今回はケニー・Gのランキングを作成しました。
この人は代表曲「ソングバード」のイメージばかりで語られがちです。
この記事は、彼を再評価をしてもらえたらと思って書きました。
初めて聞く方はもちろん、既にご存じの方にもお読みいただければうれしいです。
- 1 1位「Pick Up the Pieces」(アルバム:At Last… The Duets Album)
- 2 2位「Stop and Go」(アルバム:Kenny G)
- 3 3位「Bossa Real」(アルバム:Brazilian Nights)
- 4 4位「Baby Come to Me」(アルバム:At Last… The Duets Album)
- 5 5位「Brazil」(アルバム:Paradise)
- 6 6位「G-Bop」(アルバム:Breathless)
- 7 7位「Summer Love」(アルバム:Brazilian Nights)
- 8 8位「We’ve Saved the Best for Last」(アルバム:Silhouette)
- 9 9位「Crystal Mountain」(アルバム:Kenny G)
- 10 10位「Songbird」(アルバム:Duotones)
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1位「Pick Up the Pieces」(アルバム:At Last… The Duets Album)
■曲名:Pick Up the Pieces
■曲名邦題:ピック・アップ・ザ・ピーセズ
■アルバム名:At Last… The Duets Album
■アルバム名邦題:デュエット
■動画リンク:「Pick Up the Pieces」
同じサックス奏者のデイヴィッド・サンボーン(David Sanborn)と共演している曲です。
この曲はアヴェレイジ・ホワイト・バンド(Average White Band)のカバー。
サンボーンはフュージョン、クロスオーヴァー畑の人ですが、ジャズ仲間との間でも度々話題に上がります。
デイヴィッド・サンボーンは、ジャンルを超えて評価される実力者です。
一方ケニー・Gに関しては、ジャズ畑の人との間でほとんど名前が出ることがありません。
ケニー・Gの話題は忌避されがちです。
しかしこの曲を聞いて、いかが思われますでしょうか。
2本のサックスが絡み合っていますが、ケニー・Gとサンボーンを聞き分けられるでしょうか。
その視点が、今回のテーマのスタート地点。
ケニー・Gはイメージで語られすぎているのではないかと思います。
参考にまで、私は以前サンボーンの記事を書いています。
デイヴィッド・サンボーン(David Sanborn)の名曲名盤10選
2位「Stop and Go」(アルバム:Kenny G)
■曲名:Stop and Go
■曲名邦題:ストップ・アンド・ゴー
■アルバム名:Kenny G
■アルバム名邦題:シティ・ライツ
■動画リンク:「Stop and Go」
デビュー・アルバムの曲です。
この時彼は若干25歳。
バリー・ホワイト(Barry White)の「ラヴ・アンリミテッド・オーケストラ(Love Unlimited Orchestra)と、ジェフ・ローバー・フュージョン(Jeff Lorber Fusion)などへの参加を経て頭角を表しました。
当初彼はデイヴィッド・サンボーンと同じ路線で売り出されました。
デビュー時のレーベル、アリスタ・レコード(Arista Records)は、イケメンで都会派サックス奏者の彼を前途有望と判断したのでしょう。
おそらくこのシティ路線は、レコード会社の意向が働いていたと思われます。
邦題も「シティ・ライツ」ですし(笑)
彼はこの後「G・フォース(G Force)」「愛のめざめ(Gravity)」で、同じ作風のアルバムを発表しました。
その後「ソングバード」で大ブレイクしています。
3位「Bossa Real」(アルバム:Brazilian Nights)
■曲名:Bossa Real
■曲名邦題:ボッサ・リアル
■アルバム名:Brazilian Nights
■アルバム名邦題:ブラジリアン・ナイツ
■動画リンク:「Bossa Real」
彼は主にソプラノ・サックスとアルト・サックスを演奏しています。
彼の演奏はブラジル音楽と相性が良いように感じます。
ただ彼の音楽はジャズではありませんし、もちろんジャズ・プレイヤーでもありません。
彼にジャズらしさを期待してしまうとミスマッチは避けられません。
