今回はジョイ・ディヴィジョンのランキングを作成しました。
このバンドには、ダークでダウナーな魅力があります。
その陰影の魅力は、ボーカルのイアン・カーティス(Ian Curtis)の存在によるものでした。
ニュー・オーダーの前身バンドですが、その後とは少し違った魅力を持っています。
暗闇に沈降していくような魅力をご堪能ください。
- 1 1位「Disorder」(アルバム:Unknown Pleasures)
- 2 2位「Love Will Tear Us Apart」(アルバム:Substance 1977-1980)
- 3 3位「Transmission」(アルバム:Still)
- 4 4位「Passover」(アルバム:Closer)
- 5 5位「Shadowplay」(アルバム:Unknown Pleasures)
- 6 6位「Living In The Ice Age」(アルバム:Warsaw)
- 7 7位「Isolation」(アルバム:Closer)
- 8 8位「Warsaw」(アルバム:Substance 1977-1980)
- 9 9位「Digital (live) 」(アルバム:Still)
- 10 10位「Atmosphere」(アルバム:Substance 1977-1980)
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1位「Disorder」(アルバム:Unknown Pleasures)
■曲名:Disorder
■曲名邦題:ディスオーダー
■アルバム名:Unknown Pleasures
■アルバム名邦題:アンノウン・プレジャーズ
■動画リンク:「Disorder」
アルバムの中では、かなり分かりやすいロック・ナンバーです。
彼らはダウナーな曲が多いですから。
とはいえ、この曲にもダークな色合いを感じ取る人も多いことでしょう。
なにせ曲名からして「Disorder」つまり「障害」とか「無秩序」という意味です。
主人公は自分を導いてくれる人を待ち続けています。
そういう人が現れたら、自分も普通の人間としての喜びが感じられるかもしれないと。
しかしその後主人公は、感覚を失ってしまいました。
完全にアウトサイダー視点の歌詞ですね。
歌詞を書いたイアン・カーティスは、この時まだ22歳の若さでした。
「障害」「無秩序」という言葉が出てくる背景については、後で触れたいと思います。
2位「Love Will Tear Us Apart」(アルバム:Substance 1977-1980)
■曲名:Love Will Tear Us Apart
■曲名邦題:ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート
■アルバム名:Substance 1977-1980
■アルバム名邦題:サブスタンス
■動画リンク:「Love Will Tear Us Apart」
彼らを代表する曲であると共に、ロック・クラシックとして有名な曲です。
実はボーカルのイアン・カーティスは結婚しているのですが、そのことをご存知ない方は多いかもしれません。
イアンは1972年、16歳からある女性と付き合い始めて、19歳になった1975年に彼女と結婚しています。
1979年にはナタリーという娘も生まれました。
その翌年この曲がリリースされています。
しかしイアンは当時、別の女性に熱をあげていました。
その件で悩んでいた時、メンバーのバーナード・サムナー(Bernard Sumner)に、妻との関係を続けるかそれとも新しい女性を選ぶか、自分で決められないので代わりに決めてくれと頼んだんだそうです。
バーナードは選択を拒否したようです。
まあそうですよね。
最終的には自分で決めるべきでしょう。
「Love Will Tear Us Apart」という曲名は「愛は我々を引き裂く」という意味です。
歌詞を読むと「怒りがつのるばかり」とか「絶望が定着している」など、当時の生活に対する不満がたまっている様子がうかがえます。
3位「Transmission」(アルバム:Still)
■曲名:Transmission
■曲名邦題:トランスミッション
■アルバム名:Still
■アルバム名邦題:スティル
■動画リンク:「Transmission」
彼らのファースト・シングルです。
彼らは1979年にデビューしています。
しかしその前年の1978年にデビューする予定で、アルバム名もセルフ・タイトルとなることが決定していました。
結局その話は流れてしまい、そのアルバム用に書かれたこの曲を、シングル用に早いテンポにして再録音されました。
レーベルはファクトリー・レコード(Factory Records)。
ファクトリーはニューオーダー(New Order)が所属していたことで有名ですが、他にも意欲的なバンドが多数所属していました。
ファクトリーの創始者は、トニー・ウィルソン(Tony Wilson)という男です。
