・エンジェル・アイズ(Angel Eyes)
・ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン(Will You Still Be Mine)

ジャズ・ファンであれば、どれも耳なじみのある曲ばかりです。

さてこのアルバムでは上記の曲全て、ピアノの弾き語りで歌っています。

ここでは彼の妻ヴァージニア・マクシー(Virginia Maxey)とのデュエット曲を選んでみました。

ヴァージニアはこのアルバムでしか聞いたことはありませんが、素人ではなく完全にプロの歌ですね。

マットより歌がうまいぐらいですし(笑)

ただマットによるピアノはさすがで、洒脱なことこの上ありません。

 

3位 Dave Frishberg「One Horse Town」(アルバム:Oklahoma Toad)

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■アーティスト名:Dave Frishberg
■アーティスト名カナ:デイヴ・フリッシュバーグ
■曲名:One Horse Town
■曲名邦題:ワン・ホース・タウン
■アルバム名:Oklahoma Toad(1970年)
■アルバム名邦題:オクラホマ・トード
■動画リンク:Dave Frishberg「One Horse Town」

この曲をマット・デニスの後に置いたのには理由があります。

ジャズ・ボーカルから、シンガーソングライター、ソフトロックへの流れを意識して配置してみました。

デイヴ・フリッシュバーグはジャズ畑の人ですが、私はこの人についてジャズ・ファンと話した記憶がありません。

彼について話題に上がるのは、いつもシンガーソングライターやロック/ポップスの文脈ばかりです。

つまり彼は境界線上に位置する人なのですね。

しかもプロデューサーは、ソフトロックで知られるマーゴ・ガーヤン(Margo Guryan)。

私はマット・デニスの小粋な作風が、シンガーソングライターやソフトロックに影響を与えたと思っています。

この記事の選曲は、ジャズの文脈では聞いたことがない曲が少なくないかもしれません。

私はこの記事で純粋なジャズのみならず、ジャンルをまたぐ観点から選曲してみました。

 

4位 Marlene「Beware Boyfriend」(アルバム:DEJA VU)

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■アーティスト名:Marlene
■アーティスト名カナ:マリーン
■曲名:Beware Boyfriend
■曲名邦題:ボーイフレンド
■アルバム名:DEJA VU(1983年)
■アルバム名邦題:デジャ・ヴー
■動画リンク:Marlene「Beware Boyfriend」

さてこちらはシティ・ポップとジャズの接点を感じさせる曲です。

この曲はマリ・ウィルソン(Mari Wilson)のカバー。

原曲のプロデューサーはトニー・マンスフィールド(Tony Mansfield)です。

Mari Wilson – Beware Boyfriend

マリーンといえば、1980年代に大活躍したフィリピン出身のジャズ・シンガーです。

子供の頃から天才との誉れが高く、15歳でプロ・デビューしています。

彼女は純粋なジャズ・ボーカルとポップスを横断して活躍した、この記事のテーマにふさわしいシンガーといえるでしょう。

この曲のアレンジはフュージョン寄りかもしれません。

しかし彼女の歌はジャズ・シンガー特有のフィーリングに満ちています。

1980年代は他にも阿川泰子など、女性ジャズ・シンガーが多数活躍した華やかな時代でした。

 

5位 Tom Lellis「Lucky Southern」(アルバム:And in This Corner)

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■アーティスト名:Tom Lellis
■アーティスト名カナ:トム・レリス
■曲名:Lucky Southern
■曲名邦題:ラッキー・サザン
■アルバム名:And in This Corner(1981年)
■アルバム名邦題:アンド・イン・ディス・コーナー
■動画リンク:Tom Lellis「Lucky Southern」

今回の中では比較的新しく、1981年にリリースされた曲です。

この曲はカフェ・アプレミディにも収録されています。

まずクルーナーっぽいボーカルがすばらしいですね。

曲調としてはブラジリアン・グルーヴですが、トム・レリスの歌は正統派ジャズ・ボーカリストといった印象を受けます。

演奏にもジャック・ディジョネット(Jack DeJohnette)やエディ・ゴメス(Eddie Gomez)などの手練れが多数参加。

1:04から始まるビル・ドビンズ(Bill Dobbins)によるピアノもすばらしい出来です。

しかしこの曲で決定的な役割をはたしているのは、ヴィブラフォンのロン・フッシュ(Ron Busch)とフルートのジェレミー・スタイグ(Jeremy Steig)の2人かもしれません。

2人はこの曲に涼やかな彩りを加えています。

 

6位 Anita O’Day「Tea For Two」(アルバム:Anita O’Day at Mister Kelly’s)