今回私はこの認識の不一致に、注意喚起したいと思っています。
昔職場の同僚にインド人の方がいて、日本のカレーは好きではないと言っていました。
本場インドのカレーを愛する人にとって、日本のカレーは本場のカレーとは全く違う料理かもしれませんが、この記事の問題と似ているかもしれません。
どちらが上ということではありません。
まずは違うという前提に立って、異なる期待を抱かないことが重要だと思っています。
4位「Baby Come to Me」(アルバム:At Last… The Duets Album)
■曲名:Baby Come to Me
■曲名邦題:あまねく愛で
■アルバム名:At Last… The Duets Album
■アルバム名邦題:デュエット
■動画リンク:「Baby Come to Me」
この曲では、ゲスト・ボーカルにダリル・ホール(Daryl Hall)が参加しています。
さてここである事件をご紹介したいと思います。
違うアルバムですが、彼はルイ・アームストロング(Louis Armstrong)の歌を引用し、そのバックで演奏していました。
Louis Armstrong & Kenny G – What A Wonderful World
それに激怒したのが、パット・メセニー(Pat Metheny)など数名のミュージシャン。
彼らによれば、偉大なルイ・アームストロングを冒涜する行為なのだそうです。
しかしこの種の引用は珍しことではありません。
たとえばローリン・ヒル(Lauryn Hill)は、故ボブ・マーリーと疑似デュエットしていますし。
Lauryn Hill & Bob Marley – Turn Your Lights Down Low
もちろん法的に問題がないようにした上で、最終的な判断はリスナーにゆだねた方がいいと思います。
私はどちらの曲も冒涜とは思いません。
私はサンプリング文化が定着していたはずの1999年でも、そういう非難を彼が受けたことに驚きました。
5位「Brazil」(アルバム:Paradise)
■曲名:Brazil
■曲名邦題:ブラジル
■アルバム名:Paradise
■アルバム名邦題:パラダイス
■動画リンク:「Brazil」
彼の音楽はスムースジャズだと言われます。
スムースジャズは名前の通り、洗練されていて聞きやすいジャズのこと。
ジャズと付いていますが、純粋なジャズとは異なる音楽です。
ただスムースジャズの中にも、フォープレイ(Fourplay)のように技巧が強味のバンドがあります。
確かにフォープレイの演奏は聞きやすいのに、細部まで繊細な技が盛り込まれています。
しかしケニー・Gはそういうタイプではありません。
良くも悪くもジャズ・プレイヤーのようなストイックなこだわりを感じさせません。
気持ちよく演奏できればそれでいい感じがします。
ただその分メロディをまっすぐ奏でることに迷いがなく、それゆえ純度の高い音楽になりやすいメリットがありました。
そうした彼の資質は、スムースジャズにうってつけだったといえるでしょう。
ただ彼はスムースジャズに過剰適応したきらいがあって、ジャズらしい偶発的なスリルを求める人向きではありません。
その分彼は非ジャズ的な自分の特徴を磨くことによって、幅広い人気を獲得することができました。
6位「G-Bop」(アルバム:Breathless)
■曲名:G-Bop
■曲名邦題:Gバップ
■アルバム名:Breathless
■アルバム名邦題:ブレスレス
■動画リンク:「G-Bop」
彼の全盛期は「Duotones」「Shilhouette」「Breathless」の時期だと言われています。
事実このアルバムでは以下の曲が、1994年第36回グラミー賞で最優秀インストゥルメンタル作曲賞を受賞しました。
私の友達は音楽に詳しい人ばかりではありません。
そんな彼らが私に音楽のことを話題にする時、こんなメジャーな音楽の話をしていいのかと、気まずそうに話すことがあります。
ある時話題に挙がったのはケニー・Gではありませんが、立ち位置的に似ている音楽でした。
その時私は、自分はそんな高尚な音楽の聞き方をしていないと説明しました。
ただそれを説明しすぎると、疑いの眼差しで見られるのが難しいところですが(笑)
もちろん私の方がズレている場合もあります。
実は私は「フォーエバー・イン・ラヴ(Forever In Love)」を高く評価していませんが、ファンには好かれているようです。
今回の選曲は、私のバイアスが強く入っているかもしれません。
7位「Summer Love」(アルバム:Brazilian Nights)
■曲名:Summer Love