彼は利益の追求よりもアーティストがやりたいことを後押しすることを信念としてレーベル運営していました。
そのためレーベルは短命に終わりましたが、後に「マッドチェスター」と呼ばれるマンチェスター発ムーブメントの発火点となりました。
ジョイ・ディヴィジョンは今でこそ評価されていますが、当時はこういうバンドと契約することは、経営上のリスクがあったかもしれません。
彼らのようなバンドとの契約時には、レーベルの目利き力とリスクを取る判断力が必要です。
トニー・ウィルソンはそれができる人だったらしく、所属バンドの関係者からも慕われていたようです。
単なるビジネス上の関係ではなかったのですね。
トニーが腎臓ガンで高額治療を受けることになった時、友人や関係者が治療費を援助したという逸話があります。
このバンドの成功には、トニー・ウィルソンの存在が欠かせませんでした。
4位「Passover」(アルバム:Closer)
■曲名:Passover
■曲名邦題:パスオーヴァー
■アルバム名:Closer
■アルバム名邦題:クローサー
■動画リンク:「Passover」
この作品は彼らのラスト・アルバムとなりました。
彼らの最高傑作だと言われています。
前作から1年ほどの間で、彼らの音楽はかなり整理されてきたような印象を受けます。
言い方を変えると、より音楽的になってきたといっていいかもしれません。
ファーストでは、ある種の非音楽性を持っていました。
ヒリヒリした肌触りや、ダウナーな気分を味わうための音響といった方がいいかもしれません。
その意味でファースト・アルバムでは、彼らの良さを活かすことに成功しています。
そこで手腕を発揮したのが、プロデューサーのマーティン・ハネット(Martin Hannet)。
マーティンは1枚目の仕事を通じてメンバーの信頼を得て、2枚目では更に彼らの音楽を成熟させようとしました。
彼らの美点を損なうことなく。
元々彼らは外部発散型のパンク・バンドでしたが、マーティンはその攻撃性を内側に閉じ込めて、ゴシック的な狂気として表現しました。
この曲は攻撃的とはいえませんが、じわじわと内圧が高まってくる感じがしないでしょうか。
5位「Shadowplay」(アルバム:Unknown Pleasures)
■曲名:Shadowplay
■曲名邦題:シャドウプレイ
■アルバム名:Unknown Pleasures
■アルバム名邦題:アンノウン・プレジャーズ
■動画リンク:「Shadowplay」
ファースト・アルバム発売後、彼らはツアーに出ることになりました。
しかしそのツアーはイアン・カーティスにとって、とても過酷なものだったようです。
彼は元々うつ病とてんかんを患っていて、この頃ステージ上でも何度か倒れています。
またその頃彼は女性問題を抱えていたこともあり、死への欲望が抑えきれなくなってきました。
彼は1980年4月6日に自殺未遂を図りましたが、その時はかろうじて一命をとりとめました。
しかし1980年5月18日、二度目の自殺を図り亡くなっています。
首吊りした彼を発見したのは、妻のデボラだったそうです。
死の直前彼は、デボラへの愛情を記したメモを残していました。
ちなみに彼の死を知ったバーナードが、その時の心境を元に名曲「ブルー・マンデー(Blue Monday)」を書いたというのは、とても有名な話です。
ちなみにこの曲には「やりたいことは全てやった」という一節があります。
またアルバム・タイトルは「Unknown Pleasures」で、つまり「未知の快楽」という意味。
どちらも意味深な言葉かもしれません。
6位「Living In The Ice Age」(アルバム:Warsaw)
■曲名:Living In The Ice Age
■アルバム名:Warsaw
■アルバム名邦題:ワルシャワ
■動画リンク:「Living In The Ice Age」
ジョイ・ディヴィジョン名義ではなく、前身バンドのワルシャワ(Warsaw)名義の曲です。
しかし未発表曲集にこの曲のライブ・バージョンが収録されているので、そちらでご存知の方も多いかもしれません。
せっかくなので、オリジナルのスタジオ録音バージョンでご紹介します。
ちなみにバンド名の変遷について、ウィキペディアから引用しておきましょう。
バンド名はバズコックスのマネージャーの命名によりスティフ・キトゥンズ(Stiff Kittens)としていたが、すぐにデヴィッド・ボウイのアルバム『ロウ』収録曲からとった「ワルシャワ (Warsaw)」という名称に変更。
その後、類似する名前のバンドが存在することが判明したため、バーナード・サムナーの発案およびバンド内での協議により1978年1月から「ジョイ・ディヴィジョン」と名乗るようになった。
当時の彼らは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が好きだったのですね。
確かにこの曲などは、ボウイのロックンロール・ナンバーをパンク的に解釈したような感じがしないでもありません。