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■アーティスト名:Anita O’Day
■アーティスト名カナ:アニタ・オデイ
■曲名:Tea For Two
■曲名邦題:二人でお茶を
■アルバム名:Anita O’Day at Mister Kelly’s(1958年)
■アルバム名邦題:アニタ・オデイ・アット・ミスター・ケリーズ
■動画リンク:Anita O’Day「Tea For Two」

ジャズ・シンガーとは、器楽的唱法を特徴とするジャズ・フィーリングを持った歌手のこと。

器楽的唱法とはスキャットなど、楽器の演奏を歌で再現した歌い方です

しかしこの器楽的な唱法は必須ではありません。

より重要なのは、ジャズ・フィーリングの方かもしれません。

感覚的な話ですので、言葉より実際この曲を聞いていただいた方が手っ取り早いと思います。

まずイントロの高速ブラシの後に、アニタの歌が始まっています。

ジャズ・フィーリングがどういうものかは、2:04からを聞けばお分かりいただけるかもしれません。

先程ご紹介したマリーンにも似た感覚を感じますが、これが私が考えるジャズ・フィーリングです。

 

7位 Bob Dorough「Three Is a Magic Number」(アルバム:Sunday at Iridium)

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■アーティスト名:Bob Dorough
■アーティスト名カナ:ボブ・ドロウ
■曲名:Three Is a Magic Number(2004年)
■曲名邦題:スリー・イズ・ア・マジック・ナンバー
■アルバム名:Sunday at Iridium
■動画リンク:Bob Dorough「Three Is a Magic Number」

この曲はHIPHOPファンやフリーソウル・ファンによく知られています。

デ・ラ・ソウル(De La Soul)の名曲「マジック・ナンバー(The Magic Number)」の元ネタですから。

この曲のオリジナルは「マルティプリケイション・ロック(Multiplication Rock)」という企画アルバムに収録されています。

しかしこの記事では、こちらのライブ・バージョンの方をご紹介します。

この人の最大の魅力は、ユーモアをまじえた語り口かもしれません。

この曲では歌としゃべりがシームレスで、軽妙洒脱なところがたまりません。

歌というより話芸に近いような。

3:03ぐらいからの観客との掛け合いがとても楽しいです。

 

8位 Sheila Landis「Schemes Of Mad September」(アルバム:Bebop Angel)

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■アーティスト名:Sheila Landis
■アーティスト名カナ:シーラ・ランディス
■曲名:Schemes Of Mad September
■アルバム名:Bebop Angel(1982年)
■アルバム名邦題:ビーバップ・エンジェル
■動画リンク:Sheila Landis「Schemes Of Mad September」

この曲は須永辰緒氏の「Organ b.SUITE」に収録されています。

純粋なジャズファンの方の多くは、ご存知ない曲かもしれません。

このアルバムはサックス奏者のラリー・ノゼロ(Larry Nozero)と共演しています。

ブラジル色の強い曲ですが、スキャットを多用するボーカルには、確かなジャズ・フィーリングを感じます。

ただ歌の上手いシンガーがひしめくジャズ・ボーカルの世界で彼女は、それほど歌が上手な方ではないかもしれません。

それでもなぜ取り上げたかというと、感覚だけを手掛かりにした奔放なところが魅力的だと感じたからです。

もちろん歌は上手いにこしたことはありません。

ただ最終的にはフィーリングに優れた人の方が、リスナーに強くアピールするように思います。

 

9位 Sammy Davis, Jr & Carmen McRae「Happy to Make Your Acquaintance」(アルバム:Boy Meets Girl)

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■アーティスト名:Sammy Davis, Jr & Carmen McRae
■アーティスト名カナ:サミー・デイヴィス Jr. & カーメン・マクレエ
■曲名:Happy to Make Your Acquaintance
■アルバム名:Boy Meets Girl(1957年)
■アルバム名邦題:ボーイ・ミーツ・ガール
■動画リンク:Sammy Davis, Jr & Carmen McRae「Happy to Make Your Acquaintance」

カーメンは金属的な声質だと言われることがあります。

確かにアップテンポの曲ではキンキンするというか、無機質な感じがしないでもありません。

そのため彼女は、スローからミディアムテンポの方が良さが活きるように思います。

彼女の代表作がバラード集の「ブック・オブ・バラーズ(Book of Ballads)」というのも当然かもしれません。

ただこの曲はアップテンポですが、カーメンの人間らしさを感じます。

その魅力を引き出しているのは、ユーモアあふれる男サミー・デイヴィス Jr. 。

曲名の「Happy to Make Your Acquaintance」は「お知り合いになれて幸せです」という意味。

この曲では、カーメンがサミーに初対面の人とどう話したらいいか教えています。

サミーのパートでは、カーメンに教えられたセリフを言ってみせるという構成です。

しかしサミーのユーモラスな受け答えに、次第にカーメンが心を開くという趣向になっています。

どうやら人たらしのサミーが、カーメンの人間的魅力を引き出しているようですね。

 