■曲名邦題:サマー・ラヴ
■アルバム名:Brazilian Nights
■アルバム名邦題:ブラジリアン・ナイツ
■動画リンク:「Summer Love」
私が記事を書く時は、そのアーティストを取り上げる動機を重視します。
今回ケニー・Gを取り上げたのは、彼をけなすことが「良心的な音楽ファンのたしなみ」のような風潮に異を唱えたい思ったからです。
その問題の根っこには、ボタンの掛け違いがあると指摘したいと思いました。
彼は代表曲「ソングバード」のイメージが強すぎます。
私は必ずしもそう思いませんが、大甘で大味な自己陶酔の演奏をする人だと思われているようです。
しかし次第に彼のプレイは深化し、成熟の度合を深めました。
彼について非難する方は、後期の曲をご存じないだけかもしれません。
現に私は彼の最高傑作は、2015年にリリースされたこのアルバムだと思っています。
8位「We’ve Saved the Best for Last」(アルバム:Silhouette)
■曲名:We’ve Saved the Best for Last
■曲名邦題:ザ・ベスト・フォー・ラスト
■アルバム名:Silhouette
■アルバム名邦題:シルエット
■動画リンク:「We’ve Saved the Best for Last」
この曲では、ゲスト・ボーカルにスモーキー・ロビンソン(Smokey Robinson)を迎えています。
初期には、カシーフ(Kashif)などが参加したブラック・コンテンポラリーっぽい曲が散見されました。
この曲はその路線を代表する曲です。
AORファンにも気に入っていただけるかもしれません。
この人の特徴は、とにかくよく歌うこと。
最大の美点である音色の美しさを活かして、愚直にメロディを歌い上げています。
その特徴がスムースジャズの曲でメロディを奏でる時に吉と出たかもしれません。
それを個性と言えるかは少し微妙でしたが、彼はひたすらそのスタイルで突き進み、いつしかそれが彼の個性と言われるようになりました。
今ではある曲のサックスを聞いて、ケニー・Gみたいだと思うことがありますし。
単純なメロディをドヤって演奏していると思っていたら、次第にそれが様になってきて、今や確固たる地位を築いています。
9位「Crystal Mountain」(アルバム:Kenny G)
■曲名:Crystal Mountain
■曲名邦題:クリスタル・マウンテン
■アルバム名:Kenny G
■アルバム名邦題:シティ・ライツ
■動画リンク:「Crystal Mountain」
わずか36秒の短すぎる曲ですが、個人的にかなり推したい名演です。
ここまで彼には彼なりのアーティスティックな面があることをご説明してきました。
私はこの人の魅力が正しく伝えられればと思い、あえてこの記事を書くことにしました。
ケニー・Gを嫌いな人に好きになってもらえたら幸いです。
もちろん簡単なことではないと思いますが、一度聞きなおしてみるかと思っていただければと、それだけでもう充分です。
ただ今回私は彼を軽んじる人に再評価してもらおうと記事を書いたため、大多数の普通にケニー・Gが好きな方には、一体何を書いているのかと思われそうですが(苦笑)
おそらく一般のリスナーの方は、純粋に美しい音楽だと思って聞いているはずです。
こだわりの強い方はこの曲の演奏を聞けば、そう悪くないと思っていただけるかもしれません。
10位「Songbird」(アルバム:Duotones)
■曲名:Songbird
■曲名邦題:ソングバード
■アルバム名:Duotones
■アルバム名邦題:デュオトーンズ
■動画リンク:「Songbird」
※ボリュームを少し上げてお聞きください
今回の記事では、様々なタイプの曲をご紹介しました。
9位までの曲を聞いて、思っていたイメージと違うと思われたかもしれません。
その上で改めて「ソングバード」を聞くと、意外と悪くないと思っていただけるかもしれないと思い、あえてにこの曲を最後に配置しました。
この曲はソプラノ・サックスの魅力を体現した曲です。
もう1曲同じ系統の曲をご紹介しておきましょう。
これらの曲は世界中で愛されました。
1999年には「累計アルバム売上枚数の最も多いジャズ・アーティスト」として、それぞれギネスブックにも掲載されている
もちろん売れたからといって良い音楽とは限りません。
しかし私は彼の音楽には多くの人に好かれる理由があると思います。
後は予断を排し虚心坦懐に楽しむだけかもしれません。
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