7位「Isolation」(アルバム:Closer)
■曲名:Isolation
■曲名邦題:アイソレーション
■アルバム名:Closer
■アルバム名邦題:クローサー
■動画リンク:「Isolation」
イアンはこのバンドの大黒柱でした。
彼のバリントンの声には独特の陰影があって、漆黒の闇のような深みが感じられました。
決して歌はうまくありませんが、唯一無二の存在だったように思います。
また彼は主に歌詞の面でバンドに貢献していました。
この曲も彼の手によるものです。
「孤独」という曲名ですが、この曲で彼は母親に向けてこう訴えています。
僕はベストを尽くしたけれど、今も自分が恥ずかしいと。
客観的に見れば、彼は不幸ではありませんでした。
妻と子供がいて、バンドの活動も順調で、成功への階段を昇りつつありました。
しかし不思議と成功に近づくにつれ、苦悩が深くなってきたように感じます。
彼の抱えていた闇がどういうものだったのか、私には分かりません。
8位「Warsaw」(アルバム:Substance 1977-1980)
■曲名:Warsaw
■曲名邦題:ワルシャワ
■アルバム名:Substance 1977-1980
■アルバム名邦題:サブスタンス
■動画リンク:「Warsaw」
これも改名前の曲です。
ちなみに彼らは、オリジナル・アルバムが2枚しかありません。
「Unknown Pleasures」と「Closer」だけです。
しかし彼らの音楽を網羅しようとする場合、それだけでは足りません。
彼らはシングル曲をアルバムに入れていませんから、このアルバムのようなベスト盤が必須となります。
ちなみに代表曲「Love Will Tear Us Apart」も、オリジナル・アルバム未収録曲ですし。
オリジナル・アルバムはマーティン・ハネットのプロデュースによって、一貫したイメージをつくり出すことに成功しました。
一方ベスト盤では、そこに収まり切れない魅力を味わうことができます。
彼らは元々セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のライブに感銘を受けて、バーナード・サムナーとピーター・フック(Peter Hook)が結成したバンドです。
初期の音源はこの曲のように、ストレートな魅力を持った曲が多いように思います。
9位「Digital (live) 」(アルバム:Still)
■曲名:Digital (live)
■曲名邦題:デジタル
■アルバム名:Still
■アルバム名邦題:スティル
■動画リンク:「Digital (live) 」
このアルバムは、彼らの未発表曲を集めたアルバムです。
ほとんどの曲はライブ・バージョンです。
イアンの死後、彼らはカリスマ的な人気を得ました。
海賊版なども出回っていたので、その対策もあってこのアルバムがリリースされたそうです。
ファン目線で聞くと、このアルバムの多くを占めるライブ録音は興味深いものばかりです。
特に彼らの最後のライブ録音である、バーミンガム大学でのライブも収録されていますし。
この曲もその中の一つです。
また他にはヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)の「シスター・レイ(Sister Ray)」や、後にニューオーダーのシングルとなった「セレモニー(Ceremony)」なども収録されています。
コレクターズ・アイテムの類だと思いますが、この曲が気に入ったらぜひチェックしてみてください。
10位「Atmosphere」(アルバム:Substance 1977-1980)
■曲名:Atmosphere
■曲名邦題:アトモスフィア
■アルバム名:Substance 1977-1980
■アルバム名邦題:サブスタンス
■動画リンク:「Atmosphere」
彼らのクレジットを見ると、全ての曲がバンド名義になっています。
しかし作詞はイアン中心で、作曲は他のメンバーという分担だったと思われます。
イアンの死にショックを受けたメンバーはすぐに話し合いの機会を持ち、バンドの継続を決定しました。
そのあたりの経緯を引用しておきましょう。
残されたメンバーは話し合いの末、音楽活動を継続することを決定。
イアンの生前に結ばれた「メンバーが一人でも欠けたらジョイ・ディヴィジョンの名前でバンド活動は行わない」という約束に基づき、バンド名はニュー・オーダーに改められ、ボーカルはギタリストのバーナードが兼任することになった。
この曲は彼らのラスト・シングルです。
もうこの時点でシンセサイザーの使い方など、ニュー・オーダーの萌芽が顕著ですね。
もしイアンが亡くならなかったら、ニュー・オーダーのような曲をイアンが歌ったのでしょうか。
この曲を聞くと、きっとすばらしい出来になっただろうと想像します。
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