10位 Mose Allison「Young Man’s Blues」(アルバム:Mose Allison Sings)

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■アーティスト名:Mose Allison
■アーティスト名カナ:モーズ・アリソン
■曲名:Young Man’s Blues
■曲名邦題:ヤング・マン・ブルース
■アルバム名:Mose Allison Sings(1963年)
■アルバム名邦題:モーズ・アリソン・シングス
■動画リンク:Mose Allison「Young Man’s Blues」

ザ・フー(The Who)が「ライヴ・アット・リーズ(Live at Leeds)」でカバーした有名曲です。

原曲をご存知のない方のために、リンクを貼っておきましょう。

The Who – Young Man Blues (Live At Leeds)

まあ出だしのところ以外は、原曲とはほぼ別物ですが(笑)。

この曲はザ・フー以外にも、モッズ周辺のバンドにカバーされています。

当時最もヒップな音楽に敏感だった彼らは、こぞってモーズ・アリソンに注目しました。

この曲は1分半に満たない、シンプルで短い曲です。

もっと曲の体裁が整っている曲もありますが、あえてこの曲をご紹介してみました。

彼の曲をもっと聞きたい方には、デビュー作「バック・カントリー・スイート(Back Country Suite)」をおすすめします。

 

11位 Chris Connor「In Other Words (Fly Me to the Moon)」(アルバム:Chris)

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■アーティスト名:Chris Connor
■アーティスト名カナ:クリス・コナー
■曲名:In Other Words (Fly Me to the Moon)
■曲名邦題:イン・アザー・ワーズ(フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン)
■アルバム名:Chris(1957年)
■アルバム名邦題:クリス
■動画リンク:Chris Connor「In Other Words (Fly Me to the Moon)」

彼女のベツレヘム・レーベル(Bethlehem Records)の諸作は、どれも名作ばかりです。

特に「バードランドの子守唄(Lullaby Of Birdland)」という曲は、彼女の代表曲として知られています。

しかしここでは違う曲を取り上げました。

この曲はサブ・タイトルが示す通り「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」です。

この曲はジュリー・ロンドンの方が有名ですが、私はこちらも同じぐらいすばらしい出来だと思います。

特にアレンジに注目してお聞きください。

まず1:19からのホーン・アレンジがすばらしいですね。

その後1:51にフルートを入れて、一瞬尖った演出もドラマティックな効果を生んでいます。

さてここまで聞き進んだ方は、私の好みが分かってきたかもしれません。

男性ボーカルでは声量や華麗なテクニックではなく、小粋な弾き語り系が好み。

女性ボーカルは甘いウィスパー・ヴォイス系より、中低音域が豊かで落ち着いたシンガーが好みです。

その点この人は私の好みのど真ん中です。

 

12位 Mel Torme「The Goodbye Look」(アルバム:Reunion)

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■アーティスト名:Mel Torme
■アーティスト名カナ:メル・トーメ
■曲名:The Goodbye Look
■曲名邦題:ザ・グッドバイ・ルック
■アルバム名:Reunion(1988年)
■アルバム名邦題:リユニオン
■動画リンク:Mel Torme「The Goodbye Look」

このアルバムは一部で話題になりました。

このアルバムではドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)の「ナイトフライ(The Nightfly)」から、この曲と「雨に歩けば(Walk Between Raindrops)」をカバーしています。

しかもそれを滅法歌の上手いメル・トーメが歌うのですから、悪かろうはずがありません。

今回取り上げた男性ジャズ・ボーカルの曲では、メインストリームから外れる人を多めに選びました。

しかし最後に本格派男性ジャズ・シンガーも、ご紹介しておかなければなりません。

たとえばこの人のような。

この曲ではバックの演奏がラテン調で、エレクトリック・ピアノも利いています。

ちなみにアルバム・タイトルの「Reunion」とは「再会」と言う意味。

メル・トーメが誰と再会したかというとTOTOのデヴィッド・ペイチ(David Paich)の父親、マーティ・ぺイチ(Marty Paich)です。

メルにこの曲を提案したのは、当時幅広いジャンルで活躍していたマーティ・ぺイチかもしれません。

与えられた曲を歌いこなすのが、ジャズ・シンガーという職業です。

ここでのメルの堂々とした歌いっぷりは、まさにジャズ・シンガーといった感じがしないでしょうか。

 

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